2月1日(土)晴れアラーム音で目覚める。熱い紅茶とトーストとヨーグルトを腹に入れた。黒いスゥエットシャツ、黒いベストに黒のウォームアップを着込んで家を出る。うに色のクルマで30分ほどドライブしてテニスコートに着いた。サークルメンバーは12人集まって来た。風が無く太陽が出ているのでプレイ中は寒さを感じない。3時間ほど練習とゲームに打ち込んだ。
練習後、先週も訪れたレーシングショップに寄って、足回り部品を再加工してもらう。これで間違いなく上手く取り付く筈だ。そのままの足でテニスクラブに向かう。メロンパンとアンパンをビールで胃に送り込むと、誘われるままにゲームを始めた。早めに切り上げて自宅に戻ると、シャワーを浴びて着替え、家を出る。
駅を降りて暗くなった街を北に向かって歩いた。5分も歩くと人通りが少なくなる。カーディーラーの奥に目的のマンションがあった。入口のインターホンで呼出し、扉を開けてもらう。エレベーターで9階に上がるとテニス仲間が出迎えてくれた。冷たいビールで乾杯し、出された心づくしの料理を食べ始める。どれも美味く、豊富に用意されていた。仲間たちと語り、飲み、食らう愉快な夜は瞬く間に更けていく。
2月2日(日)晴れ
睡眠時間は充分でなかったがアラームで目覚めた。昨夜の酒はほとんど痕跡も残していない。熱いミルクティーが体に柔らかく染み込んでいった。しばらく寛いでからトーストとヨーグルトで、朝昼兼用食にする。昼前に近くのテニスクラブに出掛けた。
気温は低いが風も無くテニス日和と言って良い。他のメンバーもそう考えたらしく、コートは埋まっていた。しばらく壁打ちをした後、空いたコートに入ってアップを続ける。そのままゲームに入った。それを皮きりに休みも入れながら夕方暗くなるまでゲームを楽しむ。相変わらずショットの質が安定せず、狙った試合運びにならなかった。日が伸びて来て暗くなるのが遅くなるが、5時半になると流石にボールが見え難くなる。コーヒーを飲んでからコートを離れた。
家に戻って荷物を置いてから相棒と共に灰色の車で出掛ける。餃子専門店に入り、スープ餃子と焼餃子を注文した。エビ餃子が絶妙に美味い。溶き玉子とワカメとほうれん草がスープに浮かぶ茹で餃子も良い味だった。腹を満たした後で銭湯に向かい、サウナと打たせ湯で長い時間を過す。一日の疲れが大量の汗と共に流れ去った。家に戻ってから飲むビールが堪らなく美味い。
2月3日(月)晴れ
空腹に耐えかねて仕事を切り上げると事務所の外に出た。過剰なほどに暖房が効いた室内に慣れた体が突然の寒気に曝される。ちりちりと皮膚の表面が縮む音が聞えると錯覚するほどに一気に収縮するのを感じた。早足でロッカールームに入ると再び暖気に体が緩む。駐車場でうに色のクルマに乗り込み、エンジンを始動した。一呼吸置いてから静かにクラッチを繋いで走り出す。
BOSEのスピーカーから20年近く前に流行ったポップスが流れて来た。昔聞いていたカセットテープをディジタル化してMacに取り込みCD−Rに焼いたものを、CDチェンジャーに突っ込んでおいたのを思い出す。懐かしいメロディーや歌声が古いカセットのやや輪郭のぼやけた音のままCDで甦るのは、どことなく奇妙な感覚だった。まだエアチェックと言う言葉がごく普通に使われていた頃にまさにエアチェックなどで集められた曲が続く。ノスタルジックな気分に浸りながら暗い田舎道を走った。
自宅に帰ると、カレーの香ばしい香りに迎えられる。温かいご飯に大きな野菜がごろごろと入ったカレーをたっぷりとかけて頬張った。野菜の甘味と香辛料を効かせたルーの辛味が混ざり合って、これは美味い。
2月4日(火)晴れ
うに色のクルマのエンジンは、DOHC、1747cc、可変バルブタイミング機構搭載、日立製電子制御マルチポイント燃料噴射装置と、スペック上は高出力の期待を抱かせるが、6300rpmで最大出力130ps、4300rpmで最大トルク16.7kgmと大した事はない。設計の古い鋳鉄ブロックの実用エンジンに過ぎなかった。レブリミットは7000rpmだが、6000rpm以上はパワーもトルクも落ち込み、がさつなノイズを盛大にがなりたてる。しかし、トラクションに不利なFFの軽量ボディを引っ張るには充分であり、ストロークが短く、回して使える適切なギア比の5速手動変速トランスミッションを駆使して走りまわるのは痛快以外の何ものでもなかった。それにガソリンに添加する潤滑剤が、がさつな音をやや和らげているので、最大出力付近までストレスなく使えるようになっている。だが、いびつなこの国の官警の無用な注意を引かぬようにアクセルを控え、通勤車の流れの中にその身を潜ませた。純正品の代りに埋め込んだBOSEのスピーカーからはサッカーフリークのアナウンサーの渋い声が響いている。駐車場の入口でステアリングを大きく左に切った。
2月5日(水)曇り
定時で事務所を出ると、夕日が空を微妙なグラデーションで彩っていた。灰色の車で丘を降り、河を渡る。コンビニの駐車場に車を停めて栄養補助食品とアミノ酸系飲料で軽く腹ごしらえをした。シートを倒すと一時間程仮眠を取る。目覚めるとテニスクラブに向かった。
レッスン生は4名しかいない。ショートラリー、ボレーボレー、サービス、スマッシュ、サービス&リターン、ダブルス形式のポイントマッチと練習をこなした。久し振りに表れた男がパワーアップしていて驚かされる。サービスの当りが少し良くなったところで、欲を出してさらにスピードアップを狙ったところ、フォームが崩れた。打点を見失っていた事に気付く。終了後に一人でサービスを練習して修正した。
駅前で相棒を拾うと中国料理屋に車を寄せる。中国風の厚い皮にスープを含めて握った餃子が有名な店だった。中身は豚肉、白菜、冬瓜などが定番だが、エビ入りニラタマが珍しく、大層美味い。蒸すと透明になる米粉の皮に包まれたエビ餃子も堪えられない美味を誇っていた。熱々の餃子にニンニクの入ったタレを付けて頬張ると、中から熱い豚骨スープが溢れて口中に広がる。なんとも幸せな気分にさせられた。
2月6日(木)晴れ
灰色の車で走り出す。カーラジオからは、すっかり聞き馴染んだアナウンサーの渋い声が流れていた。左足ブレーキを使わないので、走り出す時にATセレクタを「D」ポジションに入れると、もう左手、左足のする仕事はほとんど無い。水温が上がってくると温風が流れだし、車室内の温度も上がり出した。家を出る時から着けていた手袋を外す。柔かいスタッドレスタイヤは乗り心地は良いが、微かにか細い高周波の音を発していた。カーラジオの音を上げて掻き消す。走り出す時は僅かに薄暗かったが、駐車場に車を停める頃には完全に日が昇って明るい光りが冬の朝を彩っていた。
作業を終えて再び灰色の車で坂を降りていく。上手く時間帯を外したので道はそれほど混んでいなかった。ヘッドライトの黄色がかった弱々しい光りの中で景色が平板に見える。町が近付くと夜景にネオンが彩りを添えるが、賑わいは感じられなかった。餃子専門店の前に車を止める。スープ餃子と焼餃子数種とお結び餃子を注文した。筒状のご飯に塩味を付けた餃子を埋め込んで海苔を巻いたお結び餃子は習慣性があり、たまに無性に食べたくなる。熱いご飯に熱い餃子の組合せの妙には、いつも感心させられた。
2月7日(金)晴れ
切りの良いところで仕事を終らせると少し定時を過ぎていた。急いでロッカールームに向かい、着替えて駐車場から灰色の車を出す。帰宅する車の混雑が始まっていた。渋滞を避けて田舎道を走る。道すがらアミノ酸入りのスポーツドリンクで水分補給してレッスンに備えた。テニスクラブの駐車場に車を停め、クラブハウスで着替えるとナイター照明の下に出て行く。少し寒さが緩んで、素手でも指先が冷えることは無かった。レッスン生は2人だけしかいない。一対一のボレーボレーでアップした。コーチの球出しでストロークをたっぷり打ってから、一対一のボレーストロークをじっくりと練習する。休む間はなかった。しかし、集中度が上がって悪くない。しっかり打ち返せる球を、判断の僅かな遅れで甘い返球にして叩かれるケースが大分あった。まだ課題は多い。サービスは一つのコツを掴んだ様だ。楽に打ってしかもスピードがアップしている。リターンが帰ってこない事が多かった。
買い物をして自宅に戻ると、土鍋にお湯を沸かしてニンニクのスライスと鷹の爪の小口切りをたっぷりと入れる。豚肉と野菜とキノコを味噌とキムチ味の鍋料理にした。冷たいビールが良く合って美味い。
2月8日(土)晴れ後曇り
いつものようにアラーム音で目覚める。熱い紅茶とヨーグルトの軽い朝食を腹に収めた。身支度を整えて家を出る。うに色のクルマを路上に連れ出すと、道は平日よりも空いていた。普段は通らない幹線道路を選んで仕事場に向かう。ラジオは平日と異なるプログラムで退屈だった。駐車場にクルマを停める。時計に目をやると幹線道路が使えたお陰で15分ほど早く着いていた。渋滞が無駄を産んでいる事が良く判る。
根を詰めていたせいか、定時までが瞬く間に過ぎてしまった。急いでロッカールームに向かい、着替えて外に出る。まだ空は充分に明るかった。うに色のクルマに乗り込むと、陽光に曝されていた車内の温度が20度を越えている。久し振りに、しばらく走って車内が温まるまで待たずに幌を降ろす事が出来た。夕日を追いかけるように西に向かって走る。BOSEのスピーカーから流れるノスタルジックなポップスが空に溶けていった。
ナイタースクールでこの日初めてラケットを握る。レッスン生は4名なのでちょうど良かった。適度に体を動かすと気持ちが良い。レッスン後に街に出て、餃子専門店で晩飯にする。この店のスープ餃子は絶品だった。こんな一日も悪くはない。
2月9日(日)晴れ
夜半にかなりの雨が降ったらしい。眠っている間だったので全く気付かなかった。目覚めて外をみると、すでに空は晴れていた。熱いミルクティーが体に染み込んでいく感じを楽しむ。トーストとヨーグルトとベーコンエッグで朝昼兼用食にした。昼前に近くのテニスクラブに出掛けていく。
例年に比べると気温は高く風も無い絶好のテニス日和になった。その割には会員数が少なく、コートも空きがある。早速、空いたコートに入ってアップを始める。砂入人工芝のコートは湿っていてボールがすぐに毛羽立ち、重くなった。ハードコートが空いたのでそちらに移動する。そのまま同じコートでアップしていた4名でゲームに入った。相手やペアを替えながら夕方までゲームを楽しむ。金曜にコツを掴んだ筈のサービスが今日は冴えなかった。相変わらずロブが上がらずに打ちごろになる課題が残る。コーヒーを飲んでからコートを離れた。
一度家に戻ってシャワーを浴びてから相棒と共に灰色の車で出掛ける。餃子専門店に入り、味噌汁餃子とネギ味噌焼餃子を注文した。味噌がウリだけあって実に美味い。腹を満たした後は銭湯に行き、サウナと露天風呂に長い時間を費やした。疲れが吹き飛ぶ。
2月10日(月)晴れ
変わり映えのない月曜の朝が目覚ましのアラーム音と共にやってきた。熱いミルクティーと冷たいヨーグルトで体に活を入れる。身支度を整えて地下駐車場に降りて行くと、うに色のクルマが待っていた。警報装置の作動を示す赤色LEDの点滅を確認してから、リモコンでドアロックを解除する。レカロのシートに腰を降ろすとエンジンを始動させ、すぐに、しかし、ゆっくりと走り始めた。
街灯の数もまばらで薄暗い田舎道を、白い閃光で闇を切り裂くように照らし出しながら、クルマを走らせた。BOSEのスピーカーから流れる中域が豊かで艶やかな女性ヴォーカルを聞きながらだ。30分程のドライブで、自宅の前のアプローチにクルマを滑り込ませた。クルマを降りてオートマティックゲートの端末に暗証番号を入力すると、鉄のゲートが渋々といった動きでのそのそと開いて行く。ゆっくりクルマに戻ってシートに座った頃にやっと通れるほどに開いた。
米を研いでザルに上げてから、小鍋にお湯を沸かして豆腐と椎茸とオクラの味噌汁を作る。メインは胡椒の効いたスモークドサーモンとカレーという奇抜な取り合わせだが意外に悪くない。脂が乗ったサーモンが舌の上で甘く蕩けた。
2月11日(火)晴れ
この国では、今日は祝日だが、関係ない。いつも通りにアラーム音で目覚めると熱いミルクティーを入れて飲み、家を出た。うに色のクルマのエンジンを始動すると地下駐車場から地上に上がって行く。細かい霧雨がフロントガラスに吹き付けて来た。しばらくすると視界の邪魔になるので、ワイパーを単発で作動させて拭い取る。それを繰り返しながらいつもの通勤路を外れて、幹線道路を走った。祝日なので交通量はやや少ない。大きな河に架けられた橋を渡る辺りになって、流れが滞りがちになった。一箇所に7千台からの車が集まって来るのだから仕方がない。
早めに仕事を切り上げて外に出た。すでに夜の帳が降りている。朝よりも少し強い雨が降り続いていた。傘を差して駐車場まで歩き、畳んだ傘をトランクに放り込むと、走り始める。濡れた路面ではステアリングの接地感が薄れるので、慎重なステアリング操作が必要だった。
自宅に戻ると冷蔵庫から缶ビールを取り出してプルトップを引く。少し勢いを付けてグラスに注ぎ、泡と一緒に放り込むように喉に流し込んだ。舌を通り過ぎて行く時の苦味と炭酸の刺激、唇に触れる泡の感触、後に残る香り、全てが調和して、実に美味い。
2月12日(水)曇り
定時で事務所を出ると、まだ空に僅かながら昼間の色が残っていた。急ぎ足で駐車場に向かう途中で、桜並木の枯れているような枝に何時の間にか花芽が宿っているのに気付く。いよいよ春が近付いてきたのを実感した。うに色のクルマで壁打ちコートに行って、暗くなるまでの数分間だけスマッシュの打点を確かめる。コンビニの駐車場で栄養補助食品を充分に咀嚼して、アミノ酸系飲料で胃に流し込み腹ごしらえを終えた。テニスクラブに向かう。
レッスン生は5名集まった。ショートラリー、ボレーストローク、サービス、サービス&リターン、ダブルス形式のポイントマッチと練習をこなした。一人の男のショットの質が高い。ボレーもストロークも素晴らしく、やり込められた。サービスはまずまずの出来で安定してくる。練習終了後にさらにサービスを確認した。
駅前で相棒を拾って中華レストランに車を停める。ライトアップが綺麗な小さな噴水の前の席に案内された。5種類ある餃子のメニューを全て注文する。黒酢、辛子醤油、胡麻味噌ダレなどで味の趣向を変えて餃子を楽しむ。小ぶりの上品な餃子は、どれも手間を掛けた丁寧な作りで、質が高かった。満足して店を後にする。
2月13日(木)晴れ
外に出ると空気が少し軽く感じられた。春、という言葉が僅かに現実味を帯びて来ている。そんなことさえ思わせる夜だった。暗い駐車場にはすでに車がほとんど姿を消している。手の中にあるリモコンのボタンを押すと、うに色の車が2回だけハザードランプを点滅させて答えた。歩み寄ってドアのボタンを押して出て来たレバーを引くと、軽いラッチが外れる音と共にドアが開き、室内灯が点る。運転席の背もたれに刺繍されたレカロの文字が浮かび上がった。助手席にショルダーバッグを放り込み、洞穴に潜り込むように座席に腰を落とす。残った左足を引き込んでドアを閉じた。イモビライザーの発振器が埋め込まれた大きなグリップのキーをキーホールに差し込み、キーを捻る。オンの位置で一呼吸待ってメーターの警告灯が消えるのを待った。一瞬の間に信号の照合が行われてイモビライザーが解除される。さらにキーを捻ると僅かなクランキングの後、ぐわんと一声咆哮を上げて4気筒1746ccのツインカムエンジンが目覚めた。キーを捻る時に踏んでおいたクラッチを一旦戻して、シートベルトを締め上げてから再度クラッチを踏み込み、シフトレバーを1速に送り込む。発進した。
2月14日(金)晴れ
時計を時々睨みながら、キーボードを叩いて何とか仕事に一段落つけたのは定時を少し廻ったところだった。急いでパソコンの電源を落とすと、事務所を抜け出す。着替えてうに色のクルマに乗り込むと、すぐに発進させた。帰宅を急ぐ車で道は滞っている。止まっている時間を利用して栄養補助食品のブロックをゆっくりと咀嚼して胃を鎮めた。田舎道を走ってテニスクラブに向かう。レッスンの始まる少し前に駐車場に入った。ロッカールームでシューズを履き替えるとナイター照明が明るい人工芝のコートに出ていく。レッスン生は少し遅れて2人やって来て3名となった。ボレーボレー、球だしのボレー練習、ストローク練習、ゲーム形式と進む。サービスダッシュからの展開が上手くいかなかった。
クラブから北に数キロ行ったところの餃子専門店に入る。小さいテーブル席が3つとカウンターのみの狭い店内は20名も入れば一杯だった。カウンターの一番奥に座る。ここのシソ餃子は絶品だ。スープ餃子の味も悪く無い。4人前を注文した。本を読んで時間潰しをしていると、目の前に餃子の鉄板が出される。ここは熱した鉄板の上に餃子が乗っている為、最後まで熱々を食べられた。
2月15日(土)晴れ後曇り
目覚めてTVを点ける。旅番組を眺めながら熱い紅茶とトーストとソーセージと野菜たっぷりのスープを腹に収めた。時間を気にせずゆったりと過す休日の朝も悪くない。充分に寛いでからテニスウエアに着替えてラケットバッグを担ぐと家を出た。うに色のクルマで近くのテニスクラブに向かう。
既にスクール生や多くの会員が集まって来ていた。靴を履き変えるとコートに出て行き、3名でアップをしているところに加わってアップを始める。そのままゲームを楽しんだ。昼になると家に戻ってニンニクと鷹の爪とオリーブオイルでパスタを作って食べる。家が近いからなせる技だ。町外れの不便な場所だが、こんな時は便利に感じる。昼食をとって一休みしてからコートに戻った。夕方暗くなるまでゲームを楽しむ。まだ多くの会員達と対等に戦うにはレベル的に苦しいことを痛感させられた。ショットの精度と安定度を上げる必要がある。反省を込めてナイターレッスンで汗を流した。
街中の中国料理店に入る。蒸し、茹で、焼き餃子をそれぞれ注文した。何度食べても美味さに満足する。皮に閉じ込められたスープの旨味がたまらなかった。自宅に戻って、ビールで喉を潤す。完璧な一日だ。
2月16日(日)雨
アラームで起きて真っ先にカーテンを開けた。まだ雨は降っていない。ミルクティーとトーストの朝食を取りながらTVを眺めた。再び外を見ると雨が降り始めている。西から雨雲が近付いている筈だったので、北東の位置にあるテニスコートに向かってうに色のクルマを走らせた。雨を追い抜く事は出来ない。諦めて自宅に戻った。途中のカー用品店でブレーキランプのバルブを購入して交換し、ラケットを張り替えに出す。
昼食をとり、休憩してから地下駐車場に降りてうに色のクルマに16mmのハブ付きスペーサーを組み込んだ。これまでは10mmのハブ無しスペーサーだったので、ホイールセンターはハブに保持されていない。理屈上はホイール取り付けの精度が上がる筈だ。走っていて、感じられるかどうかは判らない。
ホイールを外したついでにブレーキパッドの残量を確認し、キャリパーの汚れを落とした。パッドは交換した方が良いが、急ぐほどでも無い。もっと時間が取れる時に交換することにした。
夜は駅から少し離れた餃子専門店で晩飯にする。ふわふわ玉子とワカメとほうれん草と刻みネギが浮いたスープ餃子が楽しみの店だ。焼きエビ餃子も隠れた逸品で実に美味い。
2月17日(月)晴れ
アラームを止めた次の瞬間に再び眠りに落ち、きっかり5分後に鳴り始めたアラームを止めて直ぐに眠りに落ち、を数度繰り返して、やっと起き上がる事が出来た。週の始まりは、いつも眠り足りない朝と共にやってくる。熱いミルクティーを飲み、クラッカーを齧った。目覚めて30分後には家を出る。地下駐車場に停めた、うに色のクルマに乗り込んで、地上へのスロープを上がった。外に停められた車の窓にびっしりと氷滴が付いている。大量の露が降りた上に、それが明け方の冷え込みで凍ったのだった。
幹線道路に出ても路面は黒く濡れたように見えたり、白く光ったりしている。速度を落とし、慎重な運転になっている車が多く、流れは悪かった。目から入ってくる情報とペダルとステアリングから入ってくる情報に神経を集中し、路面の状況を探りながら走る。タイヤを取られる程に摩擦抵抗の少ない部分はほとんど無かった。通勤路の途中に、雪が降った後に最後まで雪や氷が残るスポットがある。やや上り坂になっているので速度を維持する為には少しアクセルを踏み足さなければならなかった。慎重にアクセルを踏むと、急にエンジン回転が高まってタイヤのスリップを知らされた。
2月18日(火)曇り後雨と雪
夕方、日が落ちる頃から雨とも雪ともつかない、みぞれ混じりの冷たい雨が降り始めた。雨脚は強くないが、みるみるうちにアスファルトの路面を黒々と濡らしていく。早めに仕事を終わりにして外に出た。傘が要らない程度に雨脚は弱まっている。駐車場に停めた灰色の車の屋根やガラスにはうっすらとみぞれ状の氷が貼り付いていた。ワイパーでフロントガラスのみぞれを振り払い、発進する。駅に向かって丘を降りて行った。
駅周辺では雨は止んでいる。駅前の餃子専門店に入り、揚げ餃子1品、焼き餃子3品、スープ餃子1品を注文した。一口大のニラエビ揚げ餃子に塩を振って口に放り込む。スナック感覚で美味かった。ビールが飲みたいところだが、水を飲む。次に出されたスープ餃子のスープをすすり、柔らかくふっくらした餃子を頬張った。半分ぐらい食べたところで焼き餃子が出て来た。シソ餃子は、香りが爽やかでさっぱりとしている。ニラ餃子はニラの甘味が効いていた。スタミナ餃子はニンニクの香りが強い。それぞれの味を楽しみながら食べ終わると店を出た。 自宅に戻ってストーブに火を入れる。部屋が温まるのを待つ間に、焼酎のお湯割りで体の中から暖める事にした。
2月19日(水)晴れ後曇り
昨夜の雨が残った路面は、うっすらと表面を覆う氷の結晶が、朝の光りにきらきらと白く輝いていた。スタッドレスタイヤを装備した灰色の車で走り出すと、慎重に走る車が多く、流れが悪い。途中の凍結危険スポットの交差点でステアリングを切ると一瞬フロントタイヤが流れた後に車体が向きを変えた。
定時に仕事場を出ると、壁打ちコートに向かう。スマッシュの打点を確認するつもりだったが、水溜りに阻まれた。無理にやれば、ボールとストリングスが駄目になってしまう。諦めて街に向かった。スポーツ用品店に預けてあったラケットを受け取り、ついでにプリンスの新作ラケットを試打に借り出す。テニスクラブの駐車場に車を停めてしばらく仮眠した。
レッスン生は4名しかいない。ボレーボレー、ボレーストローク、サービス、ダブルス形式のポイントマッチと練習をこなした。サービスの安定度が徐々に高まって来ている。練習終了後に一人で無人のコートにサービスを打ち込んだ。
駅前で相棒を車に乗せて餃子専門店に入る。茹で餃子を主に焼き餃子や揚げ餃子も注文した。相変わらずスープが絶品で、美味い。家に戻り九州限定の「豊後麦酒」をコップに注いで飲み干した。
2月20日(木)晴れ時々曇り
ビデオに撮ったTV番組を見ながら晩飯を作る。豆腐と冷蔵庫に有り合わせの野菜を適当に切って土鍋に並べて水を張り、火に掛けるだけの料理とも言えない料理だ。ニンニクをたっぷりスライスして放り込み、鷹の爪の小口切りを種子ごと投げ入れる。キムチの素で味付けすると体が温まる豆腐のキムチ鍋が出来た。
冷たいビールと熱い鍋料理を交互に口に入れながら、TVを眺める。テニス部の部員達が学校の球技大会で活躍するという筆休め的なサイドストーリーが終った。テニスの技で卓球をして、しかも勝つと言うのは馬鹿馬鹿しい。子供達にテニスを魅力的なスポーツと認めさせた功績は大きいが、本筋から外れた部分で手を抜き過ぎていた。
画面は子供向けとしては画期的な碁を題材としたアニメに変わる。主人公の少年が離別から立ち直り、再び碁の道を目指すと言う一つの山場を迎えた。ストーリーの出来としては、こちらの方が数段上に感じられる。碁盤上に失った友を発見するという場面は月並みだが悪くなかった。この先、主人公と過去から来た友との出会いと別れ、その悲しみからの再起以上のエピソードが創れるのかが最大の課題だ。グラスを焼酎のお湯割りに変えた。
2月21日(金)晴れ
定時を過ぎても仕事は一向に終わる気配を見せない。ナイタースクールは諦めざるを得ない状況だった。晩飯も食べないまま、仕事場を後にしたのは日付けが変わるまで2時間半弱を残した時間になる。ほとんどの車が出払い、がらんとした駐車場にぽつんとうに色のクルマが待っていた。冷えきったレカロのシートに腰を降ろすとエンジンを始動して走り出す。夜が早いこの地方都市では、すでに車の数も少なかった。空いた夜道を流していくのは気持ちが良い。軽快な排気音を音楽のように響かせながら走った。
自宅に戻ると、鍋に湯を湧かして冷や麦を茹でる。おかずはイワシの丸干しにした。茹で上がった冷や麦を手の切れそうな水道水で洗って締め、ざるに上げる。市販の濃縮つゆを薄めて刻みねぎと海苔を薬味にした。酵母の香りと僅かな酸味が感じられる豊後麦酒をグラスに注いで飲む。冷や麦につゆを付けて啜り、丸干しを頭から齧ると、やっと人間らしい気分になった。飲み物を焼酎のお湯割りに変える。麦焼酎のマイルドな香りが鼻をくすぐり、舌を焼いた。イワシの丸干しやワサビ漬けに良く合って実に旨い。さらに泡盛の牛乳割りに変えて飲み続けた。酔いに疲れが解けていく。
2月22日(土)晴れ後曇り
うに色のクルマを一時間程ドライブして北の町にあるテニスコートに着いた。7名のサークルメンバーが集まっている。人数が丁度8名になった。アップとボレーストロークで練習を終わりにしてゲームを多めにする。相手を変えながら6ゲームマッチで3試合連続して出来た。
帰り道の途中にある蕎麦屋で角煮丼定食を注文する。たっぷりの豚の角煮を玉子綴じにして載せた丼と、煮物の小鉢、味噌汁、漬物に、普通に盛られた蕎麦が付いてきた。蕎麦は腰と香りがあって美味く、これで千円しないのだからデフレの時代とはいえ充分満足できる。
街に戻り、ガットが切れたラケットを張り替えに出した。代りにプリンスの新作ラケットを借り出す。杉山愛モデルの日本版だった。早速テニスクラブで使ってみる。思ったよりも柔かい打球感で芯がぼやけるが、スィートスポットは広かった。
街中の中国料理店に入る。入った時には他の客は一組だけだったが、その後、混みあってきた。蒸し、茹で、焼き餃子をそれぞれ数品づつ食べる。自宅に戻って風呂で汗を流し、ビールで喉を潤した。全てが充実の一日になる。
2月23日(日)曇り後小雪
電車に一駅乗って餃子専門店で昼食にする。味噌汁餃子と焼餃子を食べた。缶ビールを買って新幹線に乗り込むが、一缶空ける間に目的の駅に着いてしまう。ありふれた眺めの新幹線駅からバスに乗り、30分程度で小さな温泉町に着いた。旅館にチェックインすると早速浴衣に着替えて草履を履いて湯巡りを始める。6軒の旅館を巡った。
日中の露天風呂は気持ちが良い。薬湯露天風呂があったり、檜の浴槽があったりとそれぞれ特色がある。4軒目の露天風呂はこじんまりとして小さな滝とせせらぎの音が気持ち良かった。缶ビールを持ち込んで飲みながらゆっくりと入る。6軒目は露天が無い代りにサウナがあった。充分に汗を流す。
旅館に戻ると直ぐに晩飯が用意された。部屋に食事が出される。刺身や湯葉豆腐や天婦羅などが豪勢に並べられた。ビールや日本酒を飲みながら全て平らげる。満腹になったところで少し休んで、いよいよこの旅館の風呂に入った。草鞋で歩いた為か指の又に酸性のお湯がしみる。檜で出来た小振りの浴槽の露天風呂に浸かって暗い空を見ると細かい雪が舞い出した。今年は雪が少なく雪見露天風呂の夢は叶わないが、少し雰囲気が感じられて、これも悪くない。
2月24日(月)小雪後雪
暖房が良く効くのは良いが、部屋の空気が乾燥し切っていた。目が覚めたので朝風呂に入る。昨夜の雪で庭園はうっすらと雪化粧していた。風呂上りのビールを飲んでいると仲居が布団を上げに来て朝食を運んでくる。ただぼんやりしていれば良い日本旅館のサービスもたまには悪く無かった。昨夜の飲み残しの日本酒を飲みながら多めの朝食を平らげる。少し休んでから、また温泉に浸かった。旅館で出されて美味かったお茶を売店で購入して旅館を出る。昨夜出されて美味かった地酒を旅館の前の店で買い込むとバス停に向かった。
帰りのバスではヴォランティアの観光ガイドが同乗してちょっとしたツアーを解説付きでしてくれる。安達太良山を題材にした東歌の万葉碑を二つ見て、古城跡、詩人高村光太郎の妻、智恵子の生家、有名な「樹下の二人」を歌った舞台となった裏山などを巡った。サービスで付けられた期待していないツアーにしては、意外なほどに楽しめる。
在来線を含めた1時間程の電車の中で、車窓から見える雪景色を眺めながら日本酒の残りを飲み干した。期待に反して雪が無い北の街から戻るに連れて雪景色になるのは皮肉だ。その晩、疲れでなく酷い発熱が体を襲った。
2月25日(火)曇り
昨夜突然襲って来た39℃近い発熱による悪寒の名残が腰のあたりになんとなく感じられた。解熱剤を飲んだので、37℃台後半まで体温は下がっている。不思議と頭痛は無かった。立ち上がる気力すら湧かないまま一日中布団の中で過す。体内の免疫機構がウィルスの侵略に打ち勝つのを待つことにした。
2月26日(水)晴れ
夜中に何度も目を覚まして、発熱に伴う発汗による脱水症状を避ける為に水分を補充する。早朝目を覚まして体温を測るとまだ37℃台後半のままだった。相棒を送り出し、水分を補充する。再び眠りに就いた。ベランダの有る窓から下に見える病院に行くつもりだったが、生憎と定休日になっている。回復を体力に任せることにした。布団にもぐり込む。鼻水が呼吸を苦しめた。
2月27日(木)晴れ
水分補給を繰り返しつつ早朝に目覚める。気分は良かった。37℃台と体温は高めだが構うことはない。灰色の車で仕事場に向かう。いつもより一時間早く出社して溜まっていた急ぎの仕事を片付けた。
仕事場に隣接された健康管理所で形ばかりの診察を受ける。抗生物質や解熱作用の有る錠剤を数種類受け取った。昼過ぎに退社して自宅に戻ると、昼食を取って、薬を飲む。再び布団にもぐり込んだ。回復に向かっている事は間違い無い。体温は平熱に戻っていた。しかし、鼻水と喉の痛みがまだ残っている。咳には痰が絡んだ。鼻が詰まる息苦しさにしばらく眠れずに煩悶する。夜が更ける頃、いつしか眠りに落ちていた。
2月28日(金)晴れ
少し定時を過ぎた。ロッカールームで着替えて、急いで駐車場まで行き、うに色のクルマを出す。もう夕方の混雑が始まっていた。一番渋滞するポイントを避けて田舎道を使い、幹線道路に出る。体調はまだ完全ではなかった。だが構うことはない。クラブハウスで着替えてコートに出て行った。レッスン生は4人いる。ボレーボレーでアップした。動くと咳が出る。コーチの球出しでボレーとストロークを打ってから、4人でダブルス形式でボレーストロークを練習した。喉に痰が絡み酷く咳き込む。
簡単に買い物をして自宅に戻った。体が冷えない様に急いで風呂をためながら、米を研ぎ、味噌汁を作る。ゆっくり風呂に入って汗を流した。豆腐をつまみにビールを飲む。相棒が帰るのを待って晩飯にした。今夜も熱っぽい。布団にもぐり込んだ。