アメリカの美術館 2

   イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館 / ボストン
     Isabella Stewart Gardner Museum

4階建ての15世紀のヴェネチア宮殿風の建物は中央に大きな美しい中庭があり、緑や花でいっぱい。この美術館は写真は禁じられていますので、HPの写真↑をお借りしました。

まず3階まで上がり、ティツィアーノルームから見学します。どの部屋も絵画や彫刻だけでなく、見事な家具や陶磁器などが飾られていて、豪華で古典的。アメリカの大富豪の個人美術館はさすがです。ティツィアーノルームにはその名のとおりティツィアーノの代表作「エウロペの略奪」(写真左)、そして以前はジョルジョーネ作とされていた「十字架を運ぶキリスト」(右)(Work shop of Giovanni Bellini)この絵画は午前中観たほうが良いでしょう。西日がガラスに反射して、キリストの涙が良く見えませんでした。ハンサムに描かれたキリストのNO1です。

   

1898年にこの「十字架を運ぶキリスト」がボストンに届く前にジャック・カードーナ氏が急死。夫人は二人のローマでの思い出に銀のカップにヴァイオレット(紫陽花?)の花を挿して、この絵画の前に飾るのが習慣だったそうです。夫人が亡くなった現在でもこの習慣は続いているそうですが、そのときは気がつきませんでした。(ヴァイオレットの無い時期は近い色の花を挿すそうですが)

次の間のロングギャラリーは自然光のためやや暗いので見落としそうになったのが、大好きなウッチェロの「婦人像」(左)(帰属に問題あり?)。ゴシックルームにはこれも見落としそうになったシモーネ・マルティーニの「聖母子」(右)

  

2階はお待ちかねのカルロとピエロが待っていました。ラファエロルームのカルロ・クリヴェッリ「聖ゲオルギウスと龍」(左)画集で見るより色彩がくすんでいるせいか、地味な印象。(ポルト・サン・ジョルジョ祭壇画の一部)
隣の初期イタリアルームはピエロ・デッラ・フランチェスカの「ヘラクレス」(右)(サンセポルクロのピエロの自宅に飾られていたフレスコ画の一部)。棍棒を持つ裸のヘラクレスは戸惑ったような視線。「なんでここにいるのかな?」って・・・。とにかく、私の追っかけの2枚を無事観ることができて大満足。

   

ウィリアムズタウンから5時間バスに揺られて、ボストンに戻ったその足で駆けつけたものですから、美術館をでたときは体力の限界、ふらふらになってホテルへ。      2008.4

  イェール大学付属美術館 /ニューへヴン  
     Yale Universty Art Gallery



ニューヨークのペンステーションから1時間半ほどで ニュー・へヴンに到着。駅の構内にはコインロッカーもなく、荷物は持ったままでイエール大学へ。美術館にはコインロッカーがあります。(入場は無料) http://artgallery.yale.edu/

この美術館を訪問するきっかけは以下の3つの興味から始まりました。
  (1)
初期キリスト教の遺構3世紀初頭・・・10年前に訪れたことのあるシリアのユーフラテス川畔のドゥーラユーロポス。ローマ帝国辺境の都市だったドゥーラユーロはペルシア人の侵略に備えて土塁で覆われ、そのまま見捨てられていたのです。1931〜32年にフランス・アメリカ共同隊によって、キリスト教徒の家の洗礼室が壁画ごと発掘されました。この遺構がイエール大学美術館にあると知ったのはつい最近のことです。
この遺跡はまだキリスト教が公認される以前のもので、キリスト教美術の最も古い例とされています。

しかし、実際に訪れてみると一般公開はされていないようで、係員に尋ねても、いくら下手な英語で説明しても通じなくて、(係員も見たことが無いようです)諦めました。この美術館に本当にあるのかしら?ともかく一般公開はされていないようです。

(2)建物がルイス・カーンの設計・・・映画「マイ・アーキテクト」、この映画はルイス・カーンの 唯一の息子ナサニエル・カーンがニューヨークのペンステーション駅のトイレで不慮の死を遂げた父の足跡を追った、父親探し(建築を訪ねた)の映画です。晴らしい建築シーンの数々、建築の芸術性へのこだわり、ルイス・カーンの生きざまに感動しました。

イエール大学の客員教授だったカーンの処女作がここのアート・ギャラリー(1953)なのです。古い教会?のような建物に付加された増築棟で、美術館の入り口側になります。広いロビー、天井のデザイン、可動パーティションなど。



Chapel st を隔てた向かいに建つイエール大学英国美術センターもカーンの設計(1977遺作-完成を待たずに他界)。

(3)「The Art and Style of Sara and Gerald Murphy 」を開催中でした。

newheven1.jpgBさんのお薦めで「Living Well Is the Best Revenge 優雅な生活は最大の復讐である」(Calvin Tomkins 青山 南訳) を読んでマーフィ夫妻を初めて知りました。詳しいことは略しますが、20世紀初め、パリや南仏で芸術家たちと交流を持ち、フィッツジェラルドの「夜はやさし」のモデルになった魅力的なアメリカ人の夫妻として有名です。特に南仏アンティーヴでの暮らしぶりはヨーロッパの伝統にアメリカの華やかさと合理性を加味した、豪華ではなく趣味の良い、アーティストたちの圧倒的な賞賛を集めたものだったようです。(ピカソ、レジェ、サティ、コール・ポーター、へミングウェイetc)その「作品としての暮らし」のなかで描かれたGerald Murphyのペインティング15点?(数えませんでしたが)と夫妻の写真などが展示されていました。(撮影不可)

ちなみに「優雅な生活は最大の復讐である」というタイトルはスペインの諺だそうです。
「快適な生活とひどい仕事、ないしは、ひどい生活と美しい仕事、どっちかだよ」。優雅な生活は生活か仕事かのどちらかで失ったものへ、そして過酷な人生への復讐なのだから・・・。優雅な生活とは一般に考えるところの贅沢な生活とは違います。生活を趣味を愉しむことで、人生の辛い時期にも耐えられるということです。マーフィ夫妻も例外ではありません。愛息の死と言う悲劇と経済的な不運が、このあと待ち受けていました。
それでも変わることなく、夫婦の絆は深かったようです。そして友情・・・レジェが成功してアメリカで展覧会を開催したときの話に胸が熱くなりました。。
なおGerald Murphyはここイエール大学の出身です。イエール大学のアメリカ文学コレクションにヘミングウェイやフィッツジェラルドの写真が収蔵されている関連もあったようです。
この展覧会はウィリアムズカレッジ美術館(終了)〜イエール大学〜ダラス美術館の順に開催されました。

上記の3つのinterests のほかに、ここにはヨーロッパ絵画、彫刻やアフリカ、アジア美術ののコレクションも多数展示されています。ゴッホの「夜のカフェ」(左)マティス「婦人像」など。そして2006年NYのメトロポリタンに貸し出されていたCarlo crivelliの「聖ペテロ」(右)に再会というおまけつき。     2008.4

   




  クラーク美術研究所/ウィリアムズタウン(マサチューセッツ州) 
    Clark Art institute



ボストンからバスでウィリアムズタウンに行きました。乗換えが2回、5時間弱かかりました。それぞれのターミナルでも特に困ることもなく、スムーズにほぼ時間通りに到着。ホテルはクラーク美術研究所に歩いていけるところを探して決めたのですが、幸運なことにこのホテルの前がバスの発着所だったのです。定刻に到着しましたので、ホテルにチェックイン後、すぐにクラーク美術研究所へ行きました。Williamstownはとても静かな大学の街で、ところどころに建っている大きな邸宅はほとんどが大学の寄宿舎だそうです。
素敵な住宅街を歩いて10分〜15分で美術館が見えてきました。

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クラーク美術研究所(月休、夏以外は無料) http://www.clarkart.edu/
PHOTO182.JPG写真は旧館棟 入り口は左の新館から。

いつもは順番どおりに展示室を回るのですが、長旅の末、ここに辿り着いたのに、もし、お目当てのピエロ・デッラ・フランチェスカの「聖母子と4天使」が貸し出しとか、修復とかだったら・・・そんな不安な気持ちを振り切るように、館内マップを手にピエロの展示室に直行。あったわ〜!!と思わず、駆け寄る私でした。(笑)「セニガリアの聖母」に比べると色彩が単調な感じはしますが、絵の具が薄く塗られた素朴な画面に静謐なピエロの時間が流れています。閉館に近く、見学者はごく少なく、この部屋も私が独り占めとほくほく。ふと人の気配に振り返ると係員が・・・怪しげなアジア人のおばさんと思われたかしら?(笑)

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PHOTO175.JPG展示室の外は池のある庭園が広がっています。ピエロの絵は何枚かアメリカに渡って来ましたが、こんなに静かで、素敵な美術館に至宝として展示されているのですから、追っかけをしてここまで来た甲斐がありました。満たされた気持ちとともに、そろそろピエロ巡りも終わりに近くなったことが実感され、胸がきゅん。

 

 


ここのコレクションでは印象派が圧倒的に多く、なかでもルノアールはどっさり。(笑)
残念だったのはクリヴェッリの「祝福するキリスト」が観られなかったこと。
コレクションのカタログには載っていますが・・・残念。

Master of Embroidered Foliage(ネーデルランド15世紀)の「聖母子」

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ゴーギャン「画家の娘」 ティソ「Chrysanthemums(菊)」(1875年) これら2点はカタログに載っていないので最近コレクションに入ったものか、または個人コレクションの委託と思われます。

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 そろそろ閉館なので外へ。 まだ明るかったのですが、広い庭園を散歩する体力はもうありません。そういえば安藤忠雄氏設計の建物って入り口の新しい棟だったのでしょうか?

木々のあいまに見え隠れする個人の家が洒落ていて、きょろきょろしながら歩いていると、寄宿舎の近くでキャッチボールをしていた大学生が「元気?」と挨拶してくれました。余程疲れているようにみえたのかも・・・でも、とても嬉しいことでした。にこにことホテルに戻りました。          2008.4

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   ノートン・サイモン美術館 /パサディナ   Norton Simon Museum


L.A郊外の落ち着いた高級住宅地パサディナの町外れに建っています。次女一家がロサンゼルスに住んでいたときに、当時1歳だった孫娘を連れて訪問。
赤ちゃん連れなので地階のアジアなどの彫刻はパスし、一階フロアの14世紀から20世紀までの欧米絵画を中心に見学しました。美術館デビューを果たしたチビちゃんはむずかることもなく、最後に玄関前にあった大きな仏像を指差し「あ〜!!」さすが日本の赤ちゃんと喜んだオババ馬鹿でした。

コレクションで気にいったのは好きなスルバランが3点もあったこと。写真スルバランの「静物」「聖母の誕生」

   

変わったところではフォンテンブロー派の影響を受けたアントワープ出身の
16世紀の画家Jan Massysや渋沢龍彦のお気にいりのS・Stoskopffなど。
写真は
リベラ「The Flower Vendor](左)セザンヌ「花瓶のチューリップ」(右)

     

L.Aに行くことがあったら、ポール・ゲッティの次にはぜひ訪ねてみてください。素敵な庭園を眺めながら、お茶もできます
。    2006.4





  バーンズ財団/メリオン   Barnes Foundation

ニューヨークから日帰りで、フィラデルフィア美術館とこのバーンズ財団のコレクションの見学をしました。のんびりがモットーの私にしては大活躍の一日になりました。

予約制になっています。出発が決まってから  バーンズ財団コレクションのHP
 http://www.barnesfoundation.org/  で1時半に予約しました。

先にフィラデルフィアを半分見学して、館内でランチを済ませてから、1時になりましたので、タクシーで  メリオンのバーンズ財団へ。20分くらいで到着。(20〜25$)今回の旅では一番南の地域なので、公園や住宅地の新緑の木々が眩しいほどでした。周囲は広い敷地に邸宅の並ぶエリアです。門のところでタクシーはいったんストップ。ガードマンに名前と時間を伝えると、携帯で確認、そして中に入る許可がでます。チケット代10$はネット予約したときにすでに引き落とされていますので、入館すると即手荷物はすべて地下のロッカーへ預けることを指示されます。カメラはもちろんのことお財布も持てません。門外不出のここのコレクションは10年前頃?に建物の改修時に東京まで来たことがあります。あの時は上野の駅までの大行列に恐れをなして、あきらめてUターンして帰ってきました。いつかアメリカで観てやるぅ〜と決意してから、すでに10年以上経ったことになります。

PHOTO312.JPG   PHOTO316.JPG←裏庭


2008.2 Barns.jpg最初の部屋(絵葉書)から左右に展示室が並んでいます。印象派が大部分ですが、そのなかでマティスのダンスや「Joy of Life」↓がとても新鮮に目に映りました。

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古いものであれっ!と思うものが1点「二人の聖人?」。バーンズさんが購入したときはジョルジョーネの作と思われていたのでしょうか?額縁にはGiorgioneの刻印が押されています。ただし、説明書きにはベッリーニ派の名前が・・・ペンも持っていませんのでメモもできません。ボストンのガードナーにあったキリストの絵と同じに帰属が疑われた結果、ベッリーニ派に落ち着いたものでしょうか。購入してきた絵葉書のなかから   左ゴーギャン「M.Loulou」 右ゴッホ「Houses and figure」

2008.2 Barns2.jpg   2008.2 Barns1.jpg

 アンリ・ルソーやモディリアーニなど、あまり知られていない作品がここには随分多く展示されていました。ジョルジョーネから連想してしまったのですが、バーンズさん、結構偽物をつかまされた様な気もしました。(勝手な憶測ですので、内緒) 2008.4