卓球メールジャーナル第224号(2008年4月7日配信) ●快適生活 心のお手入れ(53) 焼津路子
「モンスターペアレント」
みなさんは、「モンスターペアレント」をご存知ですか?これは、「学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者」を意味する言葉です。当然のことですが、ここには、正当な要求をする親は含まれません。「住民税を払っているから給食費は断固として払わない」「自分の子どもをリレーの選手に選ぶよう、1週間以上にわたって担任教師の自宅に脅迫めいた電話をかけ続ける」など、耳を疑うような事例がたくさんあるようです。こういった現象に対して、さまざまな議論や解釈がなされており、最近はテレビや新聞、雑誌などで特集が組まれたりしていますから、知っている人も多いでしょうね。ここまでではないにしろ、地域のスポーツ少年団などにおいても、子どもの練習を見ている親が、「うちの子へのアドバイスの回数が他の子よりも少ない」「あの子よりもうちの子のほうが上手なのに、レギュラーになれないのはおかしい」などと主張し、指導者が対応に苦慮するケースがあると聞きます。
親が、自分の子どもを大切に思い、その子にとって幸せな環境を作るために最大限協力したいと思う気持ちはとてもよくわかります。教育現場で「モンスターペアレント」と呼ばれる親たちも、わが子に対してある種の愛情をもっていることは間違いないでしょう。
ただ、一方で、不利益を受けている(ように親からみえる)子どもに代わって主張し、子どもを「危機」から守ることだけが、親の愛情ではないような気がします。もちろん、状況と内容によりますが、ときには子どもにある程度のストレスを与えることも愛情だと思うのです。
たとえば、レギュラーになれないことは、本人にとってとても悲しいことです。でも、その悲しさをきっかけに、「なぜ自分はレギュラーになれなかったのか」「どうすればもっとうまくなれるのか」など、その競技や自分自身の技能に対する関心を深め、目標に向かって自分の意志で取り組んでいけるのならば、それこそが、本人のゆるぎない力となって結実することでしょう。そして、その上で勝ち得た成功(レギュラーの座を射止めるなど)こそが、本人の喜びと自信につながるのではないでしょうか。
子どもが悩んでいるのをそばで見守っていることは、親にとっても辛いことです。親が指導者に苦情を訴えて、レギュラーにしてもらったほうが、親も子も何倍も楽なことでしょう。でも、そうして手に入れた喜びは、花火のようなもので、すぐに消えてしまいます。どんなに自分の中で言い訳を見つけて取り繕っても、自信や満足は継続しないでしょうし、実力がともなっていませんから、子どもの中に不全感が残り続けることでしょう。長い目で見れば、親が行動することによって、かえって子どもが不幸になってしまうと言えるのではないでしょうか。
わが子に関することで苦情を言いたくなったとき、少し立ち止まって考えてみませんか?あなたの行動は、本当に将来の子どもの幸せにつながりますか?
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