アメリカの美術館 2



2階はお待ちかねのカルロとピエロが待っていました。ラファエロルームのカルロ・クリヴェッリ「聖ゲオルギウスと龍」(左)画集で見るより色彩がくすんでいるせいか、地味な印象。(ポルト・サン・ジョルジョ祭壇画の一部)
隣の初期イタリアルームはピエロ・デッラ・フランチェスカの「ヘラクレス」(右)(サンセポルクロのピエロの自宅に飾られていたフレスコ画の一部)。棍棒を持つ裸のヘラクレスは戸惑ったような視線。「なんでここにいるのかな?」って・・・。とにかく、私の追っかけの2枚を無事観ることができて大満足。

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イェール大学付属美術館 /ニューへヴン
Yale Universty Art Gallery
ニューヨークのペンステーションから1時間半ほどで ニュー・へヴンに到着。駅の構内にはコインロッカーもなく、荷物は持ったままでイエール大学へ。美術館にはコインロッカーがあります。(入場は無料) http://artgallery.yale.edu/
この美術館を訪問するきっかけは以下の3つの興味から始まりました。
(1)初期キリスト教の遺構3世紀初頭・・・10年前に訪れたことのあるシリアのユーフラテス川畔のドゥーラユーロポス。ローマ帝国辺境の都市だったドゥーラユーロはペルシア人の侵略に備えて土塁で覆われ、そのまま見捨てられていたのです。1931〜32年にフランス・アメリカ共同隊によって、キリスト教徒の家の洗礼室が壁画ごと発掘されました。この遺構がイエール大学美術館にあると知ったのはつい最近のことです。
この遺跡はまだキリスト教が公認される以前のもので、キリスト教美術の最も古い例とされています。
しかし、実際に訪れてみると一般公開はされていないようで、係員に尋ねても、いくら下手な英語で説明しても通じなくて、(係員も見たことが無いようです)諦めました。この美術館に本当にあるのかしら?ともかく一般公開はされていないようです。
(2)建物がルイス・カーンの設計・・・映画「マイ・アーキテクト」、この映画はルイス・カーンの 唯一の息子ナサニエル・カーンがニューヨークのペンステーション駅のトイレで不慮の死を遂げた父の足跡を追った、父親探し(建築を訪ねた)の映画です。晴らしい建築シーンの数々、建築の芸術性へのこだわり、ルイス・カーンの生きざまに感動しました。
イエール大学の客員教授だったカーンの処女作がここのアート・ギャラリー(1953)なのです。古い教会?のような建物に付加された増築棟で、美術館の入り口側になります。広いロビー、天井のデザイン、可動パーティションなど。
Chapel st を隔てた向かいに建つイエール大学英国美術センターもカーンの設計(1977遺作-完成を待たずに他界)。
(3)「The Art and Style of Sara and Gerald Murphy 」を開催中でした。
Bさんのお薦めで「Living Well Is the Best Revenge 優雅な生活は最大の復讐である」(Calvin Tomkins
青山 南訳) を読んでマーフィ夫妻を初めて知りました。詳しいことは略しますが、20世紀初め、パリや南仏で芸術家たちと交流を持ち、フィッツジェラルドの「夜はやさし」のモデルになった魅力的なアメリカ人の夫妻として有名です。特に南仏アンティーヴでの暮らしぶりはヨーロッパの伝統にアメリカの華やかさと合理性を加味した、豪華ではなく趣味の良い、アーティストたちの圧倒的な賞賛を集めたものだったようです。(ピカソ、レジェ、サティ、コール・ポーター、へミングウェイetc)その「作品としての暮らし」のなかで描かれたGerald
Murphyのペインティング15点?(数えませんでしたが)と夫妻の写真などが展示されていました。(撮影不可)
ちなみに「優雅な生活は最大の復讐である」というタイトルはスペインの諺だそうです。
「快適な生活とひどい仕事、ないしは、ひどい生活と美しい仕事、どっちかだよ」。優雅な生活は生活か仕事かのどちらかで失ったものへ、そして過酷な人生への復讐なのだから・・・。優雅な生活とは一般に考えるところの贅沢な生活とは違います。生活を趣味を愉しむことで、人生の辛い時期にも耐えられるということです。マーフィ夫妻も例外ではありません。愛息の死と言う悲劇と経済的な不運が、このあと待ち受けていました。
それでも変わることなく、夫婦の絆は深かったようです。そして友情・・・レジェが成功してアメリカで展覧会を開催したときの話に胸が熱くなりました。。
なおGerald Murphyはここイエール大学の出身です。イエール大学のアメリカ文学コレクションにヘミングウェイやフィッツジェラルドの写真が収蔵されている関連もあったようです。
この展覧会はウィリアムズカレッジ美術館(終了)〜イエール大学〜ダラス美術館の順に開催されました。
上記の3つのinterests のほかに、ここにはヨーロッパ絵画、彫刻やアフリカ、アジア美術ののコレクションも多数展示されています。ゴッホの「夜のカフェ」(左)マティス「婦人像」など。そして2006年NYのメトロポリタンに貸し出されていたCarlo crivelliの「聖ペテロ」(右)に再会というおまけつき。 2008.4
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クラーク美術研究所/ウィリアムズタウン(マサチューセッツ州)
Clark Art institute
ボストンからバスでウィリアムズタウンに行きました。乗換えが2回、5時間弱かかりました。それぞれのターミナルでも特に困ることもなく、スムーズにほぼ時間通りに到着。ホテルはクラーク美術研究所に歩いていけるところを探して決めたのですが、幸運なことにこのホテルの前がバスの発着所だったのです。定刻に到着しましたので、ホテルにチェックイン後、すぐにクラーク美術研究所へ行きました。Williamstownはとても静かな大学の街で、ところどころに建っている大きな邸宅はほとんどが大学の寄宿舎だそうです。
素敵な住宅街を歩いて10分〜15分で美術館が見えてきました。
いつもは順番どおりに展示室を回るのですが、長旅の末、ここに辿り着いたのに、もし、お目当てのピエロ・デッラ・フランチェスカの「聖母子と4天使」が貸し出しとか、修復とかだったら・・・そんな不安な気持ちを振り切るように、館内マップを手にピエロの展示室に直行。あったわ〜!!と思わず、駆け寄る私でした。(笑)「セニガリアの聖母」に比べると色彩が単調な感じはしますが、絵の具が薄く塗られた素朴な画面に静謐なピエロの時間が流れています。閉館に近く、見学者はごく少なく、この部屋も私が独り占めとほくほく。ふと人の気配に振り返ると係員が・・・怪しげなアジア人のおばさんと思われたかしら?(笑)
展示室の外は池のある庭園が広がっています。ピエロの絵は何枚かアメリカに渡って来ましたが、こんなに静かで、素敵な美術館に至宝として展示されているのですから、追っかけをしてここまで来た甲斐がありました。満たされた気持ちとともに、そろそろピエロ巡りも終わりに近くなったことが実感され、胸がきゅん。
ここのコレクションでは印象派が圧倒的に多く、なかでもルノアールはどっさり。(笑)
残念だったのはクリヴェッリの「祝福するキリスト」が観られなかったこと。
コレクションのカタログには載っていますが・・・残念。
Master of Embroidered Foliage(ネーデルランド15世紀)の「聖母子」
ゴーギャン「画家の娘」 ティソ「Chrysanthemums(菊)」(1875年) これら2点はカタログに載っていないので最近コレクションに入ったものか、または個人コレクションの委託と思われます。
そろそろ閉館なので外へ。 まだ明るかったのですが、広い庭園を散歩する体力はもうありません。そういえば安藤忠雄氏設計の建物って入り口の新しい棟だったのでしょうか?
木々のあいまに見え隠れする個人の家が洒落ていて、きょろきょろしながら歩いていると、寄宿舎の近くでキャッチボールをしていた大学生が「元気?」と挨拶してくれました。余程疲れているようにみえたのかも・・・でも、とても嬉しいことでした。にこにことホテルに戻りました。 2008.4
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ノートン・サイモン美術館 /パサディナ Norton Simon Museum
コレクションで気にいったのは好きなスルバランが3点もあったこと。写真スルバランの「静物」「聖母の誕生」

変わったところではフォンテンブロー派の影響を受けたアントワープ出身の16世紀の画家Jan Massysや渋沢龍彦のお気にいりのS・Stoskopffなど。
写真はリベラ「The Flower Vendor](左)とセザンヌ「花瓶のチューリップ」(右)
L.Aに行くことがあったら、ポール・ゲッティの次にはぜひ訪ねてみてください。素敵な庭園を眺めながら、お茶もできます。 2006.4
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バーンズ財団/メリオン Barnes Foundation
←裏庭
最初の部屋(絵葉書)から左右に展示室が並んでいます。印象派が大部分ですが、そのなかでマティスのダンスや「Joy of Life」↓がとても新鮮に目に映りました。

古いものであれっ!と思うものが1点「二人の聖人?」。バーンズさんが購入したときはジョルジョーネの作と思われていたのでしょうか?額縁にはGiorgioneの刻印が押されています。ただし、説明書きにはベッリーニ派の名前が・・・ペンも持っていませんのでメモもできません。ボストンのガードナーにあったキリストの絵と同じに帰属が疑われた結果、ベッリーニ派に落ち着いたものでしょうか。購入してきた絵葉書のなかから 左ゴーギャン「M.Loulou」 右ゴッホ「Houses and figure」

アンリ・ルソーやモディリアーニなど、あまり知られていない作品がここには随分多く展示されていました。ジョルジョーネから連想してしまったのですが、バーンズさん、結構偽物をつかまされた様な気もしました。(勝手な憶測ですので、内緒) 2008.4