'98.6北欧旅行記

98.6.19(金)第10日目

コペンハーゲン 《デンマーク》泊


チボリ公園正面のイルミネーション

 
 この日は一日、コペンハーゲンの街の観光。午前中は団体行動で市内観光、午後以降は自由行動だったので、郊外のヒレロズ・エルシノアへ電車に乗って出かけた。午前中は小雨がぱらついていたが、午後から日が射し始め、夕方以降はよい天気になった。

 まずは、カルスバーグ社へ。カルスバーグ社とは、全世界で有名なビール会社である。日本でももちろん売っている。緑色の缶のビールだ。北欧は税金が高いのでビールも高かったが、ここデンマークだけは別である。デンマーク人は、とにかくビールをよく飲む。駅の売店でも、アルコール度の低い(2.5%程度)ビールが気軽に売られている。ビールを飲むことは、カルスバーグ社が栄えることでもあり、カルスバーグ社がそれだけたくさん国にお金を納め、国が栄えることでもある。ということで、デンマーク人は朝からがぼがぼビールを飲むとのこと。ちなみに、カルスバーグ社と双肩を並べているのはツボー社。

 写真は、カルスバーグ社の門。カルスバーグ社の象徴、象が飾られている。カルスバーグの初代社長が、病弱の息子たちを案じて、「象のように強く育つように」という思いで、カルスバーグ社の象徴にしたのだとか。で、実際に息子たちは丈夫になり、感謝の気持ちをこめて、工場入り口にも象の像を置いたのだという。
 正面にある2頭の象は「ビールを飲む前の象」で、いかめしい顔をしているが、反対側の象は、「ビールを飲んだ後で愉快な気分になった象」で、ボールを転がして遊んでいる。

 コペンハーゲンの街には、有名な銅像がいくつかある。
 左がアンデルセン像。右は人魚姫像。
 人魚姫像は、後ろが工場地帯なので、有名な割にはたいしたことがない。人魚とはいえ、しっぽは半分人間の足になっている。人間になりかけの人魚の悲しみを表現しているのだ。

これが有名な人魚像
 

 これは、人魚像付近で見かけた保育園児。保母さんや保父さんに連れられて散歩中である。デンマークではほとんどの家庭で両親とも働いているので、子どもは皆、保育園に預けられる。そして一日のうち一回は、こうして散歩に出るのだという。フィンランドでも見た光景である。
 北欧は男女平等が進んでおり、福祉も充実していると聞くが、やはりこういう場面に出会うと本当なんだ、羨ましい国だと思ってしまう。
 実際にその国の中に飛び込めば、いろいろ問題があるのだろうが。

 アマリエンボー宮殿では、ちょうど午前中の衛兵交代式をやっていた。
 若い衛兵が、二言三言交しながら警備の交替をする。一糸乱れぬ動きにほれぼれする。
 衛兵の姿が珍しくて、たくさんの観光客たちが後をついてまわり写真を撮るが、彼らは表情を崩さず、黙々と任務を果たす。思わず、笑わせてみたい衝動にかられてしまう(笑)

 街中で珍しいものを見かけた。
 高校を卒業した子どもたちを乗せたトラックだ。卒業の印の帽子をかぶり、国旗を振り、奇声を上げている。デンマークでは、「高校を卒業する」ということは、一種のステータスなのだそうだ。高校進学率は日本に比べればずっと低いし、さらに卒業する者は少ない。卒業試験に合格しなくはならないのだ。その数3分の1だったか2分の1だったか。(うろ覚え)
 というわけで、卒業試験に合格した子どもたちは、こうして飾り付けられたトラックに乗り、街中を走り、卒業生たちの家々をまわり、そこでビールやワインをご馳走になるのだ。昼前からトラックに乗り込み、夜、トラックを下りる頃には、酔っ払ってべろべろだとか。

ここは市庁舎前のマーケット。
小雨交じりでもテントを張り、ちゃんと商売。
ソーセージ屋もあれば、ブタを丸焼きにしている店もあった。
 

 さて、団体行動の市内観光も終わり、午後は電車に乗って郊外へ。
 まずはコペンハーゲン中央駅へ。ここから電車に乗って40分、終点、ヒレロズ駅を目指す。ヒレロズ駅から歩いて15分程のところにある、フレデリクスボー城へ行くのが目的である。


←コペンハーゲン中央駅は賑やか

ヒレロズ駅
 今一つ電車の乗り方がわからなかったが、なんとかキップを買い、目的の電車に乗る。ヨーロッパの駅なので、キップが無くても電車に乗ることはできる。というわけで、さっそく車内で、見ず知らずの乗客に心配されてしまった。
 「キップを持ってるか?」(と、多分、聞かれたんだと思う)
 キップを見せると、安心した顔。すぐに車掌が来て検札。キップの買い方は間違っていなかったらしい。
 さっきの乗客(若い青年だった)は、なおも英語でいろいろ聞いてくる。しかし、こちらはあまり聞き取れず「?」状態。最後に「コペンハーゲンが好きか?」と聞かれたのはわかったので「YES」と答えたら、にっこりされた。

 これがフレデリクスボー城。
 デンマーク一美しい城と言われている。
 まるで湖に浮かんでいるように見える。(天気が悪いのが残念!)
 しかし、日本発のパッケージツアーでは、この城はあまり訪れない。オプショナルツアーも出ていない。というわけで、こうして電車に乗って個人的に訪れた。こんなに美しいお城なのになぜ? と思っていたが、中に入ってそのわけがわかった。
 もう、とにかく、この広いお城の内部、これでもかっ、これでもかっというぐらい、美術・調度品、絵画等が飾られているのだ。とても、簡単に見て廻ることなんてできないのだ。
 城内見学ツアーが1時間半ということからも、その量がわかるだろう。
 この見学ツアー、当然、日本語ではない(デンマーク語)ので参加しなかったが、それでも、城を出る頃には、目がくるくる廻ってしまった。いったい何百枚の絵画を見て、何千の陶器や宝飾品を見たことだろう?
 ちなみに、入口がどこかわからず、逆まわりしそうになってしまった。「この部屋を見た?(写真右の礼拝堂)」と、警備員に英語で聞かれて「NO」と答えたら、「あっちが入口」とばかり、指差されたのであった。

城正面。優美〜〜〜
礼拝堂。ごてごてきらきら→
 ヒレロズ駅から、さらに電車を乗り継ぎエルシノアへ。
 エルシノア駅そばには、ハムレットの舞台でなったことで有名なクロンボー城がある。時間的に少し遅くなり、エルシノアに到着するのは17時過ぎになりそうだったので、おそらく城内に入ることはできないだろうが、外から城の外観は眺められるだろうと思い行くことにした。

券売機→
 ヒレロズからエルシノアまでも鉄道が通っている。
 実際に、ヒレロズ駅にはエルシノア行きの電車が止まっていた。しかし路線図を見ると、途中で路線が変わっているように見える。時刻表よりもなぜか少し早めに出発した電車に乗り、きょろきょろしていると、またも車内の乗客に声をかけられた。
 「どこへ行きたいのか?」と聞かれたので「エルシノア」と答えると、「そのままこの電車に乗っていればいい」と言われた。さらに「エルシノアにはクロンボー城があったり、いろいろみどころがあるよ」とまで言ってもらえた。(多分……。英語なので、怪しい(^^;)コペンハーゲンの人は、本当に親切である。
 ところで、コペンハーゲンの市内交通は、この鉄道(国電)とバスのみ。料金はゾーン制となっており、乗客は目的地がどのゾーンに入っているのか見て、所定の金額を入れ、キップを買う。切符には時間が入っており、一時間以内ならば、同一ゾーン内での乗換は無料である。
 券売機は大人用と子ども用とでボタンが分かれている。デンマーク語しか書かれていないので、最初わからず「片道・往復かしら?」などと、まぬけなことを考えてしまった。(あやうく子ども用のキップを買うところであった) デンマークの駅は、英語が書かれていないので戸惑った。


エルシノア駅舎

右手奥がフェリー乗り場への連絡橋
 エルシノアは、海辺の街。
 対岸に、スウェーデンの街が一望できる。船でものの10分でスウェーデンに行くことができる。つまり、国境の街でもあるのだ。
 で、お酒の高いスウェーデン。ビールをがばがば飲めるデンマーク。船の中は免税。ということは、また免税品を買うために船に乗る人がいる、ということである。さらに、スウェーデンから安いお酒を求めて、たくさんの人がやってくる、ということである。
 思ったとおり、エルシノア駅前には、どーんと大きなフェリーが泊まっており、駅とフェリー乗り場を結ぶ連絡橋を、ひっきりなしに人が行き来する。駅の売店にはお酒がずらっと並んでいる。大型フェリーが、対岸のスウェーデンの港とエルシノアとを10分おきぐらいに行ったり来たりしている。これもまた、税金の高い北欧らしい光景なのだろう。
 対岸にはっきりと見えるスウェーデンの街並み。
 クロンボー城の城壁の上から眺めた。
 第二次世界大戦当時は、ドイツに占領されたデンマークから、ユダヤ人をスウェーデンへ逃がすために、スウェーデン近くの港からは密航が相次いだと、本で読んだことがある。(「ふたりの星」ロイス・ローリー作)
 確かにこの近さならば、と思う。

 この後、エルシノアからコペンハーゲンまで50分弱で戻り、いったんホテルで休憩。
 夕食を近くのパブですませて(地ビールがおいしかった)チボリ公園へ。
 「暗い夜」(といっても23時頃にならないと暗くならないが)のあるコペンハーゲン。チボリ公園のイルミネーションを見るためである。

 チボリ公園とは、コペンハーゲン市民の憩いの公園と言われている。しかし、公園というよりは、「遊園地」という方が、日本の感覚に近い。たいして広くない園内には、観覧車とかメリーゴーランド、小型トレインなどの乗り物があり、またゲームセンターあり、レストランあり、と、ディズニーランドのミニチュア版のようなものだ。
 ディズニーランドに慣れた人には「なんて小さな遊園地」と思うかもしれないが、チボリ公園の素晴らしいところは、老若男女、全てが楽しんでいることである。
 おもちゃの小型トレインに、大人たちがにこにこして乗っているところを想像してもらいたい。彼らは心から楽しんでトレインに乗っているのである。4月下旬からから9月中旬しか開園していないせいかもしれない。(近年は、クリスマス付近にマーケットが開かれたりしているらしいが)ここにも、短い夏を楽しもうとする人たちの心が表れているのだ。
 というわけで、私たちもにこにこと恥じることなく、観覧車に乗り、メリーゴーランドに乗り、トレインに乗った。
 北欧最後の夜をしめくくるにふさわしい楽しい夜で、閉園間近の0時近くまで、チボリ公園で遊んでいた。

 
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