卓球メールジャーナル第221号(2008年1月18日配信) ●快適生活 心のお手入れ(52) 焼津路子
「苦情を言いたくなるとき」
何かに一生懸命取り組んで充実しているとき、人はそういう自分に価値があると感じることができます。これを心理学では「自尊心(selfesteem)」といいます。ある一定程度の自尊心を保っていられるとき、人は、周囲に賞賛されなくても、ある試みに失敗しても、試行錯誤しながら自分の課題に取り組み続けることができます。そして、それが何かの形になって、周囲から評価されたり認められたりすると、自尊心は高まり、人はさらなる高みを目指して努力し始めます。スポーツの場合は、さしずめ、一生懸命練習して試合で好成績を収めたときがあてはまるでしょうか。ときどき、市民大会やレクリエーションなどで、「組み合わせが悪い」「主催者が、意図的に自分が勝てないように仕組んでいるのではないか」と苦情を言っている人を見かけます。それが周囲も認める事実であれば、苦情を申し出たくもなるでしょう。少なくとも、主催者側がフェアに組み合わせを作らなくてはならないことは当然です。
ただ……正直に言うと、こういう苦情は、試合でよい成績を収められなかった人が訴えることが多いように思います。そして、誰も問題とは思っていないことに腹を立てているといったような、独りよがりなものが多いのです。私はこういう人を見ると、「この人は、今後自分がその地域で居心地よくプレーできるかどうかに深く関わる重大発言をしていることに気づいているのだろうか」と心配になってしまいます。「主催者が悪い」と言葉に出してしまったら、当の主催者はもとより、それを聞いている周囲のチームメイトたちの心の中にも、不信感や怒りが起こります。この種の苦情は、たとえその場は言うだけで終わったとしても、その後に大きく影響する可能性が大きいものです。
このような重大な苦情を言葉に出す前には、一呼吸おいて、考えてみることをオススメします。そのときに手がかりとなるのが、先に触れた「自尊心」です。自分は充実して練習に取り組めているか、自分のやってきたことに価値があると信じているか、コーチの言葉(ときには耳の痛い指摘も含めて)に納得しているかなどなど、これまでの自分を振り返ってみてください。
自分のやっていることに充実感があれば、他の誰も問題とは思っていないようなことに苦情を言うことはなくなるのではないかと思いますよ。
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