ラフマニノフ交響曲第2番の解説・・のようなもの

 ラフマニノフ(1873-1944) の交響曲第2番は、やたらとクライマックスが多い。ポン酢醤油というよりは、デミグラスソースを思わせるような濃厚な音と絡み。そして、演奏時間も1時間近くと長い。(そのため、繰り返し部分はカットされる事が多々あるが、今回の演奏はどうやらノーカットでやるらしい)故に、この曲を演奏するには非常に体力がいる。最近、エアロビクス代わりにこの曲を真剣に練習すると、かなりダイエットになるのではないかと思っていたのだが、今のところそのような気配はない。(当たり前か)
 …と、あまり好意的じゃないような事をつらつらと書いているが、実はこの曲は大好きである(だから解説書きを振られたのだが)。何が好きって、ぞくぞくするような、甘く気怠い旋律が背中をかすめていく1楽章、風に吹かれて舞い落ちる墨染め桜の花びらを思わせるような2楽章のコル・レーニョ、追いかけても追いかけても(セコバイ)気がついてくれない彼氏(クラリネット)を追いかけて、やっと捕まえて、愛が叶ったと錯覚をさせる3楽章、夢から醒めた現実を突きつけられて、「ワタシはラフマニノフよっ!邪魔しないでっ」といきなり主張してくれる終楽章。(最後の1小節は、やっぱりラフマニノフだよなあ)

 私が思うに、この曲の根底に流れているのは「愛」(何を突然に?)である。ただ、こんなに押し付けがましく愛を主張されるとさすがに食傷気味になってくる。こってりとしたイタリア料理を毎日食べると1週間もすると食べたくなくなり、たまにはあっさりとしたマグロのトロやつぼ焼きキノコでも食べたくなるように。今日会場でお聞きのお客様は多分そんなことはなく、思う存分にラフマニノフが訴えている「愛」に存分に浸れる事と思う。演奏者としては、うらやましい限りだ。(何か違う?)

では、演奏者から見たこの曲の感想をいくつか…


《その1・セコバイにのし掛かる恐怖の「メノ・モッソ」》 2楽章中程にある、パーカッションの強打の後に、ヴァイオリンが4小節奏でる旋律、なんとここはセコバイの受け持ちである。ただでさえ控えめで、大人しくて、つつましいセコバイ弾きにこんなに目立つ所を受け持たせるなんて、なんと作曲家は無謀なのだろう。以前某オケでこの曲をやった時、プレッシャーと不安から、集団で飛ばすは外すはで最後まで最重要課題になってしまい、この部分を特訓するために特別にパート練習まで設定されてしまったほどだ。今でも指揮者から「はい、メノ・モッソから」という言葉を聞くと、思わず反応してしまう私であります。


《その2・スコア》 突然ですが、この曲のスコアは高価だ。最近は演奏される機会も多いのだから、もう少しメジャーな所から出版されないものだろうかと思う。(ページ単価が異様の高いのはシベリウスの青本だろうとは思うが)そしてページを捲ると、とにかく「音が多い」「絡みが多い」さすがはラフマニノフだ。目がちかちかする。ロシア物とは言え、私の得意なショスタコとは偉い違いだ。(「ショスタコはソ連だ」という突っ込みはこの際却下)


 …などと、色々演奏者としては思い入れがあるような無いような、そんな曲でありますが、この支離滅裂な駄文を読んで下さっている観客の皆様に、聞き終わった後、息苦しさの中にも元気が出るような演奏をお届けできれば本望であります。さて、予ベルが鳴ったら準備体操でもして、「ラフ2・エアロビクス」に挑戦することとしよう。   


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