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          ロシア式ルーレット
                                 すやまたけし


          ○
「えっ?……」
「そうなんだ。ぼくも彼女のことを好きなんだ」
「そうか、ぼくたち二人とも、一人の女の子を好きになってしまったというわけだ」
「ぼくたち三人は、いつも仲がよくて、どこへ行くのも一緒だった。彼女はかわいらしく、賢い子だ。ぼくが彼女に好意を持つようになったように、きみも彼女にひかれるようになったのは不思議でもなんでもない。ぼくはよくわかるよ。しかし……」
「ぼくたちの友情にひびをいれたくないし、きみをうらむ気持ちにもならない」
「ぼくもだ。結局は、彼女の意志しだいということになるな」
「それが一番いい」
「だけど、彼女は今でも、ぼくたちのどちらに、より好意を持っていると思う?」
「彼女はいつも、ぼくたちに公平だった。どちらか一方を、ということがまったくなかった」
「もし、ぼくたちが、二人とも彼女を好きだから、どちらか一人を選んでくれと言ったりしたら、彼女は迷うし、悲しむのじゃないかな」
「ああ、そんな難問をつきつけたら、彼女はつらくなるに決まっている」
「どうしたらいいかな……やはり、ぼくたちで決めるしかないかな」
「どちらか一人にきめて、もう一人はきっぱりとあきらめる」
「どうやって?」
「ロシアン・ルーレットって、知ってる?」
「うん、回転式拳銃に弾丸を一発だけ入れて、交互にひきがねを引く」
「当たったほうが負けだ」
「それを、ぼくたちが?」
「もちろん、本物じゃない。おもちゃのピストルでだ」
「よし、ぼくはそれに賭けるよ」
「……この拳銃で……いいね?」
「うん……じゃあ、どちらに決まってもうらみっこなしだ。いいね?」
「弾丸を一発だけ、入れて……わからないように回転させる」
「ぼくから、行くよ」
カチャ。
「よし、貸して」
カチャ。
「うん」
カチャ。
「よし」
バ ン !
          ○
「……というわけなんだ。彼はそれ以来、ぼくたちから離れてくれて、ぼくたちはこうして恋人同士になった」
「えっ、それじゃあ、二人は私を賭けてロシアン・ルーレットをやったの? ひどい。私は品物じゃないわ」
「あっ、泣いたりしないで。……そ、その、今の話……もちろん、嘘だよ……今日は、何日だと思う?」
「えっ? ……今日? ……四月? ……一日? 四月一日? エイプリルフール?」
「そう、エイプリルフール。今の話は全部でたらめ、ウソ」
「そう? エイプリルフール? 私、驚いたわ。すっかり、だまされちゃった」
          ○
「私は、絶対に彼に本当のことを言わないつもりだ。私はいつも二人と会っていて、どちらか一人に決めなければいけないと思っていた。でも、二人とも良い人だし、どちらかを選ぶなんてことはできなかった。そこで、迷った末に思いついたのだ。サイコロに私の運命を賭けてみようと。私はサイコロを振った。奇数が出た。奇数の彼が、今、目の前にいる」
 

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