3.特殊な予報に関する用語

(1)河川、洪水、地面現象に関する用語 (2)大気汚染に関する用語 (3)気象通報に関する用語

   

 (1)河川、洪水地面現象に関する用語


 河川に関する用語

水系 ある河川の本川、支川、派川、およびこれに連らなる湖沼を合わせたもの。
本川(幹川) 流水量、長さ、流域の広さなどから、その水系のなかで一番大きい川。
支川 本川と合流する川。本川へ合流する川を一次支川、一次支川へ合流する川を二次支川ということがある。
派川 本川から分かれて流れ出る川。
流域 ある河川、または水系の四囲にある分水界(二以上の河川の流れを分ける境界)によって囲まれた区域。
洪水予報では、水位を予測する基準地点に流入する水量を推算するための領域を指す。
レーダー・アメダス流域雨量 レーダー・アメダス解析雨量と降水短時間予報を用いて、流域ごとに面積平均した実況および予想の雨量。
天井川 川底が周辺の土地より高くなっている河川。
右岸、左岸 河川の上流から下流に向かって右側の岸を右岸、左側の岸を左岸という。
一級水系 国土の保全上、国民の経済上特に重要な水系で政令で指定したもの。
一級河川 一級水系のうち建設大臣が指定し、管理を行う河川。
二級河川 二級水系のうち都道府県知事が指定し、管理を行う河川。
洪水予報指定河川(指定河川) 水防法の規定により、建設大臣が運輸大臣に協議して定めた(運輸・建設省告示)河川。
洪水予報指定河川は、二以上の都府県の区域にわたる河川または流域面積の大きい河川で、洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがある河川が対象となる。

 
 

 洪水に関する用語

水位 河川水面の高さ。
平常水位 増水や渇水をしていないときのふだんの水位。
指定水位 出水時に毎時観測を始める水位。
通報水位 出水時に通報を始める水位。
警戒水位 出水時に災害が起こるおそれがある水位。
指定河川では、水位が警戒水位程度または警戒水位を超えると予想する場合に洪水注意報を発表する。
計画高水位(けいかくこうすいい) 堤防などを作る際に洪水に耐えられる水位として指定する最高の水位。 指定河川では、洪水警報の基準となっていることが多い。
最高水位 ある地点の、ある出水時の最も高い水位。
流量 川のある断面を単位時間に流れる水の量。
出水 大雨や融雪などにより川の水量が増大すること。
増水 平常の水位よりも水かさが増すこと。
溢水(いっすい) 河川の水が堤防を越えてあふれ出ること。
浸水 ものが水にひたったり、水が入りこむこと。
用例 床下浸水。低地の浸水。
冠水 田畑や作物などが水をかぶること。
決壊、破堤 堤防が切れること。
氾濫 河川の水がいっぱいになってあふれ出ること。
内水氾濫 河川の水位の上昇や流域内の多量の降雨などにより、河川外における住宅地などの排水が困難となり浸水すること。
内水氾濫の対語として、河川の氾濫を「外水氾濫」ともいう。
洪水 河川の水位や流量が異常に増大することにより、平常の河道から河川敷内に水があふれること、および、破堤または堤防か
らの溢水が起こり河川敷の外側に水が溢れること。
水文学における「洪水」の定義では、降雨や融雪などにより河川の水位や流量が異常に増大すること。
融雪洪水 流域内の積雪が、大量に解けて引き起こされる洪水。4〜5月頃に大雨や気温の急上昇などとともに起こることが多い。
洪水予報指定河川の洪水予報 洪水予報指定河川について、気象庁と建設省の機関が共同して、洪水のおそれの状態を基準地点の水位または流量を示して
行う洪水の予報。
予報の種類は、洪水注意報と洪水警報の2種類があり、これらを補足するために洪水情報がある。


 
 

 地面現象に関する用語

地すべり 一般的に、山地の緩斜面を構成している土砂や岩石が、極めて緩慢に移動する現象で、地下水が原因となる。
山崩れ 山地の斜面の土砂や岩石が急激に移動する現象で、大雨や融雪が原因となる場合が多い。地震が原因となることもある。
がけ崩れ 都市周辺の台地端の自然の急斜面や人工的に切り取った急斜面などの急激な土砂移動現象。
土石流 溪流の川床に崩落、たい積した土砂や岩石によってせき止められて水かさを増した川の水が、それらのたい積物を一気に押
し流すもの。あるいは、斜面を崩落する土砂や岩石が多量の水と共に流動性を帯びて下流に流れるもの。
表層崩壊 斜面の表層を形成する土砂が急激にすべり落ちる現象で、山崩れはこの現象であることが多い。
先行降雨 山崩れ、がけ崩れにおいては数日前からの降水が原因となることがある。ある時刻に影響を与える過去の降水量をいう。時間的に厳密な定義はないが1日より前を対象にすることが多い。前日までに降った大雨によって土が湿っているときなどに「先行降雨の影響で山崩れやがけ崩れの発生のおそれが高くなっている」などと表現する。
山津波 土石流のうち規模の大きいもの。
鉄砲水 短時間の強い雨などにより谷川の水位が急上昇し水流が堰を切ったように押し出すこと。土石流や都市河川の急激な増水をいうこともある。
土壌雨量指数 降雨が土中にどの程度貯えられているかを、水収支計算に広く用いられているタンクモデルを適用して計算したもの。

 

 (2)大気汚染に関する用語

大気汚染 天然または人工的に作り出された有害物質によって大気が汚染されること。
光化学大気汚染 光化学オキシダントによる大気汚染。
スモッグ

高濃度の汚染物質により視程が悪くなる状態。もともとは、煙(Smoke) と霧(Fog) の合成語。

大気汚染では霧の存在とは関係なく、高濃度の大気汚染の場合に使われている。ばい煙と霧による場合はロンドン型スモッグ、光化学オキシダントによる場合はロスアンゼルス型と呼ばる。

光化学オキシダント 大気中の炭化水素類と窒素酸化物の混合系光化学反応から二次的に生成される汚染物質で、オゾン、PAN(パーオキシアセチルナイトレイト)などが含まれる。刺激性があり、人や動植物に影響を与える。
光化学スモッグ 大気が安定で、風が弱く日照が適当に強く気温が高いなどの気象条件によって、地表付近の光化学オキシダント濃度が高くなる現象。
酸性雨 窒素酸化物や硫黄酸化物などの酸性汚染物質が溶けこんだ降水(pH5.6以下)をいう。
大気汚染物質 主に窒素酸化物、硫黄酸化物、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、炭化水素など。
粉じん 物の破砕、選別やその他の機械的処理などに伴い発生または飛散する物質およびディーゼル排出ガスやスパイクタイヤによる粒子など。
硫黄酸化物 硫黄と酸素との化合物で二酸化硫黄(亞硫酸ガス)を主とし、三酸化硫黄などを含む総称(SOXと書くこともある)。
硫黄酸化物注意報 地方自治体が大気汚染緊急時対策として「発令」する措置の一つ。硫黄酸化物注意報の他、予報・警報などがある。
窒素酸化物 一酸化窒素や二酸化窒素などの総称(NOXと書くこともある)。それ自体強い毒性を持ち、光化学オキシダント、酸性雨の原因物質の一つ。
炭化水素 炭素と水素からなる化合物の総称で、大気中で光化学反応により諸種の物質を生ずる。光化学オキシダント生成の原因物質の一つ。
オゾン オゾン(O3) は主として成層圏に多く分布するが、大気汚染の分野で問題とするものは主に下層大気中の光化学オキシダントの主成分としてのオゾン。
大気汚染防止法 昭和43年6月に制定された法律。大気汚染気象業務と関連して都道府県知事による汚染の状況の常時監視、緊急時の措置などが規定されている。
光化学スモッグ注意報 地方自治体が大気汚染緊急時対策として「発令」する措置の一つ。東京都の場合は「光化学スモッグ注意報」のほか予報、警報、重大緊急報、および学校関係を対象とする光化学スモッグ学校情報がある。 環境白書では「光化学オキシダント注意報」としている。
大気汚染気象 大気汚染に関連する気象。
スモッグ気象情報 大気汚染気象に関して気象庁が発表する情報。
大気汚染気象ポテンシャル 気象条件による高濃度な大気汚染の発生の可能性をいう。
拡散 濃度分布が異なるとき、濃い汚染物質が時間とともに周囲の空気と混ざり、薄くなりながら範囲を広げる現象。
一般風 地形など局地的な影響を受けない、広い地域を代表する風。
海風 日中、気温の低い海面から気温の高い陸地に向かって吹く風。気圧傾度の弱い時に顕著となる。
陸風 夜間、気温の低い陸地から気温の高い海面に向かって吹く風。気圧傾度の弱い時に顕著となる。
海風前線 海風の先端に形成される局地的な前線。前線付近で高濃度汚染が発生しやすい傾向がある。
最大混合層高度 地表付近で大気中に排出された汚染物質が大気の乱れや対流活動で鉛直方向に運ばれ、周囲との混合・希釈が行われる高さを混合層高度という。最高気温の出る日中に最も高くなり、この高さを最大混合層高度という。
逆転層 気温が上方に向かって等温または高くなっている気層。前線に伴うもの、放射冷却などによるものがある。逆転層が低く、風が弱いと汚染物質が溜りやすい。
大気汚染物質 汚染物質や放射性物質などが大気中を広がりながら遠くまでの長距離輸送輸送されること。
ヒートアイランド 都市域の高温現象。人工熱や大気汚染などの影響で都市域が郊外とは異質の高温な大気で孤立して覆われる現象。
バックグランド汚染 天然または人為的な汚染発生源から放出された汚染物質が、時間とともに拡散することによる低濃度の常時観測される残留汚染。

 

 (3)気象通報に関する用語

漁業気象通報 NHKのラジオ第2放送を通じて1日3回、主に日本近海で操業する漁船に対して行う気象通報で、その内容は各地の天気・ブイロボットおよび船舶の報告・漁業気象(全般海上警報の範囲内の台風、高・低気圧、前線などの実況および予想)からなる。
漁業無線気象通報 気象業務法の規定により、漁船の操業の安全に資するための気象官署と漁業用海岸局との相互気象通報。気象官署からは、漁業用海岸局と交信している漁船が行動している海域の気象や津波に関する情報を通報する。漁業用海岸局からは、漁船の行った気象観測の成果および気象などによる災害に関する情報が通報される。
鉄道気象通報 気象業務法の規定により、鉄道事業施設の気象、津波などによる災害の防止および鉄道事業の運営に資するための気象官署と鉄道関係機関との相互気象通報。気象官署からは、気象や地震・津波に関する情報を通報する。鉄道機関からは雨や雪、地震などの観測の成果などが通報される。
電力気象通報 気象業務法の規定により、電力事業施設の気象による災害の防止および電力事業の運営に資するための気象官署と電力関係機関との相互気象通報。気象官署からは、雷雨や大雪などにより電力事業に支障が出ると予想されるときに通報する。特に、雷雨に関して雷雨予報、雷雨警戒報がある。電力機関からは雷、雪などの観測の成果などが通報される。
大気汚染気象通報 大気汚染防止法の規定により、都道府県知事が行う緊急時の措置に資するための気象通報。気象官署から大気汚染による公害の防止措置を行う都道府県の機関に対して、大気汚染気象および大気汚染気象予報に関する事項を通報する。
火災気象通報 消防法の規定により、気象の状況が火災の予防上危険と認められるときに都道府県知事に対して行われる通報で、市町村長が発令する火災警報の基礎となる。実効湿度、風速などにより通報基準を定めている。
農業気象通報 気象に起因する農業災害の防止、軽減などに資するための気象通報。気象官署から都道府県(北海道は支庁)の農林担当機関に対して、農業の気象による災害の防止および軽減に関する事項を通報する。

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