2003年01月の日記

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1月1日(水)曇り

 相棒の運転する灰色の車の助手席で道案内をして、仮眠施設の有る健康ランドに入った。元旦の朝をここで過す人も多く、駐車場は混んでいる。思った程広くない風呂は明け方の時間なので空いていた。汗を洗い流し、草津の湯を模した硫黄臭い露天風呂に浸かり、サウナで汗を絞り出すと心地良い。風呂から出ると仮眠室で数時間の睡眠を貪った。チェックアウト時間ギリギリまで粘って、施設を出る。ぼんやりと冴えない曇り空に迎えられる。

 灰色の車で東に向かって走った。昼前の国道はまだ空いていて流れが良い。途中のファミレスで軽く朝食をとり、ショッピングセンターで買い物を済ませて実家に着くとすでに昼過ぎになっていた。昼から一杯飲みながらおせち料理を突つく。食べ終わると猛烈に眠気が襲って来た。たまらずベッドにもぐり込む。夜目覚めて風呂に入ってさっぱりすると、今度は晩飯になった。ビールや冷酒を飲みながら牛肉、野菜、牡蠣をしゃぶしゃぶ風に食べ、おじやで締めくくると満腹を通り越して苦しい。先ほど寝たばかりなのに、ベッドにもぐり込むと酔いも手伝って瞬く間に眠りに落ちた。

 

1月2日(木)曇り

 明け方目を覚まし、トイレに立った。再びベッドに戻ると2度寝を楽しむ。10時過ぎに目を覚ますと、やっと起きる事が出来た。熱いシャワーを浴びて頭をはっきりさせる。朝昼兼用で、おせち料理と雑煮を食べて、再びのんびり過した。午後遅くなってやっと実家を後にする。街はいつもの休日のように普通に店が営業していて、車の数も多かった。街を抜けるのにだいぶ時間をロスする。北に向かって2時間ほど走ったところで冬の短い日は暮れた。

 自宅に戻り、届いていた年賀状を眺める。蕎麦を茹でて、貰って来たおせち料理と共に食べた。正月の二日はほとんど食べて寝ているうちに過ぎてしまった感が有る。布団にもぐり込むとすぐに眠りが訪れた。

 

1月3日(金)晴れ

 寒い朝だった。目覚めて朝食を取るとやっと家の中の片づけを始める。納戸部屋の中を片付け始めるが一向に片付かなかった。モノが有りすぎる。死蔵していたシンセサイザーを居間に出してみた。久し振りに音を出してみるが、内部メモリーは消え、指も音を忘れている。シンセサイザーの前を離れた。練習をすればすぐに勘が戻るだろう。ハガキが足りなくて印刷し切れなかった分を50枚程印刷した。延べ200枚以上を印刷したことになる。すでに年が明けて3日が過ぎていた。

 軽い昼食をとってから、買い物をしに出掛ける。すでに街はいつも通りの活況を示していた。空は曇っていて気温は低い。日が暮れると雨が落ちてきた。自宅に戻るとさらに部屋の片づけを進めるが、さほど進展はない。諦めて早々に眠る事にした。ゆっくりと風呂に浸かってから布団に潜り込み、すぐに眠り込む。

 

1月4日(土)霧後晴れ

 気が付くと目覚まし時計のアラームが鳴っていた。眠い。起きて外を見ると、雲の中に飛び込んだ飛行機の中から見た景色のように濃い霧に視界が満たされた。一時間掛けて相棒を起すと、軽い朝食をとってから家を出る。灰色の車で一時間ほどのドライブで北の街のテニスコートに着いた。道中はずっと濃い霧の中だったが、コートに着く直前に魔法の様に青空が広がる。

 すでに集合時間に一時間半遅れていた。ボレー対ストロークの練習に入っているメンバーに加わって練習を始める。サービスとリターンの練習の後、4ゲーム先取の試合をやって締めた。遅れて来たので1時間半ほどの短い練習になる。コートを後にした。

 引き続いて新年会になる。参加者はサークルの世話役の家に移動した。居間の座卓に15名が集まって座る。ビールで乾杯して宴が始まった。野沢菜の細切れとチリメンジャコを炊きたてのご飯に混ぜ込み、削り節と白胡麻をたっぷりと掛けた「菜飯」という混ぜご飯が非常に美味い。おかずの弁当も豪華だが、もっと仕出しの料理を質素にして会費を安くした方が集まりは良い筈だ。差し入れの日本酒をしこたま飲んで眠る。家を出ての帰り道はすでに夜になっていた。

 

1月5日(日)晴れ

 年始休暇最後の朝もゆったりと目覚める。トーストやヨーグルトなどの軽い朝食をとると、相棒と共に灰色の車で近くのテニスクラブに向かった。クラブでは初打ちになる。メンバー達と挨拶を交わし、コートに入った。しばらくアップをしてからゲームに入る。最後は相棒との練習に切替え、日没近くまでたっぷりと楽しむと心地良い疲労感に包まれた。年明けから体を動かしていないので疲れが深い。クラブハウスでゆっくりとコーヒーをすすった。

 街の方向に走ってラーメン屋に入る。ラーメン屋だが通常より二周りほど大きめのキング餃子が売りになっていた。この日は焼きに失敗して皮同士がくっついていたが、味は悪くなかった。2人前頼むと、出て来た時は食べ切れるかと危惧するほどのボリュームだが、あっさりとしながらもスパイスが効いた特徴的な味で簡単に食べられてしまう。

 腹を満たしたところで、近くの銭湯に向かった。ジェットバスで全身の筋肉をほぐし、サウナで汗を絞ってから露天風呂に浸かると疲労が体中から流れ出て行く。打たせ湯で肩をマッサージしてから更にサウナで汗を絞った。風呂から上がると抜け出た疲労の代りに心地良い脱力感に満たされている。

 

1月6日(月)晴れ

 9日間の休みの後でやって来る仕事始めの朝は布団から出るのにしばらくの葛藤があった。年末から続いている飲み食いで、胃が疲れている。紅茶とヨーグルトの軽い朝食を食べて家を出た。地下駐車場に向かうと、久し振りに、うに色のクルマと対面する。WAXを施されたまま、地下で休ませていたので、蛍光灯の光りを反射して、ぬめるような滑らかな光沢を浮かべていた。リモコンでドアを解錠して座り心地の良いシートに腰を下ろすと、まるで体に馴染むオーダーメイドのスーツを着たような気分になる。エンジンを掛けるとガソリンに混ぜ込んだ微量のオイルが素早く油膜が切れた潤滑面に行き渡る筈だ。すぐに走り出す。

 適当に仕事を切り上げて仕事場を出た。暗い空に星がまばらに見えている。街灯が空を明るくしているせいで遠く暗い星までは見えなかった。うに色のクルマの快調な機関音をBGMにして家路を辿る。家に戻ると麦入りのご飯を炊き、ワカメと油揚げの味噌汁を作った。京都産の粕漬けの魚を焼くと香しい匂いがたちこめる。おせち料理の残りも並べると豪華な食卓になった。焼き魚とご飯を一緒に噛み締めると上品な甘味が口一杯に広がる。しみじみと美味かった。

 

1月7日(火)晴れ

 目覚ましのアラームに睡眠不足の頭が悲鳴を上げる。3度目のコールでやっと布団を出る気が起きた。タイマーで稼動を始めていた石油ストーブの音が聞えるが、部屋はまだ温まっておらず、到底快適と言えるレベルではない。熱い紅茶を入れて暖を採る。冬至をとうに過ぎて、昼の時間が長くなってきて、確かに日没の時間は遅くなっているが、日の出の時間も、むしろ遅くなっている気がした。やや薄暗い窓の外を眺めると、やがて訪れる筈の春が、遥か遠くに思えてならない。

 空腹に耐えかねて仕事を切り上げ、作業服を着替えた。ロッカールームを出ると、防寒着の上から寒気が体を包むのが判る。暗い駐車場に停めてあるうに色のクルマに乗り込み、車内に置いた室温計のデジタルの目盛を読むと、ちょうど零度を示していた。手袋を外すと手がかじかむ。エンジンを始動してヘッドランプを付けると白い光が一層寒々しかった。走り出して車内が暖まるまでしばらく時間が掛かる。温風が噴出し始めるとやっと手のかじかみがほどけていった。アクセルを少し踏み込むと吸気音の高まりと細かい硬質な振動と共にうに色のクルマの速度が上がる。頭上の凍てつく空に冬の星座が広がっていた。

 

1月8日(水)晴れ

 大分日が長くなった。定時で仕事を切り上げて外に出ると、まだ空に明るさが残っている。もう30分程度、日が延びれば壁打ちを再開出来そうだった。少しだけ心が浮き立ってくる。うに色のクルマを始動して、壁打ちコートの前を通るルートを採った。急速に暗くなりつつあるコートには、壁打ちを楽しんでいたらしい数名の男の影が見える。横目で観ながら前を通り過ぎた。

 まだレッスンの時間には早いので街中に向かい、スポーツショップで固く張り過ぎたストリングスを緩めに張り替えてもらう。ストリングスが切れないうちに張り替えるのは記憶にないぐらい久し振りだった。張り替えを待つ間に近くのスーパーでアミノ酸系ドリンクを買って飲み、軽く腹ごしらえをする。レッスンに参加したのは4名だった。寒さでボールが弾まない。珍しくショートラリー、ラリー、ボレーボレーと練習が進んでいった。サービスを打ち放ってから、サービス&リターンを時間をかけてたっぷり行う。

 駅前で相棒と待ち合せて餃子専門店に向かった。焼餃子・水餃子をバランス良く頼む。小振りで薄皮の餃子は底面がパリッと香ばしく焼き上がっていて、ジューシー感は少ないが、普通に美味かった。

 

1月9日(木)晴れ

 北の国に旅行に行く相棒を歩いて行っても10分程度の近くの駅まで送って行った。うに色のクルマの助手席に荷物と共に乗り込むと流石に苦しげになる。エンジンの低速トルクは充分に有るので、街中では二人乗りの重さを感じなかった。何もない駅前通を走って行く。駅前のローターリーで相棒と旅行用の荷物を下ろしてしまうと、急にクルマの中が広々とした。少し回り道をしてから、いつもの通勤路を走る車の群れに合流する。

 宅配の荷物を受け取る為に少し早めに仕事場を出た。街灯が明るいせいか真っ暗な空に星が見えない。ロッカールームで着替えてから歩いて外の通りに出ると、冬の星座が暗い空に冷え冷えと貼り付いていた。ガソリン計の残量がほとんど無いのが気になるが、ガソリンスタンドに寄るより、本屋で新刊の雑誌を買う方を選ぶ。

 自宅に戻ると鍋に水を張り、出し昆布を入れて火に掛けた。鍋の余りの白菜とエノキ、それに豆腐があったので、湯豆腐+αをメインにする。宅配屋が来て届けられた荷物を受け取った。冷たいビールを飲みながら、熱い湯豆腐をポン酢で食べる。冷酒に変えて飲み続けた。おせち料理の残り物もちょうど良い酒の肴になって胃袋に消える。

 

1月10日(金)晴れ

 寒さが少しだけ緩んだような朝だった。熱いミルクティーとトーストの朝食を取る。TVのニュースでは中東に向けて出撃して行く軍事大国の戦闘機が映し出されていた。月末に向けて10万もの兵員を配備するという。極東の小国には対岸の火事なのか、その後には能天気な芸能ゴシップが続いた。朝食を取ると身支度を整えて家を出る。ラケットバッグとシューズをうに色のクルマの小さなトランクに放り込み、走り始めた。町の景色は特に変わりが無い。カーラジオからは生きの良いポップなナンバーが流れていた。

 終らない仕事を放り出して、うに色のクルマを夕方の混雑する路上に乗り入れる。田舎道を走りテニスクラブに向かった。早めの時間に着いてみると、レッスンがスタートするのは来週からだという。同じく間違えてやってきた仲間としばらく立ち話をしてから街に出た。テニスショップで買い物をしてから餃子専門店で4人前の餃子を平らげる。甘口の餃子だが、シソの香りが爽やかなシソ餃子が特に美味かった。家に戻って宅配便の荷物を受け取る。届けられたのはMacOSがUnixベースに移行した後に残された最後のレガシーOS9.2のインストールディスクだった。

 

1月11日(土)晴れ

 目覚まし時計のやかましい電子音で目覚める。暖かい布団から抜け出すと居間のTVをつけた。いつものように軽い朝食をとって家を出る。うに色のクルマに乗り込むと土曜日で通勤のクルマが少ないバイパス道を快調に走った。南北に流れて市街と郊外を分離している大きな河に掛けられた橋の前後も車の滞りは無い。仕事場の近くまで行っても、車の数は少なかった。いつもこの程度であれば化石エネルギーのロスが少ないし、地球温暖化ガスの発生も押さえられる。

 まだ暗くなるまでは暫く時間がある内に仕事場を後にした。うに色のクルマで小さな修理工場に向かう。些細な問題の解決の為に数時間入庫した。作業は比較的簡単に終わったが、得られた安心感は大きい。コーヒーとケーキが出された。

 郵便局で書留を受け取り、ホームセンターでいくつか部品を仕入れる。夕方の混雑が終って空き始めたバイパスを走って市街地の餃子専門店に向かった。ふわふわの溶き玉子が美味いスープ餃子と、ぷりぷりのエビが入った焼餃子、キムチ餃子を注文する。熱々の餃子にタレをつけて頬張ると口中が幸福感に満たされた。食後のコーヒーがサービスされる。満足して店を出ると家路を辿った。

 

1月12日(日)晴れ

 ゆっくり寝坊しても構わない休みの日だったが、アラームで早めに目覚める。トーストと熱いミルクティーとヨーグルトの朝食をとると、手早く支度をして家を出た。1時間程のドライブで北の街に向かう。コートに着くとメンバーは4名しかいなかった。ショートストローク、ストロークラリー、ボレー&ボレー、ボレー&ストローク、サービス&リターン、4ゲーム先取のゲームを、5名で3時間半ほど掛けてみっちりとこなす。トップスピンのストロークには対抗できるが、速いフラットやスライスのストロークには対応出来ない弱点が浮き彫りになった。ボレーのミスも多い。サービスの威力も不足していた。やるべきことは多い。心地良い疲れと健康な空腹感を感じてコートを後にした。

 道の駅によってお弁当を買い、暖かい車中で食べる。帰り道は不慣れなサンデードライバーが多く、かなり時間が掛かった。自宅に寄らずにそのままテニスクラブに向かう。会員達と何試合かこなすが、自信が無いままにプレーしても結果は出なかった。薄暗くなってからは壁打ちで調整する。会員の一人と一緒に街に飲みに出た。居酒屋風の店でゆっくりと飲む。成人式後の若者の集まりで賑やかだった。

 

1月13日(月)晴れ

 飲み終りが早かったので昨夜の酒は残っていないが、眠るのが遅くなり、睡眠は不充分だった。最初に目覚ましが鳴ってから布団から出るのに30分以上掛かる。昨年末から過剰な飲み食いが続いていて、胃腸に負担を強いていた。熱いミルクティーとトーストとヨーグルトで軽く朝食にする。暫く体が目覚めるのを待った。シューズとラケットバッグを持つと家を出る。

 うに色のクルマで近くのテニスクラブに乗り込んだ。早速ダブルスのゲームを楽しむことにする。最初の試合は調子が出ず、長引かせてしまった上に5−7と逆転で負けた。幸先が悪い。次の試合は強力なパートナーと組んで6−0と勝つ。更に何試合か楽しんでいると、日が傾いてきた。心地良い疲れに満足して自宅に戻る。

 相棒が北の国から帰って来ていた。テーブルには土産物が広げられている。ひとしきり土産話を聞いた後に、熱い風呂に入った。湯舟に浸かって本を読んでいるとサウナに入った様に面白いほど汗が流れ出してくる。疲れも吹き飛んだ。風呂上りのビールがたまらなく美味い。食卓にはカボチャのそぼろ煮や鯵の干物などが並んだ。炊きたてのご飯と共に頬張る。焼酎のお湯割りに切替えて更に呑んだ。

 

1月14日(火)晴れ

 睡眠不足の日々が続き、アラームで起きる時間が遅くなった。5度目のスヌーズでやっと布団から這い出る。冷え込みが緩んでも石油ストーブの温風が快適に感じられた。熱いミルクティーを入れ、プレーンヨーグルトを無糖のまま小鉢一杯食べる。目はTVニュースを見ていた。窓の外がほんのり明るくなってくる。顔を洗い身支度を整えて家を出た。

 地下駐車場でうに色のクルマに乗り込む。キーをひねると簡単にエンジンが掛かった。数日前に、通称「毒キノコ型」エアクリーナーの囲いが壊れているのを発見し、補強と修理を施し、ついでに汚れていたエアクリーナーエレメントも、やや小振りの物に交換している。その為、微妙にエンジン音が変わっていた。少しくぐもったようなウェットな音に聞える。だが、これも悪くなかった。スムーズにクラッチを繋いで、ゆるりと走り出す。表通りに出るとアクセルを踏み込んで回転を上げた。

 自宅に戻ると、ご飯とモヤシの味噌汁、カボチャのそぼろ煮という純和風なメニューの他に、北の国からの土産のスモークサーモンとカマンベールチーズも並んでいる。チーズとサーモンを一緒に口に入れると、とろりと濃厚な香りと味が舌に広がった。

 

1月15日(水)晴れ

 定時を待ち兼ねる様に外に出ると、まだ空に明るさが残っている。日が長くなってきた。うに色のクルマを始動して、壁打ちコートに向かう途中で日が傾き、急速に暗くなったが、辛うじてボールが見える。構わずラケットを持ってコートに立った。20分ほど軽いストロークとサービスで、壁との再会を楽しむと、思わず笑みがこぼれる。

 レッスンに向かう途中でコンビニの駐車場にクルマを停めた。買っておいた栄養補助食品のブロックを齧り、アミノ酸系飲料水で胃に流し込む。シートを倒し目を閉じて、30分程仮眠した。目を覚ますとうに色のクルマをスタートさせる。レッスンに参加したのは6名だった。寒さでボールが弾まない。ショートラリー、ボレーストローク、打ちっ放しのサービス、サービス&リターンと練習を進め、最後はダブルス形式のポイントマッチで締めた。レッスン終了後にメンバーの一人を捕まえて15分ほど乱打すると体が温まる。

 晩飯は餃子専門店にした。焼餃子と水餃子とお結び餃子を注文する。小振りで薄皮の餃子は一口で食べ易かった。具に練り込まれたシソの香りが爽やかで美味い。お結び餃子は適度な塩味だ。満足して店を出る。酷く寒い夜だった。

 

1月16日(木)晴れ

 日の出の時刻は依然として遅い。目覚めると窓の外が暗い朝が続いていた。石油ヒーターが小さく唸りながら頼りなく熱風を吹いている。家を出ると薄明るい街に消え残った街灯が弱弱しい光を放っていた。うに色のクルマに乗り込んでダッシュボードの室温計を見ると、摂氏5度をやや下回っている。エンジンを始動すると、シートベルトを締める間だけ待ってすぐに走り始めた。門を出るまでは1速のままでゆっくり走る。

 仕事を切り上げてロッカールームを出ると、室内とは全く違う、重さすら感じるような冷気に包まれた。防寒着の上から熱を奪っていく。まだうに色のクルマの上に霜は降りていなかった。ドアを開けて乗り込み、ダッシュボードを見ると室温は零下を示している。寒いのも無理はなかった。うに色のクルマを発進させる。水温計が動き出してからヒーターのスイッチを入れた。ややあってからほの温かい風が流れ出す。

 家に戻ると玉葱とツナを炒める良い匂いが空腹を誘った。クリームと白ワインを加えて煮込む。茹で上がったパスタに薄切りにしたスモークドサーモンをたっぷりと載せ、濃厚なクリームソースをかけた。サーモンが蕩けてソースと絡み、驚くほど美味い。

 

1月17日(金)晴れ

 家を出ると久し振りに灰色の車の置いてある外の駐車場まで歩いた。車体全体が薄く霜に覆われていて、粉を吹いたように白く見えている。エンジンを掛けてデフロスターを全開にしてから、プラスチックのスクレーパーのような道具を使ってガラスの霜を削り落とした。最低限の視界が確保される程度まで霜を落とすと、走り始める。幹線道路に出る頃には完全に視界が確保されていた。

 終らない仕事を投げ出して、灰色の車で退勤車で混雑する路上を南に向かう。田舎道を走り、少し離れた街へのルートを選んだ。今夜は転勤で旅立つテニス仲間の送別会が行われる。新幹線も停まる駅の前で相棒を拾うと国道沿いの居酒屋に車を向けた。軽く数十台は停められる駐車場はほぼ満杯になっている。酒を飲まない相棒に車の鍵を託して店に入った。沢山の参加者が集まって来て宴が始まる。料理は刺身、鍋物、シュウマイ、サラダなど、普通の宴会料理だった。手の届く範囲の大皿から適当に取り分けて平らげ、空腹を満たす。腹ごしらえをしながら、大量の生ビールを飲んだ。楽しい宴の時間は瞬く間に過ぎ去る。駐車場で去って行く二人を胴上げして送り出した。灰色の車の助手席で帰宅まで過す。

 

1月18日(土)晴れ

 けたたましいアラーム音で目覚めた。布団から抜け出すと居間のストーブとTVをつける。旅番組を眺めながら軽い朝食をとると、ラケットを持って家を出た。うに色のクルマで近くのテニスクラブに向かう。相手を見つけて軽くアップしてからダブルスのゲームに入った。サービスの調子が出ず、3−6で敗れる。少し休憩して、さらに別の相手と軽く練習をする。

 昼食をとりに家に戻ることにした。途中のスーパーで食料などの買い物を済ませる。昼食をとり、暫くゆっくり休んでから、相棒も連れて再度テニスクラブに向かった。再びアップしてから、暗くなるまでゲームを楽しむ。そのままコーヒーを飲んでゆったりとクラブハウスで休憩してから、ナイターのレッスンを受けた。久し振りのレッスンは4名だけで動きはハードだが、充分楽しめる。一日遊ぶと全身の隅々まで心地良い疲労感が行き渡った。

 レッスン終了後に街中の中家料理屋に行く。蒸したエビ餃子や、様々な茹で餃子、焼餃子を注文して食べた。餃子パスポートを使用するので代金は必要ない。10皿の餃子を食べ尽くすと店を後にする。熱い風呂に浸かって一日の疲れを汗と共に流し、冷たいビールを飲むと、眠りが訪れた。

 

1月19日(日)晴れ後雨

 仕事は休みだが、むしろ早く目覚める。熱いミルクティーを飲み、手早く身支度を整え、ヘルメットバッグを持って家を出た。1時間程のドライブでサーキットに向かう。ゲートに着くとすでに参加者やスタッフが開門を待っていた。すぐに職員が到着しゲートが開く。机を出して受付を始めた。130分耐久レースのプラクティスが始まる。借り物の車の感触を確かめる様にゆっくり走る。3番手に乗ったスタッフ仲間が安定した走りで48秒台を出し、5番グリッドを得た。

 他の3名のドライバーが嫌がるので、スタートドライバーを買って出る。ルマン式のスタートなので、面倒だ。スタートのグリーンフラッグと共に車に走り寄り、シートベルトをしてエンジンを始動して発進する。乗り込みに手間取る車ではグリッド順など関係なくなった。5番手ぐらいに走りだし、い車を2台抜いて3番手になる。燃費の為に6000回転でシフトアップし、出来るだけスピードを殺さず、タイヤにも無理を掛けない様にドライブすることに集中した。次第に車に慣れて無理せずともタイムが上がって行く。30分楽しんでピットインした。後の一日は裏方作業に徹して過す。底冷えする寒い一日だった。

 

1月20日(月)晴れ後雪

 昨夜の雨が作った水溜りに氷が張っている。自宅の前の道路は凍っていなかった。スタッドレスタイヤを装着している灰色の車に近付くと透明な水滴がびっしり着いていると見えたのが、氷だということに気付く。水玉の形状のままに凍り付いていた。ドアを開ける時にバリバリと氷が剥がれる音がする。エンジンを掛け、デフロスターを最大風量で効かせてから、プラスチックのスクレィパーで窓の氷を削り落とした。

 市街地を離れ、川の横を通る道に出ると、そこだけ霧が深い。大きな河を渡る橋の手前で車が進まなくなった。時間を掛けて橋を渡り終わったところでやっと渋滞の理由が判る。軽トラックが一台腹を見せて道をふさいでいた。凍結した路面で転覆したに違いない。小高い丘を上って行くと路面の凍結が酷くなってきた。特に横断歩道の白線が滑る。交差点を曲がって行き、横Gが掛かった状態で白線の上に乗った途端にステアリングが軽くなり、フロントタイヤが僅かに外に逃げた。

 凍結が始まる前に仕事場を出て自宅に戻る。相棒が麦入りご飯とモヤシの味噌汁とニラタマのあんかけを作って待っていた。ニラタマの適度な塩気とほのかな甘味がご飯に合う。深夜に雪になった。

 

1月21日(火)晴れ

 目覚めてカーテンを開けると淡く雪が積もっていた。道路などには雪は無く、水溜りになっている。起きる時間がいつもより少し遅かったので急いで仕度をして外に出た。駐車場の灰色の車は全体に5cmほどの雪を被っている。かき氷のように、軽いようだが少し圧力をかけるとすぐにべちゃっと水気が出て来る湿った雪だった。プラスチックのスクレーパーで雪を除けていく。凍り付いていないので作業はむしろ楽だった。

 市街地を出ると今日も霧が濃い。河を渡り小高い丘を上って行くと、雪が残って凍結しているところもあった。車の流れがスローになっているが昨日ほどの渋滞は無く、比較的スムーズに仕事場に辿りつく。部分的に氷が張って滑りやすくなった歩道を注意深く歩いた。

 仕事を投げ出して外に出ると、灰色の車のフロントガラスにはもう霜が降り始めている。スクレーパーで掻き落としてから走り出した。家に戻るとご飯と味噌汁に、豚肉のピカタ、里芋の煮っころがしなどの夕食が用意されている。冷たいビールを呑んで喉を潤してから食事に入った。ビールが無くなると純米酒に切替える。すっきりとして雑味の少ない酒は、薄めの味付けの料理に良く合って美味かった。

 

1月22日(水)晴れ

 定時に外に出ると、まだ辛うじて空に明るさが残っていた。駐車場に停めた灰色の車に乗って走り出す。ヘッドライトを点けた。壁打ちコートの前を通り過ぎて市街地に向かう。信号待ちの間に栄養補助食品のブロックを噛み砕き、アミノ酸系飲料水を飲んだ。駅に向かう街道沿いの大型家電店に寄り、Mac用の使い勝手向上ソフトを購入し、食器洗乾器のカタログを集める。レッスン時間が近付き、テニスクラブに移動した。

 レッスン生は最初4名で、途中から5名に増える。ショートラリー、ボレーストローク、サービス、スマッシュ、サービス&リターン、ダブルス形式のポイントマッチといつも通りの流れだった。レッスン終了後は15分ほど黙々とサービスを打ち続ける。

 相棒を駅で拾い、餃子専門店に向かった。焼餃子数種と水餃子と揚げ餃子を注文する。この店の名物のカレーやキムチが入った変わり餃子も美味いが、肉、ニラなどの普通の餃子が結局は一番美味いのは皮肉だった。丸鶏と豚肉で取った自称ハイグレードなスープに入った水餃子が堪らなく美味い。モヤシ、キャベツ、木耳などの具も嬉しく、体が温まった。自宅に戻り、ビールを飲む。心地良い疲労感にまどろんだ。

 

1月23日(木)曇り後雨時々雪後晴れ

 目覚めると窓の外が暗い。何時降り出しても不思議はない空の色だった。雪の予報を聞いて出勤には雪道用タイヤを装着した灰色の車を選ぶ。霜が降りていなかったのですぐに走り出せた。

 仕事を適当に切り上げると、いつもと違うルートで街に出る。大きな街道から一つ路地を入った所にある餃子専門店は、まだ閉店の一時間前なのに誰も客がいなかった。スープ餃子とエビ餃子とキムチ餃子を注文する。出された冷たい麦茶で喉を潤しながら出来上がりを待った。先ずスープ餃子が出される。澄んだ鶏ガラのスープの中には少量のほうれん草、ふわふわの溶き玉子、薬味のネギが浮かび、その下にふっくらと白い餃子を隠していた。熱いスープをすすり、柔らかく煮上がった餃子を噛むと肉と野菜の旨味がたっぷりと口中に溢れる。焼き餃子も運ばれてきた。辛味が刺激的なキムチ餃子もぷりぷりのエビの歯ごたえが楽しいエビ餃子も実に美味い。客が居ないのが不思議だった。

 家に戻り、冷たいビールで寛ぐ。Macの蓋を開けてRAMを増設し、CD−ROMの接触不良を直してから元に戻した。HDDを検証すると多量の不具合が見つかる。全て修復した。純米酒を冷で飲むとこれは美味い。

 

1月24日(金)晴れ

 昨日の雪と雨で路面の凍結が予想された。灰色の車の置いてある外の駐車場まで歩く。車体は白い氷の結晶に覆われてフリーズしていた。ドアを引き剥がすように開け、エンジンを掛ける。デフロスターを最大風量にしてから、スクレーパーを持って外に出た。ガラスに張り付いた霜を削ると、かき氷のような細かい氷が黒い毛糸の手袋にびっしりと着く。内側にコーティングがしてあるお陰で指先は冷たくならなかった。全周の霜を落とすと、車に乗り込み、走り出した。幹線道路に出る頃に、やっとエアコンの風がはっきりと温風に変わる。

 定時で仕事を放り出して、灰色の車に乗り、混雑する路上走った。田舎道を走り、自宅付近を通り過ぎてテニスクラブに向かう。ナイタースクールのレッスン生は二人だけだった。休む間がないのでハードな練習になる。寒い夜にもかかわらずたっぷりと汗をかいた。

 買い物をして自宅に戻ると、土鍋を出してキムチ鍋の用意を始める。モヤシ、ほうれん草、エノキなど冷蔵庫にある適当な野菜と鶏肉、豆腐、ニンニクなどを切って鍋に放り込む。味噌とキムチで味を付けると立派な鍋料理になった。冷たいビールや純米酒で口を冷やしながら全て平らげる。

 

1月25日(土)晴れ

 アラーム音で起きあがる。身支度を整えてすぐに家を出た。うに色のクルマで一時間ほどドライブして北の町にあるテニスコートに着く。駐車場には雪が残っていた。集まって来たサークルメンバーは全部で4人しかいない。風が強く寒い日だった。太陽は照っているので練習を始めると寒さは感じない。4名で3時間ほど練習とゲームで汗を流した。

 帰り道にレーシングショップに寄って、車の足回り部品の加工を依頼する。旋盤を使って10分ほどで作業は終った。自宅に戻ると、相棒が餅を焼いて、磯辺巻きときな粉餅を作る。中国茶を飲みながら平らげた。近所のホームセンターでステンレスパイプの組み立て式ラックを購入してくる。

 夕方になり、再びラケットを持って家を出た。テニスクラブでレッスンを受ける。レッスン生が4名で適度な運動量になった。サービスのフォームを矯正される。何球か良い感触を掴んだ。

 レッスン終了後に街中の餃子専門店に行く。珍しく狭い店内は客で埋まっていた。ちょうど2席だけ空きがある。焼き餃子や水餃子を注文して食べた。自宅に戻り風呂で汗を流すと、疲れが吹き飛ぶ。冷たいビールを飲み、すぐに訪れる心地良い眠りに身を委ねた。

 

1月26日(日)晴れ後曇り

 睡眠時間は充分でなかったが目覚めた時には疲れは消えていた。熱いミルクティーで頭に活をいれる。しばらく寛いでから相棒を起し、トースト、ベーコンエッグ、ヨーグルト、コーヒーをたっぷりとり、朝昼兼用の食事にした。昼過ぎに近くのテニスクラブに向かう。

 昼飯に出掛けている人が多く、コートは空いていた。相棒と砂入人工芝コートに入り練習を重ねる。何時の間にか昼食を終えたメンバー達で7面あるコートは埋まっていた。ダブルスのゲームを始める。0−3から逆転するが追い付かれ長い試合時間の末にタイブレークで敗れた。少し休憩してまたゲームに入る。夕暮れまでゲームを楽しむと、コーヒーを飲んで一息ついてからクラブハウスを離れた。

 街中のスポーツショップで、切れたストリングスの張り替えを依頼してラケットを預ける。駅の近くに車を停めて、駅まで5分ぐらい歩いた。風が冷たい。駅ビルの一階にある餃子専門店に入った。味噌汁餃子とネギ味噌餃子、普通の焼き餃子などを注文する。隣の有名店はいつも行列が出来ているが、この店の方が好みに合っていた。出て来た餃子を全て平らげると、満足度が非常に高い。家に戻り、部屋の模様替えを始めた。

 

1月27日(月)雨

 昨夜遅くに降り出した雪が雨に変わっていた。東海上から上空に湿った空気が大量に流れ込んで来て、寒さが少し和らいだ朝になる。灰色の車に薄く積もった、みぞれ状の雪を払い落としてから走り出した。路面の凍結も無く、走行に問題はない。ATセレクタをDに入れたままでアクセルを踏み込むと、灰色の車は快調なエンジン音を響かせて丘を登った。

 仕事を切り上げて重い鉄の扉を押し開けると、暗い夜空から雨が落ちている。回れ右をして階段を降り、事務所内の通路を通ってロッカールームに向かった。ロッカールームで白い作業服の上下から、オリーブ色の上下に着替える。薄手で軽いが新素材を多用していて防風、防寒性に優れているので、外に出ても寒さを感じないで済んだ。

 灰色の車で丘を下り、街に向かう。雨滴をワイパーで振り落とし、視界を確保しながら走った。駅前で相棒を拾うと中華料理店の広い駐車場に車を入れる。シックで高級感がある内装の広間にテーブルが余裕を持って配置されていた。窓際の席に案内される。焼餃子、蒸餃子、水餃子が出された。皮も具も一工夫されていて実に美味い。黒酢を頼んで酢醤油の代りに付けて食べると、ことのほか美味かった。

 

1月28日(火)晴れ

 目覚めてカーテンを開けると雨は上がっていた。まだ町全体が濡れて光っている。灰色の車に乗ってエンジンを掛けた。この時期としては温かい朝で、ウィンドウの霜がない為、霜取りの必要がない。ワイパーで水滴を払うだけで発進した。路面のわだちには、まだ水溜りが残っていて、前の車が跳ね上げる水煙でフロントウィンドウが汚れる。時折ワイパーを動かして拭うが、かえって汚水を塗り広げるだけだった。日陰の道端に黒く煤けて溶け残っていた雪が一掃されているのに気付く。茜色の太陽が山の向こうから昇って来たが、目を焼くだけの力はなかった。

 帰る途中のスーパーでヨーグルトや野菜を仕入れる。自宅に戻ると、米を研ぎ、小鍋に水と粉末のダシを入れて火に掛けた。相棒が帰って来る。煮立った小鍋にモヤシとサイコロに切った豆腐を加え、味噌を溶き入れた。ご飯が炊けるのを待つ間は冷たいビールを飲みながら寛ぐ。鶏肉と豆腐を照り焼きにして、ほうれん草のソテーを添えたものをメインに作らせた。照り焼きのタレに卸し入れた生姜が爽やかで清々しい。ご飯は納豆で食べることにした。甘さを控えた照り焼きを肴に、やや辛口の純米酒を口に含むと、これは美味い。

 

1月29日(水)晴れ

 定時で仕事を切り上げて外に出ると、昼間から黄昏時に移行する空の色が刻々と微妙に変化して壮大な天空ショーを繰り広げていた。駐車場に停めたうに色のクルマに乗って走り出す。公園のテニスコートの前を通ると、人工芝の張替工事が始まっていた。横目で見ながら通り過ぎて市街地に向かう。国道沿いのスポーツショップで張替に出してあったラケットを受け取った。汗で発熱する新素材を使ったウォームアップスーツを試着してみる。色・デザインで気に入ったものがなかった。駐車場で栄養補助食品のブロックを咀嚼しながら、アミノ酸系飲料水を飲む。クルマを出し、テニスクラブに向かった。

 レッスン生は6名と珍しく多い。ショートラリー、ボレーストローク、サービス、サービス&リターン、ダブルス形式のポイントマッチといつも通りの練習をこなした。サービスの当りが少し良い。リターンが返って来ない事が多かった。

 自宅に戻ると相棒がキムチ鍋の用意をしている。中身は豚肉、モヤシ、豆腐、白菜、人参、大根など野菜がたっぷりだった。切り胡麻とにんにくのスライスを多めに加えると香りが良い。冷たいビールと純米酒を飲みながら土鍋一杯の肉と野菜を平らげた。

 

1月30日(木)晴れ

 自宅の部屋の中で大きなスペースを占有していたOAデスクを解体して、灰色の車のリアシートを倒して広げた荷室に積み込んであった。灰色の車は運転席と助手席以外使えない状態になっている。気温は低いが乾燥した朝だった。周囲の車を含めて灰色の車に霜はない。ドアを開けて冷たいシートに座ると、エンジンを掛けてすぐに発車出来た。東に向かって走ると茜色の縮んだように小さい冬の太陽が斜め正面から昇ってくる。背後で荷物が出すきしみ音を聞きながら田舎道を走った。

 事務所の外に出ると冷え込みが厳しい。重たく感じるほどの冷気が体を包んだ。近くの公園の駐車場に車を入れると取引の相手が既に待っている。相手もすぐに気付いた。車の外に出てくる。やや小太りで30代半ばの年恰好だった。短い言葉をかわすと灰色の車のハッチを開けて荷物を下ろし始める。相手も目立たない灰色の車を選んでいた。逆の手順で積み込む。代金を受け取ると取引は終了だ。足早に立ち去る相手を注意深く見送ってから、灰色の車の車室内から取引の痕跡を消す。

 自宅に戻ると大根とベーコンの煮物と鶏肉のトマト煮込みが待っていた。冷たいビールを飲みながらぱくつくと実に美味い。

 

1月31日(金)晴れ

 うに色のクルマの燃料タンクにはエンジンオイル系の添加剤を入れている。ガソリン50Lに対して100mLと極微量を添加する指定になっていた。メーカーが主張するような効果は疑わしいし、体感できるものでも無いが、音の変化だけは感じられる。うに色のクルマに搭載された鋳鉄ブロックの実用エンジンは、高回転でざらざらしたがさつな音を立てていた。添加剤を加えてしばらくすると高回転でのざらつきが取れて、少しまろやかな音に変わる。気分は悪くなかった。

 定時に会社を出ると、うに色のクルマに乗り、混雑する路上に出る。田舎道を走り、テニスクラブに向かった。ウォームアップの下にベストも着込んで寒さ対策をする。ナイタースクールのレッスン生は3人集まった。珍しくコーチも入って4名でダブルスの練習を長めに取った。ショットの精度が甘く、ミスが多いばかりでなく、ひらめきやイメージも乏しい。どうやってプレイの質を高めていくかが課題だった。

 買い物をして自宅に戻ると、小鍋にお湯を沸かしてほうれん草の味噌汁を作る。昨夜の残り物を暖めて晩飯にした。冷たいビールで喉を潤し、熱々の料理を食べると、体の中から力が沸いて来る気がする。

 


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