日本語文法論[3] 補助動詞

「〜ている」の意味
「〜てある」の意味
「〜ておく」の意味
「〜てしまう」の意味
「〜てくる・〜ていく」の意味(本動詞の場合)
「〜てくる・〜ていく」の意味(補助動詞の場合)

aurinkoのホームページ もご覧ください。


第25章 「〜ている」の意味

☆「〜ている」の基本的な意味
 (1)私は本を読んでいる。  (1)は       を表している。
 (2)電気がついている。    (2)は       を表している。
 ┌──┬──────────┬───────────┐
 │主語│ @  進 行 の 状 態 │A  結 果 の 状 態    │
 ├──┼──────────┼───────────│
 │ 人 │ 本を読んでいる。   │知っている。          │
 │    │                    │覚えている。          │
 │    │                    │結婚している。        │
 │    │                    │                      │
 ├──┼──────────┼───────────┤
 │ 人 │ 歩いている。       │死んでいる。          │
 │動物│ 走っている。      │                      │
 ├──┼──────────┼───────────┤
 │ 人 │ 動いている。       │行っている。          │
 │動物│                   │来ている。            │
 │ 物 │                    │                      │
 ├──┼──────────┼───────────┤
 │ 物 │ 雨が降っている。   │窓が開いている。      │
 │    │                    │                      │
 └──┴──────────┴───────────┘
 ◎次の例文は上の表のどの欄に入るか。
    a手紙を書いている。
    bご飯を食べている。
    c戸が閉まっている。
    d電気がついている。
    e火が燃えている。  
    f川の水が流れている。
 ◎「テの形+いる」の形で
  @        を表すのを     動詞、
  A        を表すのを     動詞と言う。
 ◎継続動詞と瞬間動詞の区別
   読む→読んでいる→読んだ  となるのが 継続動詞
   つく→ついた→ついている  となるのが 瞬間動詞
☆「〜ている」のその他の意味
 Bもとからの状態 山がそびえている。
 C経 験     去年山に登っている。
 Dくりかえし   毎日掃除をしている。

問題 次のa〜jの文の「〜ている」の意味は、上の@〜Dの中のどれか。
 a(  )川の水が流れている。
  b(  )太郎ははでなシャツを着ている。
 c(  )太郎は本を読んでいる。
 d(  )花子の部屋は南に面している。
 e(  )部屋の窓が開いている。 
 f(  )今家にお客が来ている。
 g(  )去年一度小川先生にその話を聞いている。
 h(  )銅貨は丸い形をしている。
  i(  )その地域では今も戦争で日に何人もの人が死んでいる。
 j(  )これからどうするか今考えている。

第27章 「〜てある」の意味

@結果の状態 窓が開けてある。 A動作の完了(準備のできた状態)そのことはもう知らせてある。
「〜てある」の意味と動詞の種類との関係について 別にまとめました。次章「〜ておく」の意味のところで 設置動詞と処置動詞について理解した上で こちらをご覧ください。

第28章 「〜ておく」の意味

 ……アスペクト的な意味から「準備」の意味へ 「準備」
 あしたお客が来るから、今日肉を買っておきます。
 風が入るように窓を開けておく。 発表の前に資料を集めておく。
◇次のような文を示しただけでは「準備」の意味を教えたことにはならない。
 荷物はたなの上にのせておく。   大事なものは引出しの中に入れておく。
 洋服はタンスの中につるしておく。 そこにたてふだを立てておく。 
◇「物を置く<設置する>意味ばかりではない」
 必要なことがらをあらかじめ調べておく。辞書をひいておく。 <明日までに>
◇自動詞の例。 あした徹夜だから、今から寝ておこう。
◇慣用的な例。 考えておきます。 まけておきます。 お安くしておきます。
☆「〜まで〜ておく」と「〜までに〜ておく」
 ┌────────────────────────────────┐
 │ 7時まで  店を開けておく。 *7時まで  本を読んでおく。   │ 
 │ 7時までに 店を開けておく。 7時までに 本を読んでおく。    │
 └────────────────────────────────┘
                   *の文も言えるという人がいる。方言か?
◎設置動詞と処置動詞  「開ける」のように、「〜まで〜ておく」と言える動詞が設置動詞、
  それ以外が処置動詞である。「ておく」に特徴的なのは、設置動詞である。
◎設置動詞の例   おく、掛ける、立てる、入れる、しまう、のせる、書く、記録する
◎よく「〜ておく」の形で使われる処置動詞の例   言う、考える、おぼえる、調べる、知る、習う、読む
◇その他の意味:一時的処置  分からないことばにはとりあえず印を付けておく。
 たんすは しばらくの間 ここに置いておく。 一応あずかっておこう。
◇その他の意味:放任
 そのままにしておく。遊ばせておく。本を開きっぱなしにしておく。
◇その他の意味:後始末(あとかたづけ)
最近の考察……こちらも
☆「〜てある」と「〜ておく」を含んだ会話例
「ポスターが張ってありましたね」 「窓が開いていましたね」
「あれは私が張っておいたんです」 「私が開けておいたんです」 

第29章 「〜てしまう」の意味

☆英語の現在完了形の翻訳語として定着している感があるが、これはおかしい。
例a 6日から今日の分までの支出を書いてしまった。
 b あだけたくさんの本を半日で棚に並べてしまうとは速くてびっくり。
 c いつの間にか 11時半になってしまった。 
 d うまく交通機関を連続してつなげば、三十分でいけるところを、つなぎが悪い
   ために一時間もかかってしまうという例は珍しくもない。 
 e ストーブの上に通帳を置いたので、通帳がちょっと焼けてしまった。
 f 電車で本を読んでいて降りる駅を乗り越してしまった。 
 g 心配はいらないと言うので「そんならいいです」と言ってしまった。
┌───────────────────────────────────┐
│ @完 了     年賀状を全部書いてしまった。                        │
│ A<めんどう>  古いものは捨ててしまおう。                          │
│ B<残念>    火が消えてしまった。                                │
│ C<うっかり>  うっかり忘れてしまった。                            │
│ D不都合     冷蔵庫に入れないととけてしまうよ。                  │
└───────────────────────────────────┘
◎五つの意味のそれぞれに現れる動詞の例とその他の特徴
(1)食べる、話す・・・・継続動詞 「ぜんぶ、何もかも、ひととおり」
(2)切る、消す、捨てる、かたづける・・・・他動詞
                      「〜てしまおう 〜てしまいなさい」
(3)倒れる、死ぬ、折れる、燃える、切れる、くさる・・・・自動詞
                                「〜てしまった」
(4)あがる、(汗を)かく、あわてる、せきこむ・・・・無意志動詞
      意志動詞の無意志化  「つい、思わず」
(5)無生物主語 現在形

第30章 「〜てくる」「〜ていく」の意味(1)

こちらもご覧ください。 中国語の「来・去」と日本語の「〜てくる・〜ていく」

┌───────────────────────────────────┐
│「きのう久しぶりに山に登ってきたよ」という文は、                       │
│「きのう久しぶりに山に登ったよ」と同じではない。                       │
│「てくる」はかなり重要な役割をもっており、コミュニケーションの効果がまる│
│で違ってくる。もし「山に登ったよ」といわれたら、「あっ、そう」と答えたい│
│気分になるはずである。しかし、「山に登ってきたよ」といわれたら、「あ、そ│
│う」で済ませるわけにはいかない。「それで、どうだった」と、相手に問い返し│
│たくなる、そういう情報を「てくる」はもっている。                       │
│          水谷 修『外国語としての日本語教育』(アルク)(p.72) │
└───────────────────────────────────┘
☆本動詞としての「くる」「いく」の場合
 (1)「くる・いく」まえにする動作 (2)「くる・いく」方法 
 (3)「くる・いく」ときの状態 
 (4)ちかよる動作・作用/とおざかる動作・作用
◎例( )本屋へ行って、絵本を買ってきました。
  ( )そのとき、子どもが一人、歩いてきました。
  ( )流し場から茶わんを二つ持ってくる。
  ( )その声をきいて、くまが、あなから出てきました。
(1)に使われる動詞の例
 (i)買ってくる「くむ、さらう、取る、拾う、もらう」
 (ii)預けてくる「置く、とどける、忘れる」
 (iii)遊んでくる「見る」
(2)に使われる動詞の例
 あるいてくる「およぐ、はしる」・・・・方向性のない移動動詞
(3)に使われる動詞の例
 もってくる「かつぐ、くわえる、つれる、かかえる」
                               ・・・・「持つ」意味の動詞
(4)に使われる動詞の例
 あつまってくる「あがる、のぼる、おちる、おりる、でる、はいる、もどる、
 にげる、ちかづく、わたる」・・・・方向性のある移動動詞
◎方向性のない移動動詞と方向性のある移動動詞
  移動動詞・・・・主体の位置を変えるような動きを表す動詞
  方向性のない移動動詞[(2)に使われる動詞]「〜へ・・・・」と言えない。
  方向性のある移動動詞[(4)に使われる動詞]「〜へ・・・・」と言える。
(2)に使われる動詞と(4)に使われる動詞をつなぐときは、(2)に使われる
 動詞が先にくる。
  およいでわたってきた。  *わたっておよいできた。

◎(4)に使われる動詞のうちの特殊なもの
  「やる」・・・・向こうから人がやってくる。
  「わたる」・・・・
   (わたる1=〜にそって進む   橋をわたっていく。)
   (わたる2=よこぎる         川をわたっていく。)
 「とおる、こえる、すぎる」・・・・「〜を」をとる。

第31章 「〜てくる」「〜ていく」の意味(2)

☆補助動詞としての「くる」「いく」の場合
  (5)出現の過程/消滅の過程
  (6)変化の過程
 (7)動作・作用のはじまり
  (8)あるときまでの継続/あるときからの継続
◎例( )ことばは生活の中から生まれてきます。
    ( )だんだんおなかがすいてきました。
    ( )そのうちに、雨がふってきました。
  ( )おたがいにはげまし合ってきた、この年月。
    ( )白鳥のむれがきえていく。
    ( )けれども、病気は、ますます重くなっていきました。
    ( )うまく宣伝して、新しい観光地として発展させていけばいい・・・・
(5)に使われる動詞の例  現れてくる「生まれる、うかぶ、よみがえる」
                          きえていく「かすむ、しぬ、うしなう」
(6)に使われる動詞の例  ふえてくる「へる、なつく、ふとる、やせる」
                          ・・・・「変化動詞」
                          「しだいに、だんだん、〜につれて」
(7)に使われる動詞の例  雨がふってくる「ぱらつく」
                          きこえてくる「みえる、わかる」
(8)に使われる動詞の例  成長してきた「育てる、生活する」
                          ・・・・長期にわたる動作を表す動詞
◎「変化動詞」・・・・基底に「なる、変わる」という意味を持っている動詞。
 「変わる、消える、なくなる、しぼむ、とける、枯れる、切れる、くさる、
 こわれる、よごれる、かわく、ひえる」など。
  「〜く なる、〜に なる」も変化動詞として働く。

このぺージの最初にもどるこの続きをみる| 総合目次へトップページへ