「〜てある」の意味と動詞の種類との関係

初稿 2003.1.24
改訂 2007.12.21

2007年 改訂の要点
処置動詞を(i)対象が変化するもの(ii)対象が変化しないものとに分けた。 前稿では分かりやすくするために(ii)だけを処置動詞の例としたのであった。 (i)に属する動詞はかなり多いが、これを含めると、表がかなり複雑になり、 「〜てある」の意味の把握が困難になるだろう、と思ったからである。さらに、 設置動詞とこの種の動詞との区別をするために 「まだ・もうテスト」というのを考えた。

「〜てある」の意味について、動詞を (1)設置動詞、(2)処置動詞の中の(i)対象が変化するもの、(ii)対象が変化しないもの、および(3)自動詞に分けて考える。 ちなみに、(1)(2)は他動詞である。 また、自動詞でこの形になるものは少ない。
 アスペクト的規定 ムード的規定
動詞の種類動詞 A対象が変化した
結果の状態
B動作が行われた
結果の状態
C準備のできた状態


設置
動詞
開ける
立てる
貼る
開けてある
立ててある
貼ってある
開けてある
立ててある
貼ってある
(よく見えるように)
 開けてある
 立ててある
 貼ってある
処置
動詞
焼く
煮る
(対象が変化する)
焼いてある
煮てある
焼いてある
煮てある
(明日のために)
 焼いてある
 煮てある
言う
買う
(対象が変化しない)
  言ってある
買ってある
(明日のために)
 言ってある
 買ってある
自動詞寝る
(対象を取らない)
  寝てある(明日のために)
 寝てある

(1)設置動詞はA対象が変化した結果の状態を表すことができる。
 これは、例えば、戸を開けた結果の状態を「まだ戸が開けてある」 と言う場合のそれである。そして、やがて「閉める」ことが予想される。
 戸を開けた…(開いた状態が続いている)まだ開けてある」…やがて「閉める」
 棒を立てた…(立った状態が続いている)まだ立ててある」…やがて「倒す」
 紙を貼った…(貼られた状態が続いている)まだ貼ってある」…やがて「はがす」
(2)設置動詞はまたB動作が行われた結果の状態をも表すことがある。
 これは、例えば、戸を開けるという動作が済んだという意味で 「もう戸が開けてある」と言う場合のそれである。
(3)設置動詞 以外の他動詞は処置動詞である。
  処置動詞には(i)対象が変化するものと(ii)対象が変化しないものとがある。
  (i)は対象に重点を置けばA対象が変化した結果の状態を表すと言えるし、
     動作に重点を置けばB動作が行われた結果の状態を表すとも言える。
  (ii)はB動作が行われた結果の状態を表す。
(4)自動詞も同様にB動作が行われた結果の状態を表す。
(5)いずれの場合も、文脈の助けを得てC準備のできた状態の意味になる。

設置動詞と処置動詞の中の(i)対象が変化するものとは 分ける必要がないように思われるが、 そうではない。ここで「まだ・もうテスト」をしてみよう。

設置動詞まだ開けてあるもう開けてある
まだ立ててあるもう立ててある
処置動詞※まだ焼いてあるもう焼いてある
※まだ煮てあるもう煮てある

設置動詞では「まだ〜てある」「もう〜てある」ともに言えるが、 処置動詞の中の(i)対象が変化するもの[のみならず、要するに、設置動詞 以外]では 「〜まだ〜てある」とは言えず、「もう〜てある」とだけ言える。

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