【脳と回復 1(3) 内容の抜粋】



T・B・I−とにかく・ぼくは・いきている−第3回




  藤井正子所長みずから、Kさんと本音のトークを交わしています。



藤井: あなたが交通事故の後、自分の生活に変化がおきましたよね。そのことで困ったこととかあります?


K: まあ、前よりも確実に本を読むとき、一回読んでも内容がちゃんと理解しきれてないと思うんですよね。

藤井: 昔は理解しきれてた?

K:  はい。昔はこんなんじゃなかったと思うんですよ。でも今は80%くらい読むと疲れてやめちゃいますね。

藤井: その他は?

K: あとは、時間についてですよね。

藤井: 時間が守れない?


K: そうですね・・・・

「高次脳機能障害」診断基準について

藤田久美子、大江陽子
・・・・・当研究所でも、練習帳を使ったリハビリテーションに取り組んでいらっしゃる方々がいらっしゃいますが、「集中力はあるけれども、今日のことをメモしておかないと忘れてしまう」、「性格は穏やかだけれど、ひとつのことにこだわり続けて、切り替えが上手くできない」など、それぞれ抱えている問題が異なります・・・・・
訓練1年目のおふたりについて ―注意力変化と今後の方針―

       藤井正子
・・・・・・・行動的変化であるが、自分ひとりで池之端まで来られるようになったことがあげられる。しかし、それを実現させるためには以下のような苦労があった。すなわち、本人に携帯電話を持たせて使い方を教え、研究所スタッフの携帯電話を教え、道順メモを持たせ、何度か母親が後ろからついて見守る、といった試行錯誤を重ねて実現したものであった。根津の駅で出口を間違え迷子になった、という電話がスタッフの携帯電話にかかってきたこともあった・・・・・・・
コーヒーブレーク:俺の心のイタリア

  「最近の漁師は、レーダーを使っているが、
      オレは、海や空、鳥、周りの雰囲気で魚を捕る。」 

と、よく言っている。

実際、仲間の漁師よりも、多く市場に魚をおろしている・・・・・・
いわゆる「痴呆」って何だろう?

       松岡恵子
  ・・・・ケース1では、この患者さんは「今はいつで、自分がどこにいて、何をすべきか」(専門用語で「見当識(けんとうしき)」と呼ばれます)ということが失われています。そして家族からみても「以前のあの人でない」と思われています。すなわち、「その人らしさ」という根幹の部分が、他の精神構造に置き換わってしまったような印象を受けます。

  他の例では、たとえばちょっと怒りっぽくなったケース3を見ても、いわゆる「痴呆」であるとは感じないと思います。それはなぜでしょうか・・・・・