チューリッヒ美術館
初回は夏の終わりころ、南ドイツのムルナウに語学研修のため滞在していた娘とチューリヒで落ち合い旅をしました。
日本はまだ残暑というのに、チューリヒはすでに秋風が吹き始めていました。
スイスらしい山荘風の可愛らしいプチ・ホテルに一泊。ホテルからすぐの坂道を5分程登ると、美術館です。
玄関横にはロダンの地獄の門。みかけの割りに内部は広く、中世の木彫りから現代アートまで見ごたえのある美術館です。2度目は夏のオペラのための旅に友人達と訪れ立ち寄りました。
ここはスイスで活躍したセガンティーニ、ホードラー、クレーなどのコレクションの他にちょっと変わったところではフュースリJohann Heinrich Fussli の展示室(写真左)があります。
シェクスピアの演劇を題材にした絵画がズラリと並んでいます。マクベスの「三人の魔女」、「真夏の夜の夢」ほか。
2、3日前に観たばかりの「ファルスタッフ」(ウインザーの陽気な女房達)もありました。(写真右)

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ジャコメッティのコレクションも膨大です。(ジャコメッティ財団からの貸し出し?)、訪れた2回とも彼の特別展に
当たりました。彫刻家のドローイングは優れたものが多いのですが、ジャコメッティのはまた特別に印象深いものが
多いです。
1996.9 2002.7 |
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オスカー・ラインハルト・コレクション(スイス/ヴィンタートゥール) |
ヴィンター・トゥールWinterthurはチューリヒから電車で急行なら20分足らず、本数も多いので気軽に訪れることができます。
ヴィンター・トゥールの駅前からはバスもあるのですが、1時間に1本くらいなので、タクシーで10分程度の美術館へ。
美術館は街の郊外にあり、静かな住宅の並ぶ区域の丘に建っています。裏手は森の散歩道になっているようで、この近所の住民が犬を連れて歩いているのが見えました。
この美術館は個人のコレクションとしては広範囲に優れた作品を揃えています。古くは上ラインのマスターと呼ばれる画家の板絵からピカソまで。スイスの田舎で静かに名画の鑑賞ができます。
稀少価値抜群なのはグリューネ・ヴァルトのデッサン「手を組んだ哀悼の女」(下)、女性の美しさをまったく感じさせない、はっきりいって醜い女を描写。非情な眼を持つ画家はうっすらと生えた口ひげまで描いて、そのリアリズムには脱帽。まさしくあの「イーゼンハイムの祭壇画」の表現に通じる激しいものが見えます。醜のなかにも美があることを、みかけの美を追求することのない画家の姿勢に頭を垂れたい心境になりました。

希少なもう一点はピーター・ブリューゲルの「雪のなかのマギの礼拝」、宗教画というよりはブリューゲルらしい当時の庶民の生活を描いた作品。
シャルダンの「カードの家」(下)はコピーがパリのコニャック=ジェ美術館にあり、数日前に観てきたばかりでした。本物はやっぱり素晴らしいです!少年の初々しい薔薇色の頬にうっとり。
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フランス絵画は他にもシャルダンの静物画、ジェリコー、アングル、ドラクロワ、コローなど。特にミレー、ドーミエ、
クールベの蒐集には熱心だったようです。セザンヌは自画像も含め多数。
またゴッホの「アルルの病院の中庭」(左)と「アルルの病院の病室」(右)の対照的な
2枚の画は並べて展示されています。精神病院に入れられたゴッホの辛い時期の作品かと思われます。
この絵を観た翌年アルルへ行き、左の絵の中庭に立ちました。

山荘の館風の落ち着いた建物に、一室に2、3名ほどの見物客、静かに鑑賞できました。感じの良いカフェ・レストランも
あり、ゆっくりティータイム。都会の大きな美術館には見られないのんびりした環境がすっかり気に入りました。
帰りのタクシーもチケット売り場の方に頼むと、快く電話をして呼んでくれました。 2002.7

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バーゼル美術館 |
チューリッヒから国境の街バーゼルまで特急で1時間ほど。中央駅で買った紙パック入りの中華で車中ランチ。私とチューリッヒで待ち合わせるまでドイツ滞在が一ヶ月の娘はとても美味しそうにパクパク。食べてから気がついたのですが、一等車ににんにくの臭いがプンプン・・汗。
ホテルでひと休みの後、レセプションの女性にほめられて気を良くした娘のドイツ語をたよりに歩きました。美術館までは路面電車で行きました。橋を渡ると古い重厚な教会などが見え、歴史のある街らしい佇まいです。けれども、美術館の見学だけで、街の散策をする暇も体力も残らなかったのが残念でした。
9月になったばかりというのに、このあと旅したアルザスも含め肌寒い日々が続き、レインコートが手放せない状態。門を入った前庭にはロダンやカルダーの彫刻が飾られています。内部は思いのほかガラス窓が大きく、自然光のなかでゆったり鑑賞できます。一番残念だったのは、この日が日曜だったため、現代部門の部屋が閉まっていたこと。そのかわり入場無料でした。有料でも全部観たかったのですが・・・。
この美術館は印象に残る絵画が多く、またここで初めて知ったスイスで活躍したヴィッツ(Konrad Witz 15世紀のドイツの画家)を知りました。代表作「人間救済の鑑の祭壇画」があります。こういうタイトルの祭壇画は初めてだったので、帰国後調べてみました。上段が旧約聖書、下段が新約聖書で、それぞれの画面が呼応するという構成。中世の予型論の書物『人間救済の鑑』を典拠に製作されたとのこと。ヴィッツの特徴はその自然な写実性。描かれる顔の表情もどこかのどかで愛嬌があります。↓左「アンナとヨアキム金門での出会い」 右「シナゴーク」折れた矢を持つ盲目の女人が旧約の寓意。手に持っているのは石版は?
↓の絵葉書はホルバイン(ドイツ・ルネッサンスの画家)の「ホルバインの妻と2人の子供」。画家はバーゼルに家族を残し、イギリスに単身赴任していました。一時帰国したときに描いた作品。ヘンリ−8世の宮廷画家をつとめ、描いた絵画は王や妃達、富裕な階級の人々の肖像画、宗教画が多いのです。そのなかで彼の妻子の絵画は異彩です。夫の留守がちな家庭は決して幸せそうに見えません。あまり裕福そうにも見えません。画家と視線を合わせないこの家族の生気のなさから連想されるのは病とか死・・・「死の舞踏」の大規模な壁画があったバーゼルの街、そしてここの美術館のもう一枚のホルバインの描いた「墓のなかの死せるキリスト」。ホルバインの作品の底に流れる精神はやはりバーゼルにあったのでしょう。
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ほかにはベックリンの「死の島」、ホードラーの「ニーゼン山」など見逃せない名画が多数。

それにしても物価の高いスイス・・・ブックショップでいつものように絵葉書を何十枚と購入したのですが、合計額を聞いて
「えっ?お金ない」と泣く泣く何枚かを戻しました。
この旅の終わりに訪れたスペインの3倍以上の値段だったと記憶しています。 1996.9
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ウィーン美術史美術館 オーストリア/ウィーン |
ウィーンの街は整い過ぎた壮麗さが初めはあまり好きになれなかったので、美術館を見学すれば後は来ることは無いと
思っていました。このあと2度も訪れることになろうとは思ってもみませんでした。
ウィ−ン美術史美術館はヨーロッパ、いや世界でも超有名な美術館ですから、広大な内部に膨大なコレクション、もう目
がまわりそうでした。初回は主に絵画部門だけを見学。3時間×2日=6時間かかりました。
再び訪れたのは6年後、この時は彫刻、工芸部門もまわり、チェッリーニの「塩壷」も念入りに鑑賞してきました。
しかし、翌々年でしたか建物の改修中に盗難にあってしまいました。厳重にガラス函に入れてあったのに信じられません。
超有名なので売るに売れないでしょうから、多分自分の物にするために盗んだのでしょう。
盗んだもの観て美しいと思う気持ちがわかりません。
↓早く見つかってほしいです。この写真を撮るのは順番待ちで大変でした。

絵画部門はブリューゲルをはじめ、素晴らしい傑作がめじろ押しなので、ここに列挙するときりがないので特に印象的な
ものだけ・・・絵葉書のコレッジョの2点「イオ」と「ガニュメデス」。ユピテルの愛の物語の連作4点のうちの2点です。
ボルゲーゼの「ダナエ」もベルリンの「レダ」も観ましたが、4点並べて観たいなあ〜と贅沢なことを考えてしまいました。

変わり物好きなのでアルチンボルドの4枚の四大元素、アルトドルファーの「ロトと娘たち」クラナハの「ユデット」
バルドゥング・グリーン「人生の三段階と死」(この画家の作品にはいつも驚かされる)などが面白く、気に入りました。
自分の部屋には飾りたく無いけれど・・・。
オペラのためにウィーンに行く機会が増えてきました。ウィーンは裏通りが面白いというガイド本も購入したのがきっかけで、
テクテク街歩き。ケーキもコーヒーも美味しいし、次第に楽しい街になってきました。
1995.9 2001.4 2003.4
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アルベルティーナ美術館 オーストリア/ウィーン
ここは長い間の改築が終了してウィーン訪問3度目でようやく入館できました。しかし、このときはムンクの特別展があり、
常設の素描はほとんど観られませんでした。
受付に尋ねたところ、不定期の展示とのこと、それも全部を一度に展示することはないようです。
落胆する私に「来月はデューラーですからいらっしゃい」といわれてもね〜。
それでもこの時の「ムンク展」は大層充実したものでしたので、機嫌も直りました。
せめてもの記念と、ブックショップでここの素描コレクションの画集(下)を購入しました。さすがです。何冊かあリ、重いので
次回を期して一冊だけ買い求めました。次の訪問はいつになるのでしょう。
この近辺は美術館へのエスカレーターも付いたので、近代的な都市の感が強くなりました。
ウィーンも訪れるたびに変貌していきます。国立オペラ座の近くにスターバックスもできちゃって、ウィーンの行く末を案
じてしまうのでした。(って大げさ 笑)

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