9月1日(水)晴れ後曇り一時雷雨仕事場を出ると、壁打ちコートに行った。珍しく二人の先客がいるが、一人は間もなく帰り、もう一人もしばらくすると居なくなる。それからは独りで壁を相手にラリーを続けた。スライスとスピンのショートストローク、スマッシュ、ストローク、サービスの順で1時間ほど汗を流す。水呑場で顔を洗い、上半身の汗を拭い、フェンスに掛けてあったTシャツを着た。
ガソリンスタンドに寄って灰色の車のタンクを満たしてやると、テニスクラブに向かう。最近は集まりが悪く、今夜もレッスン生は3名だけだった。台風が残していった南からの熱く湿った空気のせいで、蒸し暑い。3名で走り回ると大量の汗がTシャツと短パンをずぶ濡れにした。ダブルスのゲーム形式を中心にした練習を繰り返し行う。最後の方には、ある程度良いラリーが続くようになった。レッスン終了後に、誰も居なくなったコートで独りサービス練習をする。安定したファーストサービスを確立したいが、トスの位置がずれるため、なかなか確率は上がらなかった。
自宅に戻り、水シャワーを浴びる。部屋の中も、また扇風機が必要なほど暑かった。今夜は鶏肉と茄子とピーマンとモヤシの炒め物を作る。味付けは、豆鼓をメインに、タイの海老ペーストを少々、塩、胡椒、香り付けの醤油を足した。冷たいビールに良く合って実に美味い。
9月2日(木)曇り時々雨
フルーツ入りのシリアルが底を尽きたので、スウェーデンの鱈子ペーストを塗ったトーストを2枚と豆乳で朝食にした。シリアルを仕入れに行かないとならないが、今夜も買い物に行けそうも無い。夜に会議が予定されていて、スーパーが開いている時間に帰って来れそうもなかった。
一日中、雨が降ったり止んだりの天気だったが、夜にやっと開放されて仕事場を出ると、雨はほとんど降っていない。家路を急ぐ車の列に入って帰路を辿った。iPodをFMトランスポンダー付きのアダプタにドッキングさせて、カーオーディオをFMラジオに切換え、周波数をチューニングすると、車のスピーカーから軽快な音楽が流れ出す。これで千数百曲が収められたジュークボックスを搭載したのと同じになった。
冷たい缶ビールを飲みながら晩飯を作り始める。大鍋に湯を沸かしながら、ニンニクを薄くスライスし、茄子、ピーマンを適当に切った。オリーブオイルを熱したフライパンに注ぎ、ニンニクを炒めて香りを引き出す。次に茄子に軽くオイルを馴染ませた。レトルトパックに入った市販のミートソースをフライパンにあける。最後にピーマンを加えて更に煮込んだ。固めに茹で上げたスパゲティーを放り込み、ソースと絡めると出来上がる。冷たいビールと冷やした軽めの赤ワインと共に頬張った。少し甘めのミートソースだが、少量の野菜を加えて煮込んだだけで大分美味く感じる。
9月3日(金)曇り時々晴れ
仕事場を出ると、まだ辛うじて明るさが残っている空の下、田舎道を走って帰る。スーパーに寄って食料品を買い込んで、自宅に戻った。買ってきた菓子パンをいくつか齧って小腹を満たすと、ラケットバッグを持って近くのテニスクラブに向かう。
ナイター照明の下には、珍しく8名も集まった。蒸し暑い夜で、少し動くと汗が滴り落ちる。県のトップランカーが一人混じっているが、明らかにショットの質が高く、ミスが少なかった。特にボレーはコーチの難しい球出しにも全く動じることはなく、速い球を綺麗に殺してコントロールしている。レッスンが終わるとTシャツを着替えて、すぐにスポーツジムに向かった。筋トレとランニングに汗を流し、最後はストレッチを入念に行ってからシャワーを浴び、サウナで更に汗を流す。流石に心地良い疲労が足取りを重くさせた。
自宅に戻ると納豆とモズク酢を肴に冷たいビールを飲む。たっぷりと汗を流し乾いた喉に、ビールが歓喜の声を挙げながら流れ落ちていった。たちまち一本目の缶が空になり、2本目を冷蔵庫から出す。布団に倒れ込み、目を閉じるとほとんど同時に意識が暗転し、深い眠りの世界に落ちていった。
9月4日(土)曇り後雨
目を覚まして、シリアルにヨーグルトをかけたものと、パンで朝食にした。空は曇っているが、午前中は何とか天気が持つらしい。朝食を終えると、車で30分ほど北に行ったところにある県営のテニスコートに向かい、サークル仲間の練習に加わった。今日は以前コーチをしてくれていた男が遊びに来る。初めて参加した、その男も加わって、練習とゲームで午前中一杯愉しんだ。相変わらず簡単なミスが多く、ポイントが取れない。ゲームも、最初は均衡するのだが途中からリードされて、3ー6で落とした。昼頃練習を終え、帰り支度をしていると、暗い空から雨が落ち始める。良く昼まで降らずにもってくれた。
コートを後にすると、仲間5名で近くのラーメン屋に入り、昼食にする。最近、積極的にチェーン店を展開して出来たばかりの新しい店だが、チャーハンは、本店で食べるのとほぼ同じ、いつも通りの美味さだった。ボリュームもしっかりあるので、満足して店を出る。
昼食の後は独りでジムに行って、トレーニングに励んだ。筋トレとランニングを済ませ、しっかりストレッチをしてから風呂といういつものコースで愉しむ。夜は飲みに行く約束になっているので、早めに切り上げたつもりだったが、少し買い物をして帰ると、もう約束の時間には間に合わなかった。
急いで電車に乗って町に出る。駅前から少し歩くと焼き鳥が美味いと評判の店に入った。仲間二人は既に来て飲み始めている。生ビールと自慢のつくねをメインに焼き鳥を注文した。運ばれてきた生ビールを喉に流し込む。思わず声が漏れるほどの美味さだった。評判通り、焼き鳥やつくねも美味い。わさびを載せた焼き鳥や、海老のつくね、絶妙の焼き加減の砂肝などが特に記憶に残った。3時間ほどたらふく飲み食いすると一人5千円ぐらいになる。少し飲み過ぎだった。
9月5日(日)雨時々曇り
目覚めて外を見ると、どんよりと重たい鉛色の空から雨が落ちていた。TVを眺めながら、ゆっくり朝食を食べる。天気予報は、一日中、雨が降りやすい天気だと告げていた。家を出てスポーツジムに向かう。
雨の日曜、しかも午前中のジムは人影も少なかった。ウォームアップのエアロバイク、筋トレ、ランニングとメニュー通りに黙々とエクササイズをこなす。少しのんびりと風呂に浸かってからジムを出た。帰り道で少し離れた所にある大きなスーパーに寄って、食料品などの買い物をしてから、自宅に戻る。
パンとビールで遅目の昼飯にした。TVを眺めていると、夏休みの午前中にプールで遊んできた子供の様に眠くなったので、少し午睡を愉しむ。目を覚ますと疲れも消えてスッキリしていた。玄関に置きっ放しになっていたスーツケースを倉庫に片付け、倉庫から自転車を出して調子を見る。この自転車は、数年前に盗まれたのだが、今年になって警察に保護され、家に戻ってきていた。前輪に付けられた鍵に加えて、後輪にも買って来た鍵をつけてやる。数週間前に入れたタイヤの空気が抜けていないので、機能的には全く問題なさそうだった。
自転車の整備を終えると部屋に戻り、洗濯機を回し、掃除機を掛ける。晩飯は、豆腐と納豆とモズク酢を肴にビールとワインを飲んで、簡単に済ませた。デザートに実家から送られた梨の最後の1個を剥いて食べる。Macを立ち上げてホームページを少しだけ更新し、メールをチェックすると、もう週末の夜が更けてきた。
9月6日(月)曇り一時小雨
目覚めて、鱈子ペーストを塗った塩味のトーストと豆乳で簡単な朝食にした。台風が沖縄を暴風に巻き込んだ後、不気味に進路を変えて九州上陸を狙っている。今年ほど連続して台風が接近・上陸して甚大な被害をもたらした記憶は過去になかった。風向きが変わったのか、関東以北の太平洋側はあまり影響を受けずに済んでいる。灰色の車で仕事場に向かった。
仕事を放り出して外に出るとスポーツジムに向かう。遅い時間になったので、ウォームアップを省略して筋トレから始めた。負荷を上げたので、少し疲労が残っている。iPodで音楽を聴きながらのランニングを終えると、サウナで更に汗を絞ってから、ジムを後にした。
自宅に戻って、氷をたっぷり落としたマグカップに、クエン酸系スポーツドリンクをたっぷり注いで一気に飲み干す。適度な甘味と酸味がフルーツ果汁のように爽やかだった。今夜はアルコール抜きだが、それも悪くない。少し疲労を感じたので、アミノ酸とクエン酸の粉末サプリメントを飲んでおいた。
眠ろうとする少し前に建物が揺れるのを感じる。揺れは小さいが持続時間が長めだった。TVのニュース速報が、ここから数百キロ西の半島沖を震源とする大きめの地震があったことを知らせている。津波警報が出されていた。布団に入るとアルコールが入っていないせいか、少し眠りに落ちるまで少し間がある。しかし、それは長く続かず、やがて意識が遠くなっていった。
9月7日(火)曇り一時雨後晴れ
TVでは朝から九州に上陸した台風のニュースで持切りだった。大型で強い台風が街を襲う様子が中継されている。凄まじい自然の猛威を見せつけられた。思わずカーテンを開けて外を見ると、北関東の田舎町は、台風の影響を遠くから受け、薄暗く曇っている。だが風はまだ強くなかった。
仕事場を抜け出て、ジムに向かう。かなり遅くなったので、ウォーミングアップをパスして筋トレから始めた。30分ほどの筋トレの後、雑誌を読みながらエアロバイクを30分漕ぐ。サウナで汗を流してから閉館時間間際になってジムを後にした。
自宅に戻ると、もう日付が変わるまで1時間あまりしか残されていない。冷たいビールと刻み葱、卸し生姜、削り鰹節をたっぷり乗せた冷奴で晩酌としゃれ込んだ。台風が南の海上から運んできた真夏の熱く湿った空気のお陰で、久しぶりに夏の気配が戻ってきて、むしろビールの美味さが際立つ。去っていく夏の後ろ髪を掴み、引きとめたいという感傷的な報われぬ思いが募った。布団に転がって、目覚ましのアラームスイッチを入れると、たちまち眠りに落ちていく。
9月8日(水)曇り後晴れ
仕事場を出ると、すぐに壁打ちコートに向かった。今日はいつものように誰も居ない。壁を相手の独りラリーを始めた。スライスとスピンのショートストローク、スマッシュ、ストローク、サービスの順で1時間ほど汗を流す。蒸し暑くて夏のようだが、大分日が傾くのが早くなったことで、秋を実感させられた。顔と上半身の汗を拭い、フェンスに掛けてあったTシャツを着て、車に乗り込む。
灰色の車のタンクを満たしてやる為にガソリンスタンドに寄った。コンビニでメロンパンとクエン酸系スポーツドリンクを買って腹を落ちつかせてやる。テニスクラブに車を停めた。今夜のレッスン生は4名で、一人新しい男が入ったが大したことはない。夜に入ってもまだ蒸し暑かった。1時間半の練習でTシャツと短パンがずぶ濡れになる。レッスン終了後に、誰も居なくなったコートで独りサービス練習をした。なかなか安定しないサービスがもどかしい。ただ悪い時は構えの段階から軸が前に倒れていることに気付いたのは収穫だった。
自宅に戻り、水シャワーを浴びる。台風が熱帯から運んで来てくれた夏が、部屋の中にも漂っていた。風呂上りの冷たいビールを飲みながら、茄子とピーマンのトマトソースパスタを作る。ビデオで録画しておいた旅番組は、道東がテーマだった。20年前とさして変わらない懐かしい景色が残っているのに驚く。
9月9日(木)晴れ時々曇り
フルーツとナッツの入ったシリアルにヨーグルトをたっぷり掛けた一皿と豆乳で朝食にした。久しぶりに一日中天気が良さそうな予報が出ている。うに色のクルマで家を出た。軽快な排気音とダイレクトな操縦感覚が楽しい。こんな秋晴れの日に走ると、日常を非日常に変える力に溢れるクルマであることを再認識した。
仕事場を出ると、うに色のクルマを飛ばして帰路を急ぐ。少し湿り気の多い生暖かい夜気が心地良く感じられた。久しぶりに平日のスーパーマーケットに寄って食料品を買い込む。ヨーグルト、豆腐、納豆、モズク酢などの常備食をカゴに入れた。木曜日は卵が1パック50円で買えるのが良い。もう1軒のスーパーでは豆乳や野菜を買った。2軒のスーパーを回ると、買い物袋が4つになる。
冷たい缶ビールを飲みながら晩飯を作った。今日は野菜をメインにする。キャベツと人参を適当に切って山盛りにしたサラダに、冷蔵庫にある餃子のタレを掛けてみた。ラー油が効いていて意外に美味い。バリバリと生のキャベツを噛み締めると甘味が出てきた。冷たいビールの後は、日本酒を開けて少し飲む。独りでのんびりと酒を愉しんでいると、夜はすぐに更けていった。
9月10日(金)曇り時々雨
仕事場を出ると、重たい鉛色の空から雨が落ちていた。テニスが出来るか不安に思いながら、田舎道を走って帰る。菓子パンを2個腹に収めて空腹を鎮めてやった。小雨がぱらつく中、ラケットバッグを持って近くのテニスクラブに向かう。
明るいナイター照明の下には、雨にも関わらず7名も集まっていた。霧雨の中で練習を始める。多少、ボールが水を吸って重く、飛びにくくなった。鬱陶しい雨は、やがて上がる。レッスンが終わると濡れたTシャツを着替えて、すぐにスポーツジムに向かった。筋トレとエアロバイクで汗を流し、最後はストレッチで酷使した筋肉を良く伸ばしてやる。汗でべたべたする肌に、熱いシャワーが気持良かった。サウナで再度汗を吹き出させてからの水シャワーも最高に気持良い。心地良い疲労感に満足してジムを後にした。
自宅に戻ると枝豆と納豆とモズク酢を肴に冷たいビールを飲む。乾いた喉に、冷たいビールが注がれると、一日の疲れも吹っ飛ぶ気持良さだった。やはり運動とビールは常にセットで存在する。布団に倒れ込むと、ほぼ同時に意識が飛び、深い眠りの底に沈んでいった。
9月11日(土)曇り
目を覚まして、シリアルにヨーグルトをかけたものと、鱈子ペーストを塗ったトーストで朝食にした。空は曇っているが、雨は降らないらしい。朝食を終えると、車で1時間ほど北に走ったところにある小さい町のテニスコートに行って、サークル仲間の練習に加わった。今日は13名集まって、なかなかの盛況になる。練習2時間半とゲーム30分で午前中一杯をテニス三昧で愉しんだ。相変わらず簡単なミスが多く、ボレーも下手だし、ファーストサービスも入らない。
コートを出て、仲間4名で近くの蕎麦屋に入り、昼食にした。定番の角煮丼にしようか迷うが、魚が食べたかったので、キス、メゴチ天丼を注文してみる。コストの関係からか魚の天麩羅は小振りだったが、一緒に乗っていた舞茸の天麩羅も併せて、どれも美味かった。腹も適度に満たされて、大満足で店を出る。
昼食の後は、その足でジムに行った。筋トレとランニングで汗を流し、ストレッチをしてから風呂といういつものコースで体を絞る。早めに切り上げて自宅に戻ると、丁度ガス屋の法定点検の予約時間に間に合った。30分ほど掛かって点検が終わる。
軽く腹ごしらえしてから、近くのテニスクラブに向かった。ナイターレッスンを二晩続けて受ける。6名のレッスン生にコーチの早いテンポの球出しが襲いかかった。1時間半のレッスンが終わるとまた汗まみれになっている。スーパーに寄って少し買い物をして家に戻ると、シャワーを浴びて汗を洗い流した。一日の運動の後の疲れた体に、冷たいビールは極上の喜びを与えてくれる。
TVを眺めていると、もうあの衝撃の一日から3年も過ぎたことに気付かされた。思い出すことが少なくなって、記憶は薄れているのだが、もう3年も前のことだと思うと驚きが禁じえない。3年の間に多くのことが起きたが、何一つ解決されていない気がした。暗い気分で布団に横たわると、世界情勢とは全く関係無く、たちまち幸せな眠りに落ちていく。
9月12日(日)晴れ時々曇り
目覚めて外を見ると、天気は良さそうだった。TVを眺めながら、ゆっくり朝食を食べる。身支度を整えると、ラケットバッグを背負って家を出た。
車で20分ほどの試合会場に着く。テニスコートに向かい、受付を済ませた。先週の試合が雨で流れた影響で、今日の大会は先週の試合も一部組み込まれ、コート数が少なくなり、しかもゲーム数が短縮されて6ゲームマッチになる。コート数がほとんど1面に制限された為、出番は、なんと、7試合目になった。朝9時に集合させられたのに、結局最初の出番は午後1時になる。しかも相手は強力で、成すすべなく30分ほどで片付けられた。さらに30分ほど待った後の2試合目も強力な相手で1ゲームも取れない。結局5時間半ほど会場にいて試合時間は1時間ほどで、ゲーム数は12個と云う悲惨な状況だった。打ちのめされた暗い気持でコートを後にする。
気を取りなおしてジムに向かった。筋トレとランニングを黙々とこなす。ストレッチを長めに行ってから、少しのんびりと露天風呂に浸かった。露天風呂に寝そべり、青空を見上げていると、少し気分も晴れてくる。
夕方、自宅に戻り、鯵の干物を2尾焼いて、頭から尻尾まで全て食べ尽くした。疲れた心と体に冷たいビールが染みる。晩飯後に、洗濯機を回して、溜まった洗濯物を片付けた。散々な目にあった一日が静かに終わって、穏やかな夜が訪れる。布団に倒れるとそのまま眠りに落ちた。
9月13日(月)曇り時々晴れ間
目覚めて、クエン酸系スポーツドリンクをコップ一杯飲み干すと、頭がしゃきっとする。干しフルーツやナッツが入ったシリアルにプレーンヨーグルトを掛けて簡単な朝食にした。太平洋高気圧と大陸の高気圧が日本列島上でせめぎあっているせいで、天気がハッキリしない。関東には南からの湿った風が吹き込んで来て今日も朝から蒸し暑くなった。
仕事を投げ出して、スポーツジムに急ぐ。遅い時間になったので、筋トレとストレッチぐらいしか出来なかった。サウナも5分程度で切り上げて、髪も乾かさず、足早にジムを出る。
自宅に戻って、氷を満たしたマグカップに、クエン酸系スポーツドリンクを注いで一気に飲み干した。ほとんど酸味を感じないのは、体が酸を欲しているからだろうか。今夜は週に一度のノンアルコールDAYだった。
早めに布団に入り、眠ろうとすると、運動が足りないのと、アルコールが入っていないのとで、眠りの訪れまで少し間がある。しかし、そんな半覚醒状態も長くは続かなかった。何かまとまったことを考える間もない。やがて意識が暗闇に飲み込まれて行った。
9月14日(火)曇り時々晴れ
南の海上に居座る夏の高気圧と北の大陸上に張り出してきた冬の高気圧のせめぎ合いは、この島国の上で今日も繰り広げられているらしい。関東では、まだ夏の高気圧が優勢だった。久しぶりに寝汗がじっとりと鬱陶しい朝を迎える。布団から跳ね起きると風呂場に飛び込み、水と熱い湯を交互に浴びた。
やっと仕事場を抜け出て、ジムに向かう。遅い時間になったので、手早く筋トレのメニューをこなし、エアロバイクを30分漕ぐと、ジムフロアの終了時間になった。サウナで汗を流してから閉館間際のジムからそそくさと退出する。
自宅に戻る途中で、日付が変わる1時間前だというのに工事のせいで短い渋滞にはまって貴重な5分ほどを無駄にした。千葉県産のピーナッツを齧って、冷たいビールを飲む。ローストされたピーナッツの香ばしさと程よい塩味がビールに良く合って美味かった。さらに、卸し生姜と削り節をたっぷり乗せた冷奴を肴にする。イタリア産の赤ワインを開封して、グラスに注いだ。カマンベールチーズをつまみにワイングラスを傾け、のんびりとTVを眺める。遠い中東の国では今も内戦状態が続いていた。
9月15日(水)曇り後晴れ
仕事場を出て、まだ明るい空の下、壁打ちコートに向かった。今日は先客が一人いる。シューズに履き換え、壁を相手にラリーを始めた。スライスとスピンのショートストローク、スマッシュ、ストローク、サービスの順で1時間ほど休み無く打ち続ける。風は爽やかで、完全に秋の陽気だった。Tシャツを脱いだ上半身を直接秋風がなぶっていって気持が良い。汗が流れる快さは無くなったが、これもまた悪くは無かった。フェンスに掛けておいたTシャツを着て、車に乗り込む。
妙に道が混んでいて、ガソリンスタンドに着くのに時間が掛かった。そのスタンドも給油の車で混んでいる。灰色の車のタンクを満たしてやり、コンビニでクエン酸系スポーツドリンクを買ってから、テニスクラブに向かった。今夜のレッスン生は5名集まる。夜に入って、更に涼しくなっていた。1時間半の練習で走り回っても、さほど汗をかかないのは寂しい。サービス練習をした後、他の男がコーチとテニス談義を続けていたので、そこに加わった。結局30分以上話し込んでしまう。色々「気付き」のある面白い話が聞けた。サービスは相変わらずだが、体の軸に注意することで少し良い方向に向かっている気がする。
自宅に戻り、冷たいビールを飲みながら、ニンニクをたっぷりと効かせたナポリタンスパゲティを作った。ビデオで録画しておいた旅番組は、過去の番組から紅葉の美しい場所を編集したもので、内容が薄い。秋の気分が高まる効果は得られた。今年の秋は西の都に紅葉を見に行こうかと言う気持になる。TVに映し出される美味そうな料理の数々で、赤ワイン、泡盛の豆乳割りと、つい酒がすすんでしまった。
9月16日(木)晴れ時々曇り
こんがり焼いたトーストと、フルーツ&ナッツ入りのシリアルにヨーグルトをたっぷり掛けた一皿と、冷やした豆乳で朝食を済ませる。久しぶりに朝から天気が良く、高く澄んだ青空から秋の日差しが地表に降り注いでいた。地下駐車場から、うに色のクルマを外に連れ出してやる。乾いた高音質の排気音を控えめに響かせて幹線道路を走ると、爽やかな風が通り抜け、最高に良い気分だった。スプリングを純正に戻してからは、荒れた路面での激しい突き上げも低減されて、乗り心地も向上している。17インチの重いタイヤが足下でばたつく感じは否めないが、さして気にならなかった。
仕事場を出て、うに色のクルマで帰路を急ぐ。すっかり秋の気配に染まった夜風が肌に心地良く感じられた。帰り道で先ず一軒のスーパーに寄る。ヨーグルト、モズク酢、パンなどの常備食を買い込んだ。もう一軒のスーパーでは、主に豆乳や酒類を調達する。
自宅に戻ると先ずは晩飯にした。キャベツと人参を適当に切ってマヨネーズをかけただけのサラダが意外に美味い。買って来たサンマの刺身を肴に、日本酒を少し飲んでみた。TVでは、ビフテキ丼と海鮮丼のどちらを食べるかの対戦が行われている。自分で食べるなら海鮮丼だが、ビフテキ丼陣営が勝利した。美味そうな食材を見ていると、つい酒量が増えてしまう。食後に風呂に入り、洗濯機を回した。室内に洗濯物を干し、除湿器を動かすと、布団に転がる。除湿器の低いうなり音を遠くに聞きながら眠りに落ちた。
9月17日(金)曇り時々晴れ
仕事場を出て、田舎道を走って自宅に帰る。簡単に旅行の準備をしてから、トーストを食べて空腹を鎮めてやった。ラケットバッグを背負って近くのテニスクラブに向かう。
第3期の最終日となる今夜は、レギュラー以外の振り替え消化組も含めて10名も集まっていた。途中からは2面使用してゲーム形式の練習になるが、メンバーが水増し状態なので、少し生ぬるい。レッスンが終わると汗で濡れたTシャツを着替えて、すぐにスポーツジムに向かった。筋トレとランニングに汗を流し、ストレッチで筋肉を伸ばしてから、熱いシャワーを浴び、サウナで更に汗を搾り出す。心地良い疲労感に満足してジムを後にした。
自宅に戻ると明日から始まる小旅行の為に、デイバッグに荷造りをする。早朝の電車に乗る為に、いつもより一時間早く目覚ましをセットしてから、布団に潜り込んだ。今更、興奮して眠れないなどということは無い。布団に倒れ込むと、ほぼ同時にヒューズが飛んだ様に意識が暗闇に閉ざされた。
9月18日(土)曇り後晴れ
目を覚まして、TVのニュースや天気予報を見ながら簡単な朝食を済ませた。南の島の天気は週明けに掛けて、ずっと晴れの予報なので安心する。朝食を終えると、デイバッグを背負って家を出た。電車に乗って南に向かう。耳栓をして眠り込んだ。電車を乗り換えて空港に向かう。朝の空港ターミナルは、三連休の初日のせいか、人でごった返していた。飛行機に乗り込み、ビールを飲むと再び眠り込む。2時間ほどで、南の島に到着した。
モノレールで眼下の町を見下ろしながら走る。県の首都だが起伏に富み、緑も多い気がした。駅で相棒と落ち合う。ホテルに荷物を置くと再びモノレールに乗り、王朝時代の城跡に近い終点の駅で降りた。昼過ぎだったので、先ずは駅に近いそばの有名店に向かう。 古くからの技法を守った麺を作る為、一日60食限定とガイドブックには書かれていた。カツオだしの芳香が漂う店の前には7、8名ほど人が並んでいる。すぐ後ろにも5,6名並ぶが、店内から品切れ閉店の看板を持った店員が出てきた。後ろの3名組以降は、品切れと告げられ、帰らされる。危ないところだった。熱帯の日差しの下で汗をかきながら、しばらく待って店に入ると、屋内は冷房が効かせてあって涼しい。自然木のテーブルについて、そばと煮込みとビールを注文した。冷たいビールで喉を潤しながら待っていると、待望のそばが出て来る。透明な澄んだスープに白く太めの麺が、どこか涼しげに泳ぎ、その上に良く煮込んだ三枚肉が2切れと、かまぼこ2枚、針生姜と万能葱が乗せられていた。麺を箸でつまみ、美しく澄んだスープから引き上げるとずっしりと重たい。口に運び、噛み締めると思いがけない程の抵抗感で歯を押し返してきた。讃岐うどんのような滑らか感ではなく、そばのような、やや荒っぽい腰の強さを感じながら噛み切ると、小麦の味が口一杯に広がった。麺自体が美味い。スープは、カツオの香りが立つが、肉の旨みがどっしりと基礎を支えていて、なんとも言えない滋味をたたえていた。少し甘く煮込まれた三枚肉も蕩けるようで、これは美味い。あえて定番の紅生姜でなく針生姜を乗せているのも、スープに余分な色を付けず、清涼感だけがプラスされて心憎い演出だった。夢中で食べ尽くす。煮込みは、三枚肉、大根、揚げ出し豆腐、いんげんなどが同じ透明なスープで煮込まれたおでん風だった。こいつも素材の味が引き出されていて、実に美味い。特に豆腐の美味さが際立っていた。この後、この島の豆腐は、どこで食べても美味いことを知らされることになる。最後にぜんざいを注文した。柔らかく煮込まれた金時豆と白玉の上にかき氷がふわっと乗せてあって、これまた、実に美味い。最後に航空機会社のパンフレットに付いていたクーポンでアイスコーヒーをもらって飲むと、汗も完全に引いて、満足感が体中を満たした。
食後は少し歩いて、瑞泉という泡盛の酒造所を訪ねる。コーヒーを飲みながら、少し待って、工場見学をした。大戦で戦場となったこの島は、数百年の歴史を語り継ぐ古酒を失ったが、戦後、新たな歴史を刻み続けている。工場自体は、ステンレスの釜が並んでいて、趣のあるものではなかった。しかし、新酒が瓶に入れて封印され、何年も寝かされることになる貯蔵所は、熟成される泡盛の呼吸が聞こえそうなほど濃密な香りが漂っている。若く荒荒しい新酒から、ブランデーの様に甘味を持ち柔らかく丸く熟成された17年ものまで、何種類かの泡盛を試飲した。とても元は同じものとは思えない変化が、そこにはあった。
流通してないの珠に傷だがお札の絵柄にもなった門をくぐり、小高い丘の上に立つ王朝時代の城跡に上る。スケールは小さいが、中国の王宮の流れを汲むと思われる作りの城内を歩き、美しい装飾品や建造物を眺め、悠久の時に思いを馳せた。城の上から眺める町は、王朝華やかし頃とは全く異なっているのだろうが、心地良い風に汗ばんだ頬を晒しながら、蒼く美しい海や、翠の森を見ていると、心が安らぐ気がする。
モノレールで繁華街のメインストリートに出た。生鮮食料品が並ぶ市場に入る。普段目にすることがない赤、蒼、翠、黄の原色に彩られた珍しい魚が並び、豚の手足や顔がごろごろと置いてあった。2階は食堂になっている。元は市場の従業員や地元の人が食事をするところだったのだろうが、今は観光客の姿が多く見うけられた。混んだ小さなテーブルに相席で座り、豚の耳の刺身、麩の炒めもの、ソーメンの炒めもの、地魚の唐揚げ、地魚の刺身などを注文する。店員は中国系のようで、仲間内では謎の言語で会話していた。地元の生ビールをジョッキで飲みながら、運ばれてきた料理を平らげていく。どれも味付けは少し濃い目に感じたが、実に美味かった。特に麩の炒めものが想像外の美味さで感心させられる。ソーメンの炒めものは焼きビーフンに似て、好みの味だった。食後は、繁華街のお土産屋をぶらぶらと冷やかしながら歩く。
ホテルの小さな部屋に戻ってシャワーを浴びると、長い一日が終わった。繁華街のスーパーで買って来た地ビールの缶を開けて飲み、ベッドに潜り込むと、たちまち夢も見ない深い眠りに落ちていく。
9月19日(日)晴れ時々曇り
目覚めて外を見ると、今日も天気は良い。昨夜、コンビニで買って来たパンとヨーグルトで朝食を済ませた。荷物をまとめると、ホテルをチェックアウトする。近くの別のホテルに歩いて移動し、荷物を預けると身軽になり、ロビーでコーヒーを飲んで一息ついた。
移ったホテルの近くのレンタカー屋に行って、クリーム色に塗られた角張ったデザインの小型車を借りる。12時間の契約で5500円支払った。相棒の運転で北を目指す。海岸線沿いを通る国道を、海を眺めながらのんびり走っていった。
途中の菓子工場に隣接した土産屋に寄ってトイレを借り、ついでに紫いもを使った様々なお菓子を大量に試食する。紫いものタルトが実に美味かった。出発から数時間のドライブで、パイナップル園に着く。入園料500円を払うと、自動運転で園内を巡る電動カートに乗せられた。説明を聞きながら椰子の木がそびえ、パイナップルが密生する畑の中を歩く程度の速度で走って行く。カートを降り、順路を辿ると、何故か貝の博物館に誘導された。美しい貝の標本はそれなりに見応えがあるが、パイン園との関連は判らない。次にパインワイン、ジュースの試飲、パインを使ったお菓子や、パインの試食で腹一杯になった。当然、土産の販売が目的の施設だが、試飲と試食だけで買う気にはならない。
パイン園を後にすると、今度は地ビールの工場に向かった。途中で中古CDを数枚仕入れ、車のCDプレイヤーに突っ込むと、軽快な音楽でドライブが大分楽しくなる。ビール工場には20名以上の見学客が集まっていた。案内を聞きながら工場内を回るが、休日で機械が止まっているので、大して面白くない。目当ては最後の試飲だった。良く冷えた出来立ての生ビールは流石に美味い。するすると喉を通り抜け、胃に落ちていった。たちまち3杯を飲み干す。満足して工場を出た。
次は海洋博記念公園に向かう。人気の水族館があるせいか、駐車場が一杯なので、近くのホテルの駐車場に車を止めた。ホテルのビーチに歩いて降りて行くと、美しい白い砂と透明な海が何とも美しい。思わず裸足になって、しばらく温かい海水と戯れた。ホテルのビーチを出ると、帰路に着く。
帰りは一本道なので流れが悪かった。朝、休憩した菓子工場に寄って、また菓子の試食で腹を満たす。コーヒーを飲もうと、建物の2階にある展望カフェに上がった。意外なほど眺めが美しい。遠く、近くに島が見え、美しい海と空と緑が180度広がっていた。窓際の席で素晴らしい景色を眺めながらケーキを食べ、コーヒーを飲む。この島に来てから、どこで何を食べても、何を飲んでも、裏切られたことが、まだなかった。どれも実に美味い。
街に帰り着くとすっかり日が落ちていた。車を返し、ホテルに戻って荷物を置いてから外に出る。ホテルの近くの小洒落た居酒屋に入った。海ぶどう、島豆腐、豆腐ようなどの特産品を肴に、地元の生ビールを飲む。特に豆腐がしっかりとした歯応えがあり、味が濃厚だった。土地の豊潤さを感じる。
店を出て、繁華街をぶらぶらした。目星を付けていた古酒バーに向かうが閉まっている。仕方なく適当な店に入り、生ビールと泡盛を注文した。ミミガーの酢味噌和えやフーチャンプルーなどをつまみながら、泡盛をロックで飲むと、堪えられない。すっかり気分良く酔ってホテルに戻り、さんぴん茶を飲んでからベッドに倒れ込むと、たちまち眠りに落ちた。
9月20日(月)晴れ時々曇り
目覚ましのアラーム音で無理やり現実に引き戻される。シャワーを浴びると頭がハッキリした。ロビーに下りて、握り飯と味噌汁の朝食を摂る。コーヒーを何杯もお代わりして飲んだ。
荷物をまとめるとチェックアウトして街に出る。繁華街を通り抜け、壺屋という、王朝時代に窯業を集めて作られた小さな焼物の街を歩いた。様々な器やシーサーなどが店先に売られている。眺めるだけにして繁華街に戻り、小さな食堂で生ビールを飲み、ソーキそばとゴーヤチャンプルーとナーベラーイリチーと田芋のコロッケを注文した。ここの麺は抵抗感なく簡単に噛み切れる。スープはしっかりとカツオの風味と豚の旨みが効いていてさっぱりしているが美味かった。ほろほろと簡単に身がほぐれる程に煮込まれたソーキも美味い。ほろ苦いゴーヤも、しっかりと形と味がある豆腐も、どれも納得の味だった。糸瓜の炒め物は、ややえぐみが有って、相棒の口には合わない。次も注文しようと思うほどのものではなかった。
この島での最後の食事を終え、最後に土産を買い足すと、モノレールで空港に向かう。2泊3日の短い旅は、もう終わろうとしていた。空港で、搭乗チェックの列に並びながら慌しく紫芋のアイスを食べると相棒と判れ、別の飛行機に乗り込む。定刻より少し遅れて満席の飛行機は重そうに飛び立った。
モノレールと電車を乗り継いで北関東の小さな街に帰り着く。洗濯機を回して溜まった洗濯物を片付けると、冷たいビールと鯵の干物で晩飯にした。南の島の豊潤な食卓とは比較にならない。心の一部分を遥か遠くの島に置き忘れてきたようで、この街では決して満たされなることがないであろう空洞が、ぽっかりと口を開けていた。
9月21日(火)曇り時々晴れ
夏の高気圧と冬の高気圧の勢力争いは、今日もまだ続いていた。いずれ冬の高気圧が勝利することが判っているので、消化試合にしかならない。国境線となる秋雨前線が、この島国の上に停滞しているが、関東では夏の高気圧から流れ込む暑い風で、気温は30度を越えたままだった。シャワーで寝汗を洗い流し、さっぱりしてから家を出る。
仕事場を出て、ジムに向かった。手早く筋トレのメニューをこなし、ベルトの上を走る。iPodで音楽を聴きながら40分ほど走ると、Tシャツがびしょ濡れになった。久しぶりの運動で流す汗は、気持が良い。サウナで汗を絞ってから、体重を量ると休暇前とほぼ同じところまで戻っていた。
9月22日(水)曇り一時雨
仕事場を出ると、今にも降り出しそうに重そうな鉛色の雲が空を覆い尽くしていた。壁打ちコートに向かう。シューズに履き換え、壁を相手にラリーを始めた。スライスとスピンのショートストロークを打っていると、雨が降り出す。大粒の雨がコートをみるみる黒く染めていった。あきらめて車に戻り、スポーツジムに向かう。
テニススクールの時間に間に合う様に、ウォームアップを省略して、筋トレとランニングをメニュー通り終えた。ロッカールームからテニスクラブに電話すると、今夜のスクールは中止になったと言う。テニスを諦めて、ゆっくりと風呂を楽しむことにした。サウナでたっぷりと汗を絞ってからジムを後にする。
自宅に戻り、枝豆をつまみに冷たいビールを飲みながら、鯵の干物を焼いて晩飯にした。旅番組で取り上げられている美しい景色や、美味そうな食事を眺めながら日本酒を飲む。ふと、もう5日間もまともにテニスをしていないと、気付いた。天気はどうにもならない。口惜しい思いが静かに燻るだけだった。
9月23日(木)曇り
今日は祝日だが、そんなことは関係なかった。いつものようにアラームで目覚めて布団を出る。不快な寝汗が滴るような蒸し暑さはなかった。空はコントラストの低いグレーの雲に覆われて、全てがのっぺりと遠近感なく見える。地下駐車場からビビッドなうに色のクルマを外に連れ出して、灰色の世界に色彩を加えてやった。
仕事場を出て、暗い田舎道を、うに色のクルマで走って帰る。夜風が、半袖シャツの袖から入り込み、体をクールダウンした。背後から車室内に巻き込む風が、容赦なく長く伸びた髪を吹き散らす。ワックスで固めた髪形が台無しになった。うに色の車には帽子を常備しておかなければならない。
9月24日(金)曇り時々晴れ
まだ明るい内に仕事場を出て、スポーツジムに向かった。日が暮れて行く様を眺めながら、筋トレとランニングで汗を流す。ざっとシャワーだけ浴びると、ジムを出て、今度は北の町に向けて、暗い田舎道を闇に溶け込むような灰色の車で走った。カーオーディオで好きなバラード曲をかけ、唄いながらステアリングを握る。頼りないヘッドライトの光の向こうには、前の車のテールランプが、ずっと見えていた。40分ほどのドライブで北の町のテニスコートに辿り着く。
もうすっかり秋の気配で涼しいかと思ったが、まだ存外に蒸し暑く、2時間ぶっ続けで練習すると、しっかりシャツは汗でずぶ濡れになった。ナイター照明が消える時間になったので、練習を終わりにしてコートを離れる。コートの近くに借りてあったコテージに移動して、シャワーを浴び、生ビールと弁当で遅い晩飯にした。仲間達とビールを飲みながらの楽しいテニス談義で日付が変わる頃まで話し込む。生ビールの10Lタンクが尽きたところで宴会は、お開きになり、それぞれの布団に潜り込むと、たちまち眠りに落ちた。
9月25日(土)雨後曇り後晴れ後曇り後雨
目を覚ますと、外は雨がぱらぱらと降っている。お握りとお茶で朝食にすると、コテージを出て少し離れた山の中のホテルにあるインドアテニスコートに向かった。ホテルのコート、しかもインドアと来ると目の玉が飛び出るような使用料を思い浮かべるが、1時間2千円と、思ったほどではない。その分設備は古く、掃除も行き届いておらず、薄汚かった。2面を2時間借りて、昼まで練習する。ボールをひっぱたく音が屋根に反響して気持良かった。カーペットコートもボールが止まってむしろ打ちやすい。フラットやスライスは滑るのでその限りではなかった。
昼になると、すっかり雨は上がって、青空が見えるまでになる。ホテルを出て来た道を戻り、行き付けのレストランでランチにした。この店の手作りデミグラスソースは絶品で、それを堪能出来るハヤシライスは、特に美味い。今回もハヤシライスを注文した。
午後からは、いつもの北の町のテニスコートで練習する。午前中に練習は済ませているので、練習試合をどんどんやった。6ゲーム先取ノーアドで試合を回して行く。皆の実力が近づいていて、どれも接戦になった。簡単なミスも減ってきて、やっと戦術の駆け引きが楽しめるレベルに入ったので、より深く楽しめる。夕方になると再び空が暗くなってきて夕立の気配が近付いて来た。早めに切り上げて今夜の宿泊場所に移動する。
温泉に入りさっぱりすると、コテージに早速生ビールサーバーが設置され、晩酌が始まった。10Lのタンクが二つあるので飲みでがある。さらに日本酒の一升瓶が5本持ち込まれた。晩飯は地元の和食レストランから取り寄せた弁当と、季節の天麩羅、牛刺し、馬刺しなどで、どれも実に美味い。11人でテニス談義に花を咲かせながら、生ビール20L、日本酒3升を空けると、流石に満足した。何時の間にか布団に倒れて眠っている。
9月26日(日)曇り後雨
目覚めて、外を見ると今日もハッキリしない天候だった。コンビニのお握りと味噌汁で朝飯にすると、荷物をまとめ、部屋を片付けて外に出る。時折小雨がぱらつく中、すぐ近くのテニスコートに向かった。
一時期、少し雨が降ったが、昼過ぎまで問題なくテニスが出来る。練習試合を中心に半日を楽しんだ。昨夜の酒が残っていて体調は余り良くなかったが、白熱するシーソーゲームをいくつか楽しむ。昼過ぎまでの3時間ほどで試合を堪能すると、その場で解散になった。
仲間と6名で市内の方に帰りがてら、行き付けの蕎麦屋によって遅い昼食にする。いつもは蕎麦と豚角煮丼のセットにするのだが、今日は遅い時間だったせいか、角煮が終わっていた。仕方なく、ネギトロ丼にする。これは丼ご飯の上に、ビンチョウマグロのトロの切り身と、卸した山芋が乗っていて、これはこれで美味かった。
市内は雨が降っている。午後のテニスは諦めて、スポーツジムに向かった。久しぶりにウォームアップから、筋トレ、ランニングと、フルコースをこなす。たっぷりと汗をかいた後、風呂とサウナでスッキリして自宅に戻った。生ビールとは行かないが、冷凍庫で冷やした素焼きのカップで飲むビールは、実に美味い。晩飯は旬のサンマを焼いて食べた。脂が乗っていて堪えられないほど美味い。充実した週末の夜が更けていった。
9月27日(月)曇り時々晴れ
すっかり帰りが遅くなった。灰色の車を走らせて、ジムに急ぐ。筋トレとストレッチを30分、エアロバイクを30分漕ぐのがやっとだった。サウナで10分しっかり汗を流して帰る。ジムの外に出ると、Tシャツ1枚では、少し肌寒く感じるほどの涼しさだった。さしもの猛威を振るった太平洋高気圧も、今は見る影もないといったところだろう。だが、一年中夏でも構わなかった。大陸の冷たい高気圧に呪いの言葉を吐きたくなる。
自宅に戻ると納豆とモズク酢と茗荷、卸し生姜、削り節をたっぷり載せた冷奴で遅い晩飯にした。キーボードの電源ボタンを押してMacを立ち上げようとすると、なかなかデスクトップが現れない。またハードディスクのファイルが壊れた様だった。CD−ROMで立ち上げて修復を試みるが、上手く行かない。諦めて布団に潜り込んで目を閉じた。それが合図と決まっていたかのように瞬間的に意識を失う。
9月28日(火)曇り
北西に向かっていた台風が急に90度針路変更して北東に進み始めた。その先には、この国が横たわっている。また大型の台風が上陸することになった。速度が遅いので北関東の、この町に影響が現れるのは、まだしばらく先らしい。
今日は昨日よりも更に帰りが遅くなった。仕事場を出て、ジムに急ぐ。ストレッチと筋トレを手早くこなし、TVの音を聞き、雑誌を読みながらエアロバイクを30分漕ぐと、、Tシャツがびしょ濡れになり、足元に汗溜まりが出来た。この爽快さがあるので、止められない。自宅に戻って冷やしたカップで冷たいビールを飲むと堪えられない美味さだった。これもジムのトレーニングが癖になる理由の一つになる。先週末にもらった日本酒は移動と常温保存で元々の味も香りも切れ味もあらかた失っていた。それでも僅かに旨味の残滓が感じられる。もったいないが仕方なかった。
9月29日(水)曇り一時雨
仕事場を出ると、今にも降り出しそうに重そうな鉛色の雲が空を覆い尽くしていた。既に少し雨が降った後らしく、路面はまだ濡れている。壁打ちコートに向かうのを止めて、スポーツジムに向かった。ウォームアップを省略して、筋トレを手早く終え、ランニングを始めると、窓の外の景色がみるみる濡れそぼって行く。今夜のテニスは諦めざるを得なかった。入念にストレッチをしてジムフロアを後にする。ロッカールームからテニスクラブに電話すると、やはりスクールは中止になっていた。少し、ゆっくりと風呂を楽しむことにし、サウナでたっぷりと汗を絞ってからジムを出る。
自宅に戻り、黒糖ピーナッツをつまみに冷たいビールを飲みながら、鯵の干物を焼くなど晩飯の準備をした。TVの旅番組を眺めていると、昔懐かしい地名や、昔訪れた場所が出てきて、しばらく思い出に浸れる。泡盛をちびちびと飲むつもりで買って来た小さな琉球ガラスの杯に日本酒を注ぐと、ガラスの薄いブルーが涼しげだった。ちょうど良い大きさで日本酒を飲むのにも都合が良い。布団に入る頃になって激しい雨音と風が吹きすさぶ音が聞こえてきた。布団に横たわって目を閉じると、すぐに意識と共に音が遠のいて行く。
9月30日(木)曇り後晴れ
夜中の内に台風は通り過ぎていったらしい。目を覚ますと、もう雨は止んでいた。まだ路面は濡れているから、明け方まで雨が続いていたのだろう。やや強い風に乗って、台風が南の海から連れてきた夏の残り香が、微かに鼻をくすぐった。
仕事場を出て、暗い田舎道を走って帰る。久しぶりに帰り道でスーパーに寄って、特売の卵、朝食シリアル、納豆などを買い込んだ。自宅に戻るとTVの旅行番組を見ながら晩飯の支度をする。メインは買って来た戻りカツオの叩きにした。冷たいビールの後は、日本酒にする。柔らかい飲み口の日本酒と魚との相性は悪くなかった。刻んだ茗荷や卸し生姜の鮮烈な香りも楽しい。旅番組の中で、つい先日訪れたばかりの南の島の情景が映し出された。故郷ではないのに、なぜか郷愁を誘われる。青い海と空の元に、今すぐにでも戻りたい気分になった。