受身文の分類

吉川 武時
2008.1.11

直接の受身……能動文の目的語を受身文の主語とする。
間接の受身……能動文中にない要素を外から持ってきて受身文の主語とする。
  というように簡単にはいかない……

能動文中の要素を主語とする
外から主語を持ってくる
「〜を」(直接目的語)を主語とする「〜に」(間接目的語)を主語とする
<下段>間接目的語の持ち主を主語とする
「〜の」(直接目的語の持ち主)を主語とする
  「〜を」を引き継ぐ「〜を」を引き継ぐ 「〜を」を引き継ぐ
@
太郎が先生に叱られる。
←先生が太郎を叱る。
A
太郎は犬にとびつかれた。
←犬が太郎にとびついた。
B
太郎は子どもに石を投げられた
←子どもが太郎に石を投げた。
C
太郎はスリに財布をとられた。
←スリが太郎の財布を取った。

太郎は乗客に足を踏まれた。
←乗客が太郎の足を踏んだ。
D
太郎は雨に降られた。
←雨が降った。

太郎は若い男に電車の席に座られた。
←若い男が電車の席に座った。
E
太郎は建築会社に大きなビルを建てられた。
←建築会社が大きなビルを建てた。
太郎は犬に肩にとびつかれた。
←犬が太郎の肩にとびついた。
太郎は子どもに頭に石を投げられた。
←子どもが太郎の頭に石を投げた。

@が直接の受身であり、D、Eが間接の受身であることは明らかである。
さらに、能動文中の「〜を」を受身文に引き継ぐことを重く見て B、Cも間接の受身に分類する。

英語では能動文の目的語(a stone)を主語にした受身文だけが成り立つ。
 A stone was threwn to Taro by a child. ← A child threw a stone to Taro.
* Taro was threwn a stone by a child. という英文は成り立たない。
これは日本人が間違いやすい英文の例である。それは日本語では
「太郎は子どもに石を投げられた」と言えるからである。
ただし、授与動詞(give など)の場合はこの限りではない。
John gave Mary the roses. に対して
→ The roses were given to Mary by John. という受身文も
→ Mary was given the roses by John. という受身文も成り立つ。
イタリア語では後者(間接目的語を主語とする受身文)は成り立たない。

A太郎は犬にとびつかれた。← 犬が太郎にとびついた。

この文を間接の受身とするには、引き継ぐべき「〜を」という目的語が能動文中にない。
だから、間接の受身ではない。
それよりも、能動文中の要素が受身文の主語となっている。外から持ってきてはいない。 だから、直接の受身に分類されるべきと考える。

「太郎が花子を弘に紹介した」という文から次の3つの 受身文が得られる。これらはどこに分類されるだろうか。
(i) 花子は太郎に[よって]弘に 紹介された。
(ii) 弘は 太郎に[よって]花子を紹介された。
(iii)次郎は(先に)太郎に[によって]花子を弘に紹介された。

(i)は「花子」(直接目的語)を主語とする受身文だから @。
(ii)は「弘」(間接目的語)を主語とする受身文で「〜を」を引き継いでいるから B。
(iii)は「次郎」を外から持ってきて主語とした受身文で「〜を」を引き継いでいるから E である。

総合目次へトップページへ