[改訂]我慢ならない“あいまいさ”

吉川 武時
2004.5.19

1英語 fall イタリア語 cadere フィンランド語 langeta
2英語 corner
3フィンランド語 lupa lupaus
4フィンランド語 uni

1 英語 fall

英語の fall には「落ちる」という意味と「倒れる」という意味がある。 「落ちる」と「倒れる」とは明らかに異なる概念であるにも かかわらず、同じことばで表すこの“あいまいさ”が どうにも我慢できない。
「落ちる」と「倒れる」については、 フィンランド語では次のように区別される。
落ちるpudota倒れるkaatua

他動詞では次のようになる。
落とすpudottaa倒すkaataa

ただし、langeta は「倒れる、ころぶ、落ちる」という 意味を持ち、ややあいまいなところがある。
イタリア語も英語と同じで、 cadere に「落ちる」と「倒れる」の意味がある。
英語の drop は「落ちる」という意味を持つ。「倒れる」という意味はない。 しかし、drop には「滴のように細かく飛び散る」という ような意味が付け加わる。
イタリア語の calare には 自動詞としての「下がる、落ちる」という意味と 他動詞としての「下げる」という意味がある。「倒れる」という意味はない。
概略を表示すると、次のようになる。
 英 語イタリア語フィンランド語
落ちるfalldropcaderecalare pudotalangeta
倒れる--------kaatua


2 英語 corner

英語の corner には「角(かど)」という意味と「隅(すみ)」という意味がある。 「角」と「隅」とは明らかに異なる概念であるにも かかわらず、同じことばで表すこの“あいまいさ”がどうにも我慢できない。
フィンランド語ではどうか、と英芬辞典を見てみると、
corner = kulma; nurkka
 at the 〜 of the street = kadunkulmassa
 in the 〜 of the room = huoneennurkassa
と出ている。これで見ると、 kulma が「角」で、nurkka が「隅」のようである。
しかし、芬和辞典で見てみると、
kulma 角、かど、隅
nurkka 隅、角、コーナー
となっている。これはどういうことか。 これでは区別していないのと同じである。
また芬英辞典では
kulmaangle; (nurkka) corner
 kulmahuone corner room
nurkkacorner;(kulma) angle
 nurkkahuone corner room
となっていて、ますます混乱する。


3 フィンランド語 lupa と lupaus

フィンランド語の lupa には「許可」という意味と「約束」という意味がある。 大きな辞書で見ると、 「許可(permission)」と最初に書いてあり、 少しあとに「約束(promise)」とある。
また、これとよく似た lupaus ということばもあって、 これには「約束」と出ている。
一方、小さな辞書では 「lupa 許可、lupaus 約束」となっている。
これで決まりのようだが、 大きな辞書でどうして「lupa 許可; 約束」となっているのだろうか。 「許可」と「約束」とは明らかに異なる概念であるのに。
「許可する」「約束する」を含めて表示すると、 次のようになる。
lupa
許可、約束
antaa lupa 許可する
lupaus 約束antaa lupaus 約束する
(=luvata)
「許可する」というのは 「〜してもいいと約束する」ということから、 こうなったのだろうか。


4 フィンランド語 uni

フィンランド語の uni は「眠り」か「夢」か。 辞書を見ると、
uni
nähdä unta 夢を見る
päästä uneen 眠りに落ちる, 眠る
とある。 unta は uni の分格であり、uneen は uni の入格である。 uni には「眠り」の意味も「夢」の意味もあるようである。 また uni と関連のある unelma には (想像上の)夢 とある。