化学物質>身のまわりの化学物質-2

 

gomi
water
green
c.m
energy
eco-life
HOME
 

身のまわりの化学物質

■「化学物質過敏症」って、私にも関係あるの?

化学物質過敏症って何?
化学物質過敏症(Chemical Sensitivity)とは、「常用量もしくはそれ以下の化学物質の投与で誘発される、生体にとって望ましくない異常な過敏反応」が定義で、身のまわりの様々な種類の微量化学物質に反応して、体調が悪化したり、重症の場合には日常生活に支障をきたすこともある病気です。アメリカでは、人口1割程度がこの疾患の患者だといわれており、北里大学医学部の石川哲教授など研究者の推定では、日本でもほぼアメリカの割合に近いのではないかと指摘されています。つまり、約1,000万人以上の人たちが化学物質過敏症に悩まされていることになり、決して特定の人の病気ではありません。昨日まで、全く異常がなかったのに、ある日を境に突然発症するかもしれないのです。
化学物質過敏症の患者さんには中高年女性が多く、医療機関でも更年期障害と診断される場合もあるようです。中高年女性が多い理由は、思春期や更年期はホルモンバランスが崩れやすいため外的要因に左右されやすいことが指摘されています。また、化学物質過敏症がシックハウス症候群の場合、発症原因である家にいる機会が比較的多いということもあげられます。
 化学物質過敏症の患者さんの苦しみは、@苦しみを共有してくれる人が周囲になかなかいないこと、A周囲が理解してくれないため被害妄想に陥りやすくなること、Bますます苦しみを共有できなくなること、の悪循環にあるのではないでしょうか?
  原因で多いシックハウス   「住まい」>シックハウスもみてね
 化学物質過敏症の発症原因の半数以上が、いわゆる「シックハウス」や「シックビル」という室内空気汚染です。新築住宅の建材や家具から揮発するホルムアルデヒド、壁紙の可塑剤や難燃剤として使われるTCEP、畳の中の防虫加工紙に使われるフェニトロチオン(商品名スミチオン)、トイレ芳香剤や防虫剤として使われるパラジクロロベンゼンなどが汚染物質の代表です。
シックハウスに詳しい柳沢幸雄教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科)は、シックハウス症候群の問題点として、@原因となる化学物質の種類が多い、A長期間、低濃度の化学物質曝露による慢性中毒であるから、原因物質の特定が難しい、B顕在化した症状が化学物質過敏症である、C症状が多様で、その多くは自覚症状である、ということをあげています。

  「学校が怖い−シックスクールに苦しむ子どもたち

 化学物質過敏症の中でも、学校環境で起きるものをシックスクール症候群と呼んでいます。
 学校の増改築で使われた新建材や塗料、学校で日常的に使われているワックスやフェルトペン、洗剤、校庭の樹木への農薬散布、ゴキブリ駆除剤、プールの塩素などが原因で健康被害を受ける”シックスクール症候群”に苦しむ子どもたちが増えています。症状が重く、学校に行けない子どもたちもいます。先生方や養護教諭にいたっても化学物質過敏症への知識が少ないために、子どもが不当な扱いを受けていたり、教材や薬剤などについても代替物があるにもかかわらず使われなかったりといった事例が多いと聞きます。子どもたちには教育を受ける権利があるはず。化学物質のために学校へ行けない子どもたちへの早急の対策が必要です。
 子どもは体が小さいために体内濃度は大人より大きくなります。また、子どもの細胞は成長期であるため、外部刺激に対して大人より大きく反応する恐れがあることが指摘されています。学校だけでなく、児童館や公園などの子どもの施設はことに、子ども健康への影響を考慮して、化学物質の使用を規制してほしいものです。
 文部科学省は、化学物質過敏症患者団体などの働きかけの結果、ようやく重い腰を上げてシックスクール対策に取り組む姿勢を見せ始めました。子ども達が安心して学校教育を受けることができるような環境づくりを進めることは、文部科学省および学校の設置者である自治体の責務です。2002年2月には学校における化学物質の室内空気濃度の実態調査を踏まえて「学校環境衛生の基準」が改訂され、身体に影響がある化学物質に対する濃度測定・換気等の規定が追加されました。厚生労働省からも原因となる化学物質の室内濃度指針値が示されています。また、換気設備等の設置や、室内空気を汚染する化学物質の発生のない、もしくは少ない建材に大規模に改修する場合の工事については、国庫補助の対象とすることができることになりました。東京都も市民団体の再三の働きかけの結果、化学物質子どもガイドラインを策定していく方針を明らかにしています。
 しかし、昨年都が行った都立学校のホルムアルデヒドの調査結果でも、パソコン教室などで基準を上回った事例がみられています。また実際に、昨年開校した調布市の小学校で、子どもたちに健康被害が出ています。まだまだ、実際に子どもがすごす場での市民の監視を強化しなければなりません。
 化学物質過敏症って、いったいどんな症状なの?
 化学物質過敏症の症状は多彩で、皮膚症状と皮膚以外の臓器、組織を反応の場とする症状に分けられます。なかでも、発生頻度が高いのは皮膚症状で薬疹と呼ばれます。薬疹の中では、影脱(はくだつ)性皮膚炎型薬疹、中毒性表皮壊死症、多形滲出性紅斑重症型などが重症です。皮膚以外の臓器で発生する症状では、ショック、ぜんそく様呼吸困難、血清病型反応、薬物熱、多発動脈炎、紫斑、貧血、白血球減少、血小板減少、黄疸、腎不全などがあります。

 症状が現れるときとその症状を例示すると…(人によって異なりますので、化学物質過敏症の患者さんが全員このような症状になるとは限りません)

症状が現われるとき
具体的な症状
マンションの外装塗料が換気扇から入ってくる めまい、体のかゆみ
合成洗剤で洗ったシーツ・衣類に触れる 喉の痛み、足の痛み
排気ガスを浴びる 喉の痛み、息苦しさ
お湯で食器を洗う 喉の痛み、足の痛み
工事現場の前を通る めまい
締め切っていた納戸の戸を開ける めまい、足の痛み
百貨店の衣料品売場の前を通る 喉の痛み、息苦しさ、目への刺激、手足硬直
近くで人がタバコを吸う 呼吸困難、痙攣、集中力の低下、胸の痛み
肉屋や魚屋のそばを通る 呼吸困難
整髪料や化粧ををつけた人と話をする 呼吸困難、手足硬直、痙攣、集中力の低下
主人が外出から帰ってくる 喉の痛み、胸の痛み、手足痙攣、脱力感、全身疲労感、視界が暗くなる、思考力低下
電車に乗る 息苦しい

また、この問題の根深さとして、先の柳沢教授は次のことを指摘しています。
1. 症状が頭痛、倦怠感、手足の痺れなどの自覚症状である
2. これらは過敏症以外でも出る症状である
3. 一定の地域に多発する地域汚染ではない
4. まだ、社会的に認知されていない
5. 患者は激しい孤立感、疎外感に襲われる
6. 行動の自由が制限される

 どうすれば治るの?
 化学物質過敏症の治療の原則は、なるべく早く原因となった化学物質の投与を中止することと、それぞれの過敏症状に対して適した対症療法を実施することにつきます。中でもショック、呼吸困難は急激に発症して進行も速く、命に危険が及ぶ場合も多いため、循環不全状態、気道閉塞状態への救急処置の実施が大切です。その他の過敏症状については、一般に副腎皮質ホルモン剤の投与が有効なことが多いとされています。
  健康な人が化学物質過敏症にならないために必要な対策は?
 川名英之・江戸川大学講師はこれ以上化学物質過敏症の患者さんを増やさないために必要な対策として次の5つを提言しています。

@ 室内空気汚染(シックハウスやシックビル)対策
A 屋外の大気汚染対策
B 食品添加物と食物の化学物質汚染対策
C 飲料水の汚染対策
D 殺虫剤などの農薬と薬品による汚染対策
その内、@の室内空気汚染対策については一歩前進しました。

 厚生労働省は2002年9月にホルムアルデヒド対策として、学校やホテル、オフィスビル、百貨店などの新築や大規模な改修の際、使用前に室内の空気に含まれるホルムアルデヒド濃度の測定を義務付け、国の指針値(0.08pp以下)を上回る場合には改善策をとらせることを決めました。
 また、シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法が2002年7月に国会で可決・成立し、公布され、シロアリ駆除剤として多用されていた有機リン系殺虫剤のクロルピリホスが禁止されました。

 その他のA〜Dについての具体的な対策も必要とされていますが、例えば、同じ化学物質でも、農作業で使えば「農薬」ですが、室内で蚊を殺すために使えば「医薬部外品」、床下のシロアリ駆除剤として使えば「防蟻剤」で、それぞれ監督官庁は農林水産省、厚生労働省、国土交通省とばらばらです。根本的な問題解決のためにも、化学物質を総合的に規制する法制定が必要となるのではないでしょうか?

もっと詳しくは・・・特定非営利活動法人化学物質過敏症支援センター

参考:コミュニティスクール・まちデザイン講座(2002.10.8.)
講演「シックハウスは他人事ではない!−こんなにある!身のまわりの化学物質」
講師 柳沢幸雄氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
参考図書:「化学物質過敏症」
柳沢幸雄 石川哲 宮田幹夫
    文春新書

もどる