文法とは
吉川 武時
2009.3.10
文法とは「単語を組み立てて文を作る規則の集まり」のことである。
したがって、文法論の仕事とはそのような規則を見つけることである。
しかし、さらに言えば、言えない文を作らせない規則を見つけることも
付け加えなければならないと思う。
つまり、文法家は、言える文を作る規則だけでなく、
言えない文を作らせない規則をも探しださなくてはならないのである。
言えない文を作らせない規則とは、
例えば、「お金があると、買ってください。」と、なぜ言えないか、
と考えると、それは、
条件の「と」を使った文では、後項に命令や依頼の文は来ない、
という規則のためである。
これは、言えない文に関するはっきりした規則である。
テの形と「と」、自動詞と他動詞に関する次のような文で考えてみよう。
1.電気をつけて、部屋を明るくします。
2.電気をつけて、部屋が明るくなりました。
3.電気をつけると、部屋を明るくします。
4.電気をつけると、部屋が明るくなりました。
これらの文型の要点は
1.テの形「つけて」他動詞「明るくします」
2.テの形 自動詞「明るくなります」
3.と「つけると」 他動詞
4.と 自動詞
となっている。
同じ要領で次の文ができる。
5.窓を開けて、富士山を見ます。
6.窓を開けて、富士山が見えます。
7.窓を開けると、富士山を見ます。
8.窓を開けると、富士山が見えます。
最初の考察で○(言える)×(言えない)をつけると、次のようになる。
○1 電気をつけて、部屋を明るくします。
×2 電気をつけて、部屋が明るくなりました。
×3 電気をつけると、部屋を明るくします。
○4 電気をつけると、部屋が明るくなりました。
ここから、
テの形の文では前件、後件の主語が同じでなければならない。
「と」の文では前件、後件の主語は別々でなければならない。
ということが言える。しかし、
2回目の考察で、2は○(言える)ではないか、と考えられるようになる。
それは、テの形が原因・理由の意味の場合である。
次のセットを考えてみよう。
同じ、要領(テの形と「と」、他動詞と自動詞の配置)で作った文だから、
同じように○×がつくと考えられる。
○5.窓を開けて、富士山を見ます。
×6.窓を開けて、富士山が見えます。
×7.窓を開けると、富士山を見ます。
○8.窓を開けると、富士山が見えます。
ここでも テの形=同主語 「と」=異主語 という上の規則は通用する。
しかし、2回目の考察では7は○(言える)ではないかと、
考えられるようになる。
それは「と」が「て」に似た順次動作の意味の場合である。
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