○ 自宅からこぎ出そう 1 〜三浦半島へ〜 (2000.10.8)
前夜に、夜行日帰りの伊良湖ホークウオッチングツアーから帰ってきたばかりなのに、次の日(今日のこと)は、もうチャリンコ遊びだ。最初は、三浦でシーカヤックをしようかな、なんて考えていたのだが、3連休の三浦なんて渋滞にはまりに行くようなもんだと思い、それならチャリンコで行っちゃえー!というノリでいきなり昨日の帰りの車の中で決めてしまった。つくづく自分の遊びに対する飽くなき探求心(?)に呆れてしまう。
今日のルートは単純明快。境川に沿って江ノ島まで行き、それから海沿いを走り、三崎口まで行くという計画だ。相模川沿いを下って平塚に出て、江ノ島から今度は境川を遡るというルートも考えたが、近頃急に親しみを覚え始めている葉山方面まで足を延ばしてみたくなり、このルートにした。
朝9:15分。出発。家を出て、3分ほどで境川流域と鶴見川流域の分水嶺となる町田街道越える。と、そこはもう境川流域だ。だから、現在私は、鶴見川人なのだが、半分境川人みたいなもんである。というわけで、鶴見川にも境川にも愛着がある。何だかはっきりしないようにも思えるが、それでよいのだ。
今の世の中では、自分の住んでいる場所を行政区によって認識するのが普通である。だが、行政区はあくまで、行政によって区切られたものである(もちろん、歴史的背景はあるが)。時代によって変わったりもする。しかし、流域なら、ずっと変わらない。(あ、でも、河川工事で流れを変えたりしちゃうねえ。ま、それはそれでということにしよう。)「私は、○○流域の誰それと言います。うちの川の鮎は、あんたんとこよりずっとうまいぜ。」なんて会話が交わされるのを想像するとおもしろい。あ、でも田舎の方は、ずっと昔からそういう感覚で生活しているんだろうなあ。
出発したばかりのに、なかなか話は進まないのである。これではいかん。
走り出すと、いきなり前から大集団が攻めてくる。どうやら歩け歩け団体らしい。「狭いサイクリングコースを横幅いっぱい使って歩くのは迷惑じゃー!」と、口では言えない小心者なので、対岸を走ることにする。
町田の駅まで来ると、「チー」という鋭い声。カワセミだ。すぐに目でその姿を探すが、見つけられない。しかし、こんな所にもカワセミがいたんだなあ、とびっくり。町田といっても、駅前だもんなあ。
町田の駅を少しすぎたあたりのベンチでコンビニおにぎりのちょっと遅い朝食タイムとする。川のせせらぎ(というほどきれいじゃないし、三面護岸のフェンス付きだが)を聞きながら朝食を食べるのはなかなか気持ちの良いものだ。
朝食後、ゆるゆるとこぎ出す。と、左岸をローラーブレードで走っている初老の男性が。顎には真っ白な長い髭が揺れている。腰が引けてあまり格好は良くないのだが、それでもその年齢でローラーブレードとは恐れ入りました。私も、いつまでもいろんなことに興味・関心をもって生きていきたいと思っている。このおじいさんを見習わなっくっちゃ。
国道16号を越え、大和市に入ると、風景が一変し、川の周りに田園風景が見られるようになってきた。最近の農家はほとんどが兼業農家であるらしく、どの田んぼも日曜日である今日を利用して稲刈りを行っている。親戚が大集合して行うのか、8名ほどの大人で刈り入れ作業を行っているところもある。しかし、考えてみれば兼業農家の方々って、平日は会社で働き、休日は農作業。メッチャ大変なんじゃないだろうか。
川沿いのサイクリングロードを走っていて気になるの
が、川岸の緑地を個人が勝手に家庭菜園にしてしまっていることだ。ご近所の間では、「うちじゃ、今、大根を育ててるんだ。」とか「今年はキュウリがたくさんとれたなあ。」などと温かい会話が生まれているのだろうが、完全な違法行為である。川岸の荒れたように見えるちょっとした草原は、昆虫や野鳥たちにとって貴重な生息空間である。それを人間が違法であることを知っていながら、勝手に使用するのはやめてもらいたいものだ。(このあたりは境川が市の境界線になってる。上流から見て右岸が大和市、左岸が横浜市。ここは左岸だから横浜市だ。横浜市さーん、巡回よろしくー。完全人任せモード!)
順調に走っていたのだが、相模鉄道をくぐるところで突然サイクリングロードが途切れてしまった。こういうのが一番困るんだよなー。仕方なく横道に入ったのだが、道をロストしてしまった。地図を見ても、方向オンチの私には現在地を把握することができない。でも、私は考えたね。「川が流れているところは土地の低いところだ。だから、道が下っていく方向に素直に進めば川に出る。」と。
クネクネとした下りの裏道を丁寧にたどっていくと・・・。ジャーン。やったね。境川と再会することができたのでありました。自然の摂理に沿って進めば良い!ということですね。
藤沢市に入ったところで、ナシの直売所を見つける。こういうのを見ると、寄らずにはいられない性格である。店頭にはS,M,L,LLの4種類のナシが並んでいた。
「すみませーん。一個でも売ってもらえますか。」
店の若奥さんが気持ちよく
「1個でもいいですよ。」
と答えてくれる。
「すみませんが、包丁を貸してください。」
どこまでも図々しい。でも、買ったその場で食っちゃうのが直売ナシの正しい食べ方だろう。汁をぽたぽたと垂らしながらこの秋最後となるであろうナシを頂いたのであった。
藤沢の駅のそばからはサイクリングロードもなくなり、町中に入ったり、川沿いの細い道を走ったりしながら進むことになる。
川幅も広くなり、川の両端には違法係留されているプレジャーボートが目立つようになる。畑にしろ、プレジャーボートにしろ、日本の河川は違法行為によってメチャメチャにされている。かわいそうである。ふと目を前方に向けると、もう江ノ島が迫っていた。
お昼も過ぎたので、うまい魚定食を食わせてくれる店はないかと探すが、おしゃれな店ばかりでなかなかお目当てのお店が見あたらない。カップルならそういう店が似合うが、小汚いチャリンコオヤジが一人で入るには定食屋が最適なのだ。
海沿いの道は3連休を楽しむ家族連れやカップルで少し渋滞気味であった。そんな中、へへーん、自転車には渋滞がないもんねー!と思いながら走るのは快感である。しかし、カップルを横目に七里ヶ浜・稲村ヶ崎・由比ヶ浜と走るのはちょびっと悲しかったりもするが、なるべくそう思わないようにして走るのがソロツーリストのやせ我慢である。
そんなことを考えながらチャリンコを海沿いに走らせているうちに葉山まで来てしまった。そこで、漁師料理の店「海人市場」と書いてあるちょっと怪しげな店を発見。ちょっと入りたくなる。値段も刺身定食1300円、日替わり定食950円と、お手頃。ここに決ーめった、と、店に入る。
「今日、日替わりやってますか?」
「やってますよ。今日は、イナダのバター焼きです。」
「じゃ、日替わりをお願いします。」
最近は、休日は日替わり定食はやってません、という店も多いのに良心的である。店の雰囲気もグッド。メニューを見ると全て魚料理なのである。良いではないか、良いではないか、と唸ってしまう。
「ハイ、日替わりです。」
料理ができあがってきた。バター焼きの他に汁物、ワカメご飯、それにひじき・漬け物・大根とイカの煮物。しかも、ご飯と汁物はおかわり自由!!!これで950円!!!すばらしい!!!あまりの感激にいきなりガツガツと食べ始める。食べている途中で、
「おっと、デジカメで撮っておかなきゃ」
と気づき、慌てて撮影。食べ途中の画像ですみません。
幸せな気分で店を後にする。
さて、次なる目標は、秋谷海岸だ。2週間前、ヒタジェンヌの伊藤さんと長浜から秋谷までカヌーでツーリングをしたばかり。その時、初めて海から秋谷海岸を見たのだが、今日は、再び海岸から海を見るのだ。でも、自宅からチャリンコで来たというところに今までとは別の価値がある。
秋谷海岸は2週間前とは違い、バーベキューを楽しむ人や釣り人で大にぎわいであった。しかし、バーベキューというのは「定番」と考えるべきなのか、「○○の一つ覚え」と考えるべきなのか、迷うところだ。私としては、料理なんてたーくさんあるんだから、野外料理=バーベキューというものからそろそろ脱却して、個性あふれる野外料理シーンを見てみたいものなのだが・・・。
秋の風を感じながら、立石とその向こうに見える岩場をしばらく眺めていた。すぐそばの立石公園
には、ウラナミシジミがたくさん飛んでいた。彼らは世代交代をしながら北上していき、初冬には北海道まで達するが、そこでは冬を越せずに死んでしまうという。何とも悲しい本能である。
秋谷を過ぎ荒崎を抜けると、あっけなく三崎口に到着してしまった。
走行距離72キロあまり。自宅から三浦半島なんて、自転車で行こうなんて考えたこともなかったが、来てみれば意外と近いことがわかった。
よーし、これから「自宅から こぎ出そう」新シリーズを始めよう!と思った次第である。(いつも新企画を考えるのだが長続きしない・・・。琵琶湖一周・北海道一周はどうなった?なんて聞かないで!)
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