'98.6北欧旅行記

98.6.17(水)第8日目

バレストランド→ソグンダル→カウパンゲル→グドバンゲン→スタールハイム→ヴォス→ベルゲン 《ノルウェー》泊


ソグネフィヨルド

 
 この日も主にフィヨルドとのお付き合い。ソグネフィヨルドを観光する予定である。ソグネフィヨルドは、世界一長く深いフィヨルドである。
 ところでこの時、またアクシデントが起きていた。我々一行のバスのタイヤがパンクしたのである。パンクしたのは、左外側後輪。大型観光バスなので、タイヤは二つずつついている。よって、とりあえず少しぐらいならば走ることはできるとのこと。50キロほど離れたソグンダルの町でタイヤ交換をすることになった。ソグンダルは飛行場もある、少し大きな町である。
 まず、バレストランドから8キロ離れたドラクスビクからフェリーに乗り、対岸のヘラまで行く。フィヨルドは深いので、陸路で対岸へ廻るより、フェリーで渡った方がずっと近い。場合によっては、陸路がないこともある。観光目的ではなく、対岸へ渡ることのみを目的としたフェリーなので、バスでそのまま乗り込み、またバスから下りることもなかった。
 ヘラまではすぐ。ものの十分。そこから一時間弱、バスはパンクのまま走る走る。この日は小雨だったので、タイヤにとってはいい天候だったようだ。「パンクしていても車は走れる!」私には驚きだった。

 三十分ほどでタイヤ交換は終わった。取り急ぎの修理なので、ホイールキャップはついていなかったが。(気がつくといつのまにかつけられていた。) ソグネフィヨルド観光のフェリーは、ソグンダルからさらに十五分ぐらい先に進んだカウパンゲル。タイヤ交換で遅れたので、最後の方の乗船となった。
 観光客は多く、デッキは車でいっぱい。なんとかかんとか乗り込んだ感じである。なぜこんなに混んでいたかというと、どこだかでクラッシックカーショーをやっていて、それに参加する団体が乗っているからだとか。
 船室に入ると、子どもたちであふれかえっていた。まさか子どもたちがクラッシクカーショーに行くわけではあるまいな、と思いつつ見ていると、彼らは一様に「ソグンダル ハンドボールチーム」と書かれたおそろいのパーカーを着ていた。さらに、次の下船場・Revsnesでいっせいに下りてしまった。野外授業かなにかだったらしい。


フィヨルド沿いの村。
 天候は相変わらずあまりよくなく、小雨交じり。さらに風も強く、とにかく寒いことこの上ない。しかし、船室に入ってしまっては景色がよく見えない。というわけで、二時間弱、震えながらのフィヨルド観光となった。
 しかしたとえ寒くても、ソグネフィヨルドはとても見ごたえがあった。私はゲイランゲルフィヨルドよりも美しいと思った。「私が思い描いていたフィヨルド」に近かったのである。
 というのは、フィヨルド沿いにいくつか村が見えたからである。「こういうところで暮している人がいる」ということが感動なのである。
 地図で見ると、陸路が全然載っていない村もある。道もなければ、フェリー運航路も書かれていない。個人の船での移動を前提としているのだろうか。(少し前まで、北海道にも海路しかない地があったが)。 冬になると、雪に閉ざされ、外部との交流を絶ってしまう村もあるそうである。


口の開け具合がかわいいかもめ→
 

 カウパンゲルを出港してから、しばらくはかもめが後をついてきた。船室でポテトチップを買って投げてやると、喜んで食べる。手づから食べると聞いていたので、ためしにポテトチップを持って手をかざしていたら、本当に食べた。警戒心のなさがとてもかわいい。
 惜しむらくは天気がよければ…… もしこれが青い空であったら、もっともっと美しかったことであろう。ガイドブックに乗っている「青空のソグネフィヨルド」と見比べて、悔しがる私。まあ、ソグネフィヨルドは割と来やすいところにあるので(鉄道・バスとちゃんと公共交通ルートがあるから個人旅行でも行けるし、パックツアーでもソグネフィヨルドはだいたい含まれている)、またいつか来ればいいや、と思うことにした。

 グドバンゲンで下船してしばらくは渓谷沿いを走った後、バスは非常に急な坂を上った。坂を上りきると、スタールハイムホテルがある。ここで昼食をとった。
 スタールハイムホテルの素晴らしいところは、中庭からナーロイ渓谷をのぞめることである。ナーロイ渓谷の眺望は、とにかく素晴らしい!! の一言につきる。この光景も、今回の旅行で忘れられないものとなった。
 ああ、こういうところもこの世の中にはあるんだ。
 物語の世界だけじゃなく、ほんとうにこんな世界で暮している人たちがいるんだ。
 たとえ、文字の上で知っていても、画像や映像で見ていたとしていても、自分の目で見、感じることは、こんなにも素晴らしいことなのである。
 この滝は、スタールハイムホテルから三十分のところにある、トヴィンネの滝。
 水量豊富な滝だが、この滝が有名なのは「滝の水を飲むと10歳若返る」と言われているからだ。コノ手の話は日本の観光地ではよく聞くが、ノルウェーにもあったのか、という感じである。
 さらに、なんと、滝の水をひいた水道まで設置されていた。滝の水を汲もうとして、滝壷に落ちた人でも出たのだろうか。もしくは皆が水を汲もうと滝に足を踏み入れると、水が汚れる、ということかもしれない。
 トヴィンネの滝からちょっと走るとヴォスの町に出た。ヴォスはフィヨルド観光の拠点。駅もあるし、駅前はバスターミナルになっている。
 土産物屋休憩が入ったので、さっそく駅を見に行った。面白かったのが列車編成案内板。とてもきれいでわかりやすい。観光客がたくさん来る駅なので、丁寧に案内されているのかもしれない。オスロからヴォスまでの鉄道路線は、非常に車窓が美しく、ヨーロッパでも1,2を争うとのこと。是非乗ってみたいものだ。
 鉄路はさらにベルゲンまで延びている。バスはほぼ、鉄道路線沿いにE16を走っていく。いくつか駅も見えたが、さすが観光路線、どの駅もこぎれいだった。


 列車編成案内版
 ヴォスからベルゲンまでは一時間弱。
 ベルゲンに近づくにつれて、車の量も増えてくるし、町の雰囲気になっていく。フィヨルドがどんどん遠ざかっていく寂しさを感じながら、三日ぶりの都会だな、とも思った。ベルゲンは、かつてはノルウェーで一番大きな町だったそうだし、また一大観光地でもある。
 しかし天気は相変わらず悪い。ヴォスでは、雨は降っていなかったが、ベルゲンが近づくにつれて、また雨が降り出した。ベルゲンは、雨の非常に多い町。一年の3分の2近くは雨だとか。これでは雨でも仕方ない。
 五時過ぎにベルゲンに到着。
 夕食までしばらく時間があったので、さっそくベルゲンの象徴ともいうべきブリッゲンを見に行く。ベルゲンといえば、必ず紹介されている建物群がある。
 ブリッゲンとは埠頭という意味だが、ここでは特に、この建物群自体をさすように思う。切妻屋根の木造家屋で、ハンザ同盟時代のドイツ人商館である。ユネスコの世界文化遺産に指定されている。奥行きが結構あり、家々の隙間は迷路のようになっている。

「子ども飛び出し注意?」

キオスク
 住宅街は石畳となっており、こちらもまた趣があった。
 町全体が文化遺産と呼べるほど、とにかくベルゲンの町は美しい。
 家々の間にキオスクがあったが、町の雰囲気にうまく溶け込んでいる。(4色の十字模様は、ノルウェーのキオスクマークらしい。あちこちで見かけた)
 スーパーやビデオ屋もあったが、どれもけばけばしくなく、全然町の景観を損ねていない。外に対して気を遣う国民性がよくあらわれている。

 フィヨルド地方に比べれば少し緯度が下がったので、「白夜」はどうなったか、また確認してみることにした。
 また夜中の一時過ぎにおきて外を見てみると、かなり暗くなっており、街灯が美しく見えた。これぐらい暗いと「夜」という感じがするものだ。



 
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