◆[開発ノートから]マウス改造用クリックコントロールチップ

最新情報は、 こちら(http://www.ftl.co.jp/people/sakurai/pdev/ccc/ccc.html) です。


 最近はソフトでドラッグのロック機能を実現するものもありますから、必ずしもマウスを改造する必要はない事も多いのですが、ソフトの相性他の問題でやはり改造が必要な場面があります。マウスやトラックボールにドラッグのロック機能を追加する事は、比較的容易な改造なのですが、スイッチ自身にロック機能のある部品を使う場合以外は、現状では個別部品で組まなければならず、回路設計ができる力が必要です。技ボラをやっていくには自身のスキルアップも必要ですが、反対に少しでも技ボラできる人が増えるように、容易に手を出せるような方法を考えてみることも必要です。

 そこで、回路設計ができなくても、ICを1つマウスに組み込むだけで容易にマウスの改造ができる物を考えてみましたので、ここで紹介いたします。

 なお、以下、基本的にマウスという言葉を使いますが、トラックボールなどでも同じ事です。

●このICでできること

  1. ドラッグロック専用のスイッチを設けることができます。
  2. ダブルクリック専用のスイッチを設けることができます。
  3. 本来のクリックスイッチを1秒間(変更可能)押し続けると、ドラッグロック状態になるようにできます。(この機能はOFFにできます)
  4. 前記の状態になったときには、音と光でロックされたことを合図します。

●このICを使用するメリット

  1. 部品点数が少なく、1cm角程度の小型のICを使っている為、取付スペースに悩むことが少なくなります。
  2. 個別部品で組んでいると実現がめんどうな、ダブルクリックの機能や、一定時間クリックを押しつづけるとロックされる機能、音による合図が実現できます。
  3. 最小構成でない限り、費用を安く抑えられる。(500円〜1000円程度)

●このICを使用するデメリット

  1. 使用しているワンチップマイコンにプログラムを書き込む必要がある為、書き込み環境が無い人は、誰か持っている人を探す必要がある。(当面、私の方で対処します)
  2. 別スイッチの追加によるドラッグ機能の追加のみだと、ワンチップマイコンの単価(秋葉原で@250円)が高いため、個別部品で構成した場合より高くつく場合もある。

 図1が、全機能を使用した場合の回路図を載せます。(この状態では部品点数が多くなります)

全機能使用時の回路図

全機能使用時の回路図2

 このICは、図1の右下の破線の内部に示してある通り、マウス内のクリックスイッチへの配線を切って、スイッチと本来の回路の間に挟む形で取り付けます。スイッチに接続されている抵抗は元の回路側に残して、追加するICに行く配線からは切り離して下さい。

 マウス内のスイッチは、大きく分けて上の回路図(図1)のように押すとGNDへ接続されるタイプと、図2のように押すと+電源へ接続されるタイプがあります。そのどちらにも対応できる [Vccコモンのスイッチの図] [Vccコモンのスイッチの場合の改造回路図]設計になっていますが、基本的には図2のような場合には、図3のようにスイッチの両側を切断して、スイッチのみは上のGNDへ接続されるタイプに直して下さい。

 追加したICは、上でスイッチに繋がっていた抵抗を回路側に残しましたが、この抵抗によってクリック出力が電源投入時にHになっているかLになっているかを見て、元々のスイッチの接続形態を判断して動くため、追加ICからマウスへ行くクリックスイッチの代わりの信号の極性の心配はありません。

 注意点として、上の信号の極性の自動判定は、クリック入力についても行っているため、まずやらないと思いますが、パソコンの電源を入れるときにマウスのスイッチを押しっぱなしにすると、スイッチのON/OFFが反対になってしまいます。そのためパソコンの電源を入れる時には、マウスのクリックスイッチに手を触れないようにする必要があります。

スイッチの端子が両方共に電源から浮いていて、マウス内のICに直接入っている設計のマウスに組み込む場合

 なお、図4のようにスイッチの端子が両方共に電源から浮いていて、マウス内のICに直接入っている設計のマウスに組み込む場合は、ICの出力をフォトMOSリレー等で浮かしてやる必要があります。 あまりこのような接続になっているマウスはないですから、このタイプについては省略させて頂きます。

 普通は、最初に上げたような回路で、このICの機能を全て使うことはなく、以下のような使い方の方が多いでしょう。

1. マウスへ組み込む例

なお、仕様を上記のように想定したのは、マウスの場合はスイッチを追加するスペースがない事が多く、手に隠れてしまうため光による合図は見えない為です。

代表的なマウスへの組み込み例

2. トラックボールへ組み込む例

 なお、仕様を上記のように想定したのは、トラックボールの場合はスイッチを追加するスペースがある事、押し続けでロックの機能は、その時間を待つのがまどろっこしいため使わないであろう為です。

代表的なトラックボールへの組み込み例

 なお、いくら回路を簡単にしたとしても、最低限の部品の知識や、改造しようとするマウスの基板の上から電源とスイッチの配線を見つける力は必要です。

 スイッチは部品として見れば分かりますから、基板を裏返してスイッチの足がどれなのかも、なんとかみつけられるでしょう。但し、2本の端子のうちどちらが接続すべきポイントなのかは、電源の配線がどれなのかを見つける必要があります。

 一般的に電源には電解コンデンサーという極性表示(白い帯に−の記号)の付いた部品が入っていますから、この電解コンデンサーを基板上から見つけて、そのマイナス表示の付いた足が接続されている配線が電源のマイナス側、反対側の足が接続されている配線がプラス側という事が言えます。

 

この電源の配線と接続されていない側が、追加回路の接続点です。

これだけ見つけ出せれば、この回路を組み込むことは可能でしょう。

 

 言葉だけでは分かりにくいですが、写真を入れようにも、個々のマウスごとにまったく違ったものになってしまうため、これは不可能です。現実にはこれだけの説明で、いきなりマウスの改造を行うことは、初心者の場合は難しいでしょうが、初めのうちは詳しい人に見てもらいながら作業を行って、徐々に慣れてもらうことで、少しでも改造作業のできる人が増えていけばと思います。

 現実的な問題としては、個別部品で改造をしていると時間がそちらに取られてしまうという事があります。少しでも改造にかける時間を減らしたいというニーズがあって、今回これを作るきっかけになりました。

M.Sakurai(PFF01243)


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オリジナル:Prowler7010 最終修正日: 1998/07/11
編集:yossy.aoki 最終修正日: 2004/07/16