HOME
もどる

 
牛乳の三角パックにこだわることになった経緯   


 このページは、テトラ・クラシックに対する私個人の想いを綴ったものです。テトラ・クラシックというのは、いわゆる四面体型の三角牛乳のパックのことで、スウェーデン誕生当初はテトラパック、日本に初めて紹介された時代にはテトラ・スタンダードという名称でした。

 “クラシック”の名を与えられることから想像されるように、このパックはテトラパック(株)において、非常に大きな意味をもっています。
 また別の見方をするならば、現在は第一線からはなれ、年々生産量を減らしているパックでもあります。

 私が手にしたことがあるのは、一世を風靡していた頃の“テトラ・スタンダード”でしたので、このページではあえて現在の商品名は使わず、“三角パック”という通称で呼ばせていただきます。なお、現在「テトラパック」といえば、パックそのものではなく会社名をさします。もちろん、テトラ・クラシックの生産量が減っても、テトラパック社はテトラ・ブリック他、様々な容器で躍進を続けています。

 ページ作成にあたっては日本テトラパック(株)からの資料提供をいただいておりますが、文責はtamami個人にあります。ご協力いただいた日本テトラパック(株)、協同乳業(株)の方々に、この場をかりて深く御礼申し上げます。


1973

 熊本県と鹿児島県で、紙容器のみかん果汁給食が始まる。学校給食の多様化と余剰みかん対策の政府補助を得て県が予算化し、実施したもの。
  参考文献:『日本テトラパック25年史』(日本テトラパック株式会社)



1974

 私の小学校にも三角パックのオレンジジュースがやってきた。みかんがあまっているのでジュースをつくって学校にただで配っているのだと当時は思っていた。
 給食のない土曜日の昼。みんなで机にむかってただひたすらオレンジジュースを飲むという、 不思議な時間がそこにあった。他にすることもないのでまじまじとオレンジジュースの紙容器をながめていたら、互い違いに糊付けしてあることを発見していたく感動する。同じ方向に糊付けしたらぺちゃんこになるんだから、この形はなんだか得だと思った。



1995

 ひょんなことから牛乳の三角パックの話題を知る。三角パックは空間を隙間なく埋めつくせる形であり、しかもロール紙から簡単に作り出されるという話を聞いて、さっそく嬉々として模型作りを始めたのだが、完成品を見て首を傾げてしまう。私が知っている三角パックはこんな形ではなかった。不審に思いつつも、このときは特に調べることはしなかった。


1999

 東海大学のマセマティカル・アート展に出かける。『離散数学の醍醐味』というコーナーで、三角パックの話題が模型つきで展示されているのを目にする。カラフルなアクリル板(?)で作った空間充填形の四面体が、六角柱の透明な容器の中にぴっちりと積み上げられている。やはりおかしい。どう考えてもおかしい。こんな形じゃなかった。関係者の中に1人くらい「変だな〜」と思う人はいなかったのだろうか。なんだか世界で自分1人だけ立体感覚が異常なのではないかと不安になる。

 どうにもなっとくがいかないので、日本で初めて三角牛乳を製造・販売した協同乳業(株)にお手紙を出す。商品開発部の方からすぐにお返事が届いて、三角パックにまつわるいくつかの事柄を知ることができた。数日後、東京工場を訪問。予想していたよりはるかに美しい日本初の三角パックの充填機を見ながら、製造課の方のお話を伺う。

 国立科学博物館で行われている「数学と遊ぼう−かたちと数のワンダーランド−」でやはり三角パックの話題を見かける。東海大学が主催に入っているのでマセマティカル・アート展と中身はほぼ同じであるが、木製のパズルが置いてあり、自分で積み方を体験できるようになっていた。

 『日本テトラパック25年史』が読みたかったので、日本テトラパック(株)に問い合わせたら、100ページにもわたる文献にも関わらず、すぐに全文のコピーを送ってくださった。企業の方の迅速かつ丁寧な対応にはいつも驚かされる。まるで自分の歴史を読むように、25年の流れを読んだ。私は三角パック世代なのだとしみじみ感じた。『日本テトラパック25年史』の中にも、三角パックが空間充填形であるとの記述は見つけることができなかった。

 どうにも気持ちがわるいので、国立科学博物館に手紙(協同乳業の東京工場で撮らせていただいた写真を画像として取り込んだもの)を出す。返事をまつ間、数学関連の文献を調べた。話の出所は中村義作氏の著作だろうことは察しがついていたが、いったいどの本なのかがわからない。しらばく進むうちに『数理パズル』(中央公論社、1976初版)のなかの「自己拡大する四面体」に行きついた。2:√3:√3の四面体も出てくるし、牛乳の紙容器の話題にも触れられている(しかし、三角パックが2:√3:√3の四面体だとは書かれていない)。「空間をすき間なく埋めていく四面体で、その展開図が平面もすき間なく敷きつめるという考えは、筆者の独創で、ここに初めて紹介されるものです。」と文中にあるところをみると、おそらくここが一連の話のおおもとだと思われる。三角パックの話題に触れている数学関係の文献はこちらにまとめてあります。

 さらに調べていくと、『数学ゲンダイ』(朝日新聞社、1993)所収の「まちかどの数学」につきあたる。こちらも中村義作著。2:√3:√3の四面体は出てこないが、「……三角パックは正六角形の棒状に隙間なく積み上げられることになる。」と記されている。中村氏は三角パックをたくさん買ってきて自分で積み上げて観察しているし、店の中のクレートも目にしたことがあるようだが、そこにある三角パックの積み上げ方は、私が調べたものとは少し違っていた。いずれにしろ、この本にも三角パックと2:√3:√3の四面体を結びつける記述はない。いったい、どこでどう食い違ってしまったのだろう・・・・・・。


中村義作著「自己拡大する四面体」へ→