Rrrrrr... Rrrrrr... Rrrrrr... ガチャ... 『はい。斉藤です――』 「も、もしもし。館林[たてばやし]です。あの――」 『ただいま留守にしています。ご用の方は――』 (……え? う、うそ、そんな! 今日は絶対ウチにいるはずなのに!) 『――メッセージをどうぞ』 “ピー” ――――。 ――。 …………。 ……。 「……もしもし。館林です。 そ、そんなんじゃゼンゼン分かんないよね。ちょ、ちょっと待って。 えーっと、わたし、館林見晴[みはる]っていうの。 え? 誰だかわからない? アハ、当たり前よね。 コアラ頭の女の子、知らない? わたしだったんだ、それ。 わたしね、あ、あなたの事が、す、好きで、何時の間にか あなたに気付いて欲しくて、そ、そう、いろいろとチョッカイだしてたの。 廊下でワザとぶつかったり、 あなたの電話番号をクラスのお友達――美樹原さんっていうの――から聞き出して、 留守になる時を狙って家に電話したり、 2年の春には、きらめき中央公園、夏にはきらめき海水浴場で、人違い装って声かけてみたり。 ゴメンね。迷惑だったでしょ? 大丈夫。わたし、もうあなたの事、諦めるから。こんなマネ、二度としないから! アハハ。な、何言ってるか分かんないよね! ま、まぁ、こんな意気地なしで最低の私なんかより……藤崎さんと、ね! きっと、きっとだよ! じゃあ!」 ガチャ。 “ピー” 『1件、デス』 Rrrrrr... Rrrrrr... Rrrrrr... ガチャ... 『はい。斉藤です――』 ヘイヘイ。 『ただいま留守にしています。ご用の方は――』 ヘイヘイヘイ。 『――メッセージをどうぞ』 “ピー” 「ああ、おふくろ。オレだ。 今日、遅くなる。 ホラ、今日高校生活最後の日曜だろ? で、お祝いに、しお……い、いや、藤崎さんを きらめき遊園地に連れてってやることになったんだ。 ……なんでだか知らないけど、藤崎さん、閉園になるまで遊ぶ気でいるらしいんだ。 ったく何考えてんだか。オレは別にいいんだけどさ。 ……そんで、メシ食べて帰るって。 だから、オレの分のメシは作らんでいいよ。じゃあ」 ガチャ。 “ピー” 『2件、デス』 ガチャ。 「庄司ー。帰ったわよー」 ――。 「庄司ー? 庄司、いないのー?」 あら? "留守電"ボタンがチカチカと。 ひょっとして故障でもしたのかしらー。うーん――と。 あった"消去"ボタン。これね。これを押したらいいのかしら?」 ピ。 “ピー” 『0件、デス』 「あー、やっと消えたわ。 ……庄司のしわざね。ホントに機械をいじるのが好きなんだから! 機械オンチの身にもなってほしいわねぇ……!」 ガチャ。 「ただい――」 「庄司ー!! この不良、いつまでほっつき歩いてたの!! もう夜中の1時じゃないの! 警察に――」 「だ、だから"今日は遅くなる"って留守電に――」 「留守電!? 知りますか、そんなもの!!」 「"知りますか"って……」 「罰として学校以外、外出禁止!!」 「ちょ、ちょっと待――」 「言い訳無用!! 今日はもう遅いから、さっさと寝なさい!!」 Zzzz... 「は、はい! お、おやすみなさい!」 Zzzz...
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