6月1日(日)雨後曇り自然に目覚めて朝風呂に入る。内風呂の窓から裏庭の白樺林と花壇が見渡せた。降り続く雨を眺めながら、和洋折衷の朝食をゆっくり取り、コーヒーを飲む。チェックアウトの時間までのんびり過してから宿を後にした。来る時と同じ様に雨が降る中を灰色の車で南に向かって走る。山を降りても空は明るくなったものの、雨は降り止まなかった。街外れの餃子専門店で昼食にする。昼時なのに客の姿が無かった。焼き餃子と水餃子を注文する。熱々の餃子を頬張ると疲れが吹き飛ぶ気がした。
自宅に戻る頃には雨が上がって路面が乾き始める。テニスウエアに着替えてラケットバッグを持ってテニスクラブに向かった。途中で夕立のように激しく雨が降り、一瞬置いてから唐突に降り止む。コートの水かきをしてから夕方暗くなるまでゲームを楽しんだ。最後の40分ほどは他の会員と乱打をして過す。風が強い中、風下から打ちまくるのは、いささか辛いがフルパワーを開放出来るので気持ち良く打てた。自宅に戻ってシャワーを浴び、冷たいビールを飲むと生き返ったように気分が良い。洗濯機を回しながら晩飯を作って食べた。F1モナコGPを眺めてから布団に潜り込む。すぐに眠りに落ちた。
6月2日(月)晴れ後夕立
電子音が頭の中に響いた。電波式で常に正確な時を示すのが売り文句の目覚まし時計が、時を告げている。ボタンを押して音を停めた。再び頭の中に電子音が飛び込む。目を開けて時間を見た。最初の音から5分過ぎている。さらに5分後、同じことが繰り返された。やっと起き上がる気になる。うに色のクルマに乗り込み、地下駐車場を後にした。久しぶりに陽射しの下を走る。遠くに新緑にけぶる山並みが微かに霞んで見えていた。
そろそろ帰ろうかと考えて準備を始めていると、突然空が光り、遠くに雷鳴が聞える。大粒の雨が落ち始めて、瞬く間に辺りを黒く濡らしていった。傘をさしてロッカールームを出る。うに色のクルマに乗って水飛沫を上げながら街道を走って街中に入った。中国料理店の駐車場にクルマを停める。今夜も客は誰もいなかった。蒸し餃子と茹で餃子を注文する。エビ蒸し餃子は独特の香料で味付けられていて、いつも感心するほど美味かった。茹で餃子は油を使わないのであっさりとして、腹にもたれない。食べている間にアベックの客が入って来た。水商売の女とその客だろう。店を出ると雨は上がっていた。走り出すと、前方の空を稲光が幾度も青白く切り裂く。
6月3日(火)晴れ後曇り
一日6時間の睡眠では、やや不足気味だった。睡眠状態から覚醒状態への移行が急峻にならず、目覚めがすっきりしない。やっと起き上がると冷たい牛乳に生卵を落として掻き回して一気に飲み乾し、頭に活を入れた。うに色のクルマを発進させる。1.8L、DOHCのエンジンを唄わせて田舎道を快調に走った。一面に水を張られた田んぼには、稲の苗が、まだ頼りなく揺れている。まもなく梅雨の時期が始まろうとしていた。
仕事場から出ると、暗い空に星も見えない。暗い歩道を歩いて駐車場に向かった。うに色のクルマに乗り込みヘッドライトを点すと、道路に出て丘を下る。長い橋を渡って、バイパスの下をくぐると市街地に入った。小さな餃子専門店に入る。水餃子と焼き餃子4品を注文した。野菜餃子は軽くて食べやすい。僅かなとろみが付いたほとんど透明なスープに胡麻と万能ネギを散らした中に白い餃子が浮かぶ水餃子は、いつものように美味かった
自宅に戻り、熱いシャワーを浴びてから冷たいビールを喉に流し込む。Macの前に座るとメールをチェックしながら、芋焼酎の牛乳割りを飲んだ。作業を終えると寝床に入る。布団の奥に吸い込まれるように深い眠りに落ちた。
6月4日(水)曇り後雨
朝起きてTVを点ける。天気予報は、台風の接近と、関東地方でも夜になって雨が降ると告げていた。カーテンを開けて、空を見ると既に雲が多い。Tシャツと短パンに白いウォームアップスーツの上だけを羽織り、ラケットとシューズを持って家を出た。灰色の車に荷物を放り込んで走り始める。
定時に仕事場を後にして壁打ちコートに向かった。1時間以上掛けてスライスショットとスマッシュとサービスの打点を確認する。スマッシュ練習で汗が流れ始めた。Tシャツを脱いでフェンスに掛ける。雨は降り出さなかった。ナイターレッスンは、セルフトスで打点とラケットの入れ方を確認することから始める。ボレーボレー、スマッシュ、サービス、ボレーストロークと進んでいった。最後はアプローチから並行陣対雁行陣になるダブルス形式の練習で仕上げる。途中から雨がパラつくが練習を妨げるほどではなかった。
自宅に戻って熱いシャワーを浴びると生き返ったような気分になる。ビデオに取ったテニスアニメを見ながら晩飯を作った。マーボー豆腐風の炒め物を茹でたてのパスタに絡めた特製スパゲッティだ。冷たいビールを添えてぱくつく。豆板醤の辛味が効いて実に美味かった。
6月5日(木)晴れ
夕立の可能性が有るとTVの天気予報が軒並み告げていた。特に北関東では確率が高くなっている。少し迷ったが、ドライブシャフトのブーツ切れの修理が終っていないうに色のクルマで夕立の中を水飛沫をあげて走る気にはならなかった。灰色の車のドアを開けると助手席に荷物を放り込んで乗り込む。長めのクランキングでやっとエンジンが掛かった。セレクトレバーをDに放り込みアクセルを踏むと、ゆるゆると走り始める。
仕事場から出ると暗い空に三日月がぽつんと浮かんでいた。丘を下って街に出る。駅前のホテルとデパートの間を通りぬけ、餃子専門店に入った。ここはいつも混んでいる。茹で餃子、キムチ餃子、ニラ餃子、ほたて餃子を注文した。ニラ餃子は卵も入っていてニラタマ風味で楽しい。キムチは刻んだ白菜キムチが練り込まれていた。ホタテもしっかり歯応えまで残されていて美味い。口も腹も満足させて店を出た。
自宅に戻ってビールを飲みながらTVを眺め、冷し中華と讃岐ぶっかけうどんの対戦を楽しむ。シャワーを浴びるとグラスにたっぷりの氷を入れて芋焼酎を注ぎ入れた。口に含むと爽やかな芋の香りが広がる。Macの前に座り、メールチェックを始めた。
6月6日(金)晴れ
定時で仕事を上がり、うに色のクルマの幌を降ろして、田舎道を走った。酒屋でお土産用の日本酒を仕入れて自宅に戻る。一泊分の荷物をデイバッグに詰めて家を出た。近くの駅まで歩く。快速電車に乗り、座席に腰を下ろすとすぐに寛ぎ、心地良い揺れに同調して眠りに落ちた。目覚めて数駅過ぎると目的地に着く。電車を降りて人ごみの中を掻き分ける様に外に出た。商店街の細い路地を抜けて、ゲームセンターが1、2階を占めるビルの3階に上がる。流行りの似非和風で、暗い照明と個室感が漂う間仕切りの飲み屋が今夜の目的地だった。
昔の仲間の懐かしい顔が見える。参加者が集まり時間になった。冷たいビールで乾杯し、出された刺身やローストビーフなどのつまみを食べて腹を落ち着かせる。料理には大層な名前が付いている様だが、取り立てて感心する程でもないのは、軽薄な部屋の雰囲気のせいもあった。多いにビールを飲み、たわいもない事を語り合っていると2時間は瞬く間に過ぎる。更にパブに場所を換えてバーボンを飲んだ。
電車を乗り継いで都内の一角に出る。田舎町と違って日付が変わる時間でも人通りがあった。相棒の実家に辿り着くとすぐにベッドに潜り込む。
6月7日(土)曇り
朝、目覚めて時計を見るとまだ6時だった。しばらく目を閉じているとまた眠りに落ちる。2時間ほど経って物音で目が覚めた。朝食の仕度をしている音だろうが、まだ布団を離れる気にならない。ごろごろしている内に物音が静かになり、いつの間にか再び眠っていた。10時近くになりやっとベッドから出る。
軽く朝食を取り、シャワーを浴びてからぶらりと散歩に出た。歩道を歩いて地下鉄の駅に向かうと出口付近は、いくつかの商店が集まっている。本屋に入り雑誌を立ち読みしてから車雑誌を一冊購入して店を出た。頼まれていた卵を買ってから戻る。
しばらくすると相棒の兄弟たちが集まり、昼食会が始まった。ビールと白ワインと赤ワインを飲みながら、つまみ代わりにスモークサーモンを食べた。湯がいただけのアスパラにマヨネーズを付けて食べると爽やかな甘味で実に美味い。ワインにも良く合っていた。再び眠くなりベッドに転がる。夜になって目覚めると会は終り、他の家族は帰った後だった。相棒と電車で北に向かう。駅前の餃子専門店で餃子を食べてから、自宅に帰った。風呂を溜めてゆっくりと浸かり、Macでざっとメールをチェックしてから布団に転がり、眠る。
6月8日(日)晴れ後曇り
目覚ましで起き上がり、TVを眺めながら朝食を取る。灰色の車に乗って少し離れたテニスコートに向かった。知り合いが夫婦対抗のミックスダブルス大会を企画していて、相棒と出る事になっている。サービス練習6本のみで試合を始めた。いつもの様に朝一ではタイミングが合わず、方向が定まらない。狙ったところと球の長さが合わないのは良く有るが、方向がずれるのはいただけなかった。サイドを狙うとアウトする事が多い。最初のゲームは調子が出ないまま2−4で負けた。4ゲーム先取の短期戦なので流れが傾いたら、それで大勢が決っする。8組のミックスペアで総当りをして、結局5勝2敗で4位に終った。春と秋に定期的にやっているが、いつもこの程度の成績で終る。
街中に出て餃子専門店に行き、水餃子、焼き餃子、揚げ餃子を注文し、相棒と二人で8人前を腹に収めた。自宅に戻り、昨夜録画しておいた全仏テニス女子シングルス決勝戦を見る。女子では珍しい片手バックハンドのエナンが恐ろしく調子が良く、同郷のクリスターズを1時間程で倒して初優勝を決めた。注目していた選手だが、想像以上の活躍に驚く。夕食後、西の都に帰って行く相棒を送り、眠りに就いた。
6月9日(月)晴れ後曇り
天気予報では、今日一杯天気が続くと予想している。うに色のクルマに備えたレカロのセミバケットシートに腰を落とし込み、地下駐車場を後にした。一面の田んぼの中を走って行く。緑の苗が水面に揺れていた。一週間前よりも着実に伸びて、既に畔よりも高く頭を覗かせている。微かに青い草の匂いを感じた。
適当に仕事を終わりにして外に出る。昼間とは打って変わって肌寒いぐらいに涼しかった。暗い田舎道を街に向かって降りて行く。少し遠回りをして給油した。割引が得られる石油会社提携のカードを使うのだが、自宅近くの同社系GSが相次いで閉店して、不便極まりない。うに色のクルマの腹を満たしてやると次は自分の番だった。
駅近くの餃子専門店に入る。お結び餃子とスープ餃子と焼き餃子2品を注文した。焼き餃子とご飯を海苔巻きにしたお結び餃子はボリュームもあって美味い。他の店では食べられない味だった。焼き餃子、スープ餃子は今一つだが、お結び餃子は、たまに食べたくなる。自宅に戻ると、シャワーを浴び、熱いミルクティーを飲みながら録画しておいた全仏女子ダブルス決勝戦を見た。結末が判っていても手に汗を握る展開で、素晴らしい勝利に感銘する。
6月10日(火)曇り
南関東では今日が入梅と宣言された。北関東の空から、まだ雨粒は落ちて来ない。居間のガラス越しに空を見上げると、一面、白っぽい灰色の雲に覆い尽くされていた。灰色の車に乗って走り出す。少しルートを変えてみた。信号のタイミングによっては少し早く通過出来る。たまに使ってみることに決めた。
仕事場から出ると、月も星も迎えてくれない。灰色の車の頼りなく黄ばんだヘッドライトの光りに照らし出される世界は泡沫の幻影のように見えた。丘を降りると街灯が並ぶ長い橋を渡る。交差する国道バイパスの高架をくぐると、やがて市街地に入った。中国料理店の前に車を停める。蒸し餃子と茹で餃子4品を注文した。むっちりした皮にエビの剥き身がごろごろと詰め込まれているエビ餃子は、独特の香料が効いていて、実に豊かな風味を醸し出す。ニラタマ餃子にも偶に大振りの干しエビが入っていて香りが良かった。冬瓜は、いつも期待しながら口に運ぶのだが、今日もとろりとした食感を楽しむ事が出来ない。これだけは期待外れだった。
自宅に戻ってシャワーを浴び、冷たいビールを喉に流し込む。グラスを芋焼酎のロックに変えて更に数杯飲み干した。長い一日が静かに終る。
6月11日(水)曇り
毎日天気予報が気になる。雨の確率は30%以内だった。カーテンを開けて、くすんだグレーの空を見上げる。Tシャツと短パンに軽いジャケットを羽織り、ラケットとシューズを持って家を出た。灰色の車のリアシートに荷物を放り込んで発進する。
定時に事務所を出ると壁打ちコートに向かった。スライスショットの打点を掴む為に30分以上掛ける。ストロークとスマッシュとサービスも練習した。蒸し暑いのでTシャツを脱ぐ。肌に直接触れる風が心地良かった。天気は持ち堪えている。
ナイターレッスンは、セルフトスで打点とラケットの入れ方を確認することから始まった。ボレーボレー、スマッシュ、サービス、ボレーストローク、サービスリターンと進み、最後はアプローチから並行陣対雁行陣になるダブルス形式の練習で仕上げる。
自宅に戻って熱いシャワーを浴びるとさっぱりした。ビデオに取ったテニスアニメを見ながら晩飯を作る。照り焼き豆腐ステーキにモヤシ炒めを添えてみた。モロきゅうで冷たいビールを飲む。東北旅行で購入した日本酒のミニボトルを開けた。さらっとした舌触りが楽しく、冷で充分飲める。ほろ酔い加減で布団に入ると、たちまち眠りに落ちた。
6月12日(木)雨
しとしとと肌にまとわり付く、霧のような雨が、大気に漂っていた。灰色の車に乗り込んで早朝の幹線道路を南に向かう。1車線になって大型トラックが道を塞ぐ辺りで枝道に逸れて田んぼの中の田舎道を1時間程走るとサーキットの入口に着いた。
ジムカーナ場にパイロンで設えたオーバルコースで、カッパを羽織って、集まったスクール生にスタートの合図を送る。濡れた路面では車の基本的な挙動が低い速度で現れるので練習にはもってこいだった。自分で走りたい欲望を押さえるのに苦労する。午後はサーキットに移動して、特定のコーナーでコーナーリング練習をしてから、最後の仕上げでラップ走行を行った。コース上やピットでスクール生の車を整列させて次々に送り出す。スピンやコースアウトも多く出たが誰も車を壊すことなく、満足して帰った。立ち仕事は疲れるが気分は悪くない。ファミレスでミーティングをして解散した。
帰り道の餃子専門店で水餃子と焼き餃子を注文して食べる。冷えた体が温まる気がした。自宅に戻り、熱いシャワーを浴びて、冷たいビールを飲む。長い一日が終わった後の心地良い疲れが酔いと共に溶け、睡魔に変化して体全体を包み込んでいった。
6月13日(金)曇り
定時を1時間程過ぎてから仕事を上がり、灰色の車で田舎道を走った。一度自宅に戻り、軽く腹ごしらえをしてからテニスクラブに向かう。集まったスクール生は3名だけだった。ボレーボレーで軽くアップしてから、最初は球出しでストロークの練習をする。気温は25℃ほどだが、湿度が高い為、汗がじっとりと肌にまとわり付くように流れ、乾く事はなかった。コーチも入って4名でボレーストロークをたっぷりと練習する。コーチの速いショットをボレーで押さえ込むのは苦労させられた。サービス練習の後は残り時間でゲームをする。4ゲームやって、コーチチームに1−3で敗れた。最後はノータッチエースを取られ口惜しい思いが残る。
そのまま近くの餃子専門店に移動した。しそ餃子と激辛餃子とスープ餃子を注文する。熱々の焼きたて餃子を頬張ると、一度止まった汗が、また流れ出した。灰色の車のエアコンを効かせて自宅に戻る。
濡れたTシャツを脱ぎ、熱いシャワーを浴びると生まれ変わったようにスッキリした。冷たい缶ビールをグラスに注いで一気に喉に送り込む。実に爽快な気分になった。さらに芋焼酎の牛乳割りを飲む。襲いかかる睡魔に抗わず、布団に倒れ込んだ。
6月14日(土)曇り後雨
朝、目覚めて窓の外を見ると雨は落ちて来ていなかった。急いで朝食を取り、顔を洗って家を出る。うに色のクルマの幌を下ろして走り出した。混んだ幹線道路を通り抜けるのに少し時間が掛かるが、3桁国道に折れると流れの速度が上がる。1時間ちょっとのドライブで北の町のテニスコートに着いた。
気温が高い上に湿度も高く、ショートラリーから既に汗が溢れ出す。ボレーボレー、ストロークラリーと進むに連れ、頭から水をかぶったようになった。ボレーストロークに時間を掛ける。一通り終ったところで、アイスの差し入れがあった。冷たいアイスが素早く頭と体をクールダウンしてくれる。しばらく休憩した後は、人が少なかったのでゲームはやらず、サービス&リターンの練習を時間まで続けた。昼になったので、コート整備して解散する。
帰り道の蕎麦屋で昼食を取り、自宅に戻る途中で雨が降り始めた。午後のテニスを諦めて自宅に戻る。借りているビデオを見た。夕方になって雨の中を中華食堂に向かう。ラーメンが評判で客も多く、店に入るのに20分待たされた。ラーメンスープの水餃子が滅法美味い。満足して店を出て、自宅に戻り、冷たいビールで一日を締めくくった。
6月15日(日)曇り一時雨
アラームで起き上がり、カーテンを開けると雨は降っていなかった。ところどころに小さな水溜りが残っているが、路面も概ね乾いている。TVのニュースを眺めながら朝食を取った。灰色の車に乗って近くのテニスクラブに向かう。珍しく知り合いの夫婦がクラブに来ていた。挨拶を交わす。軽くアップをしてコートに入るとゲームを始めた。まず1ゲームこなす。クラブの裏の葬祭場で内覧会と称して野菜市や屋台を出したイベントをやっていたので覗いてみると、ヤキソバが50円、焼き鳥3本50円などと安かった。200円で充分な昼飯になる。夕方まで何ゲームやっただろうか、気が付くと日が沈んでいた。汗だくのシャツを着替えて灰色の車に乗り込む。
試合中にストリングスが切れたので、街中のスポーツショップまで出向いて張り替えを依頼した。その足で街外れの餃子専門店に向かう。入れ違いで客が一組出て行ったので、店内に一人だけになった。餃子が美味くてもラーメンが無いので客は少なく、いつも待つ必要がない。エビ餃子、キムチ餃子、スープ餃子を注文した。汗をかきながら食べ尽くすと舌も胃も満足する。熱いシャワーと冷たいビールとで、長い一日が終わった。
6月16日(月)曇り
天気予報では、今日も曇りで雨が降り易い天気が続くと予想している。灰色の車で、砂利を蹴立てて駐車場を後にした。まだ車の姿も少ない幹線道路を気持ち良く走る。湿度は高いが朝のうちは気温が低いので蒸し暑さもなかった。
定時を1時間廻ったところで仕事を放り出す。朝の涼しさとは違って重ったるい暑さを感じた。田舎道を走って自宅に戻る。うに色のクルマに乗り換えて再び家を出た。渋滞する街を迂回して街を挟んで反対側にある修理工場に向かう。延び延びになっていたドライブシャフトブーツの修理をする為に工場入りする事になっていた。うに色のクルマを預け、代りに銀色のクルマに乗って走り出す。幌を下ろさないと狭い室内から、ポップアップしたヘッドライトカバーが聳え立つのが見えた。左手でストロークの短いシフトを操る。床の揺れなどから剛性感の低さを感じた。
ラーメンと餃子を出す中華食堂に入る。今日は並ばずに入れた。塩味のスープは、鶏の旨味がたっぷり出ている。ふっくらと白く浮かんだ餃子も良い味だった。4人前の餃子をゆっくりと味わうと店を出る。自宅に戻り、スポーツドリンクで喉を潤しながらMacの前でメールチェックを始めた。
6月17日(火)雨後曇り
関東が入梅してから1週間が過ぎていた。雨はそれほど降っていないがすっきりとはしない天気が続いている。今朝は朝から梅雨らしく、しとしとと静かに雨粒が地表に降り注いでいた。灰色の車に乗って走り出す。ワイパーが動く度に少し滲んだ視界が一時くっきりと焦点を結ぶようになった。こうした視界の変化を楽しむ余裕が持てる程度の弱い雨ならば悪くない。タイヤが路面の水を叩き、掻き出す音がラジオの音に常に被さっていた。
仕事場から出ると、月も星も見えない暗い空から雨は落ちて来ない。灰色の車に乗って、街には向かわず家路を辿った。今夜は餃子はお休みにする。自宅に戻ると晩飯の支度を始めた。フライパンに少量のサラダ油をたらしてニンニクのスライスをじっくり炒めて香りを出す。豆腐とモヤシとちんげん菜を加えて塩と胡椒と醤油で味を整えた。簡単に出来上がった炒め物をメインにする。冷たいビールで喉を潤しながら熱々の豆腐を食べると想像以上に美味かった。TVを眺めながら夕食を終えると、グラスを芋焼酎の牛乳割りに変える。シャワーを浴びてメールのチェックを終えると、もう日付が変わる時間が近かった。布団に体を横たえると眠りに落ちる。
6月18日(水)曇り
TVの天気予報が告げる雨の確率は10%以内だった。今年の6番目の台風が南から湿った暖かい空気をたっぷりと抱え込んで、この国に近付いて来ている。まだ関東に影響が届く程ではなかった。カーテンを開けると、薄ぼんやりとくすんだ灰色の空が広がっている。Tシャツと短パンの軽装で、ラケットとシューズを持って家を出た。
定時に仕事を切り上げて事務所を出る。すぐに壁打ちコートに向かった。スライスショットの打点確認に30分以上掛ける。ストロークとスマッシュとサービスも練習した。Tシャツを脱ぐと風が汗ばんだ肌に心地良い。街中のスポーツショップに預けたラケットを受け取ってからテニスクラブに戻った。レッスンは、セルフトスでラケットの入れ方を確認することから始まる。ボレーボレー、スマッシュ、サービス、ボレーストロークと進み、最後はアプローチから並行陣対雁行陣になるダブルス形式の練習で仕上げた。常にスプリットステップを明確に行うように注意していると、やはりボレーが上手くいく。
自宅に戻って先ず熱いシャワーを浴びて汗を流した。冷奴を突つきながら冷たいビールを飲むとこれは美味い。心地良い疲れに包まれて布団に入った。
6月19日(木)曇り
今朝もアラームの音で無理矢理深い暗闇から現実世界に引き戻される。カーテンを開けると、変わり映えの無い白っぽいグレーの空が広がっていた。身支度を整えて外に出ると、早朝の街はひっそりとした静寂に包まれている。少し離れた写真屋の前に置いてある自動販売機の低い作動音だけが微かに聞えて来た。不思議な気分になることで、いかに常に騒音に慣らされて居たかに気付く。遠くから1台の車が走って来て、束の間の静謐は破られた。灰色の車に乗り込み、エンジンをスタートさせるといつものように周囲は騒音に満たされる。
仕事を終りにして事務所の外に出た。湿った生暖かい大気に包み込まれる。灰色の車で街に出て中国料理店に入ると、珍しく満員だった。別の餃子専門店に行って焼き餃子とスープ餃子を注文する。全体にそれ程美味くは無いが、スープ餃子がメニューにあることと、とろりとしたコクのあるチーズ餃子は悪く無かった。満足して店を出る。
自宅に戻って熱いシャワーを浴び、扇風機の風で汗を乾かした。少量の落花生の殻を割って食べながら冷たいビールを喉に流し込む。続いて、昨夜開けた赤ワインの残りを飲むと、ほろ酔い気分になった。一日が終る。
6月20日(金)曇り
定時を30分程過ぎてから仕事を上がり、銀色のクルマの幌を降ろして田舎道を走った。自宅に寄って、軽食を腹に入れてからテニスクラブに向かう。会員が他に3名集まった。軽くアップしてから、ゲームを始める。蒸し暑い夜だった。サービスが不調で上手く行かない。コート内を動き回っていると、汗が後から後から流れ落ちて来て途切れることがなかった。テニスクラブが営業終了する9時までの2時間半余りをダブルスのゲームで存分に楽しむ。様々な場面で力不足を感じるが、今後の目標が出来る良い練習になった。満足して絞れるほど汗を吸ったシャツを着替える。
銀色のクルマで街に出た。勿論幌は降ろしてだ。昨夜珍しく満員だった中国料理店に入ると、今夜は他に一組しか客がいないという、いつもの状況に戻っていた。蒸しエビ餃子と茹で餃子を3品注文する。白い半透明の皮からエビの身の朱色が透けて見える美しい宝石のようなエビ餃子は、見た目に違わず味も素晴らしかった。むちっとした皮の舌触りとエビの弾力のある食感が堪らない。
自宅に帰ってシャワーを浴び、冷たいビールを飲んだ。ほのかな酔いと共に一週間の疲れが解けていく。素敵な週末の夜になった。
6月21日(土)晴れ後曇り
朝、窓の外を見ると久し振りに晴れた空が迎えてくれた。急いで身支度を整えると家を出る。銀色のクルマの幌を下ろして走り出した。少し早めに出たつもりだが、幹線道路は混んでいて、北の町にあるテニスコートまで、いつも通り1時間ちょっと掛かる。それでも時間には何とか間に合った。
陽射しが強く気温が高い上に湿度も高い。ショートラリーから既に汗が流れる始末だった。ボレーボレー、ストロークラリーと進むに連れ、体からどんどん水分が失われていくのが判る。スポーツドリンクを1L持ち込んでいたが、1時間程で飲み干してしまった。ボレーストローク、サービス&リターンをしてからゲームを始める。6ゲーム先取ノーアドの試合を二つこなすとお昼過ぎていた。
帰り道の蕎麦屋で昼食を取り、しばらく休む。遠回りして銀色のクルマを返し、代りにうに色のクルマを受け取った。自宅に戻る途中で食料品や酒を買い込む。シャワーを浴びて休憩した。夕方になってテニスクラブに行き、ナイターレッスンを受けた。午前中ボレーが上手く行かなかったことをコーチに告げ、アドバイスを受けると大分改善される。長い一日の終わりに、心地良い疲労感に包まれて眠った。
6月22日(日)曇り
蒸し暑いせいか明け方に何度か目を覚まして時計を見た。アラームの前に相棒の帰宅で起きる。TVを見てから再び布団の上に横になると、二度寝を楽しんだ。昼前にやっと起き出してTVを眺めながら朝食を取る。灰色の車に乗って今日も北の町のテニスコートに向かった。いつもの様にショートストローク、ボレーボレー、ストロークでアップする。陽射しは雲で和らげられているが、暑いことには変わり無く、容赦なく汗が流れた。珍しく球出しからストロークとボレーの練習をする。最後はサービス&リターンを練習して終った。
田舎道を走って温泉に行く。併設の小さな工場で作られたソフトクリームを舐め、濃厚な牛乳を飲んで、一休みした。小さいながら、ジェットバス、サウナ、露天風呂が揃った施設は循環式だがお湯も天然温泉だと言う。サウナで汗を出し、露天で冷ますのを繰り返した。ストレッチで週末に酷使した筋肉をほぐしてやる。
眠気に耐えながら街まで戻り、高級中国料理店に入った。焼き餃子、蒸しエビ餃子、ゴマダレ水餃子を注文する。水餃子は一口サイズで食べ易く、酢の効いたゴマダレと良く合って美味かった。素晴らしい一日の終りに相応しい食事となる。
6月23日(月)曇り
今日は雨が降らないらしい。ドライブシャフトブーツの修理が終ったうに色のクルマに乗って家を出た。銀色のクルマも悪く無かったが、シフトの気持ち良さと剛性感ではうに色のクルマの方が遥かに良い。週末よりも気温が低いので蒸し暑さは感じず、むしろ涼しいぐらいだった。カーラジオから流れる軽快な音楽を楽しみながら田舎道を走って行く。
定時から2時間以上が過ぎた。もう今日は良いだろう。仕事を投げ出した。事務所の外に出る。雲った空から霧のような細かい雨が舞うのを感じたが、一瞬の事で、雨が降り続く気配は無い。うに色のクルマの幌を降ろして丘を下り降りた。まだ空は明るさが残っている。家路とは反対方向に幹線道路を走った。車は多いが渋滞するほどではない。40分ほど走って街の西側の外れにあるラーメンと餃子だけを出す中華食堂に入った。
閉店の30分程前で、客は少ない。焼餃子と水餃子を注文した。塩味の澄んだ鶏がらスープは、口に含むとふくよかな香りが広がる。ふっくらと白い餃子も野菜の味が良く出ていた。熱々の餃子を充分味わって店を出る。自宅に戻り、熱い紅茶を入れて飲みながら借りていたビデオを見た。静かな涼しい夜が更ける。
6月24日(火)曇り後雨
どんよりと重たげな鉛色の空の下、灰色の車で走り出した。アクセルを踏むと、エンジンは快調に回転を上げる。青く広がる水田の中の道を走って行った。
仕事場を出て、細かい雨が降り注ぐ中駐車場に急ぐ。もう夜も遅くなっていた。帰宅を急ぐ車の流れに、灰色の車を滑り込ませる。街に向かって丘を下って行った。駅にほど近い餃子専門店の駐車場に車を入れる。店は半分ぐらい席が埋まっていた。茹で餃子と焼き餃子3種を注文する。最初に茹で餃子が出てきた。酢を多めにした酢醤油に豆板醤を少量落としたタレを付けて食べる。歯が微かな抵抗感と弾力性を感じながら厚めの皮を噛み切ると、柔かい肉とざくざく刻み込まれた野菜をも割って、餃子を真中から真っ二つにした。肉の旨味と野菜の歯触りを口全体で楽しむ。半分になった餃子をタレの小皿に浸けてたっぷりとタレを吸わせてから残りを口に放り込んだ。酢醤油の味が濃くなり、さっぱりとした味わいになる。カレー、キムチ、チーズと3種類の焼き餃子も個性的な味で飽きさせなかった。全て同様に平らげる。満足して店を出た。
6月25日(水)雨後曇り
天気予報では雨の確率は50%を越えていた。朝目覚めて外を見ると路面は濡れているが、道行く人は傘をさしていない。もしかしたらという期待は、一本の電話で打ち破られた。事務局からの声は、今日の大会が中止になったと告げる。一日の休暇が無駄になった。布団に寝転がり、本を読んだりしてのんびり過すことにする。午前中は雨が強くなったり弱くなったりしながら降り続いた。夕方近くになってやっと雨が上がる。Tシャツと短パンの軽装で、ラケットとシューズを持って家を出た。
うに色のクルマをテニスクラブの駐車場に滑り込ませる。レッスンは、セルフトスでラケットの入れ方を確認することから始まった。新しいラケットの感触は悪くない。ボレーボレー、スマッシュ、サービス、サーブ&リターンと進み、最後はアプローチから並行陣対雁行陣になるダブルス形式の練習で仕上げた。常にスプリットステップを明確に行うように意識する。
自宅に戻って熱いシャワーを浴びて汗を流した。ビデオを見ながら簡単な炒め物を作る。冷たいビールが乾いた砂にしみ込むように吸収された。心地良い疲労感が眠りの世界へといざなう。
6月26日(木)晴れ後曇り
アラームの音で安楽な眠りの世界から無理矢理現実世界に引き戻される。冬眠から目覚めたばかりの熊のような気分になった。意味もなく目覚まし時計に殺意に近い恨みを抱く。タオルケット一枚を払いのけて唸り声を上げながら置き上がった。身支度を整えて外に出る。湿気も少なく、爽やかな朝だった。
仕事を切り上げて事務所を出る。既に気温は下がっていて暑苦しくなかった。うに色のクルマで街に出て中国料理店に入る。先週の混雑が嘘の様に今夜も他に客はいなかった。顔なじみになったウェイトレスにいつもと同じ蒸しエビ餃子を注文する。茹で餃子3品も注文した。黙っていてもまた黒酢を出してくれる。少量の黒酢を小皿にとって、先ずそのまま飲んだ。胃が熱くなって猛然と食欲が湧いて来る。やがて出された餃子に、黒酢や備え付けのニンニクが効いたタレに餃子を付けて食べた。餃子自体にも濃厚な肉の旨味が詰まっているが、酢が効いたタレにつける事で、ますます爽やかに食べられる。5人前の餃子を瞬く間に食べ終わると、店を出た。うに色のクルマの幌を降ろして、宵闇と湿った大気を裂いて走る。乾いた排気音が夜空に消えていった。長い一日が終る。
6月27日(金)曇り
定時を1時間程過ぎて仕事を切り上げ、灰色の車で田舎道を走った。途中のガソリンスタンドで45L入りのタンクを満たしてやる。自宅に戻る途中で小さな餃子専門店に寄って、焼き餃子と水餃子を2人前ずつ腹に入れた。部屋に入って荷物を放り出すと、すぐに熱いシャワーを浴びる。さっぱりしたところで簡単な旅行の準備を始めた。2泊3日の旅行なので大して時間は掛からない。デイバッグを一個背負い、缶ビールを入れたクーラーバッグを手に持って家を出た。電車で20分ほど南に向かい、駅を降りる。夜行バスが出るまでの30分を駅前の居酒屋で過ごした。勘定を済ませてバスターミナルに戻ると、ちょうどバスがやってくる。それ程混んでおらず、客は定員の半分以下だった。座席に座り、しばらくするとディーゼルエンジンの苦しげな騒音が高まり、バスはゆっくりと動き出した。次の停留所でさらに数名の乗客を乗せるとバスは高速道路の入口に向かう。座席を倒して寛ぎ、クーラーバッグから缶ビールとグラスを取り出して飲み始めた。軽い酔いが廻ってきたところで耳栓を付けて目を閉じる。体に振動を感じながら気が付くと深い眠りに引き込まれていた。長い夜が始まる。
6月28日(土)雨時々曇り
目を覚まして窓の外を見ると早朝の街に人影は少なく瓦屋根の家が立ち並んでいる。長い土塀の上から5重の塔が見えた。大きな寺院がいくつも街中に残っている歴史の古い町を抜けていく。喉の渇きを覚え、クーラーバッグから缶ビールを出して飲んだ。再び眠る。次に目覚めるとバスは港近くの高架の上を走っていた。地面は遥か下だった。上空から目的地の娯楽施設を眺める。広大な駐車場には既に大型バスが止まり、観光客が集まり始めていた。雨が降ったり止んだりを繰り返している。相棒と施設近くのファーストフード店で待ち合わせた。軽い朝食を取り、施設に入ると、生憎の天気にも関わらず、大勢の人でごった返している。これでも少ない方とのことだった。アトラクションは軒並み20分から30分以上の待ち行列が出来ている。時間予約チケットを上手く使いながら、一日を掛けてほとんどのアトラクションを廻った。最長で35分並ばされたのには辟易する。これでそれ程並ばされずにすいすい見て廻れれば、まずまず楽しめる施設だが、この国で最も収益を上げている幕張の施設に比べると劣っている点が散見された。役所が加わった第3セクター方式経営の弊害に違いない。
雨は午後も断続的に降り続いた。昼食は焼きソバをタコスに包んだメキシコ風のスナックとビールで済ませる。最後にゴムボートでスライダーを下ってびしょ濡れになるアトラクションを楽しんでから娯楽施設を後にした。環状線の電車で、この国の西の首都である街の東側に廻る。駅を降りた途端に焼き肉の匂いに包まれた。駅の周辺に焼き肉屋が密集している。知り合いに電話してお勧めの店を聞いてみるが、自分のいる場所さえ定かでない旅行者が混み入った道を電話で案内されるのは不可能だった。通行人に道を聞いて駅から少し離れた場所の焼き肉屋に行くと、偶然団体客で満員で入れない。結局、駅の改札を降りたすぐに有る韓国宮廷料理を謳う店に入った。肉、ナムル、キムチ、スープ、冷麺、生ビールなどを注文して多いに食らう。どれも実に美味かった。ユッケジャンスープはかなり脂っこいが独特の味付けで面白い。生ビールの大ジョッキは関東の相場よりも安かった。テーブルのすぐ上にまで排煙筒が下りて来ているが、体に焼き肉の匂いが染み付くのを防ぐことは出来ない。店を出て電車に乗ると、自分の体が焼き肉臭を放っているのが判った。シャワーで臭いを流してから眠る。
6月29日(日)曇り
蒸し暑いせいで夜中に目を覚ました。エアコンを入れて再び眠る。朝起きて朝食を取ると荷物をまとめて家を出た。電車を乗り継いで日本三古湯の一つといわれる温泉に向かう。電車を降りると普通の温泉街だった。赤錆色の湯が特徴の「金の湯」とラジウム系の「銀の湯」の二つの源泉が有るのが売りになっている。「金の湯」を試した。湯温が高く、塩辛い。たっぷりと汗を流してから、銭湯の向かいのオープンカフェでビールを飲んだ。風が心地良い。昼にバスで山を降りた。
新幹線の駅の裏手からロープウェーで山を登り、高台から街とその向こうの内海を一望に見渡した。途中で買って来たハンバーガーが最高のご馳走になる。山の上のホールで思いがけずピアノの連弾とソプラノの独唱を聞いた。電子機器を通さない生の音が爽やかな空気を繊細に震わせてホールの隅々まで響く。歩いて下山する途中がハーブ園になっていた。ちょうどラベンダーが盛りで、遠くから見ると山の斜面が一面紫色に染まっている。近付くとほのかな香りに包まれた。花をちょっと指で揉んでから指を鼻に近づけると強烈なラベンダーの香りが鼻腔に満ちて清々しい。温室で様々なハーブの香りを試してみた。
広場でジャズの生演奏をやっている。生ビールを一杯買って、しばらくサックスとベースとドラムが創り出す空気の揺れに身を任せた。張りの有るテナーの音が濃密に大気に満ちる。文句なく気持ち良い、最高の午後になった。
バスで街に出てホテルにチェックインする。シャワーを浴びて一休みしてから、再びバスに乗って中心街に向かった。シンボルの花時計の前から地下鉄に乗って港に出る。地上に上がって商業ビルの間を抜けて行くと遊覧船の船着場に作られた広大なレストラン街と付属する遊園地の観覧車が見えて来た。今では震災の爪痕はほとんど感じられない。街も人も新しい繁栄の息吹に満ちていた。アジア、欧米、中近東など様々な国の料理を出すレストランが軒を連ね、いくつかの店では行列が出来ている程賑わっている。若いカップルの姿が多かった。
遊覧船に乗って港を出る。中華のビュッフェ形式のディナーが用意されていた。海上から港町の夜景を眺めつつ、料理を好きなだけ取って食らう。どれも悪くはないがこれはと光るものもなかった。デッキに出ると風が心地良い。港に戻り、短い船旅は終った。ホテルに戻り、広いベッドに身を横たえる。甘美な眠りが訪れた。
6月30日(月)晴れ
時計を気にせずたっぷりと満ち足りた睡眠を取ったのは久し振りだった。目覚めの気分は爽快だが、寝過ぎで背中が痛む。シャワーを浴びて目覚めのビールを一杯飲んでから、レストランに降りて朝食を取った。冷たいミルクが濃厚で美味い。ちょっとした惣菜や、ソーセージ、パンなどに小技が効かせてあって感心させられた。朝からたっぷりと食事を堪能する。レストランが菓子専門店を開いているだけあって、デザートのケーキやババロアも充実していた。紅茶をゆっくりと楽しんでから部屋に戻る。チェックアウトが正午なので、食後の甘い眠りを貪った。まだ眠れるのが不思議だが、構うことはない。最後にシャワーを浴びて頭をハッキリさせ、ビールを飲んで喉の渇きを癒してからホテルを出た。電車に乗って相棒の部屋に戻る。
夕方、相棒の部屋を出て電車に乗った。これから長距離の電車旅が待っている。新幹線を使うので時間はそれ程でもなかった。昔に比べると多少ゆったりした席に足を伸ばして座るとクーラーバッグの缶ビールを取り出して飲む。電車の振動のせいか、不思議なほど眠れた。2回ほど乗り換えて、北の街の自宅に辿り着く。シャワーを浴びて布団に潜り込んだ。