10月1日(水)晴れ後曇り気持ちの良い秋晴れの空が広がっていた。日射しは「熱く」なく、暖かく優しいものに感じる。外に出ると、自然に日向を歩きたくなる、そんな行楽日和の一日になるのは間違いなかった。
仕事場を出ると、気が早い秋の太陽はもう西の空の向こうに大きく傾いている。うに色のクルマの幌を降ろして茜色の空の下に走り出した。夕暮れ迫る壁打ちコートには誰も居ない。シューズを履いて最初のボールを壁に打ち込んだ。足を細かく動かしてショートストロークを10分程続けていると、涼しい気候にも関わらず汗が髪の生え際に雫を作る。Tシャツを脱いでフェンスに掛け、さらに壁打を続けた。1時間程で切り上げて再びクルマに乗って走り始める。
ナイター照明の下で、緑色に塗られたハードコートに立った。ボレーボレーやボレーストロークをみっちり練習する。ボレーはコンパクトに当てていく内は良いのだが、次第に欲が出て、もっと威力をあげようとしてスイングしてしまう悪い癖が出て来た。気持ちを押さえて、コンパクトに修正する。サービスはデュースコートとアドコートでスイングが変わってしまうのを近付けるように工夫した。2時間は瞬く間に過ぎる。充実した夜だった。
10月2日(木)曇り後晴れ
薄曇りの空からまばらに雨粒が落ちて来た。秋の朝の気紛れな通り雨らしい。仕事場に着く頃には、すでに上がっていた。少し肌寒い。桜並木は僅かに、黄ばんだ枯れかけの葉を付けているだけで、すでに晩秋の趣を漂わせていた。桜の木の下を歩き、ふと上を見上げると虫に食われて穴だらけになった葉を通して青空が少しだけ見える。もうどこにも夏は見当たらなかった。
仕事場を出るとまっすぐ自宅に向かう。習慣になっていた餃子屋通いが無くなるのは、どこか気が抜けたように寂しく感じられた。平日の夜に真直ぐ家に帰るのは久しぶりだろう。空いた暗い夜道を灰色の車で走っていった。
自宅に着くと冷蔵庫から野菜などの材料を出し、調理を始める。簡単な冷菜と野菜炒めをテーブルに並べ、素焼きのカップを出した。缶ビールをカップに注ぐと見事にきめ細かい泡が盛り上がる。むしろ泡立ちが良すぎるぐらいだった。しばらく待ってからそっと継ぎ足しするとホイップしたようなクリーミィーな泡がむくむくとカップの縁を越えて立ち上がる。カップを口元に持っていくと唇に触れる泡の感触が気持ち良かった。カップを傾けると冷たい液体が堰を切ったように喉に押し寄せる。
10月3日(金)晴れ
すっかり日が落ちるのが早くなったと言っても、定時で仕事場を出るとまだ明るかった。夕日が空を赤く染め始めた田舎道を灰色の車で走って行く。正面に太陽が来て、汚れたフロントシールドが乱反射して前が見え難くなった。ワイパーで拭っても綺麗にならない。
同僚と待ち合わせて夜のクラブコートで乱打した。一時間程打ち合っていると、汗が流れる。ボレーストロークとサービスリターンをして2時間の練習を終えた。同僚から近くで知り合いが飲んでいるから行かないかと誘われたので、一度自宅に戻ってから自転車で出直す。最初の店は焼肉屋だった。ハラミ、豚トロ、レバー、ホルモン等を炭火で焼いて食べる。テニスの後の生ビールと焼肉が美味くない筈はないが、この店のエビス生ビールと肉は特に美味かった。レバ刺やユッケも肉の甘味が堪らない。閉店になり焼肉店を出た。次は寿司と炭火焼きの店に移動して、さらにビールと日本酒を飲む。テーブルの上に火鉢を置いて焼いて食べる蛤や牡蠣は文句なく美味かった。ホタルイカの沖漬けが、これまた日本酒と良く合う。すっかり満足し、良い気分で家に帰った。シャワーを浴びると布団に潜り込む。瞬く間に意識を失った。
10月4日(土)晴れ
朝起きると寝不足だった。何とか身支度を終えると灰色の車で走り出す。公営のテニスコートに近付くと併設の球場で大会が開かれているらしく車が一杯で停める所を探すのに苦労した。練習を始める。今日は1面のコートに9人の人が来た。いつもの様にアップから始めて、ボレー&ストロークへ進み、最後はサーブ&ボレーをみっちり練習する。15分程残ったので、時間が許す限りゲームをやって練習を終えた。
2人が帰って行って、7名で昼飯を食べる。魚が旨い定食屋で、ねぎトロ定食が特に美味かった。食べ終わると自宅に戻り、少し休憩してから、テニスクラブに向かう。もう日が傾き始めていた。うに色のクルマの幌を降ろして走ると気持ちの良い秋風が体の周りを流れていく。オープンのまま駐車場に停めた。2時間程ゲームと練習を楽しむと辺りは薄暗くなって来る。ホットコーヒーを飲んでクラブを後にした。
スーパーで買い物をして自宅に戻る。安くヒラマサのあらが手に入ったので晩飯は鍋にした。野菜と豆腐と魚の切り身で簡単に鍋を作る。鍋が煮える間、刻んだオクラに削り節と醤油を掛けてビールを飲んだ。赤ワインを開けて鍋を突きながら飲む。これまた美味い。
10月5日(日)晴れ
朝目覚めて身支度を整えると、うに色のクルマで近所の公営のテニスコートに出掛ける。今日は市のテニス大会が開催されることになっていた。仲間も集まって来て軽くアップしていると試合が始まる。一回戦の相手は大学生だった。一人は左利きで良く回転が掛かったスライスサーブを打ってくる。最初のサービス練習から嫌な感じがした。トスでサービスを取ってパートナーのサービスから始まる。難無くキープした。次は相手の左利きのサービスを受ける事になる。普段と逆にカーブして切れ込んでくるサービスに二人とも手こずり、キープされた。次の自分のサービスをミスなどで落としてしまう。相手の右利きの方は、さほどではなかった。しかし、ブレーク出来ない。1ー3と最初から劣勢に立たされた。2ー3、2ー4、3ー4、3ー5、4ー5、4ー6と1ブレーク差で進むが、ここで手痛いブレークを喫して4ー7と差を広げられる。万事窮した。4ー8で破れる。サービス力の無さを痛感した。
所属しているクラブが運営担当になっていたので、今日の予定の試合が終わるまで本部に詰める。3時には全試合が終わってコート解放になった。ゲームを一試合と練習をして帰宅する。
10月6日(月)晴れ
朝もずいぶん日の出が遅くなって暗いままなのかと、カーテンを開けると、どんよりと冴えない曇り空に迎えられた。一週間の始まりから気勢が上がらない事おびただしい。おまけに涼しいと言うよりは、むしろ寒かった。自然と気持ちも沈んでいく。のろのろと身支度を終えるとペットボトルや缶のゴミ袋を持って家を出た。灰色の車で走り出すと、ヒーターを入れたくなる。しばらくの間ヒーターを掛けて寒さがおさまるのを待った。すでに晩秋らしい。
適当に仕事をうっちゃって事務所を出た。ロッカールームで着替えて外に出ると、何と手が冷たくなる。久しぶりの感覚に、新鮮な驚きがあった。駐車場に停めた灰色の車の窓にはびっしりと夜露が降りている。乗り込む前にタオルを出して全ての窓を拭った。もう2ヶ月もすると、この露が凍り付いて走り出すのに更に手間が掛かるようになるだろう。それを思うと今からうんざりした。
自宅に戻ると、小松菜とピーマンと豆腐のトマトソースを作り、茹でたてのスパゲティにたっぷりとからめて食べる。熱々のパスタを食べても、汗は出なかった。むしろ体が温まってちょうど良いぐらいに感じる。まだ10月の初旬だと言うのにだ。
10月7日(火)晴れ
朝焼けが空を紅に染めていた。最近オイル漏れが目立つ、うに色のクルマは休ませる事にして、灰色の車に乗って家を出る。仕事場が自宅の北東に有る為、朝は朝日を正面に、夕方は夕日を正面にして走る事になった。行きも帰りも眩しい思いをする。特に朝日が低い時間帯に走る冬と、夕日が低い時間帯に走る夏には眩しさも顕著だった。今は朝が眩しい時期に向かいつつある。最後の坂を駆け上がって、桜の並木道を走った。ほとんどの葉が枯れ落ちて、枯れ木に見えるのが物悲しい。半年間の長い枯れ木の姿の後、全身を淡いピンク色に染める日が来るのが信じ難いのと共に待ち遠しかった。
暗い夜道を自宅に戻る。大鍋に湯を沸かして、煮え立つお湯に塩を適量放り込んでから、目分量で適当に取り出した乾燥スパゲティをパラパラと投げ入れた。くっつかないようにさっくりと箸で掻き回してから蓋をする。冷蔵庫から昨夜のトマトソースをフライパンに出して、ニンジンとピーマンの細切れを加えて暖めた。一晩寝かして更に味が深みを増したように感じる。僅かに芯を残して茹で上がったスパゲティをフライパンに加え、ソースにからめると出来上がった。ビールと共に食べると美味い。
10月8日(水)晴れ
うに色のクルマの下からフロントバンパー前の地面にオイルが薄く流れて染みを作っている。今度暇が出来たら下に潜って漏れている箇所を特定する必要があった。オイル染みが点では無くて線になっている所が気にならないと言えば嘘になる。構わず乗り込むとエンジンを始動した。
仕事を適当に切り上げて壁打ちコートに行く。時たま見かける気に食わない男が一人で打っていた。一時間程打っている間に隣は3名入れ代わる。最後の一人はテニスクラブの知り合いだった。2週間前から毎日来ているという。壁打ちは癖になるようだった。気候は涼しくてちょうど良い。これで日がもう少し長ければ言う事は無かった。
テニスクラブに行って練習を始める。何度やってもボレーが上手くいかなかった。少しイライラする。良い時があったのが嘘のようだった。結局、取り戻す事は出来ず、レッスンは終わる。誰も居なくなったコートでサービス練習を繰り返した。
自宅に戻ると、冷や奴の納豆乗せと、もやしとチンゲン菜と豆腐の豆鼓炒めを作る。素焼きのカップにビールを注いでクリーミィーな泡を楽しみながら晩飯にした。
10月9日(木)晴れ
連日の様に死体が発見されたり、子供が連れ去られたり、その犯人が捕まったりしているようだった。このおかしな国は根っこの方から腐り始めているらしい。大人が規範になるどころか、率先して悪事を働いているようでは教育も何も無かった。TVを消して家を出る。
会社帰りに少し遠回りして灰色の車にガソリンをたらふく飲ませてやった。40Lのガスを呑込んだ灰色の車は満足したらしく、気持ちよさ気に陽気なハミングを聞かせながら夜の幹線道路を走っていく。自宅近くのスーパーに寄って、野菜、豆腐、ソーセージ、ヨーグルト、牛乳、パンなど食料品を買い込んだ。
自宅に戻ると、大鍋でお湯を沸かしてスパゲティを適量放り込む。フライパンでは、ニンニクと鷹の爪をオリーブオイルで炒めて香りを引き出した。チンゲン菜とピーマンとソーセージを加えて炒める。塩、胡椒、豆板醤で味を整えて、茹で上がったパスタを加えて更に炒めた。美味いパスタ料理が出来上がる。シークァーサーを絞った焼酎のロックを飲みながら、食べ尽くした。柑橘系の爽やかな香りが芋焼酎の香りとマッチして実に美味い。
10月10日(金)晴れ
夕方になると気分が浮き立つ。仕事場を後にすると自宅に戻った。テニスウェアに着替えてテニスクラブに向かう。途中の理髪店で無造作に伸び放題になっていた髪を切った。テニスクラブで1時間半のレッスンを受ける。生徒は4名だが、期待した程密度が濃くなかった。この時間帯のキーとなる男が来ていないのが原因だろう。物足りない思いが残った。
レッスンが終わった後、残った時間で他の会員と閉館時間まで練習する。最初は4名居たのでダブルスのゲームを行い、ゲーム途中で二人が帰った為、その後は二人で乱打した。シングルスの形で打ち合い、コートを左右に走ると、20分程でもかなり体に負荷が掛かる。スクールで物足りなかった分を上手く補充した形になった。アイスコーヒーでクールダウンして、気分良くクラブを後にする。
帰り道で買い物をしてから自宅に戻った。鯛の頭とアラをグリルで塩焼きにしてから、土鍋で潮汁にする。鯛のアラの一部とマグロの角切りを刺身代わりにして、ビールと芋焼酎を飲んだ。そうこうする内に土鍋が煮立った所に豆腐とチンゲン菜を加える。青菜はチンゲン菜でも意外に合った。塩焼きした鯛の身が実に美味い。布団に潜り込んだ。
10月11日(土)晴れ
早朝にうに色のクルマを走らせる。南に向かっていた。サーキットには定刻通りに着く。準備を始めた。受付などの作業をしていると、走行時間が近付いて来る。今日は仲間が持ち込んだ銀色のクルマに乗って走る事になっていた。タイトなバケットシートが取り付けられていて体がしっかりとホールドされる。練習走行を走ると、エンジンが軽くレッドまで廻り、音がやる気にさせるため、気分良く走れる事が分かった。
レースが始まる。2番手で走る事になっていたので、走行開始から30分後にピットで待機した。ドライバー交代して乗り込み走り出すと、身に覚えのないブラックフラッグが振られる。バイザーを降ろしてなかったのに気付いて降ろしたので問題ない筈だが、ルールに従いピットインした。大変なタイムロスになる。走っている内にクルマに慣れて来て徐々にタイムが上がった。借り物のクルマで耐久レースと言う事も有り、適当な所で押さえておく。30分を無難に走り切ったが、手痛いミスで大きく順位を落とした事が悔やまれた。
スプリントレースでは羽根付きの銀色のクルマが最終コーナー出口のガードレールにクラッシュする。気は重いが、レースは続行された。
10月12日(日)雨後曇り
朝起きて、小雨の降る中を試合会場に行く。人が集まり始めていた。知り合いが居たのでアップする。20分程の練習で汗だくになった。遅れていた相手が現れて、試合を始める。雨がまた落ち始めた。試合前の練習を軽く終わらせて、ゲームを開始しようとした時になって雨が激しくなって、コートにも水が浮いてくる。しばらく中断して待っていたが、雨は簡単には止みそうになかった。試合は中止になる。久しぶりのシングルスはまたも雨で流れた。参加賞のアイスクリームをもらって食べる。
自宅に戻って昼食を取ってから、近くのテニスクラブに向かった。雨上がりのコートにはまだ水が含まれていて、ラリーを続けているとボールが水を吸って重くなる。日没まで何試合か楽しんでから自宅に戻った。 街に出て仲間と飲む事にする。電車で街に出た。仲間と待ち合わせて居酒屋に入る。2時間近く二人で飲んだ所に、もう一人仲間が加わった。しばらく飲んだ後、TVのある餃子店に入る。ちょうどF1のレースの放映が始まった。ビールを飲みながらレースのスタートの様子を見る。また一人仲間が加わった。終電の時間が迫って来たので店を後にする。自宅に戻ると布団に潜り込む。
10月13日(月)曇り後雨
朝起きて窓の外を見ると、雨は降っていない。身支度を整えると近くのテニスクラブに向かった。まず30分程二人で乱打してアップすると汗が激しく流れる。思っていたよりも暑いのに気付いた。後から二人がやって来て、ゲームを始める。昼に雨が降り出すまでの間に3試合ほど楽しんだ。今日も思ったようなプレーは出来ず、自分が何をしたいのか判らなくなる事が多い。
雨は次第に激しくなり、一時はかなりの土砂降りとなった。午後からのテニスは全く諦めるしかない。良くガット張りに出したり、ボールを買っていたスポーツ店が移転すると聞いたので、久しぶりに行ってみる事にした。売りつくしセールをやっている。白にネイビーのピンストライプが入ったゲームシャツが6割り引き以上になっていたので一枚買った。
自宅に戻ると作っておいたカレーを温めて、カレーライスにして食べる。作ってから一晩寝かせてあるので、より深い味わいになっていた。午後になって雨が通り過ぎて日射しが出てくる。直ぐに赤い夕日になった。遠い山並に夕焼けが美しい。
10月14日(火)曇り後雨
どんよりと鈍い鉛色の空が、頭上に重い。ゴミ集積所にゴミ袋を一つ放り込んでから門の外に出て駐車場に向かった。砂利の駐車場に停められた灰色の車に乗って仕事場に向かう。少し肌寒いのでヒーターを入れた。太陽が出ていれば正面から眩しい程の朝日が差し込む所だが、薄紅色に明るみが見える程度でむしろ走り易い。
すっかり暗くなってから仕事場を出ると、雨が降っていた。ここ数日雨が続いていて、気分まで湿っぽくなる。折り畳みの小さな傘をさして駐車場まで歩いた。灰色の車のエンジンを掛け、ヘッドライトを点すと暗闇の中に走り出す。黄色っぽい頼り無い光の中で際限なく降り注ぐ細かい雨粒がキラキラと白い光芒を放った。雨粒で歪む視界を、ワイパーが拭い取る。少しくたびれたブレードは、円弧状の筋をフロントガラスに拭き残した。
自宅に戻ると、晩飯を作り始める。帰りが遅くなったので先日買っておいたインスタントのマーボー豆腐の素を使ってみた。アルミパウチの液体と水を煮立たせて豆腐を入れるだけという手軽さだ。そのままでは味気ないのでニンニクと豆板醤と芝麻醤を炒めてコクを加えた。人工的な味だが、そこそこ食べられる。熱い紅茶を入れた。
10月15日(水)曇り後晴れ後雨
濃いグレーの雲が空を覆い尽くしていた。雲の上には太陽がきらめき青空が広がっているのが、理屈では判っていても、とても想像できない。そう言えば今年は飛行機に乗っていなかった。雲の上に出しまえば、逆に地上の悪天候が想像できない程、太陽に近い日射しを浴びられる。遠い記憶が懐かしかった。
定時で仕事場を出るといつもの壁打ちコートに出掛ける。今日は他の人がおらず集中出来た。40分程練習したところでテニスクラブの知り合いが現れ、隣で壁打を始める。みっちり一時間、壁を相手に存分に打った後、テニスクラブに向かった。テニスクラブには、いつもと同じように5名のレッスン生が集まる。終わりの時間近くになって雨がぽつりぽつりと、降り始めた。大した事はないが大事をとって、自宅に戻る事にする。
素焼きのカップに注いだビールを飲みながら、作り置きのカレーにニンジンとピーマンを加えて煮込んだ。何日も火を入れてすっかり味が馴れたカレーを食べる。赤ワインも開けて飲み始めた。
10月16日(木)曇り後晴れ
軽そうな雲が高い位置で空を覆い、やや薄暗い穏やかな朝になった。天気予報では、関東地方は久しぶりにすっきりとした晴れの一日になると告げている。なるほど、やがて雲が切れて青空が覗き、昼頃には雲一つ見えない綺麗に澄んだブルーが頭上を覆った。昼食の後、食堂から部屋に戻る途中はずうっと空を見ながら歩く。透明な湖を覗き込んだ時のように吸い込まれそうに高く深い碧だった。
夜になって自宅に戻る。TVではねぎ味噌ラーメンと塩バターラーメンが出演者に選ばれようと闘っていた。特選の素材を惜し気もなく使ったバブリィなラーメンが作られていく様を眺めながら、手軽なインスタントのマーボー豆腐を作る。先ずフライパンにごま油を敷き、ニンニクと鷹の爪のスライスに、豆板醤と芝麻醤と豆鼓を加えて炒めた。香りを充分に引き出しておいてから素を水で溶いたものを加え、賽の目に切った豆腐を煮る。トロみを加えてから煮立たせたマーボー豆腐を、皿に盛った熱い御飯の上に全部乗せた。本場の調味料で深い味と爽やかな辛さを加えたので、実に美味い。ビールや冷やした赤ワインと共に食べ尽くした。暖かい布団に潜り込むと直ぐに眠りが意識を奪い去っていく。
10月17日(金)晴れ後曇り
定時で仕事を放り出すと、急いで帰路に付く。灰色の車で農村地帯を走っていった。黄昏に暮れなずんでいく田舎の風景は、心を穏やかにさせる。それ程田舎暮しをしたわけでもないが、農耕民族であるこの国の民草の原風景とも言うべき茜色の景色が広がっていた。そんな感傷を断ち切るように、突然、幹線道路に出て殺風景なアスファルトの道路が目の前に広がる。アクセルを踏んで灰色の車のボンネットの下に住まうエンジンに活を入れた。
自宅近くのテニスクラブに向かう。ナイタースクールの時間だった。いつものメンバーが集まる。レッスン生は男ばかり4名だった。球出しのボールを、ボレーやストロークで打ち返す基礎的な練習から始まる。スマッシュは相変わらず苦手だった。打点が悪いのは否めない。自分が打ちたい打点が、理に適っていないのだから始末に悪かった。イメージを修正しつつ良い打点を見つけようとする。一時間半、走り回るとまずまずの運動になった。しかし夏程汗は出ないし、体力の消耗もそれなりだった。
自宅に戻り、作り置いたカレーを温めて食べる。味が馴染み切って美味い。風呂に入って今日一日を振り返り、考えている内に眠りに引き込まれた。
10月18日(土)晴れ
朝起きてうに色のクルマで北へ向かう。幹線道路を避けて田舎道を走ってみるが遅い車や信号が多く、時間の無駄だった。北の町のテニスコートに着くと既に4名の仲間がアップを始めている。シューズを履き、軽く準備体操で体をほぐしてからアップに加わった。いつものように練習する。1時間半程かけてボレーストロークとサーブ&リターンをみっちりと練習した。爽やかな気候で気持ちの良い汗が流れては乾いていく。最後の30分は練習試合で締めくくった。売り出し中の高校生ペアをなんとか押さえて勝つ。調子に乗ると手に付けられないが先手さえ取っておけば、まだまだ負けることはなかった。
コートの近くのレストランで昼食を取る。田舎町のレストランにしてはハヤシライスも美味いのだが、今日はハンバーグにした。デミグラスソースが良い味を出している。サラダとたっぷりと大きいハンバーグとコーヒーが付いて800円というリーズナブルな価格も嬉しかった。
午後からは自宅近くのテニスクラブでゲームを楽しむ。日が落ちて自宅に戻る時には満ち足りた気分だった。風呂で汗を流し、素焼きのカップでビールを飲む。思わず声が洩れる程美味い。週末の夜を迎えた。
10月19日(日)晴れ
暖かく晴れた一日になった。朝から電車に乗って北の町の駅で降り、駅前でピックアップされる。赤いクルマの頭上を青空が流れていった。一時間弱のドライブでテニスコートに着く。18名程が2面のコートに集結した。いつものように練習を始める。アップから始めて、2時間程掛けてボレー&ストローク、サービス&リターンをたっぷりと練習した。暖かいので久しぶりにかなり大量の汗をかく。コートサイドには生ビールサーバーが用意してあった。練習の合間に冷たいビールが最高に美味い。
お弁当が届けられ、事務局が昨夜の内から用意してくれた茸たっぷりの茸汁を温めると昼食時間になった。生ビールを飲み、茸汁でまた体を温める。もうテニスをするのが辛い程腹一杯になった。空腹時から飲んでいるのでアルコールも体を巡っている。昼飯後にやったゲームは散々の出来だったが、心地良い酔いが脳を支配しているので、どうでも構うことはなかった。
電車で自宅に戻り、シャワーを浴び、着替えてから再び町に出る。テニス仲間の結婚式二次会に参加した。幸せそうな二人を見るのも悪くない。さらに祝杯を重ねた。昼間から飲み通しでは体が持たない。帰宅して直ぐ眠った。
10月20日(月)晴れ
爽やかな朝だった。昨夜眠る前にたっぷりとアミノ酸系清涼飲料水を飲んでおいたお陰か、目覚めの気分も悪くない。早朝の車も人陰も少ない通りを渡って駐車場から灰色の車を引っぱり出して仕事場に向かった。また新しい一週間が始まる。
机の上を片付けて事務所を出た。それほど肌寒さは感じない。灰色の車のCDチェンジャーに、昔のカセットテープからデジタル化して焼いたCDをセットした。カーオーディオのスイッチを入れると懐かしいナンバーが流れ出す。気持ち良く車を走らせて幹線道路を流れに乗って走っていった。
自宅に戻ると大鍋に湯を沸かし、スパゲティを適量放り込む。たっぷりの塩も一緒にだ。パスタが茹で上がるのを待つ間に、レトルトのミートソースをフライパンに出して温める。小松菜を刻んで野菜のテイストを加えた。市販のレトルト品は、不自然な甘さが気になるが仕方がない。時間の節約にはなった。晩飯を食い終わると寝るまでの時間を使って仕事を片付けていく。熱いミルクティーを飲みながら書類に目を通した。シャワーを浴びると布団に潜り込む用意は整う。眠りは急速に訪れた。
10月21日(火)晴れ
夜には雨になると言う予報がにわかには信じられない程、良い天気だった。日中は良く日が差して暖かい。日が当らない事務所の中に閉じこもっているのが馬鹿らしかった。しかし、机を片付けて外に出た頃には日がとっぷりと暮れている。素早く着替えて駐車場に向かった。灰色の車をキーの一ひねりで目覚めさせると走り出す。
自宅に戻ると、棚から土鍋を出した。干した昆布を適量切り取って土鍋に引く。水を適量注いで火にかけた。お湯が沸くまでの間に、豆腐の水を切り、小松菜を洗って刻む。しばらくしてお湯が沸いた鍋に豆腐を切って入れた。さらに小松菜を芯の方から入れていく。たっぷりのもやしも加えた。蓋をして一煮立ちさせてから、火を停めても、ぐつぐつと煮え続ける鍋を食卓に出した。冷たいビールを飲みながら、熱い湯豆腐をポン酢で食べる。小松菜ももやしもポン酢に良く合って実に美味い。ビールをジンに代えて、さらに飲んだ。
10月22日(水)雨後曇り後雨
目覚めて外を見ると、昨日の快晴の天気が嘘だったかのような雨降りだった。天気予報は夕方から晴れると主張している。テニスウエアを着込み、ラケットバッグを持って家を出た。小走りで灰色の車に乗り込み、走り出す。
午後遅くなって予報通り雨が止んだ。定時に仕事場を出て壁打ちコートに向かう。コートは濡れていたが、軽く40分程壁打ちをした。スマッシュを特に念入りに行う。灰色の車にガソリンをたっぷり詰め込んでやってから、テニスクラブに向かった。
ボールは少し湿っていたが、動くと汗が流れるぐらいの温かさで気分が良い。プレイの方は、まだまだミスが多く思ったようなレベルの練習が出来ず、もどかしかった。それでも2時間近くコートに立ち、走り回ると気持ちの良い汗が流れ、心地良い疲労が体を和ませる。
自宅に戻ると、大鍋でスパゲティを茹で、作り置きのカレーをフライパンで温めた。茹で上がったスパゲティを煮立ったフライパンに放り込み、カレーとからめる。出来上がった熱々のカレースパを、冷たいビールと共に食べた。これは美味い。
10月23日(木)雨後晴れ後一時雷雨
朝方、また雨が降ったらしい。道はまだ濡れて黒々と光っていた。灰色の車で仕事場に向かう。雨は止んでいるが、前の車が巻き上げる水煙がフロントシールドに細かい水滴を際限なく張り付けていった。ワイパーで拭いながら走る。薄暗く灰色に染まって、憂鬱な空模様だった。太陽はまるで見えない。
昼に外に出てみると、雨が上がって日が差していた。ところが、夕方暗くなってから外に出ると路面は雨に濡れ光っている。どうも良く判らない天気が続いていた。
自宅に戻り、今日も大鍋でお湯を沸かし、スパゲティを茹で始める。フライパンにオリーブオイルを敷いて、ニンニクのスライスと鷹の爪を種ごと輪切りにしたものを炒めた。香りが出てくる。適当な所で、豆腐ともやしとピーマンと小松菜をそれぞれ食べ易い大きさに刻んでフライパンに加えた。塩胡椒と醤油で味を整えて、スパゲティの茹で汁も少し加える。茹で上がったスパゲティをフライパンに加え、火を止めてから生卵を一個割り入れて全体にからめた。冷たいビールと共に口に運ぶと、意外に美味い。瞬く間に食べ終えた。大分の麦焼酎をロックで飲みながら仕事を片付ける。平日の夜が静かに暮れていった。
10月24日(金)晴れ
仕事場を出ると夕暮れの田舎道を走っていく。うに色のクルマの幌を降ろしてだ。体の周りを秋風が音を立てて渦巻く。遠く山あいに落ちていく夕日を正面に見ていた。心地良い排気音とそれを邪魔しない程度に低くボリュームを抑えた音楽がビートを刻む。うに色のクルマはいつもの通勤路さえ快楽に変えた。
トワイライトタイムも終わり、暗闇が地上を完全に支配する。ナイター照明が鮮やかなグリーンの人工芝を浮き上がらせた。一面のコートに男ばかり4名集まる。その中には県のランキング選手が2名いた。球出しでボレーとストロークを練習する。球筋は安定し、大きくコースを外すようなことは少ない。特に2名は、ほとんど狙ったコースに寸分違わずボールを打ち込んでいった。最後はサービスからシングルスの練習を繰り返す。いつも以上に緊張感のある良い練習になった。
自宅に戻り、シャワーを浴び、身支度を整えると駅に向かう。電車で南に下り、降りた駅の近くの居酒屋で生ビールと酎ハイを一杯づつ飲んだ。駅に戻ると夜行バスが待っている。座席に座り、靴を脱ぎ、耳栓を付け、毛布を被ると旅立ちの準備は全て整った。西の都まで8時間程のナイトクルーズが始まる。
10月25日(土)晴れ
駅のガード下のイタリアンでモーニング生ビールを飲む。夜行バスで眠った疲れはなかった。西の都の朝は寒い。観光用のトロッコ電車で渓谷を渡った。紅葉にはまだ少し早い。列車を乗り継いだ先で数多くの山車が集まる亀岡祭りを見た。町並みを含めて味わい深い。20分程歩いて鄙びた鍬山神社を詣でた。誰も居ない静かな境内でビールを飲んで憩う。
まだ祭りの余韻が残る街から電車で嵯峨野に戻った。歩いて奥山の寺に向かう。無数の無縁仏を祀った小さな石塔がぎっしりと集まった念仏寺だ。千年の時を経た参道はまだ当時の面影を幽かに残している。さらに歩いて寺を巡った。光源氏に風雅の趣味を教えると共に夕顔の君を呪い殺す程に自らの恋の虜になった六条の御息所が都の俗世を離れ住まったとされる野宮は、若いカップルが訪れる観光名所となってもなお超然とした歴史の重みを感じさせる。
節がゴツゴツとしない優雅な真竹の林の中を通って渡月橋に向かった。夕暮れ時の空の下、美しい橋のシルエットにしばし目を奪われる。大勢の人が集まる観光地と成り果ててもなお、その佇まいは時を超えて人の心を魅了した。夜の帳に包まれ、千年の時の彼方に沈む街を後にする。
10月26日(日)晴れ
再び千三百年の昔に都として栄えた街に向かう。生駒の山並をトンネルで抜けると、その町並みが目前に広がった。駅から程近い広大な寺の境内には美しくも畏敬の念を覚えずに居られない優美な五重塔がそびえている。
所構わず巻き散らかされた鹿の糞を避けながら広い公園を歩いた。屋台で柿の葉寿司とわらび餅を買って、公園で食べる。腹ごしらえをしてから大仏と向かい合う事にした。空腹では東大寺のスケールに圧倒される。イスラムの石造りのモスクとは異なる壮大にしてどこか脆さを感じさせる巨大な木造建築は、目前にすると語る言葉を失った。ただ刮目する。
正倉院、春日大社と歩いて廻った。猿が池の濁った水面に浮き沈みする亀と再び五重塔を仰ぎ見てから昔の面影を残す古い町並みを見に行く。瓦屋根、白壁、木格子、失った時に思いを馳せながら歩いた。民衆の信仰を集めた庚申さんと玄関先に吊るされた身代わり猿の人形が目を引く。
小さな豆腐専門料理屋で思う存分豆腐を楽しむ。紙の鍋で食べる湯豆腐が素朴な味わいで幾らでも食べられた。少し飽きた頃に沖縄の海ぶどうが気持ち良い。デザートまで全てが豆を元にして工夫された味で、心身共に洗われた。
10月27日(月)晴れ
ゆっくりと目覚める。あらかじめ休みを取っていたので、今日もまだのんびりとしていられた。目覚めのビールを飲む。昼近くまで部屋で寛いでから歩いて家を出た。川沿いの公園を北に上っていく。春には桜並木が両岸を白く染めあげるが、今は枯れ葉が目立った。川には鴨や白鷺が遊び、鯉や川魚が群れているのが見える。町中にしてはゴミも少なく透明な流れだった。川岸は完全に人の手が入っていて、石やコンクリートでしっかり固められ、生きた川とは言えない。こんな人工的な川でもしぶとく生き物が育っているのは驚きであった。
コジャレたスーパーマーケットで、輸入チーズやワインを試食して歩く。価格の割には意外に美味なイタリアワインを一本買った。天井が高く雰囲気が良いレストランに入り、ピザとパエリアで昼食にする。グラスワインは軽く、するりと喉に入った。午後の爽やかな風を楽しみながら、再び川沿いを南に下る。
夕方になって荷物をまとめて相棒の家を出た。少し離れた駅まで自転車に二人乗りして走る。新幹線の駅まで出ると、豚まんと肉団子とビールを買って乗り込んだ。腹一杯になるとたちまち眠りに落ちる。4時間半後には、北の街に着いていた。
10月28日(火)雨
北関東の地方都市に三日振りに帰って来た翌朝は、鬱陶しい雨模様の天気だった。歴史の重みを感じさせられる美しい街と秋晴れの空に馴れ親しんだ目に、どんよりとした重い鉛色の空は、余りにも気が滅入る景色に映る。気乗りがしないまま灰色の車に乗り込んで雨の街を走り出した。
自宅に戻る途中でスーパーに寄って、牛乳やパンなどの生鮮食料品を買い込むことにする。閉店間際の店内では様々なものが値札を付け直されて並んでいた。このスーパーの鮮魚は良いものを置いている。半額以下になったカツオの刺身を購入した。50%引きのパンを朝食用に多めに購入すると外に出る。雨は仕事場を出た時よりも小降りになっていた。自宅に戻るとカツオの刺身をメインの晩飯をとる。食後には熱いミルクティーをたっぷりと飲み、寛いだ。洗濯機を回して干してから布団に入り込む。目を閉じると簡単に意識が遠のいていった。
10月29日(水)曇り後晴れ
昨夜は、結局降り止まなかったのか、目覚めた時も見下ろす街は、寒そうに雨に濡れていた。ひどく眠い。何度目かに目覚ましが鳴らした電子音で、やっと布団から出る事が出来た。灰色の車で仕事場に向かう。時折細かい雨が吹き付けて来てフロントガラスを叩いた。
定時に事務所を出て壁打コートに辿り着く。靴を履き替え、壁を相手に何度も繰り返してショットのぶれを無くす。途中のコンビニで雑誌を立ち読みした。クラブのコートでは新しい人が入ったらしい。サウスポーでまずまず上手かった。普段サウスポーが仲間内に居ない為、良い練習になる。特にキックするサービスが手強い。
自宅に戻って晩飯の支度を始める。今夜は野菜たっぷりのスープを作るつもりだった。たまねぎとニンニクを大鍋で炒め、そこに、ソーセージとじゃがいもとニンジンも加える。水を加えて温めると、実に上手いスープが出来上がった。最後に豆腐の角切りを一丁分、たっぷりとスープに入れて飲むと、体が温まって実に良い気分になる。信じられない程体が火照った。スープだけでなく芋焼酎のロックのせいかも知れない。
10月30日(木)晴れ
仕事を適当に終える。灰色の車で、南に向かって走った。職場のフリーマーケットで情報を得て、灰色の車に合う安いスタッドレスタイヤ付きのアルミホイールを譲ってもらう商談をする相手に会う。タイヤは98年製で、すでに5年経過しているが、今年の春まで使っていたスタッドレスタイヤは93年製だから、これでもまだマシと考えた。同様に後5年使えるとすれば充分だろう。タイヤの溝も充分残っていた。灰色の車に積み込む。自宅に戻った。
アスパラガス、モヤシ、チンゲン菜、茄子と冷蔵庫にある野菜を大胆に刻み、フライパンで熱したオリーブオイルで炒める。オリーブオイルには、あらかじめニンニクと鷹の爪を炒めて香りを移してあった。塩胡椒で味を整え、大鍋で茹だったスパゲティと、茹で汁少々をフライパンに加える。軽く和えてから、火を止め、割り溶いた卵を一個全体にからめる。余熱で卵に軽く火が通るぐらいがちょうど良かった。皿に山盛りになったが、ほとんどが野菜なので構う事はない。ビールと共に頬張ると実に美味い。
食後に週末の食事用として、キャベツとソーセージのクリームシチューを作っておいた。更に美味くする為に、土曜まで寝かしておく。
10月31日(金)晴れ
夕暮れ迫る田舎道を、太陽を追い掛けて西に走った。自宅に着いてからテニスウエアに着替えると、物置きから自転車を取り出して近くのテニスコートに向かう。10分程度走ると軽く汗が出た。そのままレッスンに入る。今日のレッスン生は4名だった。球出しからの練習を多めにやった後、サービスからシングルスのゲームの形で練習する。なかなか良いポイントを取ることが出来なかった。
練習後はTシャツだけを着替えて、近くの駅に自転車を走らせる。電車で街に出た。繁華街の地下にある焼き鳥屋に入る。既にテニス仲間が集まっていた。日本酒や、焼酎の品揃えが自慢の店だが、先ずは生ビールを頼む。出て来た焼き鳥や鶏のささ身刺し等を食らった。瓶ビールを一本飲んだ後、にごり系の日本酒を試してみる。幽かな発泡のぴりぴり感が舌に心地良く、フレッシュな香りが楽しめた。次に焼酎をいくつか試してみる。終電までに残された時間は短く、あっという間に帰らなければいけなくなった。急いで店を出る。何とか最終電車に間に合った。駅から自転車に乗り、自宅に戻る。服を剥ぎ取るように脱ぎ捨て、下着だけになると、そのまま布団に倒れ込む。死んだように眠った。