根子岳で、初めて笑う。 (1998.4.5)

1週間前に三田原山・前山でさんざんな目にあったのに、懲りもせず1週間後に根子岳を攻めることになった。メンバーは、ワイルドターキーカップで知り合った楠木さん、三田原山・前山で一緒だった染野さん、そして私の3名である。
前回のツアーで、単独なら車も電車も同じくらいの料金だと分かったので、疲れがなく、睡眠飲酒可という点から、今回は電車を使うことにした。
まず、朝4時58分発の小田急で、町田から新宿へ。その後、中央線にて東京へ。東京から6時20分発の長野行き新幹線に乗り8時49分上田に到着。そこで、高崎在住の楠木さんの車に乗せてもらい、峰の原スキー場へ乗り込む。
事前に染野さんがスキー場へ電話をしてくれていて、菅平奥ダボススキー場は閉鎖、峰の原スキー場が4.5まさに今日まで営業していることを教えてくれた。そのため、軟弱な我々は簡単に峰の原発のコースをとることにした。といってもリフト1本乗るだけだが。
まずは、300円のリフト1回券を購入。そしてリフト上部へ。
9時40分。そこからシールをつけ、根子岳山頂を目指す。他にも、単独でのテレマーカーが1人。我々は3人で、ゆっくり歩き始める。上空にはイワツバメが、ジュリリジュリリと鳴きながら飛び交い、春のツアーという感じを盛り上げてくれる。
が、少し歩いて菅平ゴルフ場に着くと、雪が、ない。正確には、雪があることはあるのだが、途中何カ所も雪のない部分があり、とてもスキーを履いて歩くことはできない。そこで、スキーをはずし、ザックにくくりつけ歩くことにした。ゴルフ場を汗をかきかき登る。途中で疲れて何度も休憩をとる。
数十分歩いてやっとゴルフ場を抜け、雪が連続するようになった。再びスキーを履く。根子岳でうれしいのは、常に山頂が見えていることと、とてもなだらかな山で、山周りキックターンなどほとんど必要なく登れることだ。また、途中に道標がきちんとついていて迷うことがない(その分、おもしろさに欠ける)。
10時50分。少し歩いて、避難小屋に着く。他の7,8名のパーティーに出会う。皆、細いステップソール付きのテレマークをザックにつけてツボ足で登っている。雪はしまっているので、スキーの重ささえ気にならなければ、その方が速いのかもしれない。小休止の後出発。
しばらく歩いているとかかとは痛くなるし、おなかはすいてくるし、といった具合になってきた。それまでは、風の強い山頂を避けて、山頂の少し手前でお昼御飯にしよう、といっていたのだが、さっさとそれを撤回して、そのまた少し前の木の陰で昼食にする。11時53分。先ほどの別パーティーもその近くで昼食をとっているようだ。
それぞれスキーの上に座り込み、お弁当を食する。楠木さんが、お湯を沸かしてコーヒーを入れてくれた。んー、幸せ。この前の前山のツアーでもそうだったが、こういう奇特な人がいるんだよなあ。おかげで、疲れもとれて、よしもう一踏ん張りしようという気になった。
12時30発。山頂までは、その場所から意外と近く、あっけないくらいだった。最後の急斜面をヨヨヨッと登ると山頂。12時45分。そこには、数名のテレマーカーや山スキーヤーがいた。また、ホシガラスも我々の登頂を喜んでくれているかのように、やってきてガララガララと鳴くのだった。
驚いたのは、単独行の人の方が多かったことだ。雪山というととても単独行など考えることができなかった私ではあるが、そういう人もちゃんと存在しているのである。
パソ通などを見ていると、カヌーの単独行は危険だ、という人が多い。しかし、私のロングツーリングの多くは、単独行である。それでも危険と感じることは少ない。単独だからこそ、より緊張し、慎重になり、正しい判断をしなければならないと常に心がけているからだ。そして、自分だけの判断により行動することがとてもおもしろい。日常ではそれはほとんどできないからだ。
雪山に単独で入る人は、私の単独カヌーツーリングと同じ思いなのだろうか。私も、自分の技量と相談しながら、テレマークでも単独ツアーに挑戦してみたい。きっと別の世界が待っていることと思う。それには、まだまだ勉強しなければならないことが多いなあ。
さて、山頂で、数名の山スキーヤーと雑談を交わした後、いよいよ下りはじめることにした。13時15分。コースは、来た道をそのまま戻るという安全なものだ。
今日の雪質は・・・。三田原山、前山での最悪の状況が脳裏を横切る。
ところが、この日の雪は、しっかりとしまっていて滑りやすいの何の。ええっ。ツアーでもこんなに滑りやすい雪ってのがあるんだ。と思わずびっくりしてしまうくらい。先週降ったばかりの雪のせいかもしれない。
おお、こりゃ快適。3人とも(もしかしたら自分だけかも)、「ホー、ホー」「ヒュー、ヒュー」と歓声を上げながらテレマークターンで滑り降りる。あまりに一気に滑り降りてしまいそうなので、途中で止まっては、「ああ、もったいないよー」と上を見上げる。
それでも、下りの快感に耐えきれず、どんどん下ってしまう。途中、登ってくる人の横を、スピードを上げて突っ切っていくのだからやめられない。
が、しばらく行くとあちらこちらに藪が目立ちはじめ、コースを確かめるために止まることも多くなってきた。本当は、雪が多い左の谷を滑っていきたいところだが、そっちに行くと菅平の方に行ってしまう。われわれは、涙をのんで右側の峰の原方向へと滑っていくのだった。
あまりの楽しさに一気滑りを楽しんでいたのだが、楽しさは長くは続かないものだ。2時間半かけて登ったところを30分で下りてしまった。ゴルフ場に到着して、上を見上げると、山頂は遙か彼方にかすんでいる。あんなところにいたんだ。なんだかとても30分前の出来事とは思えなかった。不思議な感覚を味わった。
その後は、再びザックにスキーをくくりつけ、とぼとぼとスキー場までの歩き。登るときはもちろん大変だったが、登りに夢中で、あまりその距離を実感することはなかったが、冷静に下り道を歩いてみると意外に長い。こんなところをよくも歩いて登ったなあ、と感心してしまう。
所々暖かい日差しで雪が解け、池や川になっているところをビシャビシャと進む。そして、スキー場へ。
ゲレンデは、高い気温のせいで、ぐしゃぐしゃ状態。山の方がよっぽど滑りやすく、気持ちがよかった。
その後、楠木さんのお薦めの温泉(これが昔から続いているとてもすばらしいものだった)で汗を流し、長野行き新幹線であっという間に東京へ。ちょっと前まで、雪の中にいたことが信じられない気がした。
それにしても、今回のツアー。私のツアー経験の中で、初めて気持ちよく滑ることができて超満足。また、根子岳はとてもなだらかな山で、気候さえ安定していれば、初心者でも十分楽しめるビギナー向きのよい山だと思った。是非来シーズンも来てみたい。
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