幕間・英雄と英霊の戦い その剣風は正しく嵐のよう。 ほんの僅か、髪一本に満たない空間を死の具現が通過する。 無骨な斧剣の奏でる倶風と狂戦士の咆哮が耳朶に響く。並大抵の戦士であれば肝を抜かれ、ただ与えられる死を享受するだけであ ろうその剣戟を、しかしさらに懐に入ることでやり過ごし、手にした双剣・干将莫耶をもって城の様な体躯に渾身の一撃を加える。 「ちっ」 名剣とされる双剣をもってしてなおも切り裂く事の出来ない狂戦士の皮膚に舌打ちする。同時に、胸元に迫る丸太のような膝蹴り を察知。胸を逸らす、体を捌くなどの回避では埒があかないと判断し、その膝に右足をあわせ、膝蹴りの威力を利用して跳躍。 空中で身を捻り、緩やかに着地すると、そのまま数メートルほど後退して再び双剣を構える。 「流石は大英雄 、といいたいところだが宝具の一撃を受けて無傷か。どうやら、予想通り貴様の宝具は防具の類であるらしいな」 「それがわかったからといっても、貴方の運命に変わりはないわよ。弓兵のサーヴァント」 鈴のような声に、目だけをそちらに向ける。 そこには十歳前後であろう、銀髪の少女が腰に手を当てて立っていた。 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。 この城の城主にして、いま目の前にたつ『死』の主だ。 「まだいたのかイリヤスフィール。そのような場所にいては我々の戦いに巻き込まれるぞ。子供は早くベッドに入って寝ていろ」 「そうね。夜更かしは美容に悪いもの。貴方と貴方の主が首だけになったら、ゆっくりと休ませてもらうわ」 にこりと、この戦場となるべき場に似合わない笑みを浮かべる。それを口元を吊り上げることで答え、 「ほお。では、君の眠りは永劫に来ないな。仕方ない、私が寝かしつけてやろう。二度と起きれぬが、なに。下僕に添い寝をさせて やるから安心するのだな」 わざとらしく挑発をすると、イリヤはすっと目を細めたがすぐに冷静さを取り戻した。 「ふん。私と会話して時間を稼ごうとしても無駄よ。アーチャー。シロウだけならともかく、魔力の枯渇したセイバーなんてお荷物 を連れいては凛も士郎もこの森から脱出できない。貴方は此処で死ぬし、シロウたちも助からない。貴方の死は完全に無駄になるわ ね。アーチャー」 「ふん。そんなことは百も承知。あの連中に疲弊したセイバーを置き去りにすることも出来まい。凛だけならばまだしも、衛宮士郎 がそのようなことをするなど有り得ない」 酷薄な口調で告げられる。 そして、それが真実であろうことは、他の誰よりも私がよく分かっていた。 かつての自分。正義の味方になることを目指した『オレ』ならば、そんなことをするわけが無い。 故に逃亡は絶望的。 この身が滅びれば、半刻とせずにマスターたる少女たちは狂戦士の主従に討ち取られるだろう。 けれど――――――――――― 「だがなイリヤスフィール――――――――――――――」 大丈夫。あの衛宮士郎には凛が、己の主たる少女が、魔術使いとなり、英霊となり、無限に近い戦場を駆けた自分が知る限り最高 の魔術師が付いているのだ。 自分が稼ぐこの僅かな時間でも、きっとこの敵を屠る手段を見つけ出す。 そして何より――――――――――――― 「この身には、ただの一度も敗北は無い。消えるのはそちらだ。狂戦士の主よ」 双剣を構え、堂々と宣告する。 「貴方、馬鹿でしょう?」 放たれる言葉には、苦笑するしかない。その言葉は、誰よりもあの少女に言われなれている。 「聴きなれた言葉だな。語彙を増やして出直して来い」 「もういい。その愚か者を消しなさい。バーサーカーっ!!」 号令。咆哮。倶風。破裂音。 その全てが同時に起こり、その全てに対処すべく双剣を、思考を、経験を―――己に許された全てを躍らせて漆黒の砲弾と化した バーサーカーに対処する。 分割された思考で戦況を分析。高速で駆け巡る思考で次手を選択。組み立てられた理論に蓄積された無限に匹敵する経験を持って 補完する。それらの手順によって割り出された回避行動によって、ようやく死が形となったようなバーサーカーの一撃を無傷で避け るという奇跡を引き寄せる。 本来は錬金術師たちが編み出し、使用する思考法。 魔力に乏しい彼らが唯一自由となる思考の中で引き起こしえる神秘。 元より己の内でしか勝ち得ない『オレ』にとって、これほど性に合った魔術形式はなかった。 その末に辿り着いたものこそ『心眼(真)』。 故にこの身に敗北は無く、戦闘が始まる前に勝利を握っていることが英霊『エミヤ』の戦闘術。 脳天から打ち下ろされる圧倒的な質量の一撃を左の干将で受け、同時に体を独楽のように回転させて剣の軸を外す。遠心力の乗っ た右手の莫耶の一撃は、しかし予想通りに堅固な肉体に弾かれる。 (弾かれる・・・ではないな。その割には手応えが薄い・・・・・・) それはまるで薄いが、決して裂けない幕で覆われているかのよう。 こちらの一撃はバーサーカーに届く前に無効化されている。 顔面を捉えようと迫る左腕を前に倒れこむようにして回避し、背後に回ってから双剣を十字に疾らせる。銀光はそれまでと同じく 鉛色の鎧に傷をつけることは出来なかった。 (結界の様なもので防いでいる・・・のだろうな。ならば!!!) 一瞬だけ、間合いを切り、呼気を整える。 「そろそろ本気で行くぞ?大英雄!!」 裂帛の気合を吐き、干将・莫耶を投擲する。魔力を上乗せした双剣は弧を描くようにバーサーカーへと迫る。 「■■■■■■■■■■■■■■っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」 バーサーカーもそれに応じるかのように猛り、双剣には目もくれずに突進する。渾身の魔力を込めた双剣はやはり狂戦士に傷をつ けることはかなわず、黒い砲弾は赤い騎士に肉薄する。 それは刹那に満たない時間。 瞬きすら間に合わないその合間に。 赤い騎士は己の勝利を確信した。 「投影・開始 」 紡がれたのは何のことは無い言葉。 それだけでは何の意味も無いもの。 しかし、その言葉によってだけ、己が体を剣にすることの出来る『鍵』の言葉。 「う、そ・・・・・・」 掠れたイリヤスフィールの声が聞こえる。 一切の攻撃を防ぎ続けた無敵の鎧。 その鎧の胸を貫く三叉の槍は、確かにバーサーカーの心臓を捉えていた。 戦況は拮抗していた。 初手の一撃はバーサーカーに致命傷を負わせるも、その傷口は即座に塞がり、逆にその槍を掴んでアーチャーごと壁に向かって投 げつけた。強かに背中を打ちつけた痛みにアーチャーの顔が歪むが、赤い騎士はそれを無視して床を転がり、追い討ちをしかけてい るバーサーカーの斧剣を避ける。大振りそれによって出来た隙に再び三叉の槍で突きを放つが、これはバーサーカーに傷をつける事 は出来ずに無効化される。 驚きが浮かんだのは刹那の合間。軽い跳躍で逆袈裟に振るわれる一撃をかわす。その剣風で床がズタズタにされ、足場が悪くなる が、アーチャーとて英霊の一席。その程度で身動きに支障は出ず、素早い身のこなしでバーサーカーの右に回る。 「投影・開始 」 小さな呪文。三叉の槍は破棄され、同時に現れたのは今度も槍。 しかし、今度は三叉のフォーク型ではなく五つに穂先を持つ投擲槍。 純白の穂先は目が眩むほどに輝き――――― 「五芒の白烈放つ ―――――― 濁流と呼べる純白の光は収束し、圧倒的な熱量を伴った突きを放つ!!!! ―――――必中の槍 !!!」 閃光。爆音。熱気がロビーに充満し、肉が焼け爛れる臭いが立ち込める。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッッッッ■■■■■!!!」 それを振り払うように振るわれる斧剣。 左半身を吹き飛ばされたバーサーカーは残った右手で倶風を巻き起こす。 「くっ!!」 魔力の上乗せによって無理やりに発動させた反動で、回避が間に合わないと判断し、手にした槍でその一撃を受け、自分から後ろ に跳躍することでダメージを減少させる。しかし、それでもなお壁まで吹き飛ばされ、再び強かに背中を打ちつけた。 「流石は・・・大英雄といったところか。根性で動きやがる」 愚痴る騎士には目もくれず、私はバーサーカーを見る。その合間にも、バーサーカーは見る間に失った四肢を蘇生させている。焼 ききられた筈の半身はは既に回復が始まり、真っ赤な筋肉の筋が新たな鎧を形作り始めている。 「なるほど。それが貴様の宝具か。バーサーカー」 アーチャーが半眼で蘇生を完了させた狂戦士を睨む。 バーサーカー・・・ヘラクレスの持つ宝具はその肉体。一定ランク以下の攻撃を完全無効するという無敵の鎧。 だが、ただ堅固な鎧というだけではなく、いま見たように死亡しても自動で蘇生する。不死身、というわけではないが、伝説にある 十二の試練と同数―――十二回分の蘇生魔術が重ねてかけられている。そして、同種の死に対しては耐性が出来るという反則的な防具。 「つくづく化け物だ。平常のサーヴァントでは、決して勝てぬということか」 忌々しそうにつぶやくアーチャーをそれ以上に憎しみの意を込めて睨む。 彼の言った通り、平常のサーヴァントはバーサーカーに勝てない。勝てる筈が無いのだ。 バーサーカーを傷つけうるのはランクA以上の攻撃。最高純度の破壊力を込めた必殺で無ければならない。それは、宝具をもって してようやく届く領域。否、宝具であってもそこまでの破壊力を保有するものは少ないのだ。 故にバーサーカーを傷つけられる者は無く、私のサーヴァントたる巨人は無敵のはずだった。 なのに・・・―――― 「貴方、何者よ・・・」 本来はひとつであるはずの、英霊のシンボルたる宝具を複数。それも全く別の英雄が所持していたものを次々と使用することがで きる英雄。そんな存在は聞いたことが無い。 私の声が聞こえたのか、アーチャーはすっと立ち上がり、肩をすくめて見せた。 「私が何者か、などどうでもいいことだろう。それよりも、逃げることを考えることを進めるがね」 「・・・くっ!! やっちゃえバーサーカー!!!!」 私の号令でバーサーカーが咆哮を上げる。 「貴方が何処の英雄かは知らないけれど、あと十回、バーサーカーを殺せるなら殺してみなさい!!」 その巨躯からは想像も出来ない神速の踏み込みをしてなお、アーチャーは余裕の表情を崩さなかった。 「よかろうイリヤスフィール・・・・・・」 言葉と同時、今度は魔剣を手にし、同時に漆黒の弓を構える。 手にした魔剣は歪な神樹で出来た剣。 北欧の神話、神々の祝福を受けた光の神を殺しえた唯一の魔弾。 「この身は無限の剣で出来ている。詰まらない芸だが、とっくりとごろうじろ」 「射法 ・無駄無しの弓 ・神殺す呪い樹の剣 」 引き絞られた矢を放つ。歪な、刃無き神殺しの魔剣は一直線にバーサーカーへと伸びる。 狙いは頭部。その一撃が確実に致命傷となる部位。 猛る咆哮を上げ、無骨な斧剣が旋風となって矢を撃退する。か細い樹の剣は、倶風と化したその一撃に砕かれる。 ・・・はずであった。 撃墜され、砕かれたはずの魔剣は狙い過たずにバーサーカーの眉間を貫いていた。 「私がアーチャーとして召還された理由。恐らくはこの弓を作れたからなのだろうな」 漆黒の弓を持ち上げてみせる。 かつて、騎士王と呼ばれたアーサー王もとにあり、円卓の騎士の一席に数えられたトリストラムの武具。無駄無しの弓 。 その能力は今代のランサーの宝具に近く、その効果は『放つ前に既に必中を約束する』という弓。 その力は因果を捻じ曲げ、撃墜されたはずの矢を当てる奇跡を起こす。 「さて、これで三度。後九回、殺させて貰うぞ大英雄」 戦闘は激しく、しかし一方的な戦況になってきていた。 バーサーカーの一撃は確かに壮絶なまでの破壊力を持っている。だが、それ故に読みやすく、紙一重での回避は不可能ではなくな くなってきていた。戦闘が続けば続くほど、先読みはたやすくなり、純粋な戦闘能力だけならば私を圧倒するバーサーカーを抑える 事ができるようになっていた。 【無駄無しの弓 】の危険性は本能で把握するのか、弓を番えさせることこそさせないが、一撃をかわし続けながら、致命的な隙を 突いて魔剣、聖剣を作り出し、致命的な一撃を加え、既に五つ目の命を奪うことに成功した。 既に百を超える剣戟を交わし、手にした鞭―――仙人にして稀代の名軍師であった太公望が所持していた神封じの鞭である打神鞭 がバーサーカーの頭部を砕いた。 これで六度。 ゆらりと巨躯を揺らせるバーサーカーから距離を離し、乱れてきた息を整える。 (流石に、きついか・・・・・・・・・) 連続の投影。それも最高純度を持つ武具の数々を投影するとなると流石に魔力回路に掛かる負担が激しい。既に右腕の神経は熱 く、感覚が希薄になっている。 だが、それでもあと六度。 「どうした。休憩はそのくらいにして、攻めてきたらどうだ。大英雄」 全身に走る痛みに歪みそうな顔を必死に堪え、あえて挑発をする。 しかし、蹲る様にして蘇生を続けていたバーサーカーは微動だにせず、ただ静かに地面を見ている。 (なん、だ・・・・・・) 沈黙したバーサーカー。 その体からは先ほどまで濃厚に漂っていた死の気配が薄まっている。 (まさか、先ほどの蘇生で命を使い果たしたのか?) ありえないことではない。私は、本当のところバーサーカーの宝具の性能を正しく理解してはいないのだから。 だが、頭のどこか、いままでの戦闘で得た知識の全てを収めた部位が告げている。 油断すれば即座に死ぬ、と。 「・・・いいわ。アーチャー。貴方を私たちの障害と認める。バーサーカー、本気を出しなさい」 厳かに告げられる言葉。 刹那、バーサーカーの気配が爆発した。 「っ!?」 舌打ちする暇もあればこそ。 神速すら遅く感じる踏み込みで振るわれる斧剣。脊髄反射による回避行動は紙一重でその一撃に反応するが、巻き起こされる倶風 はいままでの比ではなく、それだけで体が僅かに流される。 「なにを・・・・・・・・・」 続けて打ち下ろされる一撃。剣速はやはり神速。いままでとは比較にならない重さと速さをかね合わせたそれを大きく跳び退いて 回避する。かまわずに振り落とされた一撃は床を割り、衝撃で壁まで分かつ。 「この力・・・まさか今まで狂化を行っていなかったというのか!?」 型など無く、ただ渾身で振るわれる一撃を必死に回避する。 剣撃も拳打も蹴撃も。どれもがかすっただけで肉体を持っていくであろう威力が込められている。 腕を振り、足を蹴り上げ、大剣が空を唸らせる度に城の柱が、壁が、床が陥没し、砕け散る。 真の意味で狂戦士と化した大英雄の力は正しく化け物。 戦場となったアインツベルンの城は既に廃墟となるほどにその攻撃は苛烈。 直撃を一撃も受けてはいないはずの体が、限界を超えた起動に悲鳴をあげ続ける。 このままでは後数手先。己の敗北は決定的なものになってしまう。 しかし、 「此処で、負けるわけにはいかん!!」 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ぉぉォォオオおおオオおおっッっ!!!!!!」 気迫と咆哮が重なる。 振り下ろされる斧剣と白黒の夫婦剣が交差する。 まともにぶつかり合ったのはこの戦闘で初めて。両腕が軋み、体を杭のように打ちつけられたような衝撃が走り、ロビーそのもの に致命的と思える振動が起こる。 だが、この一手は勝利を得るためにはどうしても必要なもの。 「王手 だ。大英雄 」 双剣に魔力を込める。 白と黒に輝く双剣は許容量を超えた魔力にひび割れ、炸裂する。 「【砕けた幻想 】」 「ぐっっがあ■■■■■・・・・・」 至近で炸裂した双剣は本来の威力を超え、バーサーカーの肌を焼く。 こちらも両腕に浅くない傷を負うが、まだ弓を番えることだけは可能!! 瞬時に間合いを離し、必殺の弓と、矢を作り出す。 我が骨子は捻れ、狂う 「I am bone of my sword」 作り出すのは【偽・螺旋剣 】。【無駄無しの弓 】に番え、バーサーカーの両足を狙って放つ。 瞬時に四発。左右に二本ずつの剣で地面に突き刺さり、バーサーカーの巨躯を繋ぎ止める。 「止めだ!!」 五つ目の【偽・螺旋剣 】を番え、魔力を限界まで込める。 「バーサーカー!!」 イリヤの悲壮な声が聞こえる。彼女にも私のしようとすることが分かったのだろう。 五つの【偽・螺旋剣 】による【砕けた幻想 】。 限界寸前まで込めた魔力を炸裂させるそれはバーサーカーをオーバーキルすることも可能なはず!! 意識を集中し、己を無とし、世界の全てを取り込む感覚。 理想とする軌道を描き、矢は既に放つ前に中っている。 「これで・・・・・・」 そこで、どうしてそのことに気づいたのか。 バーサーカーの背後、階段を降りたところに立つイリヤのその頭上。 先ほどの激震が原因なのだろう。 高い天井から吊るされているシャンデリアが激しく揺れ、幾度もの振動で繋ぎの部分が今にも壊れようとしている。 否、物の構造を把握するこの眼はその繋ぎ止めている鎖が砕けるのが見えてしまった。 「ちぃいっ!!」 咄嗟に【偽・螺旋剣 】を上に向ける。 落下してくるシャンデリア。 ゆったりとした世界でバーサーカーが両足の束縛を強引に解き放つのが見える。 踏み込むバーサーカー。 シャンデリアに気づいていないイリヤ。 このまま、バーサーカーに向けて【偽・螺旋剣 】を放てば、イリヤは死に、バーサーカーも現界し続けることは出来なくなる。 しかし、 「くっ・・・そおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」 全力を込めた【剣】が解き放たれる。 空間をねじ伏せて飛翔する【剣】は、狂戦士の肉体を傷つけることは無く、一直線にシャンデリアを打ち抜いた。 「きゃ!?」 短い悲鳴。しかし、捻じ曲げた空間は細かい破片を吹き飛ばし、その下にいる小さな少女を傷つけることは無かった。 その姿が最後。 既に肉体に触れている剣をかわす事は叶わず、敗北は決定してしまった。 (ちっ。此処までか) 鈍い剣撃の衝撃。 吹き飛ばされ、消える意識の中で、赤い騎士は最期にもう一度だけ白い少女を見た。 その場には、きょとんと、驚いたように座り込む彼女の姿がある。 (また負けるか・・・でも、今度はイリヤを救えたのだから・・・・・・) 止めの一撃を放つ黒い巨人。 (すまない遠坂。オレは此処までだ) 胸を貫かれ、沈む意識の中で、最期に赤い騎士はその主に謝罪した。
あとがき 初めましての方は初めまして。こんにちはの方はこんにちは。 えらく久しぶりにSSの掲載となります〜。 ・・・っていうか、久しぶりすぎますね(汗) 今の今までオリジナルを手がけていたせいでかなりSSの感覚 がだいぶ消えていましたが、リハビリを兼ねてバサカと弓の戦闘 を書いてみました。いかがでしたでしょうか?(汗) ・・・まあヤマもオチも何も無いものですが(滝) 弓の口調は難しくてかなり苦労しましたが、一体どうだったの でしょうか? 感想などを頂けると作者は七転八倒して喜びますので、是非と も掲示板にもお越しくださいませw それでは今日の所はこのあたりで。