卓球メールジャーナル第181号(2006年8月1日配信)
●誰にもわかる強くなるコツ(43) 吉田和人
「ゲーム分析からわかる一流選手の特徴 〜クレアンガ選手(ギリシャ)〜」前回、福岡春菜選手のサービスエースについて、簡単な分析例を示しました。今回は、もう少し細かな部分に注目した分析例を紹介したいと思います。
私は、「映像を強化に生かす」という研究などを進めるため、2003年の世界卓球選手権個人戦パリ大会へ行きました。この大会では、ダイナミックなプレーで男子シングルスベスト4に入ったクレアンガ選手(ギリシャ)のプレーがとても印象に残りました。
大会期間中はいろいろと忙しかったので時間が取れなかったのですが、帰国後すぐに、クレアンガ選手の戦い方について、撮影してきた映像をみながら調べてみることにしました。それは、「ダイナミックなラリーを展開する前のレシーブや3球目でどのようなプレーをしているのか」ということでした。
分析の対象は、男子シングルス4回戦で、大接戦だったサムソノフ選手(ベラルーシ)との試合における、ゲームカウント2-2で迎えた第5ゲームとしました。ちなみに、このゲームはクレアンガ選手が11-9で取っています。
世界卓球選手権個人戦パリ大会のサムソノフ戦における、
クレアンガ選手のレシーブ及び3球目での打法の内訳
ドライブ 8(6) ストップ 3(1) ツッツキ 2(0) フリック 1(1) ドライブで打球しようとしたものの、台にツーバウンドしてドライブできなかったケース(「打法」には分類できず) 2(0)
数字は、それぞれの打法が用いられたラリー数を示す。()内の数字は、
それぞれの打法で得点したラリー数を示す。
まず、表をご覧ください。クレアンガ選手は、レシーブ及び3球目において、8本ドライブで打球しており、そのうち6本得点しています。レシーブ及び3球目がストップ、ツッツキ、あるいはフリックであった場合と比べ、得点率が高いことがわかるでしょう。
次に、レシーブ及び3球目がドライブのときと、ドライブ以外のときとの違いをみるために、2つの円グラフを示しました。これをみると、クレアンガ選手のレシーブ及び3球目がドライブの場合(円グラフ左側)の方が、ドライブ以外の場合(円グラフ右側)よりも得点率が高いという傾向があることがわかります。
このように、あらゆることが完ぺきにみえる世界トップ選手でも、プレーの内容と得失点との間に関係がみられることがあります。上記の結果は、世界選手権会場で目の当たりにしたクレアンガ選手のスーパープレーについて、戦い方の構造がよく表れたものと私は考えています。
クレアンガ選手は、2003年の世界卓球選手権個人戦パリ大会において、陳衛星選手(オーストリア)、朱世赫選手(韓国)という2人のカットマンとも対戦しています。次回は、カットマンとの試合でも、同じような傾向がみられたのかどうかについて、ご紹介する予定です。
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