ロシア語、クロアチア語、ポーランド語の過去形

吉川 武時
2009.9.7
ロシア語性数
クロアチア語性数と人称
イタリア語(一部の自動詞)性数と人称
イタリア語(他動詞)人称
ポーランド語性数と人称

ロシア語−−性と数による変化
ロシア語の過去は -л で表す。
主語が女性なら -ла、複数なら -ли である。ごく簡単である。
動詞の人称変化、一々の動詞に「私が〜、君が〜、彼が〜」という変化がある。
ところが、過去の表現になると、人称は関係なくなりほっとする。

クロアチア語−−人称と性数による変化
クロアチア語の過去は -l(主語の性と数によって変化する)と be動詞にあたる biti の変化形で表す。 -l は過去分詞なのだ。(失礼「完了分詞」でした。「過去分詞」というのは別にあります。2009.9.20 訂正
Ja sam c^itao.* 男性「私は読んだ」 Mi sme c^itali.男性複数「私たちは読んだ」
Ja sam c^itala. 女性 Mi sme c^itale.女性複数
* 男性単数は -o となる。「c^」は「^」の逆さのものが c の上にのっている文字を表す。
Jan je c^itao. 男性 Studenti su c^itali. 男性複数
Maria je c^itala. 女性 Studentkinje su c^itale. 女性複数
sam、je、sme、su は biti の人称変化した形。

これはイタリア語の一部の自動詞の場合と同じである。

イタリア語(一部の自動詞の場合)−−人称と性数による変化
一部の自動詞の場合、助動詞 essere を用いる。sono sei è siamo siete sono と人称変化する。
Sono uscito. 男性「私は出かけた」 Noi siamo usciti. 男性複数「私たちは出かけた」
Sono uscita. 女性 Noi siamo uscite. 女性複数
Giovannni è uscito. 男性 Gli studenti sono usciti. 男性複数
Maria è uscita. 女性 Le studentesse sono uscite. 女性複数
クロアチア語では他動詞の場合もこの形になるのだ。上のクロアチア語の例がそれだ。
これを無理にイタリア語にするとこうなる。
Ho letto il libro. Noi abbiamo letti il libro.
Ho letta il libro. Noi abbiamo lette il libro.
Giovanni ha letto il libro. Gli studenti hanno letti il libro.
Maria ha letta il libro. Le studendesse hanno lette il libro.

イタリア語(他動詞の場合)−−人称による変化
他動詞の場合、助動詞 avere を用いる。ho hai ha abbiamo avete hanno と人称変化する。
イタリア語では過去分詞を主語の性数に合わせる必要はない。
letto は不変である。上の文で letto 以外の形を含む文はイタリア語としては 間違いである。

ポーランド語−−人称と性数による変化。
ポーランド語も人称と性数による変化をする。この両者が語尾に現れ、たいへん複雑である。 しかも、単なる「性数」による変化ではない。
ポーランド語の複数名詞はおかしな分け方をする。
人を表す男性名詞とその他(人以外を表す男性名詞、女性名詞、中性名詞)とに分けるのだ。
czytalem 男性「私は読んだ」 czytalismy 男性複数「私たちは読んだ」
czytalam 女性「私は読んだ」 czytalysmy 女性複数「私たちは読んだ」
czytal  「彼は読んだ」 czitali 「彼らは読んだ」
czitala 「彼女は読んだ」  czitaly  「彼女らは読んだ」
  l に斜線の付いた文字がパソコンで出せない。
 上の例で li 以外の l には斜線が付いてる。これは w と同じ発音になる。
 また smy の s の上に「’」が付いている。大まかな発音をカナで書くと、次のようになる。

  チタウェム                チタリスミ
 チタワム                   チタウィスミ
 チタウ                     チタリ
 チタワ                     チタウィ
このような複雑な形は過去分詞と助動詞の古形 jesm が融合してできたものだと言う。 czytal-jesm → czytalem つまり、czytal は過去分詞なのだ。
こう考えると、ロシア語の -л というのも元々は過去分詞 だったということが分かる。