ねぇねぇ、俺に英語を教えてくんない?」というS君が言ってきました。2005年9月のことです。

 「でもさ、もう高校3年生だし、今からじゃ遅くない?」というと、「でもさ、ある程度、英語は出来ないとまずいじゃん

 色々と私も考えるところがあったので、「じゃ、他の人にも声をかけて、チャレンジしてみるか」ということで、この企画は始まりました

 

 英語の授業をやっていて、悩みが多くありました。その中でも、「生徒が分かるという授業であっても、それが学力に直結するとは限らない」ということです。これについていは、異論・反論をお持ちの方もおられるでしょう。しかし、自分で学習をすることのない生徒にとって、「分かる授業」というのは、あくまでも「生分かり」の状態にすぎません。そこから、復習をすれば、力はつくのでしょうが、復習をしなければ、元の木阿弥です。結局、力はつきません。

 
<最初の仮説・試み>
 勉強しないのは、分からないからだ。分かるようになれば、生徒は英語を学習するようになる!
 
 こう考えました。そこで、行きすぎたコミュニケーションワークから脱却させようと、文法を分かりやすく教える工夫をしてみました。それはそれで、「授業は分かる」という評価を生徒からもらったのですが、上にも書きましたように、「生分かり」の状態、つまり、授業中に分かった気持ちになるだけ、という結果でした。
<2番目の仮説・試み>
 分かった英語を音読・筆写(書写)することで、英語の力は定着する!
 そこで、授業中に、徹底的に音読や筆写を行いました。文法の理解&音読、筆写をすることで、定着率アップを目指したのです。
 音読・筆写はそれなりに効果があります。英語の達人と呼ばれる人たちは、音読を大切にしている人がほとんどです。でも、これには次の2つ問題点がありました。

(1)授業中では音読や書写を行うには限界があり、音読を行える生徒は少ない。
(2)音読や筆写は効果が出るまでに時間がかかり、なかなか結果が出ない。

 はっきり言ってしまえば、高校で英語を得意教科にしている生徒は、音読や筆写をすでにしていたり、この単純な作業をしっかりと行える生徒です。だから、英語が苦手な生徒にとって、この音読や筆写を続けることは、なかなか骨の折れる作業です。

 とはいえ、この2番目の仮説の実践を通じて、英語を勉強してみよう、自分にでも出来たんだ、という気持ちになり、学力がついた生徒も少なからずいます。ですから、これはこれで、それなりに意味があったものでした。

<3番目の仮説・試み>
 短文の中で単語を覚えることで、文法と単語との両方をマスターできる。
 当然といえば当然なのですが、基礎的な学力を高めるためには、確かに文法や音読も必要なのかもしれませんが、まずは単語だ、という結論に落ち着きました。分からない単語をいくら音読したり、文法の説明で出てくる単語が分からなければ、その意味は大幅に薄れてしまうからです。そこで、拙著「短文で覚える英単語1700」を作ることになりました。

 

 とはいえ、この単語を覚えることで、どれほどの効果があるのかは、正直、未知数でした。そこで、進路もだいたい決定した生徒に協力をお願いして、ここに出てくる260のセンテンスを覚えることで、どのような効果があるのかを、実験することにしました。