翻訳アニメ あんなセリフ、こんなセリフ

筆者Isamu、柴原、token、古川
編者古川

皆さんは、アニメを見ていて、「このセリフを英語に訳すとしたらどうなるのかな?」とか考えたことはないでしょうか?また、受験などで英語の例文を一所懸命覚えた方は、「この例文がアニメのセリフだったら、覚えるのも楽しいのに」と思いませんでしたか?

ここでは、日本製アニメの海外版から、有名セリフや、役に立ちそうな言い回しを含んだセリフ、訳し方が変っているものなどを集めてみました。

まずは有名タイトルということで、「エヴァ」から。

かなり有名なセリフ。'What should I do?'は、「どうしよう?」と、他人に指示を乞うときに良く使われます。上の例の他に、'Tell him what he should do.'「彼に、どうすべきか教えてやれ。」などと、応用がききます。

レイのセリフに出てくる、'scrape'は「えぐる、削る」という意味です。この単語を含む有名な言葉が、 'skyscraper'、つまり「超高層ビル」です。文字通りの意味は、「空を削る(えぐる)建物」ということで、「摩天楼(まてんろう)」というのは、実はその直訳なんですね。「空」を削れるぐらいですから、「闇」も削れるんでしょう(本当にそうか?)。

ゲンドウの'It's been three years since ...'は良く使われる表現です。'survive' というと、「サバイバル」からの連想で、「苦労して生き延びる」といった感じを連想しますが、英語の場合、もう少し広い意味で、「死なないで生きていく」というぐらいの意味でも使われるようです。'irreplaceable'は、「取り替え(replace)ができない」->「かけがえのない」ということです。しかし、

ということで、レイの方はreplaceできるようです。

'It sucks!'は、俗語で、「それには嫌気がさした!」といった意味になります。良く利用されますが、俗語ですから使う場面には気をつけましょう。

次に、志良正宗原作、押井守監督の、「甲殻機動隊」から。海外でのタイトルは、Ghost in the shell(殻の中のゴースト)です。警察の2つの課の部長同士が、とある人物の身柄をめぐって腹をさぐり合う場面です。

二人とも互いに相手を信用していない上、政府の人間ですから、日本語も英語も大変堅苦しい表現になっています。'treason'は国家などへの反逆のこと。'regardlessof how'は、「どんなに…であっても」ということですが、もう少しくだけた場面なら、'no matter how'とか言うと思います。'Same goes for you.'は、「おまえだってそうだろう」と言い返す表現です。'Same goes for that.'(それも同じですね。)、'Goes for you as well.'(あんたもね)などという表現もあります。

同じく甲殻機動隊から、「自我を持った人工知能もどき(笑)」が名乗る所です。前の例に輪をかけて堅い表現です。自分を表現するのに、'living, thinking entity'なんて言ってます。SFでコンピュータが喋る場合、正確だけど堅い表現を使うのがパターンですからね。

次は「ガンダム0083 スターダストメモリー」のセリフを見てみましょう。

戦艦アルビオンがコロニー落しでできたクレーター上空を通っている時の、ニナと艦長の会話です。'used to'は、「かつて…したが、今はそうでない」という意味で、この場合、「かつて…都市があった(がもう無くなった)所」を表すのに使われています。

'go easy on'で、「…を寛大に扱う。」という意味です。

'I'd have to say ...'で、仮定法を使っているのは、「渋々ながら認めてやるよ」という感じを表しているのでしょう。'damn'は俗語で、ここでは「やけに、すごく」という意味で使われています。'be wet behind the ears'は、「ピイピイの青二才」を表す表現で、' He's still wet behind the ears.'などと使います。

ガンダム0083といえば、やはりガトーの、偉そうなセリフ回しが有名です。そうしたセリフを幾つか挙げておきましょう。

ガトーのセリフには、'unprincipled'(節操のない)とか、'infantile'(子供じみた)とか、'sever'(切断する。断つ。)とか、あまり話言葉では使わないはずの難しめの単語が出てきます。

今度は「うる星やつら ビューティフルドリーマー」からです。

文化祭の準備の居残りで校内の給湯室(?)でのラムとしのぶの会話です。こんなのリスニングに出されたら頭こんがらがるでしょうね。日本語ですら分りにくい。

次に、デジャヴに悩まされボロボロになった温泉マークが保健室でサクラさんの診察を受けたときの診断結果です。

'a walking bandle of stress'は、「歩くストレスの束」ということですね。 'mental (ly)'と'physical(ly)'は、それぞれ、「精神的な(に)」「身体的 な(に)」という意味で、良く対比されます。 'exhausted'は、擦りきれて消 耗した状態のことです。

コンビニで食料の調達中に,チビがチョコをがめたことがめがねにばれたときの会話です。あんこがピーナッツバターになったら普通にありそうなチョコレートになってしまいましたね。

ラムの話し言葉で重要な「だっちゃ」が翻訳に影響を与えている例です。'Miss I'm Lum',そうかこう来たかって感じですね。

次に、刑事物(?)「アミテージIII」からです。

アミテージ(巡査部長)と、ロス警部補とが、殺された被害者について話す場面です。実際の音声では、「たった一人のカントリー歌手」ということを強調するために、'THE only'の'THE'が強調されています。'Extinct'は「絶滅した」という意味ですね。

ロス警部補は、アミテージの、服というよりは水着に近い服を見て言います。

'getup'とは、「変わった服装」のこと。彼女の服は確かに'crazy getup'です。'standard issue'は政府などからの標準配給される物のことです。

'good'な警官ではなく、'great'な警官だ、と言っているのですね。

ええっと…。ネタばれになりますけど、アミテージはロボットです。そして、これまたひどいネタばれですけど、彼女は子供を産めます。その関係でからかわれている場面です。英語の方では、アミテージが「目覚まし時計」に例えられています。やはりロボットだからなのでしょうか?

'be supposed to ...'は便利な言葉です。字句通りには、「…のはずだ。」という意味ですが、「しかしそうではない」というニュアンスがあります。これにより、「なぜそれを知っている?」というセリフを、"That's supposed to be a securet!!"などと訳すことができます。上の例では、「本当なら、笑って「分りました」と言って、奴らのやったことを忘れるべきなのでしょうが、そうはいきませんよ」と言っているわけです。

アミテージとロスが、2人で軍隊に立ち向かう場面です。かなり絶望的な場面なのですが、「やつらに見せてやろう」->「あいつらに一泡吹かせてやろう」といった感じです。

マクロスプラスのシャロンのセリフ。'be about to'で、「すぐにでも…する」「今まさに…する」という意味ですね。

次は、「ああっ女神様っ」のfantranslation(海外のファンが自分達で作った翻訳文)から。

'I mean ...'で、「本気で…と思っている」ということです。 'and I mean it!'で本気だぞ、と言ってるわけですね。

'go any further'で、今の状態より先に行く、ということです。

'take'は、「必要になる」と言う意味で使われることがあります。'it takes to handle 2 girl friends'で、 二股かけるのに必要なもの、ということになります。'No matter what it takes, I'll be on your side.'(何を失うことになったとしても、君の見方になってやる)などという使い方もできます。

'get away with ...'は、大変良く使われる表現です。「許さんぞ!!」を、'You'll never get away with this!!'などと訳したりします。

仮定法過去完了で、「もっと早く話すこともできたはずなのに…(実際は話してくれなかった)」という気持を表しています。

次は、「神秘の世界エルハザード」から。太古の最終兵器、「神の目」に関する伝承です。

日本語の方が古文調で、伝承らしいのに比べると、英語の方は、暗号めいてはいても、英語そのものはごく分りやすいスタンダードなものです。ではどうやって「伝承らしさ」を表しているのかと言いますと、「ナレーションのリズムの良さ」なのです。字面からは分らないのですが、この伝承は非常に調子良く、リズムに乗って読まれます。日本語の7,5調とかとはかなり違うのですが、ポン、ポン、ポン、という感じで、一度聞いたら、耳から離れません。うーん、伝えにくい。やはり聞いてもらうしかないでしょう…。

'I sware I'll ...'で、「誓って…する」という意味です。上記のセリフは、「きっと迎えにいくから。」ってことですね。

「パトレイバー 劇場版」のセリフを見てみましょう。

政府広報のテレビCMです。日本語では「夢->希望->現実」と来たのが、英語だと"dream(夢)->bluprint(青写真)->reality(現実)"となってます。確かに「夢」と「希望」ではあまり差がないので、「青写真(具体的な計画)」の方が意味は通りやすいかも知れません。

'Read too much into ...'で、「深読みをしすぎる」ということです。

ここでは、日本語と英語で、内容が全然違っています。英語の方を直訳してみると、次のようになります。
「共鳴だよ、共鳴。同じ周波数で振動する構造物(のことを考えてみろ)。橋の上を行進する時は、兵隊はわざと足を乱すんだ。そうしないと、共鳴振動が起きて、橋を崩落させちまう。この場合も同じなんだ。共鳴振動が互いに重なり合い、増幅される。」 わざわざ共鳴について(少しだけ)易しく説明しています。日本語の内容では分かり難いと思ったのでしょうか。それにしても、兵隊のお話は本当なんでしょうか?

次は、「マップス」(知ってるかな?)から。

OVA、「ジャイアントロボ」から。

最初のオープニングナレーションの前半部です。聞いてみないと分らないことですが、日本語にしても英語にしても、ナレーションの調子の良さは一級品です。また、英語版の方での、シズマドライブの説明をする文(This is the ... age of prosperity.)には、よくもここまで一文に情報を詰め込んだものだと感心してしまいます。

'On your knees.'は「頭が高い!」ということです。これで水戸黄門の翻訳も ばっちりですね。

'according to MY script'は、「私のシナリオ通りに」です。英語版では、'MY script'のMYと、'EXACTLY as I PLANNED'の部分が強調されていて、孔明の絶大な自信を良く表しています。英語版の、切れたような高笑いもとても良いです

「衝撃のアルベルト」の最後のセリフです。'Isn't that right?'の連呼は、彼の最後を飾るにふさわしい迫力です。'on the sidelines'で「傍観者として」という意味なので、'by the sidelines'もほぼ同じと考えていいのでしょう。「若僧」は、'megalomaniacal adolescent'(誇大妄想の青二才)と訳されています。また、'showdown'とは、「決戦」のことです。

この物語の敵役であり、父親から、「恐ろしい遺産」を受け継いだ幻夜が、同じようにジャイアントロボを受け継いだ大作に対して、問い詰める場面です。「貴様ならどうするつもりだ?」が、英語では、'Enjoying it? Daisaku? Are you enjoying it?'になっています。多少分りにくいかも知れませんが、「望みもしない力を託されて、それを使うのは楽しいか?むしろつらいだろう?え、どうなんだ?」という幻夜の気持が込められているのでしょう。オリジナルのセリフとは大きく異なっていますが、短い表現で心情を良く表しています。