Monthly T  【2000年5月号】


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雑記
夜空ノムコウ
ずっと転勤族だった両親が岡山の片田舎に家を建てた。それはもうびっくりするほどの田舎 に建てられた小さな平屋の一軒家なのだが、親からしてみれば漸く先祖の眠る土地に落ち 着けたというところだろう。

GW、引越しが終わるタイミングを見計らって見物に行ったが、この家の大きな利点を一つ 発見した。星の美しさである。日本で一番星の奇麗な町 美星町に近く、天文台もあると ころだけあって、満天の星空はまさしく天然のプラネタリウムと形容して差し支えない。 とにかく夜の闇が深く、その分星の美しさが映えるのだ。私の表現力の稚拙さから上手く 伝えられないが、昔の人はこんなふうに星を見ていたのかと妙に納得させられるのだ。

決して住みたくはないが、たまに帰るにはいいところだわ。

時事
塩沢兼人逝去
塩沢氏といえば私の場合、アニメ「銀河英雄伝説」のパウル・フォン・オーベルシュタインがまず浮かぶ。 「ドライアイスの剣」の異名を持つ、冷徹な参謀型軍人・・・言ってることは正論なんだが、正論過ぎて周りから反感を 買ってしまう嫌われ者。この役に彼ほどピッタリくる人物はいないだろう。

享年46才。若過ぎる死である。


ゲーム
「沈黙の艦隊」
9年前に発売された作品の焼き直し版。当時かなりのめり込んだ本作。近代潜水艦SLGとしては個人的には古の名作 「688 Attack Sub」の次に高い評価をしている。というのも近年発売された「SSN21 SEAWOLF」 があまりに酷かったから・・・。とにかく一人で何役も細かい操作をこなさなくてはならないストレスの溜まるゲーム だった。(音紋の波形から自分で敵艦を特定せにゃならんのだ〜やっとれんわい!)

その点、本作は簡単な操作で潜水艦の持つ殆どの機能が再現されており(バラストタンクの注水・排水やトリムの調整まで可能) 、あくまで同名漫画のシナリオ内のシチュエーション設定ではあるが、優秀な潜水艦シミュレーターといえる。 ただ9年前の作品を殆ど改善もしないで9800円で再販するのは横暴でしょう。


「ベイグラントストーリー」
ファミ通でレビュアーがALL10点を出した怪物作。加えて「タクティクス・オウガ」で名を馳せた松野泰己作品とあればプレイ せざるを得まい。一応社会人の私としては年に何度も時間のかかるRPGは遊べない。GWを視野に入れた計画ではあるが、 これで外したら罪は重いよ。

果たしてその実力の程は・・・。まずオープニングに圧倒された。ムービーなしのポリゴンのみで 表現された演出は決して派手さはないが、中世の都市がもつ独特の雰囲気と宗教的対立を絡めた 登場人物達の思惑をきっちりと描写しており、プレイヤーをこの独特な世界観に自然と引き込ませる ことに成功している。2月号で「バイオハザード CODE:Veronica」を引き合いにゲーム業界のシナリオの 稚拙さを嘆いた私だが、本作はいい意味で期待を裏切ってくれた。 よく映画みたいなRPGというが、これは正確ではない。「映画みたいな演出をしているRPG」がこれまでは大半だった。 しかし本作はシナリオ、演出、人物設定、音楽とも良質の映画並といえ、いわばFF[の対極をなす作品といえる。 「タクティクス・オウガ」以来、久しぶりに人間を中心に 展開されるRPGを楽しめた印象だ。正直本作が満点の出来のソフトとは思えない・・・。私自身倉庫番的なパズルはうっとおしいし、 バトルシステムは目押しの出来ない年寄りにはシンドイ。ただそれを補って余りあるほどストーリーが秀逸なのだ。

うまく表現できないが、難解な映画を見た感覚に似ている。無論難解だからOKというわけではないが、世の中は正義と 悪が明確に線引きできるほど単純ではなく、人間はその両者のなかでかろうじてバランスをとっているというごく当たり前 のことが本作にはきっちり描かれているのである。

また「タクティクス・オウガ」、「FFT」同様、バトルシステムや超難解なおまけダンジョンなどやりこみ派をも満足させる だけの仕掛けもしっかり提供されている。ホント、久しぶりに大人の鑑賞に堪えうるRPGを堪能させてもらった。


ドラマ
今月からドラマ非常事態宣言が発令されそうである。「女医」、「ロングバケーション」、「武田信玄」といった夕方の再放送 作品に加えて、夜の連ドラ、NBAはプレイオフ。最近ちょっぴり帰りが遅いし、ビデオのバックログは溜まる一方である。 なんとかせねば・・・


「葵〜徳川三代」
関が原も終わり、物語は徳川の天下に収束しつつありますが、相変わらず産めよ増やせよのロジックは健在・・・ ガチガチのフェミニストがみたら卒倒しちゃいそうな内容だもんなぁ。ただ出産するたびに子供を手元から取り上げられる お江は確かに可哀想。
今月は家光誕生がメイン。生まれながらにして将軍・・・ 響きは良いけどあたしはやだね、そんな窮屈な人生。

「武田信玄」
今月は川中島での長尾景虎との前哨戦がメイン。晴信と景虎は川中島で12年5回にわたって合戦を繰り広げている。 そのうち最も大規模なのが4回目の戦い。だがほぼ睨み合いに終わっている戦闘でさえ、動きこそ少ないもののハイレベル で中身の濃い内容なのだ。本作品はその辺りの両者の水面下の駆け引きを労を惜しまず伝えている点で評価に値する。

「女医」
シドニィ・シェルダンの同名小説が原作。3人の女医がとある病院を舞台に繰り広げる壮絶な闘いの記録。 病院での嵐のような毎日の中で一つの決断をし、保険金殺人の嫌疑をかけられる宮木医師(中谷美紀)。己の ミスを「はちみつ」で取り繕う花隈医師(大路恵美)。幼少期の暗い過去を抱えながらヤクザのモグリ医師を 余儀なくされる劉医師(りょう)。

病院ってのは日々戦場みたいな慌しさで、そうしたなかで精神の均衡を保ち続けるだけでもあたしゃ凄いと思う。だって 技術者でありながら人格者でなければならず、体力的なタフさも要求される。そうした環境に放り込まれた3人の女医 を実に見事に描写している。また脇を固める陣容も室田日出男、鹿賀丈史、伊武雅刀らと豪華である。個人的には中谷 美紀を過小評価していたことを思い知らされた。

「ロングバケーション」
常日頃、ドラマをあれこれ語っている割に私はこの90年代を代表するドラマを見たことがなかった。 今回再放送を機に拝見させていただいたわけだが、配役、音楽、オープニング、台詞回し、演出どれをとっても センスがいい。特にプロローグからオープニングテーマまでの見せ方は秀逸で見とれてしまうほどである。


連ドラ
4−6月クールも中盤。結構生き残ってますね。いやほんとあっさり切り捨てられる作品は少なかったですわ。

「ショカツ」
一連の警察不祥事を素材に警察の抱える危うさを上手く描いているのだが・・・ 警察不祥事については昨今現実の方が遥か上をいってますからなぁ
真面目なんだけど面白みに欠ける。手法も目新しさを感じない。女性陣に華がない。松岡もちょっと物足りない。

「太陽は沈まない」
医療ミス・・・テーマ的に機を見るに敏といったところかな。
私見だが、病院にだってミスは起こり得る。SEがミスをしてもシステムが動かなくなるのが関の山だが、 新米看護婦が血液型を間違えて輸血しただけでヒトは死ぬのだ。医師や看護婦の人手不足のなか、皆懸命に働いているのは十二分にわかる。しかしもみ消したり、事後報告するケースのなんと多いことか・・・

で、このドラマだが、±0といったところかなぁ。1話目の掴みや脇を固める役者陣は申し分ないのだが、肝心の タッキー、優香がねぇ。なんか若い男女にウケそうな布陣にしてみましたって下心がみえみえで嫌なのだ。

「QUIZ 」
一つの事件を軸に徐々に謎が解きほぐされていく展開。斬新な手法で随所に間延びさせない工夫が織り込まれている。 キーマンは刑事課長役の生瀬勝久。昨年の大河「元禄繚乱」でも目立たない役柄ながらいい演技してたんですよね。

「天使が消えた街」
先月号で出演者の好みから私的には「君が教えてくれたこと」にいっちゃいそう・・・と述べたが意外にも生き残った。 理由は「君が教えてくれたこと」が合わなかったこともあるが、こちらのほうが飽きさせないというか楽しめる部分が 多い点にある。でも大竹まことのやくざ役は笑えた。

「29歳の憂うつ」
深夜枠のドラマとしては結構いいんじゃないかなぁ。個人的には栗子(石田ひかり)の恋の行方 よりもレズカップルである菜摘(清水美砂)と紘子(吉本多香美)両者の心の葛藤の方が切なくて味わい深いんだよねぇ。 (この辺りは「BANANA FISH」にも通じるんですが・・・)

「天気予報の恋人」
佐藤浩市、深津絵里、稲森いずみ・・・3者の絶妙なバランスが楽しめる作品である。久しぶりの安心して楽しめる良作と いったところかな。でも稲森いずみってバカでお調子者な女っていう役柄があまりに多いような気がするなぁ。あと米倉涼子・・・ 地味な役所なんだけど、毎回笑わせてもらってます

「永遠の仔」
総合力からいえば大本命であり、実際いい出来の作品なんだけど・・・
重たい・・・。毎回見るとしんどくなるんだよぇ。




漫画・小説
「沈黙の艦隊 1〜31巻」 かわぐちかいじ
本作はモーニングに連載されている当時から好きだったんですが、あくまでメカものとしてなんですよねぇ。だから 北極海でのシーウルフとの戦闘が終わり、物語が政治的な方向に行っちゃうと投げ出してしまった。

で、今回BS漫画夜話で取り上げられたのをきっかけに通して読んでみたのだが・・・やっぱり15巻以降の政治的な 論法は私には合わない。「政軍分離」や「国連の機能強化」、「世界政府」なんて私が中学生の頃考えてた左寄りの思想だもん。 一種の作者による政治シミュレーションと考えればわからなくはないが、それが延々と続くのはどうかと・・・。

個人的にはサザンクロス防衛戦が大好き。深町の専守防衛の拡大解釈(?)は充分に理解できる。自国の領海で民間人 が乗船している船に他国から一方的に攻撃が仕掛けられる。これを黙認するのが自衛隊ならそんなものはいらない。ただ 個人的には、

南波(水測長)「艦長、魚雷です」
深町「何本だ!」
南波「わかりません」
深町「バカヤロー!貴様にわかりませんという言葉があるか!」

このシーンが妙に好きなのだ。

「ファイブスター物語 1〜8巻」 永野護
永野護については若干の思い入れがある。中学時代好きだったアニメ「エルガイム」のデザイナーであり、 近年では「パンツァーフロント」で架空戦車「E−79」のデザインを買って出た人だからだ。本作はMH (モーターヘッド)とそれを操る騎士(ヘッドライナー)、そして両者を媒介する存在であるファティマの 物語である。ただ背景には入り組んだ人物関係と星団史があり、今現在まだ消化しきれていないのが実情だ。

「BANANA FISH 16巻〜19巻」
「PRIVATE OPINION」 吉田秋生
全編を通して主人公アッシュと英二の心の絆を描いているわけだが、なにしろ上手い。

君が何か伝えようとにぎり返したその手は
ぼくの心のやらかい場所を今でもまだしめつける(夜空ノムコウ by SMAP)

ってな感じ。(笑)

本編が19巻の頭で終わっているのだが、それを埋める外伝がまたいい。一般に外伝というと、 これなら書かないほうがよかった的なものが多いのだが、本作の場合、全部ひっくるめて一 つの作品といえるくらい完成度が高い。

また何気ない描写にも唸らせるシーンが多いんだよねぇ。例えば普段英二と会話し ている時は全く無防備なアッシュが、刺客の視線を感じるや毛を逆立てた山猫のように表情がガラリ と変わる場面・・・流石である。

「夢の温度 〜 夏祭り」 南Q太
田舎の高校教師町子と教え子あきの純愛物語。いわば「魔女の条件」的なストーリーなのだが、町子の不器用な感情表現 の所作が作者の画風と相俟って絶妙の雰囲気を醸し出している。


映画
「スターウォーズ episode T」
別段「スターウォーズ」好きではない私でも充分に楽しませてもらった。過去の3部作を知らなくて も単純に面白い作品に仕上がっている。(無論知っていればナルホドという箇所が多々あるが)

CGが随所に織込まれているが、それに偏重しているわけでもなく、アナキン・スカイウォーカー (ダースベイダー)を演じた子役を初めとした出演者もいい味を出していた。「インディージョーンズ」 もそうだが、娯楽作を作らせてルーカスの右に出る者はいないんじゃないかな。


CM 【ワースト】
トヨタ
先日の新聞報道によると昨年度のトヨタの経常利益が8000億に迫る勢いだそうだ。 市場シェアも40%を超え、国内では一人勝ちの状態といえる。

その世界のトヨタがテレビCMに関してはあまりにおそまつなのだ。 元々野茂や丸山を起用して愚にもつかないダジャレを垂れ流していたが昨今はさらに マイナス方向に加速がかかりつつあるようだ。

「キャミ」のダンシングベイビー、「ファンカーゴ」の早口まくしたて、そして今回 「デュエット」の積んじゃ降ろ〜す(青椒肉絲)。あきれるばかりである。安全基準が 高いことしかアピールする要素がない日産もアレだが、トヨタの一連のCMたるやもはや 断罪に値しよう。




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