DT Lors of Genomes

(ゲームボーイ・スーパー・カラーでも使用可・カードバトル)

 ゲームとしては、カードを集めてデッキを組む→敵と対戦→勝つ→ストーリーが進む(カードも増える)といった感じの流れです。

 システム的には、非常に良く出来ています。ていうか、カードバトルゲームの中でも最高ランクの出来です。

 これだけでも十分プレイの価値はありますが、このゲームの一番の美点は他にあります。

 それは、このゲーム全体的になんとなく漂う、背徳的な香りです。

 例えばまずストーリーですが、けっこうブラックな感じです。あまりゲームボーイっぽくないっていうか。

 どんな感じかと申しますと、まず第1話でいきなりヒロインが死にます。

 が、主人公あまり悲しみません。

「付き合い始めてまだ1週間だから、クーリングオフ期間だよね・・・。」 と、つぶやく主人公。

 「・・・おいこら」とツッコミたい気もしますが、このセンスは、ある意味ステキです。

 ついでに言いますと、ラストの方でこのヒロイン、クローン(ではないんですけど、イメージ的にはこう言えば分かりやすいかと)として蘇ります。

 ストーリーそのものは、「そこそこ面白い」という程度ではありますが、全体的に、「なんかちょっと人間の尊厳をないがしろにしてるんじゃないの?」って感じの雰囲気が漂っていて、任天堂ゲームボーイソフトの中では異彩を放っています。絵柄・グラフィックも、雰囲気を壊すことの無い良い出来です。

 箱の「このゲームには暴力シーンや過激な表現が含まれています」の記載も、いい感じで納得です。確かに過激な表現かもしれません。

 その他、このゲームの特徴として、ゲーム中入手できるカード一枚一枚に、大量のテキストが書き込まれている、というのがあります。これだけでも他のカードゲームとは一線を画すほどの分量です。

 これら断片的に記載された情報から、このゲームの世界観を嗅ぎ取って下さい、というコンセプトらしいのですが、これがなかなか面白いのです。

 以下一例として、ゲーム中の「アメフト部員」というカードに記載されているテキストです。


 梶博信の監督就任以来、笹川高校アメフト部は衰退を続けていた。優勝でもしない限り、今年度一杯で解雇。最後通牒を突きつけられた梶だが、方策は何もなかった。

 途方に暮れる彼を、1年生の女子生徒、蓬莱温子が訪れた。温子は、自分をマネージャーに起用すれば、必ず笹高アメフト部を優勝させると言う。そして、彼女が要求する優勝した際の報酬というのが奇怪であった。梶には別居中の妻、佳代子がいたが、正式に離婚しろというのだ。

 この要求には全く理解がいかなかった梶だが、いずれ佳代子とは離婚するつもりでいたし、温子をマネージャーにして困ることなど特にない。藁にもすがる思いで温子の申し出を受けた。

 その後の温子の行動は、輪をかけて不可解であった。温子は一日一人ずつ、順番に部員を彼女の自宅に招待した。そこで何が行われたのかは、わからない。訪問した部員たちは口を揃えて何もないというが、彼らは決まって訪問の直後から実力を上げ、強力な選手になるのだった。

 選手の強化はともかく、温子の行動はたちまち噂になる。職員会議でも非公式に話題になり、当然梶も質問を受けた。だが、温子のやることには干渉しない、という約束をしていた彼は、知らないと答えるほかなかった。

 そう答えたものの、知っていて隠しているとしか見られないし、自分も知りたくてたまらない。とうとう秘密を探るべく、行動を開始した。

 おりしも強豪関空学院との練習試合を翌日に控えた土曜の夕方。今日の温子の相手は、梶の甥に当たる祐一郎。3年生のワイドレシーバーである。大義名分を得た梶は、にわかに保護者然として二人を尾行した。

 温子は池田の駅に程近いマンションに住んでいる。二人が部屋に入るのを確認した梶だが、そこから先はどうしようもない。中が覗けないか、音が聞こえないかと思って周囲を見回した。だが意外にも、そこにあったのは別居中の妻、佳代子の姿であった。


続きが気になる・・・。ということで、カード集めにも熱が入ります。

 マイナーな作品ながら、システムと世界観については最高レベルのクオリティを持つ、まさしく隠れた名作です。是非是非一度やってみて下さいまし。

参考情報

メーカー:発売メディアファクトリー、製作ゲームスタジオ(マリーガル)

難易度:それほど難しくはありません。

プレイ時間:1日あれば十分クリア可能。

攻略本:たぶんありません・・・が、製作元の公式HPがかなり充実してます。

入手環境:ワゴンセールで1000円程度?少し捜せば見つかるかと。

知名度:知ってる人の間では、けっこうな盛り上がりです。


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