日本語文法と言っても中学や高校で習う文法とは違います。
新しい文法です。それは、助動詞のない文法です。
但し、第2章以下は『日本語文法入門』の記述とダブルところがあり、
キーワードだけをしるしてあります。詳細は同書を見てください(^O^)
総合目次 ←もっといろいろな項目があるよ。
文法、文、単語、品詞 ←「新しい文法」になじみのない方は最初にお読みください。
伝統的文法から新しい文法へ ←伝統的文法なら分かるという方、どうぞ見てください。
"助動詞"のない文法 ←「助動詞」廃止論を訴えたもの。
第1部 はじめに・名詞文・うなぎ文・存在文など
第2部 動詞・複合動詞・テの形など
第3部 補助動詞の用法
第4部 連体修飾、可能、受身・使役・やりもらい・条件など
日本語教育教材論 ←文法論と密接な関係があります。ただし、この「論」は未完です(^^;;
○「文法論」の位置(言語学の中の文法論) はじめに「日本語文法論」とことばの学問である『言語学』との関係、 言語学の中のどこに位置するか考えてみよう。 ○(一般)言語学と個別言語学(言語学 linguistics) 日本語という言語を扱う言語学を日本語学という。英語学、ドイツ語学、……。 (日本語学 Japanese linguistics ※「日本言語学」とは言わないだろう) 各言語に共通することがらを扱うもの(個別でないもの)を一般言語学、または 単に言語学という。 ○文法論は○○語学の一部である。 したがって、日本語文法論は日本語学の一部である。主要な一部である。 「日本語文法論」(「日本文法論」とも言う) [theory of] Japanese grammar 「日本語文法論」を考えるには 一般の言語に通づる事柄と日本語だけの事柄とを分けて理解しなければならない。
まとめ
言語学は一般言語学と個別言語学とに別れる。
個別言語学の中の一つが日本語学である。
日本語学の中の重要な部分が「日本語文法論」である。
(言語一般に通づる事柄)
文法を単語を組み立てて文を作る規則の集まりと定義しよう。
しかし、この中の単語と文について定義することはきわめて困難である。
それで、単語の認定の仕方の違いによって、いくつかの文法論がありうるわけである。
(この場合の「文法論」とは、文法についての考え方 という意味である。)
単語の認定の仕方とは、なにを「単語」と認めるか、ということである。
☆ここは特に日本語について
日本語をローマ字で書いてみると、"単語意識"が分かる。
「わたしはほんをよみました」をローマ字で書いてみよう。
マウスをここに。
▲「し」を shi と書くのはヘボン式、si と書くのは訓令式。
si と書くほうが日本語に適っている。
助詞の「は」は wa と書く。ワープロでは h-a と打つが。
助詞の「を」は wo と書くこともあるが、発音通り o と書くのが普通。
△問題にしたいのはそういうことではなく、どう区切って書くか、ということである。
助詞を前の名詞にくっつけて Watasiwa honwo …… と書くことはないだろう。
Watasi-wa hon-wo/hon-o とハイフン(-)でつないで書くことはあるかもしれない。
しかし「よみました」を yomi masi ta と はなして書くことは絶対にない。
これらは別々の単語ではなく、全体で1つの単語だからである。
yomi-masi-ta とハイフンでつないで書くことはあるが、
それは教育上 特に分析する必要のある場合だけである。
○アルファベットを使う西洋の言語では単語の認定は比較的簡単である。
但し、次のような場合がある。仏語 au (= à le) は1語か2語か。
このように前置詞と冠詞の複合したものは英語にはないが、独、仏、伊語にはある。
特に伊語には組織的に多数ある。
| 英 | of the | to the | in the |
| 仏 | de le → du | à le → au | |
| 伊 | di il → del | a il → al | in il → nel |
| 独 | zu dem → zum | in dem → im |
文法は だれかから与えられるものではない。 研究者が言語の使用実体を観察して得られるものである。 言語(の使用法)は時とともに変化する。したがって、文法も変化する。 高校までは「文法はこうなっています」と決められていたが、 大学では自分の説を出して組み直しを試みることができる。 これが文法学の魅力である。 文法は「品詞分類」ではない。
☆ここに提示する日本語文法は日本人が高校までで習った日本語の文法とは違う。 日本語教育で扱っている文法である。 ただし、日本語教育で行っている特殊な文法という意味ではない。 日本語教育で扱うのはこの文法、日本人に教えるのはあの文法、というわけではない。 これは、一つの文法論であって、日本語教育から出たものであるが、 日本の中学、高校で教えても少しも差し支えないものである。 ◇「日本語の文法は、次の4つの文の違いを説明できなければならない。」 次の4つの文の中、ひとつだけ他と違う。それはどれか。 太郎は上着を脱いで、ハンガーにかけた。 太郎が上着を脱いで、ハンガーにかけた。 太郎は上着を脱ぐと、ハンガーにかけた。 太郎が上着を脱ぐと、ハンガーにかけた。 三上 章 『象は鼻が長い』 『日本語の論理』 『日本語の構文』 『現代語法新説』 『現代語法序説』などの著者 ◇日本語は特殊な言語ではない。英語こそ特殊な言語である。 SVO 39% SOV 44% 日本語を(英語など)西洋の言語だけと比べるな。角田太作『世界の言語と日本語』
広義の「文法」は次のものを含む。 言語は本質的には 音 だから、音声学が言語学の基礎になる。 書いたもの/表記されたものは「言語」を固定したものである。 多くの研究はそのしやすさから、書いた物でなされてきた。 音声学 phonetics ヒトが言語を使う際に発するオト(言語音)を客観的に観察し、 研究する学問。機械を使って息の強さを調べるなど。 破裂音 p、t、k 摩擦音 s、sh、h 鼻音 m、n、ng 母音、子音 音韻論 phonemics 違うオトを抽象的なレベルで同一の音韻として扱う。 その抽象化についての学問。音声学の知識が必須。 例1 「ん」で表されるオトはpの前、tの前、kの前でそれぞれ違うが、 同じとみなす。 例2 日本語の高低アクセントは、機械で調べると、高さは無数段階あるが、 音韻論では2または3段階に抽象化する。 文字論 西洋の言語ではあまり問題にしないが、アジアの言語では少し問題になる。 南インド系の文字を使う言語 タイ語、カンボジア(クメール)語、 ビルマ語、チベット語、ヒンディー語 例えば、タイ文字では子音を中心に 上下左右に 母音の符号を付ける。 伝統的モンゴル文字は 縦書きで、左から右へ書く。 形態論 morphology 単語の語形変化について研究する学問。名詞、動詞、形容詞など。
構文論 syntax 文の成り立ちを研究する学問。主語、述語、目的語;修飾語、被修飾語など。 「中国語には文法がない」というのは間違いである。語形変化がないからといって 文法がないとはいえない。「文法とは語形変化のことだ」と思い込むのは間違い。 たしかに、語形変化が文法の中の大きな部分を占めが。 以上の中 俗にいう文法(狭義の文法)は形態論と構文論である。 品詞分類だけが文法ではない。 品詞 ……単語をその性質によって分類し、ラベルを付けたもの 文法現象を説明するために必要に応じて、ことば(単語)を区別し、 それぞれに名称を与えたもの。初めから「名詞、動詞」などが存在するのではない。 「文法用語」というものは、すべて、そうしたものである。 基本的な品詞名 名詞、動詞、形容詞、形容動詞(な形容詞)、副詞、接続詞、助詞 「コソアドの体系」。コソアドの品詞はなにか、という質問があったが、 これは品詞をまたぐものである。 ★練習問題 次の文を単語に分けてみよう。 人間は生まれたときから徐々にことばを獲得していく。 このことが人間の本質であるという考えがある。 人間/は/生まれた/とき/から/徐々に/ことば/を/獲得して/いく。 この/こと/が/人間/の/本質/で/ある/という/考え/が/ある。
文法研究の基本的な単位は「文」である。 単語以下の単位には 接尾語(接尾辞)、接頭語(接頭辞)がある。 単語の研究は 語彙論、意味論、語構成論など 語形変化を論ずるのは 形態論 語と語の結びつきを研究するのは 連語論("句論"とは言わない) 意味のある最小の単位を 形態素 morpheme という。どの言語にも当てはまる概念である。 文を越えた単位の文法がある。「文文法」 一つの文を見ているだけでは説明できないことがある。 文の連続の観点から見なければならないことがある。 例: どれが あなたの傘ですか。 ×これは 私の傘です。 これが 私の傘です。
構造文型 補語 必須の補語 随意の補語 主題化変形 表現文型 連体修飾 つなぎ文型
「〜は 〜です」 「〜は 〜ですか」 「か」を付けて疑問文(質問文)* を作る。 肯定の答え方 「はい、〜」。 否定の答え方 「いいえ、〜ではありません」。 *質問文としたいが慣用にしたがって「疑問文」と言うことにする。 ◇疑問文の作り方 英語が標準的な言語だと思っている人、あるいは英仏独語しか知らない人は、 疑問文は主語と動詞をひっくり返して作るものだと思ってしまう。 実は、いろいろな疑問文の作り方があるのだ。
| イントネーション | 上昇調のイントネーションは一般に質問を表す。 ただし、フィンランド語では質問の文(疑問文)も下降調になる。 | |
|---|---|---|
ご存じ 英語、ドイツ語、フランス語
| ||
| 文頭に疑問文のしるしを置く | エスペラントの c^u、ポーランド語の czy など。 | C^u vi parolas esperante? |
| 文末に疑問文のしるしを置く | 日本語の「か」、中国語の「麼」など。 | 日本語を話しますか。 |
| 疑問の焦点となる語の後に疑問の接辞を付ける | フィンランド語 | Puhutteko Te suomea? |
| 肯定形、否定形を続ける | 中国語 | 好不好 |
| 否定のことばを動詞の前に置く | イタリア語 | Non lo so. |
|---|---|---|
| ハンガリー語 | Nem ismerem. | |
| エスペラント | Mi ne scias. | |
| 中国語 | 我不知道。 | |
| 否定のことばを文末に置く | ドイツ語 | Ich weiss nicht. |
| 否定の助動詞を使う | 英語 | I don't know. |
| 否定動詞 | フィンランド語 | En tiedä. |
| 否定形を使う | 日本語 | 私は知らない |
「何」と「どれ」 「これは本です」と「本はこれです」(と「これが本です」)
人についての名詞文
このように「ダ」を動詞または述語の代用とする考えは、すで
に金田一春彦氏も示唆している。
金田一氏は、「“君ワ何オ食ベル?”に対して“ボクハウナギヲ
食ウ”と答へる代りに“ボクハウナギダ”と短く言」(金田一
(1955)p.188)うのである、としている。
……
「ダ」に関する通説を破った卓見である。
大槻 文彦 八品詞 『広日本文典』 松下大三郎 原辞 『改撰標準日本文法』 山田 孝雄 複語尾 『日本文法論』 橋本 進吉 文節 『新文典別記』 時枝 誠記 入子型 『日本文法 口語編・文語編』 佐久間 鼎 吸着語 金田一春彦 継続動詞/瞬間動詞 三上 章 主語廃止論 寺村 秀夫 奥津敬一郎 ウナギ文 井上 和子 生成文法の日本語への応用 チョムスキー 生成文法(Generative Grammar) フィルモア 格文法(Case Grammar)参考文献
佐久間 鼎 『現代日本語の表現と語法<<増補版>>』 くろしお出版 1983(復刊) [恒星社厚生閣 1957] 金田一春彦 『日本語』 岩波新書 ==== 編 『日本語動詞のアスペクト』 むぎ書房 1976 三上 章 『象は鼻が長い』 くろしお出版 1960 寺村 秀夫 『日本語のシンタクスと意味』T〜V くろしお出版 1982〜1991 奥津敬一郎 『「ボクハ ウナギダ」の文法』 くろしお出版 1978 ===== 『生成日本文法論』 大修館書店 1974 井上 和子 『変形文法と日本語』上・下 大修館書店 1976 久野 日章 『新日本文法研究』 大修館書店 1983 Chomsky 『Aspects of the Theory of Syntax』 MIT 1965 安井稔(訳)『文法理論の諸相』 研究社 1970 Fillmore 『Case for case』 Jorden 『Beginning Japanese』 Yale University、タトル アルフォンソ『JAPANESE LANGUAGE PATTERNS』 Sophia University 奥田 靖雄 『日本語文法・連語論(資料編)』(言語学研究会 編)むぎ書房 1983 鈴木 重幸 『日本語文法・形態論』 むぎ書房 1972 高橋 太郎 『現代日本語動詞のアスペクトとテンス』 国立国語研究所 1985
○「学校文法」は橋本、時枝によっているが、橋本と時枝では少し違う。 ○「新しい」文法は 松下−−三上−−寺村 の系譜に 佐久間鼎−−金田一春彦 や、 奥田靖雄、鈴木重幸、高橋太郎ら ががからんでくる。 ○チョムスキーの生成文法の影響を受けた久野日章、奥津敬一郎、井上和子らも 新しいアプローチをしている。 チョムスキー自身は日本語については書いていない。英語についてだけ。 ○フィルモアの格文法は生成文法の一種と考えられている。 「格文法」は英語について書かれたもので、日本語については論じていないが、 これを読むと、日本語の文法のことを言っているようである。 フィルモアも日本語を学んだことがあると言う。 ○久野は日本語文法学の父として三上とアルフォンソを挙げている。
「はい」と「いいえ」の使い方。 特に、否定疑問文に答えるとき注意。 「はい」と「ええ」。 「ええ」の使えない場合:物を手渡すとき;呼ばれたときの返事; 一区切り付けるとき;掛け声「ハイッ!」
名詞文の質問を受ける。動詞文の質問を受けるときは使わない。 ノダ文(〜のです)は名詞文になる。 形容詞文の質問を受けるときは、ちょっとややこしい。 お元気ですか。 ええ、元気ですよ。 *はい、そうです。 病気ですか。 はい、そうです。
存在文は広くは動詞文に含まれる。 存在文 と 所在文。「所在文」は新しい。 合わせて存在文ということがある。 存在文を 主題化変形したものが 所在文になる。 「に」 存在場所を表す助詞。 述語「ある、いる」。 存在するものによって ある/いる を使い分ける。 これは日本語の特徴らしい。韓国語でも使い分けない。 物は 「ある」 五段動詞 但し「*あらない」ではなく「ない」 人・動物は 「いる」 一段動詞 この説明が国語教育で小学生にまで浸透したので、 「むかし、むかしあるところにおじいさんとおばあさんがありました」 をおかしいと言う人が出るようになった。 ○生き物で「ある」と言う(言える)場合 @昔話の冒頭 A連体修飾の場合 「〜という人もある」 B所有 「A氏には 子どもがある/おとうとがある」 血縁的存在 ただし 「秘書がある いる」 社会的存在 ○無生物で「いる」と言う場合 @客待ちのタクシー、バスなど A将棋の駒(盤面の場合) 持ち駒のときは「ある」 ○その他 注意すべき場合。 @「〜したことがある」 経験。 A魚。生きている魚が池や海に「いる」、死んだ魚が魚屋の店先に「ある」 「〜で 〜が ある」 動作の存在 行事、イベント 動作の場所 「で」 「ある」が「行われる」という意味にずれる ☆ 注意。「に」と「で」で注意するところ。 存在場所 「机の上に」「窓のそばに」 英語では前置詞で フィンランド語では後置詞で表す ikkunan aaressa ★What is the mouse under? ( Under what is the mouse? 何の下にねずみがいるか?)
┌────────┐┌─────────┐ ┌─────────────────────┐ │ 何かありますか。││ だれかいますか。 │ │ 何 何か 何も 何でも │ │ はい、あります。││ はい、います。 │ │ だれ だれか だれも だれでも │ │ 何がありますか。││ だれがいますか。 │ │ どこ どこか どこも どこでも │ │ ○○があります。││ ○○さんがいます。│ │ いつ いつか いつも いつでも │ │ ││ │ │ どれ どれか どれも どれでも │ └────────┘└─────────┘ │ どう どうか どうも どうでも │ └─────────────────────┘ エスペラントの相関詞 ┌───────────────────┬──────────────────────┐ │ what something nothing everything│ kio io nenio c^io │ │ who someone no one everyone │ kiu iu neniu c^iu │ │ where somewhere nowhere everywhere│ kie ie nenie c^ie │ │ when sometimes never always │ kiam iam neniam c^iam │ │ why │ kial ial nenial c^ial │ │ how somehow │ kiel iel neniel c^iel │ └───────────────────┴──────────────────────┘第10章・第11章 後で
数の導入は存在文の続きで。 和語は十(とお)まで。漢語はいくつでも。 「24日」など例外がある。 助数詞 「一、六、八、十」に注意。 箪笥はどう数えるか? 序数詞 第○ ○回目 ☆「3番の窓口」と「3番目の窓口」はどう違うか。 pian terreno、 primo piano、 secondo piano quinto piano 「六階」と言うより「5と書いてある階」と言った方が正確。
時刻について「ごろ」 時間およびその他すべて「ぐらい」 ★「ごろ」の代わりに「ぐらい」と言う人が多くなった。 1時 1分 ついたち いちがつ いちねん 1時間 1分(間) いちにち いっかげつ いちねん間 例外 3年間前に → 3年前に
(1)人に関する名詞文 (2)物に関する名詞文 (3)場所に関する名詞文 ここは事務室です。ここは台所です。 ※「これは〜」と言わない。 (4)体の部位について 「痛いのはここですか」「はい、そこです」 ☆(3)と(4)の共通点は?
@nifty ID:PXU02101