'99.8オーストラリア旅行記

99.8.10(火)第6日目

ケアンズ (泊)


ケアンズ市街


 前日夜は疲れ果て、ろくに夕食もとれないまま(それでもビールだけはちゃんと飲んで)、ひたすら寝ていた。
 翌朝目が覚めると窓の外がまぶしい。カーテンを開けると、南国の風景が飛び込んできた。青々とした山。葉を伸ばしたヤシの木。「ここは熱帯なんだなあ」と実感する。冬にもかかわらず半袖でちょうどいい気候だ。じめじめとはしていないので、爽やかである。
 軽く朝食をすませ、海岸通りを散歩する。海は想像よりも茶色く濁っていたが、海に面した公園は広々としており、緑色の草や木が常夏の地を感じさせた。
 公園を犬連れで散歩する人、ジョギングをする人、ホームビデオで撮影する老夫婦。ケアンズは今の時期が一番のかき入れ時、観光客が多いのだそうだ。それほど暑くもなく、もちろん寒くもなく、過ごしやすいからだ。
 公園通りに面した家々の庭先では、ブーゲンビリアが赤い葉を大きく広げていた。原色の、名のわからない花もたくさん咲いており、「南国」(←オーストラリアは南半球なので「北国」というべきか?)の雰囲気をかもし出していた。

この日の観光は、オプショナルツアー「熱帯雨林キュランダ&珊瑚礁の島グリーン島」である。このオプショナルを申し込んでいた10名ばかりの日本人とともに、怪しげな日本語をしゃべるオーストラリア人のガイドの運転するマイクロバスに乗って、まずは世界遺産・世界最古の熱帯雨林の観光に出かけた。
 ケアンズの郊外、スミスフィールドからスカイレイルウェイに乗り込む。ここから約7・5キロ、高原の町、キュランダまで、世界最古の熱帯雨林の上を、ロープウェイで登る。
 「世界遺産」を残そうと、このスカイレイルウェイ(ロープウェイ)、7年もの月日を費やし、なるべく森林を痛めないよう、機材はヘリコプターで輸送して建設したのだそうだ。キュランダには、有名な高原(観光)列車が走っているが、常時四人乗りの籠が動いている、スカイレイルウェイの方が輸送力は勝っていると思った。列車の方は、繁忙期には、なかなか予約が取れないときいた。
 スカイレイルから眺める雨林は、広々としていたが、同時にどこか少し疲れて見えた。「世界最古」のせいだろうか。いくら自然に配慮したものとはいえ、ロープウェイなんぞ作ってしまった我々人間が悪いのだろうか。
 真下から少し遠くに視線を移すと、ケアンズの町が遠く見下ろせた。なだらかな稜線を描く山と、サトウキビの畑は、ちょっと見には日本の田園風景によく似ている。そういえば、昨日飛行機の窓から見下ろしたケアンズの町も、どこか日本の田舎を思わせ、親しみを感じた。

 キュランダは観光の町。日本でいえば清里のようなものだろうか。いくつか小さな博物館があり、土産物屋が並んでいる。元々はアボリジニの土地だったので、政府はアボリジニの人たちに補償金を払っているらしい。街角に、ぼーっと立っているアボリジニ人を何人か見かけた。
 写真右は鉄道のキュランダ駅。観光鉄道なので、一日数本しか走らず、電車の来ない時間だっため、誰もいなくがらんとしていた。
 さて、観光地ということで、懸案となっていたWindmill社のコアラをさっそく探しに行く。あまり安っぽい土産物屋ではなく、少し高級な店を中心に探したところ、ようやく数十体を置いてある店を見つけた。欲しい型番に近い物もいくつかあり、お目当てそのものはなかったが、わりとかわいい型を見つけ、さっそく買った。ケアンズが今回の旅行の最後の街なので、ここで見つからないと永遠に手に入れることができなくなる。しかし、シドニーではほとんど見かけなかったコアラがあったということは、期待できそうだ。

 キュランダからの帰り道はマイクロバス。急なカーブの多い坂道を、ものすごい勢いで車は走っていく。「ダイジョーブ!」と、二十歳ぐらいのガイドのお兄さんは運転しながら言う。オーストラリアは広いので、車がないと生活できない。「ワタシ、9歳から運転してました。牧場で。運転大好き」 こういう乱暴な運転は当り前らしい。
 お昼はケアンズの街なかのホテルのレストランでバイキング。ガイドのお兄さんは「ワタシはマクドナルドね」と、どっかへ行ってしまう。日本語が出来れば、オーストラリアでは仕事に困らないと以前聞いたことがある。観光地のポイント・ポイントを車で運び、待ち時間は本でも読んでいればいいので、考えてみればいい仕事である。
 この写真は、ケアンズのあるクイーンズランド州のビール「フォーエックス」のCM用ディスプレイである。クイーンズランドでビールといえば、やはりこれ。昨晩、レストランで「フォスターズラガー」を頼んだところ、ウェイトレスに何でそんな物を頼むんだという顔をされ、「無い」と言われたことを思い出した。たとえビールでも、郷に入れば郷に従え、である。
 食事の後は、船で45分で、沖合いのグリーン島へ向かう。船が出発するまで少し時間があったため、街の中心地にある免税店や日系の大きな土産物屋へ、Windmill社のコアラの下見に出かけた。
 すると、シドニーでは全然見かけなかったコアラがあるわあるわ、ついに、見つけたのである。同じ観光地でも、シドニーよりも外人の観光客が多いからか、「オーストラリア製」と銘打った物がたくさん置かれており、その一環として、Windmill社のぬいぐるみもあったのだ。
 思わず片っ端から買いたくなったが、これから島へ船で渡ろうというのに、コアラのぬいぐるみをかついでいくわけにはいかない。戻ってきてから買うことにし、あらかじめ型番を確認しておく。ただし、残念なことに、やはりほしい型番だけは見当たらなかった。さすがにこの頃になると「型落ち」だとあきらめはついていたが。

 ケアンズの港を出て、しばらくは内海のせいか水は茶色くにごっていた。外海と接するところから、海の色は深い藍色に変化した。百人乗り程度のたいして大きくない船だったが、それほど揺れることもなく、甲板の上で潮風を受けていると非常に気持ちいい。思わず「これがリゾートというものね」などと口走ってしまう。
 昨日の朝まで砂漠で「さむーい」と言っていたのに、今日の昼間は半袖で海の上を走っている。同じ国なのに……日本という、全国の気候がさして変わらない小さな国に住んでいると、やはり不思議に感じてしまう。
 外海の藍色が、珊瑚礁のコバルトブルーに変わる頃、前方にグリーン島が見えてきた。島を一周しても一時間もかからない小さな島で、島内にはホテルが一軒あるのみ。リゾートのためだけの島である。
 

 船は長い桟橋の先端部分に到着した。上陸前に、まずは「グラスボートでサンゴと魚を見学」ということで、グラスボートに乗り込んだ。


グラスボートから見たサンゴ
 熱帯のグラスボートは、沖縄八重山諸島の竹富島で乗ったことがあったが、その時とよく雰囲気が似ていた。サンゴが白っぽくなって死んでいるのが目に付いたのが気になった。桟橋そばに、体長1メートルはあろうかという大きな魚(熱帯魚って言っていいのかな)が泳いでいて驚いた。熱帯魚というと、カラフルで小さい、というイメージがあったので。魚の名前については全くわからない。
 グラスボートを下りて桟橋を渡りながら、島全体を見渡した。珊瑚礁に囲まれており、コバルトブルーに彩られた島は美しい。例のガイドの青年は「初めてこの島に来た時は、このコバルトブルー色にびっくりした」と言っていた。確かに、ケアンズの海の色とは全然違う。グレートバリアリーフならではの色である。
 しかし、私は竹富島や波照間島といった八重山諸島の方がきれいな気がした。グリーン島は観光客が多いせいかもしれない。八重山諸島は日本だけれど、行きにくいし、下手するとケアンズへ行くよりも高くついてしまうので、あまり行く人がいないのかもしれない。

 島の中は、ただ一軒のみのホテルの独占状態。土産物屋やレストランがおしゃれに軒を並べ、プールで泳いでいる人がたくさんいた。もちろん海でもたくさんの人が泳いだり、シュノーケルをしたりしていたが、実はそれほど暑くなかったのである。水温はせいぜい22,3度、気温だって27,8度であり、日本だったら「絶対プールにも海にも入らない」という温度である。
 そういえば、昨晩、ケアンズのホテルの中庭のプールでも、泳いでいる人がいた。オーストラリア人にとって、プールというのは、日本でいう温泉のようなものなのかもしれない。
 お店が並んでいるところは人で混雑していたので、島の遊歩道を通って裏側に出た。ここにはほとんど人影がなかった。「ああ、海って広くていいなぁ」やはり、海はあまり人がいないに限る。売店でビールを買い、ぼんやりと海を眺めながら飲んだ。
 グリーン島はホテルが一軒あるだけの島なので、このホテルに泊る予定のない人は、船で必ず帰らなくてはならない。最終の船が16時半だったのだが、どういうわけか、私ら含め、オプショナルツアーの参加者の一部のチケットがとれていなかった。
 「ダイジョーブ! なんとかなるから」と言うガイドの青年の言うとおり、16時頃、代りの船が用意された。グリーン島の近くでパラセイリングをしていたボートである。ガイドさんの友人のボートだそうで、ちょうどケアンズに帰るところだから、これに一緒に乗って行こう、とのことである。
 一般の船より速いし、波しぶきを上げながら走るボートはスリル満点。10人乗りの小さなボートなんて乗る機会はめったにないだろうし、船で帰るより遥かに面白かった。(が、しかし、船代はどうなったのだろう?)
 さて、ケアンズの街に戻り、いよいよ、コアラの買物である。
 あらかじめ目星をつけておいた店に行って、各型番について一つずつ買った。欲しかった型番が無かったのは、本当に悔しいけれど……(実は「同じようなやつ」ということで、写真まで撮って持って来ていたのだ。手作りなので、一つ一つ微妙に表情が異なるので)
 お店の人(もちろん日本人。英語でそんな難しい会話はできない)に聞くと、やはり次々といろいろなデザインのぬいぐるみがでるのだそうだ。5年前まではマジックテープで両手がくっつく型の物が主流だったが、昨今はこういう型は出ていない。また、以前は座っている形のものが多かったが、最近のコアラはいろいろな格好をしている。寝転がっていたり、立っていたり…… 「この頃は立っている型がよく出ています」とのこと。リピーター用に、少しずつ型を変えるのだろうか?
 かくして、今回もコアラのぬいぐるみを10体ばかし買ってきた。さすがにこれだけ買うと山のような荷物になり、茅沼氏のスーツケースは、片側、コアラだけで埋まってしまった。もし税関で開けさせられたりしたら、ものすごく恥ずかしい荷物である。「麻薬がつまっているのでは」と疑われたりして、などと思ってしまった。



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