作らなかった防音二重窓
     

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■日本家屋は、音に関しては本当に開放的です。
  音は遠慮なく家の中まで響いてきます。

  ところが夫は、音に対してだけは超神経過敏なところがあって、
  かなり防音性のある公団に住んでいる時でさえ、
  子供の騒ぐ声やバイクの音にイライラしていることがありました。

特にこの家は、車もバイクも人通りも、わりとある道に面しているので、
  「この音の攻撃に耐えられるのか?」が唯一、夫の心配の種だったようです。
  この家に引っ越すにあたっては「防音の二重窓を取り付けること」が条件として夫から出されました。

  さっそく業者に相談して、見積もりをしてもらうと・・・・
  道に面した窓だけでも、「ウヘー」予算オーバー。結構な金額です。
  さらに「窓だけ防音しても、古い木造だとほかの所からも音が漏れますから、
  あまり意味ないかもしれませんよ」と業者の方の残酷なお言葉。   沈んでいく夫・・・

■考えた末、夫は自分の方を変えるしかないと思ったようです。
  音を受け入れ慣れていく事へのチャレンジが始まりました。
  この歳まで超過敏だった耳を変えるのは無謀のようにも思え
  ましたが、ほどなくひとつの事に気付いたのです。
  それは、人為的な音は気になるけれど、自然の音は気になら
  ないどころか、いい音に感じるという事です。
  ある日、誰かが棒をたたいていると思って、イライラしていた音
  が、それが実は風のしわざだったと分かったとたんにイライラ
  が消え、音がまるで気にならなくなった事があったのです。
  という事は、同じ音でも自分の捉え方ひとつで聞こえ方が違っ
  てくるのです。

  彼の修行(?)のかいあってか、今では夫の耳もかなりタフになり、
  少々の音にはイライラする事もなくなりました。
  条件だった防音二重窓は今も付けられていません。  
  めでたし、めでたし。
  人間の耳とは不思議なものですね。  

          

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