asu使役形

asu使役形

2007.12.18
使役の受身形を「読む」について作ると
 長形 読ませられる yomaserareru
 短形 読まされる yomasareru
こうなる。
長形は使役形を作る規則、受身形を作る規則を順に当てはめたもの、
短形は長形 yomaserareru から er を取り去ったものである。

『日本語文法入門』(p.190)

こういう説明をすると、必ず、これは「読ます」から作られた受身形ではないか、 と言われる。

「読ます」は「読む」から派生した形である。ふつうの辞書は派生形を一々 登録しない。

ここで「読む」から「読ます」を作る"asu使役形"というものを仮定してみる。

asu使役形を作る規則

 u を取って asu を付ける  読む yomu yomasu 読ます
これは五段動詞にのみ適用される。
この「読ます」は次のような変化形を持つ。
asu使役形の変化
基本形読ます
丁寧形読まします
否定形読まさない
過去形読ました
テの形読まして
意志形読まそう
命令形読ませ
可能形読ませる
受身形読まされる
このうち実際の使用に耐え得る形(奇異に感じられない言い方)は 受身形だけではないか。 テの形「読まして」などは"くずれた形"だという印象がある。 また、可能形「読ませる」は正規の使役形と同形になる。
「話す」の asu使役形は「話さす」、その受身形は「話さされる」と なるが、この形は使われないだろう。(そういう方言もあるそうだが。)

このように、使役の受身形短形を考えるのに asu使役形を想定するのも 一つの方法ではあるが、asu使役形から作られる各変化形には使用できない形も多く、 asu使役形を想定する意義はあまりないと言わざるをえない。

asu使役形と自他の対

「飛ばす」は「飛ぶ」の asu使役形か。 そうではない。「飛ばす」は自動詞「飛ぶ」と対をなす他動詞である。 このような関係のものを「自他の対」と言う。
これに対して「歩かす」は asu使役形である。 「歩く−歩かす」という自他の対ではない。
それは次の各形の使用状況から分かる。
 自他の対の
他動詞
asu使役形
基本形飛ばす歩かす
丁寧形飛ばします歩かします
否定形飛ばさない歩かさない
過去形飛ばした歩かした
テの形飛ばして歩かして
意志形飛ばそう歩かそう
命令形飛ばせ歩かせ
可能形飛ばせる歩かせる
受身形飛ばされる歩かされる

「飛ばす」の各形はどれも使えるが、「歩かす」の変化形では使えないものが多い。
「飛ばす」の可能形と自動詞「飛ぶ」の正規の使役形が ともに「飛ばせる」と同じになるが、これは仕方がない。
「歩かせる」は asu使役形の可能形として理解するのは困難で、 ふつうは正規の使役形として理解されるだろう。

これを書いたあと 2004年にも同じことを書いた ことに気が付いた(^^;
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