筑附通信「地理学習の掟」

2003年4月
 新三年生のみなさん、こんにちは(^_^)。111回で現在東大一年生の者です。田代先生のご依頼でみなさんに向けて私の地理の学習方法についてご紹介させていただくことになりました。「地理学習の掟」なんて偉そうでいかにも万人共通かのようなタイトルをつけましたが、勉強方法は十人十色です。ですから、私の勝手な掟などを鵜呑みにせずに、参考にしつつ自分の掟を見つけてください。まず全体、次にセンター、最後に東大に関する私の学習の「掟」を書いてみようと思います。

〈全体について〉
一、 暗記に頼らない
 みなさんは地理は暗記科目だと思っていませんか?もしそうだとしたら、それは大きな誤りです。もちろん、地名などの基礎的な事実の暗記は必要です。しかし、地理の醍醐味はそれらの知識に基づいて社会的、自然的現象を考えるところにあると私は思います。さらに、上手に頭を使って考えれば暗記の量も少なくてすみます。たとえば、雨陰砂漠というものがありますが、どのような地形、海流のところにあるか、という原理を理解していればいちいち丸暗記しなくても良いですね。このようなことは他にもたくさんあります。

一、 地図を片手に勉強する
 様々な地名を覚えてもそれがどこにあるか分からなければ意味がありません。さらに、地図を眺めていると地形という自然的要素と、都市や産業の社会的要素の結びつきが分かったりして勉強になります。また、受験テクニックとしては赤道、南北回帰線、東経60度などの代表的な経緯戦がどこを通っているかは覚えてしまうと便利です。主観的には地図を眺めているのは楽しいからおすすめです(^_^)
一、 データブックを読む
 センターや東大の問題で統計や図表を用いた問題は頻出です。そのためにもこれらに慣れておく必要がありますね。ここで注意してもらいたいのはただ読むだけではだめだということです。どうしてそうなるのか考えながら読んでください。また、よく見ると自分のステレオタイプに合致しない意外な発見などもあって勉強になりますし、なにより面白いです(^_^)

〈センターについて〉
一、 過去問を利用する
 センター試験だからと言って油断してはなりません。最初についたスタート地点の差を二次試験で取り戻すのは大変ですし、万が一二次試験が受けられなくなったらつらいですね。だから、しっかり勉強しましょう。ペース配分などは慣れがものを言います。過去問は直前の冬休みに解くことはもちろんですが、夏休みか秋休みに一回解いてみることをおすすめします。自分の実力が分かりますし、どんな問題が出るのか分かった方が勉強方法が明確になって良いと思います。

〈東大について〉
一、 論述は量をこなす
 字数以内で相手の要求していることを書ききることは慣れが必要です。またスピードも要求されます。本番ではいちいちきちんと下書きをしている時間はありません。ですから、はじめは下書きをしてから論述しても構いませんが、慣れてきたら箇条書き程度のメモから論述が作れるようになってください。また二つ以上の項目を比較して書くことが求められている場合は、表の形式にすると同一の視点で比較できていることを確認できて安心です。

一、 過去問を利用する
 これもセンターと同様の理由で早いうちに解いてみることをおすすめします。最初のうちは制限時間を無視して納得ができる答案を書き、直前期には時間内でできる限り良い答案を作る、というように時期によって使い方を変えるのも有効です。

 最後に気をつけてほしいのはバランスを考えて勉強してほしい、ということです。本番は地歴よりも英数国の配点が高いですね。いくら地歴ができても英数国ががたがた、という状態では合格は望めません。そこで、夏休みが終わるまでにそれら三教科を完璧にする、という心意気で実際には9割方完成させることをめどに勉強してください。地歴は追い込みが効きます。

 このようにみなさんを煽るようなことを書きましたが、人生に一回しかない高校三年生の一年間を受験勉強一色で塗りつぶしてしまうのはもったいないです。学校行事、部活、に積極的に取り組むことは良い気分転換になりますし、そうしても十分に勉強はできます。現にそれらの面で活躍した先輩で現役でいわゆる難関校に合格している先輩はたくさんいます。これからの一年間を将来のための通過点にせず、しっかりと付属に足跡を残していってください(^_^)。長文におつきあいいただいてありがとうございましたm(_ _)m。みなさんの健闘をお祈りします!
■以下は、上記内容に私(山尾先生)が質問し、回答して貰ったものです。
(1)参考書・問題集
Q:何がいいですか、という質問が多くあります。どこを受けるかによりますが、東大を念頭においた場合、『地理100題』はどうでしょうね。いくつか気になる説明がありますが、幸か不幸か地理は歴史に比べると参考書類が少ないので、その中では薦めざるを得ない1冊になるかなと思っています。
A:地理100題は塾で問題量をこなせる人は不必要かもしれませんが、少なくとも自学する人はあきらめざるを得ない一冊ですよね。でも、あれをしっかりやっただけで相当点数がとれることは確かです。あれだけで夏の模試は相当良かったので(^_^)。ただデータが古いので常にデータブック片手に、の精神が必要ですね。

(2)まとめノートの作り方
Q:しばしば真面目な女子に多いのですが(と書くと語弊がありそうですが(^_^;))克明なまとめノートを作って勉強する方法がありますね。これはどう思いますか。ノートを作るのが自己目的化されてしまい、コストパフォーマンスを考えると、必ずしも能率的ではないような気がしてきました。
A:まとめノートは薦められません。中学校の定期テストくらいならまとめノートはとても有効な手段ですが、大学受験ともなると内容量が多いのでまとめノートを作っているよりはそれだけのことを読みながら覚えた方が手っ取り早いです。また自分で情報を取捨選択する基準が本当に確かなのか、と言う問題もありますね。何しろ、これから勉強するいわば知らないについて取捨選択を行うんですから。一生勉強って続いていくと思うけれど、どんどん内容は高度化、多量化するから読みながら覚えられる、理解できる、という習慣をこれを機に身につけることも良いと思います。

(3)過去問を行う時期

Q:力試しに、今すぐにでも、と思ったのですが、まだ力がついてないから、無理ですね。
A:過去問は今すぐはさすがに無理ですよ(笑)。・・・勉強しないで解いても東大の問題のすごさも分からないし、不必要に自信をなくすだけだから(勉強に着手したばかりだったらどれくらいできそうか分からなくて、できないって気になっちゃいそうな)どんなに早くても夏じゃないでしょうか。

(4)年間を見渡した地理のスケジュールについて
 どういうように勉強を計画を立てたらよいですか、という質問もあります。
「夏休みが終わるまでには、とりあえず一通り全体を見ておきなさい。どうせ忘れるから秋になってからやればよい、と思っていると、絶対的に時間がなくなってしまい、やらないままになってしまうおそれがあります」と答えていますが、どうでしょう。
A:理想としては夏までに一通りやるのが良いでしょうが、やっぱり英数国も大事ですからあくまで自分の中でバランスをとって、としか言いようがありません。英数国が終わっていなかったら地理は棚に上げ、そっちをやった方がいいのか?ということがきっと3年生は聞きたいのでしょうが、それには答えられません(笑)。だって、私は終わっていた人で、終わっていなかった場合に間に合うのかは分からないから、無責任な発言はできませんからね。だから、あくまで個人の判断に任せるしかないのではないでしょうか。
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