ITALIA

SARDEGNA ROMANICA 

サルデーニャ島@ (1)カリアリ大聖堂 Cagliari (2)サン・サトゥルノ教会 Cagliari
(3)サン・パンタレオ教会 Dolianova (4)サンタ・マリア教会 Uta
(5)サン・プラターノ教会
Villa Speciosa
(6)サンタ・ジェスタ教会 Oristano (7)サン・パルメリオ教会
Ghilarza
(8)サン・ピエトロ・ディ・ツーリ教会 Zuri (9)サン・二コラ教会 Ottana (10)サンタ・サビーナ教会
Silanus
   カリアリ大聖堂 Cagliari

2005年6月末の早朝札幌を出発して、午後の東京発JAL便でローマへ。あまり冷房の効いてないローマの空港で、もはや真夏のイタリアに来た実感がわいてきました。スムーズな乗換えでサルデーニャへいよいよ上陸です。夕日が海面に反射して黄金色に染まった地中海の美しさ・・・島に近づくころは夕闇が迫り、カリアリ上空にさしかかったころはすでに夜。初めてのサルデーニャでしたから、少々心細い気持ちになりました。飛行場では荷物を待つ間、留守宅に「無事到着」のEmailをしましたが、送信できません。ローマでは送信できたのに・・・不安な気持ち。そしてトランクがターン・テーブルに現れません。ロスト・バッゲージのカウンターに行ってみますと行列です。ようやく、順番がきて訊ねてみました。奥のインターナショナルのほうにあるとのこと。何故?別のところにあるのかしら・・・係員も無愛想。指差す奥の部屋に行ってみましたら隅に私の大事なトランクが転がっていました。おまけにタクシー乗り場も行列。ホテルに着いたのは11時過ぎ。そんなこんなでハラハラのサルデーニャ上陸の夜でした。

翌日は涼しい北海道から出てきた身には辛い暑い一日でした。快適な冷房の効いたホテルを出たとたん「うわ〜暑い!」ホテルの前の坂道を登りながら強い日差しにクラクラ状態。地図をたよりにまずサン・レミの見晴台(写真左)で、カリアリの町並みを眺めたあと、細い路地↓を歩くと突き当たりに大聖堂の広場が見えてきました。

    

右手の階段を上ると大聖堂。ピサ様式の正面の装飾が素敵です。内部は右翼廊の扉口上にある古代ローマの石棺が有名なのですが修復中のためロープが張ってあり近づけません。14世紀の聖母子像もあります。

    

この後は大聖堂近くの国立考古学博物館の見学。フェニキア人、古代カルタゴ人、古代ローマ人に関する発掘品の数々はなかなか見ごたえがあります。サルデーニャの歴史や文化を知ることができ、特にヌラーゲ時代のもの、初期キリスト美術に関するものは興味深く見学しました。




サン・サトゥルノ教会 Cagliari

博物館からカテドラーレへ戻る途中に広場があり、エレベーターの表示が見えました。方向からいっても次に目指すS.Saturno側です。これで降りると広い道路に出ます。少し歩くと元のサン・レミの上り口。ここから緩やかな坂道をくだり旧市街へ。迷路のようなチッタ・バッサ(下町)を10分ほど歩くと、サルデーニャで最も古い教会の遺構に到着。係員が待機していますが、時間制(昼休みあり)です。見学者は私ひとりでした。

創建は6世紀ですが、11〜12世紀にロマネスク様式に建て替えられました。前の部分は崩れ落ちた後は写真でもお分かりのようにガラスで囲われ、保護されています。(向かいの建物が映っています)内部に入るとすぐが大きなドーム天井の下のホール。左右ともガラス張りなので明るい空間になっています。建物の両脇の発掘のあとは2〜5世紀の異教及び初期キリスト教の墓地だったとのこと。内部は撮影不可。古代の柱頭や簡素な祭室がいかにもプレ・ロマネスク。気持ちが洗われるような空間でした。いったん外に出てから広い敷地の建物の後ろに廻ってみました。高い柵がめぐらされ大事に守られています。紫のジャカランダの花を背景に建つ姿をうっとり眺めながら次の目的地へ。

           

サン・パンタレオ教会 Dolianova


上記のサン・サトゥルノ教会裏手からイタリア旅行協会公式ガイドの地図をたよりにDolianovaへ行くための駅を探します。しかし地図にある駅付近にはバス停があるだけです。運転手さんに聞いてみると、このバスに乗って途中から列車に乗り換えるというような説明。まあ何とかなるでしょうとバスに乗り込むとまもなく出発。10分ほどでカリアリ郊外の駅へ。すでに列車が待機していました。市内だけ廃線にしたのでしょう。40分でDolianovaに到着。この町の地図はガイド本には載っていません。駅員さんが何人か立っていましたので教会の場所を尋ねましたら、ちょうど家に帰るから車で送ってあげるというのです。丘の上1キロほどの距離でしたから助かりました。

   

サン・パンタレオ教会は外壁の薄茶色、屋根は赤い瓦。長い年月を経ていますが、元の姿を大きく変えることなく凛とした気品を漂わせて建っています。扉に鍵がかかっていて入れませんので隣の管理棟らしい家の呼び鈴を押しましたが、応答なし。
正面中央の扉口の大理石の(写真では白く見える)まぐさ石は修復が済んだばかりでしょうか、珍しい絡み合った蛇やさそりの浮き彫り。その上のタンパンを縁取るアーチトレーヴも蛇です。すぐ脇に小さなアダムとイヴの浮き彫りがありますので、この蛇は誘惑のシンボルと思います。教会に入る前の戒めでしょう。写真ではよく見えませんが、壁面はところどころに人や動物のプリミティブな小さな浮き彫りで飾られています。
左の鐘楼や付け柱もがっちりした印象を強めています。

教会の周辺は比較的新しい住宅が並んでいます。カリアリに通勤する会社員が多いのかも。暑い日の昼下がり、眠ったように静かな町でした。遅い昼食を駅の近くのBarで簡単に済ませ、カリアリに戻りました。元のバス停に到着した後は徒歩15分くらいのホテルへ。夕方でもまだまだ陽は高く、たまらず途中でビール。夕食は近くの食堂の並ぶ横丁で、散歩中のおじいさんご推薦の海鮮レストランへ。魚介の前菜やパスタ。味は普通。(期待しすぎたようで・・・)    



 サンタ・マリア教会 Uta

トランクをホテルに預け、5泊分の荷物を小型のキャリーケースに詰めていよいよサルデーニャの地方めぐりに出発です。ホテルで頼んだタクシーに乗ってカリアリから北西へ25キロくらいの小さな町ウタを目指します。ウタはバスの便もありますが、もうひとつのVilla Speciosaへ行く方法が不透明(徒歩は無理)なためタクシーを使いました。

サンタ・マリア教会は町を通り抜けたはずれにぽつんと建っていました。係員が常駐しています。「日本人はロマネスクが好きだね。先週もグループが来てたよ」とややアキレ気味。でも嬉しそうでした。建物の向かって左の一画には古代ローマ時代の遺跡も保存されています。

  

この教会もほぼ元の形ですが、昨日訪れたDlianovaに比べると、小型でつつましい感じがしました。素敵〜!とつぶやきながら外壁の粗い石の感触を確かめていますと、するするとイモリが壁を這っています。爬虫類はとても苦手なのですが、なぜかここでは可愛い〜!と思っている自分が・・・不思議。

内部は三廊式で後陣上部の明り取りの窓からやわらかな光が差し込んできます。その小さな窓を見上げていると、ふうっと何故か体が軽くなった心地。そして母の胎内にいるような無垢な気持ち。そんなイメージが湧いてきました。せかせかとロマネスク聖堂を巡るべきではないのです。ここはサルデーニャ・ロマネスクでもそれほど知られている教会ではありませんが、こうして無心になれるひと時に恵まれたことに感謝しながら、次の目的地2.5キロのVilla Speciosaへ向かいました。
             



  サン・プラターノS.Platano教会  Villa Speciosa

車だとあっという間に隣の町に着きます。小さな町の広場にたむろしているおじいさんたちに教会の場所を訊くと、不思議そう&好奇な目で見られてしまいました。(はいはい物好きなんです)

教会は町外れの大きな公園の隣のだだっ広い空き地にぽつんと建っています。鍵がかかっていましたので、運転手さんが管理者の家をさがして鍵を開けてもらいに行ってくれたのですが、残念ながら留守でした。

その間に私はゆっくり外観を見学しました。外壁は白やさまざまなヴァリエーションの茶をつぎはぎして、パッチワークのようです。正面上部の簡素な鐘楼はUtaのサンタ・マリアに似ています。その下の丸い飾りもパッチワーク風。村の人たちが石を集めて建てた、いかにも手造りという感じが好ましく、後陣の2連の祭室も小さく可憐な佇まい。

今日も朝から暑く、さえぎる木陰もないここは日射病になりそうで、中に入れないとなると長居はできません。乗り込んだ車から遠ざかる教会を振り返えると、古びた小さな宝石箱のような教会が青空に浮かんで見えました。素晴らしいロケーション!

  
               

見取り図によりますと、単廊式の内部は中央の2本の太い柱によって支えられています。窓はどうやら正面左扉口の上1と後陣2の合わせて3箇所のようです。

カリアリの駅に戻り、列車を待つ間プラットホームのBarで簡単ランチを済ませ、2時ころオリスターノへ。



             

  サンタ・ジュスタ S.Giusta教会   Oristano

1時間半の列車の旅でオリスターノ到着。駅前からタクシーで郊外のサンタ・ジュスタ教会へ
サンタ・ジュスタという同名の沼の近くにあります。公園のような広い敷地の小高い場所に堂々とした姿。教会はピサから来た工匠たちによって建設されました。タンパンの十字架の上の三連のアーチに両脇のすっきりした2本のつけ柱。下から見上げると建物の高さが強調される効果でしょう。大きな教会で開いてると思っていたのですが、無常にも扉は堅く閉まってました。後背部に周りますとひとつの半円形の後陣。両脇はシメトリカルに平坦な造り。左側に鐘楼と端正な佇まいです。見取り図を見ますと内部は三廊式、内陣はやや高くなっていて、その下がクリプタ。

  

旧市街の外にあるオリスターノのホテルは海辺が近いこともあってリゾートの家族連れの多いところ。広いロビーからプールも見えます。迎えてくれたレセプションの女性は感じよく、お部屋も静かで良い宿でした。特にレストランがGOOD!!大衆的な値段と雰囲気。気楽にサルデーニャの海鮮(スカンピやボッタルガ)をたっぷり食べられて、幸せでした。写真が残ってなくて残念ですが、別項<ロマネスク巡りホテル篇>で紹介させていただきます。




  サン・パルメリオ S.Parmelio教会 Ghilarza

昨日Oristano駅から乗ったタクシーの運転手さんはほとんど英語のできない人だったので、ホテルに今日のタクシーを頼むつもりでした。ところが、愛想良く、なんだかんだと私の予定を聞きだし、出発時間に行くよというのです。言葉がわからないふりで降車したのですが・・・。朝9時にロビーに下りてみたら、ちゃっかり待ち構えていました。ホテルの人とも親しげにしていたので、まあいいかと地図を見せて廻る場所を確認し、出発です。計画では9時から1時半までの4時間半で250キロほど走ります。

まず、北東へ。Abbasantaという町を抜け右折するとまもなくGhilarza。街道沿いに今日の第一番目の教会が建っていました。あいにく逆光のため暗い写真になってしまいました。正面上部の簡素な鐘楼はUtaやVilla Speciosaに似ていますが、ここで初めてサルデーニャに多い(ピサ様式)白・黒ストライプの石積み外壁を持つ教会に出会いました。ここもあいにく閉鎖中。民家や塀と繋がって建ってますから後背部の確認もできないのは淋しい気持ち。写真では不鮮明ですが、側面最上部に半円形の小さい窓が数多く並んでいます。正面向かって右側の少し離れたところに15世紀のカタロニア様式の塔。ここからさらに東へ進むとOmodeo湖が見えてきました。

 




  サン・ピエトロ S.pietro教会 Zuri

オモデーオ湖はダムのために造られた人造湖です。このとき(1953年)古い民家などが湖の底に沈んだのですが、サン・ピエトロ教会だけは現在地に移築されました。湖を見渡せる丘の上に建っています。
小さな集落があり一軒の家がこの教会の鍵を持っているのですが、予約もしないで来てしまったので内部には入れませんでした。13世紀から14世紀に建設されたロマネスク=ゴシック様式の教会です。外壁の明るいレンガ色、ファサードのまぐさ石やつけ柱に飾られた素朴な丸っこい浮き彫りに思わず「湖の底に沈められなくて良かったね〜」と独り言。横の鐘楼の下から後背部に廻ると湖が顔面に開けてきます。後陣は下の写真のように5角形?に張り出し、両脇の付け柱はそのまま外壁と繋がっています。この付け柱の中間にかわいらしい手をつないだ子供たちの浮き彫りがあります。湖ができた当時の子供たちもこうして自分たちの村落が沈むさまを見ていたのでしょうか・・・切ない気持ちになりました。

               

  

参考書の写真によりますと、内部は単廊式で内陣は階段を少し上ったところにあり、柱がないので高い窓からの採光が意外に明るい空間を造っています。

この後は湖の景観を楽しみながら次の目的地オッターナへ向かいました




  サン・二コラ S.Nicola教会 Ottana

イタリア・ロマネスクの本が年に1〜2冊の割合で出版されています。イタリア語はほんの片言なので読むのは無理なのですが、こうして個人でロマネスクの旅をするうえでの強力な助っ人になっています。サルデーニャ版がボローニャのネット書店から届いて、下の表紙を見たときにサルデーニャ行きを決意したというわけです。(笑)
さて、いよいよその思い入れの深いオッターナに到着。
                      
    
                  

サルデーニャのなかでも名教会として知られるのサン・ニコラ教会。昔は羊飼いの町、今はやや近代的な工業の町となったオッターナの町の中心の小高い場所に重々しく(もっと鄙びた教会との想像ははずれ)建っていました。逆光で写真が黒っぽく写りましたが、外壁の墨色や濃淡の茶色のグラデーションの美しくこと!周りは手入れの行き届いた芝生や花で飾られ、さすが!です。
  

内部の写真は手違いで失ってしまいましたが、単廊式の神聖な場所という感じの強い空間でした。ピサ様式の教会なので、正面上部の2連の開かれた窓や入れ子になった菱形の意匠なども素敵です。そういえばカリアリの銀行にもこの教会の大きなポスターが飾られていました。

朝から夢中になってここまで来られたから、もう満足。後は付録だわと思いながらも次の目的地シラヌスへ。



     

  サンタ・サビーナS.Sabina教会 Silanus  

ところが付録どころか、またまたサルデーニャらしい景観に触れることができたのです。シラヌスの町から近く、国道沿いに初めに見えてきたのは単一で立つヌラーゲでした。そして、その陰から現れたのが赤い帽子の屋根が可愛い、小さなサンタ・サビーナ教会(11世紀)。運転手さんと声をそろえて「ベリッシマ!!」の連発でした。(笑)望遠レンズがない安デジカメなので、上手くふたつを収められなくて、ぎりぎりのアングル・・・。

               

ロマネスク聖堂をひとつでも多く見たいという旅。それも1週間という限られた時間です。途中有名なヌラーゲの集落もあったのですが、そのために道をそれることもかなわずでした。ここでヌラーゲも見学できるというのですから喜びました。周囲は枯れ草に覆われた草原ですが、教会の近くまで車は入れます。

   

残念ながら隣の管理棟?には人影なし。内部は見学できませんでした。中心はロトンダ様式の円形の身廊に両脇にふたつの礼拝室という構成。それぞれ半円形の後陣。後背部の脇に立つ一本の木がサルデーニャの厳しい風土を物語っているようです。

               

先史時代に誕生したヌラーゲ文化はサルデーニャの独自性を最も現しています。各地で発掘されたヌラーゲは7000を数え、そのうち世界遺産にもなっているBaruminiの集落は世界遺産に登録されています。ここシラヌスのヌラーゲは墓室(聖なる井戸と巨人の墓)ということで内部はしめ縄?を張ったような祭壇が飾られ、脇の階段は屋根の上に続いています。私のほかに足の悪いお父さんと一緒の若い女性が(上の写真、ヌラーゲの上にいます)しばらく祈るように佇んでいました。
いつまでも忘れられない風景です。

ここからマコメールを経て、オリスターノに戻る途中、わき道を西にそれます。・・・パートUに続く