あとがき
ぽつりぽつりとメルヘンのようなものを書いてきました。「詩とメルヘン」誌に、イラストレーターのかたに絵を描いていただき、メルヘンを載せていただくことが夢でした。
幸運にも、自分の書いたものが「詩とメルヘン」誌に掲載されたときには、本当にうれしく思いました。そのときの感動は、いつまでも忘れることはないと思っています。
そして、今回、もうひとつの夢がかなうことになりました。「詩とメルヘン」誌に掲載された六編に未発表の九編を加えて、一冊の本にまとめてくださるというのです。自分の本がこの世に出て、いろいろなかたに読んでいただく機会が得られることは願ってもないことです。
ところで、自分の書いた本が書店の書棚の片隅にひっそりと置かれていることを想像すると、うれしいのとともに、少し恥ずかしい思いもしてきます。どういうかたが、この本に気がついてくださるか、手にとってくださるか、そして、読んでくださるか、ということを考えると、いろいろな思いが広がってきます。
もともと、自分でも本を読むのが好きで、ジャンルにとらわれず種々の本を読んできました。そして、自分の読みたいと思うようなものを自分でも書いてみたいと思うようになりました。そうして書かれたこれらの物語が見知らぬかたに、どのように読んでいただけるかについては興味深いものがあります。
できることならば、文章で絵が描けたらと思っています。はじめに頭の中で映像として思い描いた世界を、ひとつずつ言葉に置き換えてみたものが、この本の物語です。また、それが読んでくださるかた一人ひとりの自由な想像力によって、それぞれの新たな物語として再生していただければ幸いです。
やなせ・たかし先生と、この本に絵を描いてくださった宇野亜喜良先生、この本の編集でお世話になった西村俊昭様に、慎んでお礼を申し上げます。