10月1日(金)曇り時々晴れまだ薄明るい内に仕事場を出て、家路を辿った。既にヘッドライトを点けている。細い田舎道を慎重に走って大通りに出る。自宅に戻ると、トーストを2枚食べて腹を落ちつかせてから、近くのテニスクラブに向かった。ナイターの下で待ち合わせた同僚と乱打を始める。いくつかの理由でラケットを持つのがほぼ1年振りになる男は、最初、流石に感覚がつかめない様で球筋が乱れているが、打っている内に次第に安定してきた。時折鋭いショットも飛び出す。他に二人のクラブ会員がやってきた。営業終了までの1時間程度をダブルスの試合で楽しむ。上手い人とプレーすると弱点が良く判った。意思を持って打球をコントロールすることに、もっと注力する必要を感じる。
9時少し過ぎにテニスクラブを後にして、スポーツジムに向かった。今日から平日の営業時間が11時まで延びる事を憶えている。それでもジムフロア終了まで30分ほどしか無いので、軽く筋トレをするだけにした。その代わり入念にストレッチで体をほぐし、更にサウナで汗を流し、1週間の疲れを解き放ってリラックスする。浴室を出ると軽い脱力感と心地良い気だるさがすっぽりと体を包み込んでいた。自宅に戻ってから飲み干す冷たいビールの美味さを想像すると、自然に頬が緩む。
10月2日(土)晴れ後曇り
目を覚ますと、外はすでに明るい日差しに満ちている。フルーツ入りのシリアルとヨーグルト、トースト、豆乳で朝食にすると、車で30分ほどの距離にあるテニスコートに向かった。秋の爽やかな朝に風を全身で感じながら、うに色のクルマを走らせるのは最高に気持ち良い。コートに着いて、ネットを張るとすぐに練習を始めた。午前中の3時間の内、2時間は練習に費やし、残りの1時間はゲームを楽しむ。滴る汗に自虐的な快楽すら感じる真夏のテニスも悪くないが、秋の爽やかな気候の中でプレイするのは最高だった。
昼にコートを離れ、仲間と一緒に近くのラーメン屋に行く。仲間内ではチャーハンが美味いので有名だが、敢えて餃子とタンメンを頼んでみた。餃子は、大振りでニンニクの風味が効いていて肉の濃厚な旨味も楽しめる逸品で、満足感が高い。タンメンは、麺にはさしたる特徴は無いが、動物系の旨味を良く含んだスープに、野菜がたっぷりと乗っていてボリューム満点で、味も悪くなかった。少し食べ過ぎかと思うほどの満腹感が得られる。
午後は別の公営コートに向かった。テニススクール仲間が午後一面を取ってゲームに興じている。気心が知れていて、レベルも同程度の6名でプレイするテニスは、心底楽しかった。ファーストサービスの確率は悪かったが、デュース有りの6ゲームマッチを数試合闘い、全て勝つのは気分が良い。皆も楽しんだようで、近い内の再会を約して別れた。
暮れなずむ田舎道を走って、スポーツジムに向かう。ウォームアップの必要はないので、筋トレとランニングに汗を流した。iPodでお気に入りの音楽を聴きながらベルトの上を7kmほど走るのは、苦痛ではないが、走り終えると流石に軽い疲労を感じる。ストレッチとサウナと水シャワーで、アフターケアに努めた。ジムを出て見上げる夜闇の空には、不気味に雲が広がり星が見えない。
10月3日(日)雨時々曇り
目覚めて、外を見ると雨が降っているのに軽い驚きを覚える。昨夜のTVの天気予報では昼から雨と言っていた。今日は市民大会の予定が入っているので、小雨が降る中、会場に向かった。同じように中止と延期予定を確認に来た数名と事務局の二人が居るだけで、雨に濡れそぼる公営コートは閑散としていて侘しい。来週に会場を変えて順延される由が記載されたA4の紙が1枚貼ってあり、事務局の男が苦笑いを浮かべてその紙を指差した。
その足でスポーツジムに向かう。開館直後の空いたフロアに降りて、久しぶりにウォームアップのエアロバイクを始め、全てのメニューをこなした。試合が出来なかった残念さと、そぼ降る雨の鬱陶しさを払いのける様に、筋トレとランニングで汗を流す。サウナを出ると、ひとまず爽快な気分になれた。
大手のカー用品店に向かうと、雨の中、多くの人が集まっているが、どこか物悲しい雰囲気が漂う。うに色のクルマのオイルパンを修理させる段取りを付けて帰宅した。自宅に戻ると、冷たいビールと共に遅い昼食を軽めに取り、しばらく午睡を楽しむ。目覚めてから、懸案になっていた灰色の車の温度計をしっかり位置決めして取り付け、これもしばらく点検していなかった、うに色のクルマのタイヤの空気圧を確認し、手押し式の空気ポンプで不足分を充填してやった。
晩飯には久しぶりに少し手を掛けて豚バラ肉の八角煮を作ってみる。とはいえ長時間煮込むのは面倒なので、予め最終的に一口サイズになる様に切り身にし、脂身の方を下にして鍋に並べてこんがりと焼き目をつけた。生姜やニンニクや八角などのスパイスと、醤油、みりん、泡盛を加え、最後に肉がひたひたに浸かるまで水を入れて火にかける。水分がほとんど無くなるまで煮込むと完成した。少し濃い目の味付けになったが構うことはない。酒の肴にぴったりの一品に仕上がった。冷たいビールと良く合って、実に美味い。
10月4日(月)曇り時々雨
酷く帰りが遅くなった。灰色の車を走らせて、ジムに急ぐ。筋トレメニューを半分だけこなして、エアロバイクを30分漕ぐと、もうフロア終了時間にほど近かった。それでもTシャツがずぶ濡れになり、更に床に滴るほど汗をかいて、気分爽快になる。サウナでも10分間過ごして大量に発汗させ、水シャワーで一気に冷やした。程よい疲労感とかなりの空腹感を感じながらジムの外に出る。
自宅に戻って遅い晩飯を取った。今夜はアルコール抜きだから、豆乳がお友達と言ったところになる。キーボードの電源ボタンを押してMacを立ち上げ、メールチェックを済ませると、すぐに布団に潜り込んで目を閉じた。もう薄手の毛布1枚では肌寒い。羽毛布団を被ると、すぐに体温で心地良い温かさになった。そう感じるが早いか、それが合図だったように瞬間的に意識が暗闇に落ちて行く。
10月5日(火)雨時々曇り
南の海上にまた台風が発生して、この国に狙いを定めたかの様に北に向かって進み出す。上空には相変わらず秋雨前線が居座っていて、今日も朝から雨が降っていた。全く鬱陶しいことこの上ない。暗い気分のまま、灰色の車で家を出た。
今日は昨日よりは少し早く仕事場を出られる。急いでジムに入り、ストレッチと筋トレを済ませると、雑誌を読みながらのエアロバイクに汗を流した。もう一度ストレッチで筋肉を良く伸ばしておいてから、サウナと水シャワーで最後を締める。
帰宅が遅い時間になるので空腹だが、たくさん食べられるわけでもなかった。冷たいビールを喉に送り込み、軽い夕食を楽しむ。缶ビールを1缶飲み干した後は、小さな琉球ガラスのグラスに冷蔵庫の日本酒を注ぎ、ゆっくりと味わうことにした。時間を掛けて数杯飲み干すと、意識の一部に霞がかかり、睡魔の近付きを感じる。1度洗ったグラスに氷を1個入れ、泡盛を少し注いだ。少しずつ嘗めるように味わい、喉越しと香りを楽しむ。羽毛布団を被ると、スイッチが切れたように意識が暗転した。
10月6日(水)曇り後晴れ
仕事場を出ると、すっきりと抜けるような青空が、目に眩しい。久しぶりの文句ない快晴だった。大陸からの乾いた高気圧のお陰だろう、透き通った高い、高い、宇宙に繋がっていそうな美しい蒼い空を見上げると吸い込まれそうに気持ち良い。こんな日は1年にそう何回も無いだろうと思われるほどだった。
壁打ちコートに向かう。木立にやんわりと囲まれたコートには、爽やかな秋風が吹いていて、一時間休みなく壁打ちを続けても、ほとんど汗をかかなかった。これはこれで気持ち良いが、運動をした満足感が乏しく、物足りなさを覚えるのは贅沢だろうか。灰色の車にガスを満たしてやるとテニスクラブに向かった。
今夜は早い時間から7名のレッスン生が集まる。ショートラリー、ストレートでのストローク、両方のペアが前に出た平行陣対並行陣でロブが上がった状況からの展開、片側のペアが後ろに下がった形の平行陣対並行陣でドロップを落とされた状況からの展開、サービスの打ちっ放し、サービスからのチャンピオンゲーム、という流れでレッスンが進んで行った。1時間半程走りまわって、やっと少しの汗がシャツににじむ程度の涼しさで、非常に楽に感じる。練習後の空きコートでレッスン生の一人と乱打していると、やっと体が火照るほどに暖まった。
自宅に戻り、晩飯の準備をしながら冷たいビールを飲む。冷蔵庫に転がっていた野菜を使って、茄子と人参とモヤシのピリ辛炒めを作った。作り置きの豚バラ肉八角煮を電子レンジで暖める。皿に山盛りの野菜炒めを平らげながら冷たいビールを飲み、良く煮込まれた豚バラ肉を味わいながら冷たい日本酒を飲んだ。どちらも実に美味い。
10月7日(木)晴れ
秋らしい移動性の高気圧が、まだ上空にとどまっている。目を覚ますと、もう透明なブルーに澄んだ高い空が窓の外に広がっていた。地下駐車場にうずくまっている、うに色のクルマをイグニッションキーの一ひねりで目覚めさせると、早朝の光がきらめく路上に連れ出す。鮮やかなうに色のボディが、秋のどこか控えめな日差しを受けて穏やかに輝いていた。軽快な排気音がどこまでも高い青天井の空に消えて行く。
仕事場を出て、暗い駐車場でうに色のクルマに乗り込んだ。家から持ってきたCDをチェンジャーに放り込み、オーディオのスイッチを入れる。BOSEのスピーカーから三線の音色と共にゆったりとした南の島の音楽が流れ出した。幌を降ろして頭上を開放すると、ゆっくりと発進する。たちまち風が流れ込んできて髪を揺らした。車が多い幹線道路を走り、大手のカー用品店に向かう。クルマを預けて代車のキーを受け取ると、無様に薄らでかい灰色の4ドアセダンに乗り込んだ。エンジンを始動すると、煙草臭い風がエアコンの吹き出し口から顔面に吹き付けてくる。うんざりしながら感触の頼りないステアリングを回して駐車場を出た。
帰り道で2軒のスーパーを回って、特売の卵、モズク酢、中国の香酢、ヨーグルト、パンなどを買い込む。自宅に戻るとTVを適当にザッピングしながら晩飯の準備をした。メインはカツオの土佐造りにして、冷やした日本酒と共に口に運ぶ。冷蔵庫の一升瓶が空になったので、小さな琉球ガラスのグラスに氷を入れ、米焼酎を注いで口元まで満たした。薄いブルーのガラスの中に細かな気泡が閉じ込めてあるグラスは、透明な酒を入れるとより引立つ。しばらく眺めてから口元に運ぶと、特徴の有る香りとふくよかな味わいを楽しんだ。泡盛ほどの主張はないが、豊かに奥深い味で、悪くない。
10月8日(金)曇り後雨
午後から雨が降り出した。仕事場を出て空を見上げると、まだ雨は振り止みそうにも無い。ナイターテニスは諦めて、スポーツジムに向かった。予定通りのトレーニングを終えて自宅に戻る。二泊分の荷物をまとめて家を出た。電車に一駅乗ってターミナル駅に着くと、新幹線の発車時刻までの時間潰しに、駅前の飲み屋に入る。ビールとつまみで40分程時間を潰してから上りの新幹線に乗り込んだ。
眼を覚ますと、もう終点の都心に着いている。ここでまたバスの発車時間まで50分程を潰さないといけないが、もう近くの店はどこも終っていた。しかたなくぶらぶらと歩き回って時間を潰す。やっと到着したバスに乗り込んだ。最後尾の席に座り、シートバックを目一杯倒し、耳栓をして眼を閉じるとたちまち睡魔に意識をさらわれた。
10月9日(土)雨後曇り
夜行バスの最後尾の席は、耳栓をしていてさえ、かなりのノイズが常に聞こえている。ふと目を覚ますと、外はまだ暗く、雨が降っていた。持参の缶ビールを一本飲んで、またすぐに眠る。3回ほど寝たり起きたりを繰り返す内にやっと目的地に着いた。雨は小降りになっている。電車に乗って更に西に向かった。小さな駅で降りると枯れ葉色の桜並木の下を歩いて相棒の家に辿り着く。近くのパン屋で買って来た焼き立ての惣菜パンで朝食を取った。しばらくコーヒーを飲みながら、のんびりと体を休める。
雨が上がったので、ぶらりと近所の図書館まで歩いた。ソファに座って雑誌を読む。日が沈む前に図書館を出て、歩いて数分の浜に行ってみた。ランニングに汗を流す人、釣りをする人、ボール遊びをする人など、思い思いに土曜の午後を過ごしている。水音に誘われて、埋立地に囲まれて入り江の様になっている海をふと見ると、ぼらと思しき魚が、あちこちでしきりに水面に跳ね上がっていた。無数の魚が、遠く、近く、空中に身を投げ出す姿を見ていると、まるで異世界の風景のような異様な感覚に捕われる。しばらく我を忘れて不思議な風景に魅入られた。
暗くなった頃、電車に何駅か乗って隣の市に行ってみる。駅前は少し人種が違う様で柄が悪い感じがした。パチンコ屋や飲食店が並ぶ通りを少し歩くと、目当ての焼き肉屋に着く。安くて美味いと評判の店との触れ込みだが、メニューを見ると確かに安かった。生ビールが250円と言うのが嬉しい。キムチ、ナムル、キャベツ、色々な肉を好きなだけ注文して食べても二人で6000円に収まった。美味い肉に満足して自宅に戻る。シャワーを浴びると布団に転がって眠った。
10月10日(日)曇り時々晴れ
目覚めて、外を見ると曇っているが雨は降っていない。朝食を取り、身支度を整えると近くの駅まで歩いていった。仲間の車が迎えに来る手筈になっている。約束の時間に少し遅れて白い車が到着した。早速乗り込み、出発する。
比較的空いた道を走り、予定より早く1時間程で目的地に着いてしまった。テニスの会場となる保養施設に入って行く。入園料と駐車料金を取られるのが面倒だった。中で他の仲間の到着を待つ。程なく8名の仲間が集まった。レストランで少し早めの昼食を取る。味付けが少し濃いハヤシライスを平らげると、コートに向かった。
午後の5時間を丸々練習に費やす。最初はラダーをコートに敷いてアップから始めた。20分ほど掛けてアップを終えるとやっとラケットを手にする。ミニストロークから始まり、ボレーボレー、ストロークでアップを終え、球出し練習に入った。2面に8名だから休みはほとんど無い。球出し役を交代しながら、たっぷりと練習を重ねていった。遅れて参加した仲間が一人加わり、9名になる。ボールカゴが空になるまで球出しを続け、無くなると球拾いをして、また場所を変えて球出しをしての繰り返しが最後まで続いた。ペアボレーと、サービス練習ではビデオ撮影される。まるでスクールの合宿のような行き届いたシステムだった。夜の飲み会の良い肴が撮れたことだろう。
練習が終わると、敷地内の温浴施設で汗を流す。サウナで汗を搾り出してから上がると、さっぱりとした良い気分になった。3台の車に分乗して宿泊場所に向かう。途中の焼き肉屋に寄って、晩飯にした。二晩続けての焼き肉になる。この店も安い。タン塩やホルモンの他に塩赤センを注文した。この塩赤センが、歯応えも良く、かなり美味い。9名で大量の肉を食らうが、一人3000円程で済んだ。飲まない人、飲めない人が居たのも安くあがった要因の一つだろう。
宿泊場所は仲間の親戚の家だった。広い敷地に大きな家が立っている。居間に9名入っても狭く感じなかった。昼間撮影したビデオを見ながらの反省会が始まる。飲み会よりも、真面目なテニス談義の方がメインになった。それぞれの課題を確認しながら日付が変わる頃に布団に入る。たちまち眠りに落ちた。
10月11日(月)曇り時々晴れ
眠りが充分というわけではないが、目覚めの気分は悪くない。布団を上げ、家の中の片付けを終えると、また車に分乗してコートに向かった。途中の喫茶店で朝食セットを食べる。目玉焼きとサラダとトーストと、コーヒーというありきたりのセットにした。
予定より一時間遅くコートに入る。今日も最初はラダーを使ったアップから始めた。同じようにミニラリーとストロークでアップを終える。そして球出しからの練習が始まった。日差しは強くないが気温は高く、汗が流れ落ちる。昼までの数時間でシャツは汗だくになった。
レストランで思い思いのメニューを注文して昼食に
する。悩んだ末に注文したラーメンライスのラーメンは味が無かった。ライスは美味い。何か別のご飯ものにすれば良かったと後悔した。昼食をとって、少し休憩すると、すぐに午後の練習に入る。
午後は、サービス&リターンを経て、ペアを作って平行陣対雁行陣のダブルス形式の練習を相手を変えながらみっちりと行った。最後はサービスからのダブルス形式の練習になる。結局ポイントを掛けたゲームは行わなかったが、サービスからのゲーム展開の練習を時間を掛けてやったので全く問題なかった。終わる頃には足腰に疲労が溜まっている。しかし、心地良い疲労感なので、むしろ満足感が高かった。二日間練習したコートに夕暮れが訪れる頃、荷物をまとめてコートサイドを離れる。技術的にも肉体的にも充実した合宿になった。
温泉で汗を流し、サウナで汗を絞るとさっぱりと気持が良い。渋滞する道を避けながら港町に出て晩飯にした。九州ラーメンの店に入る。濃厚なとんこつスープに固めの細めんが良く合って美味かった。昼に食べたラーメンとは別の食べ物に思える。サイドメニューの明太子ご飯も実に美味かった。ご飯に辛し明太子、シラス干し、モヤシ、ネギが載せてある。それに生卵を掛けて混ぜて食べるというもので、良い辛子明太子が手に入れば自分でも充分作れるレシピだった。「はりがね」という固さ指定で替え玉すると、流石に腹一杯になる。大いに満足して店を出た。ここで解散となる。車で駅まで送ってもらい、二日間共に過ごした仲間と再会を約して別れた。
電車に乗って夜行バスの発着駅まで移動する。駅で相棒と別れると、バス停に向かった。しばらく待って到着したバスに乗り込むと缶ビールを飲む。また最後尾の席なので耳栓をしてもエンジン音が聞こえるが、疲れと睡魔の方が強かった。すぐに意識が遠くなる。
10月12日(火)雨時々曇り
北関東の街に辿り着くと、案に相違して早朝の空は厚い雲に覆われている。一駅電車に乗って自宅近くに降り立つと、あまつさえ雨が降っていた。天気が回復しているつもりで帰ってきたので余計に落胆が大きい。おまけに傘を相棒の家に置いてきた。小雨が降る中を歩いて自宅に戻る。
二時間程布団で仮眠を取ってから、洗濯機を回して溜まった洗濯物を片付け、埃が溜まった部屋に掃除機を掛けてやった。洗濯物を室内のハンガーに掛けて除湿機を作動させる。軽いブランチを腹に納めると灰色の車で外に出た。
三日振りにスポーツジムに行き、足腰にかなり疲労が溜まっているのも構わず、ウォームアップから始める。筋トレをこなし、最後はランニングで締めた。サウナで汗を絞るが、週末前よりも体重が1kgほど増えている。合宿の練習で消費した以上に飲みかつ食ったのが明らかだった。露天風呂でしばらく湯に浸かってからジムを出る。
長い間、ストリングス張りを頼んでいたスポーショップが経営不振で閉店になると決まった。残念だが仕方がない。最後の張りに出してあったラケットを受け取りに行った。雨の平日の昼間とはいえ、閑散とした店内には人影もない。店を出ると渋滞する街中を抜けて自宅に戻った。
夜はレッスンの振り替えに行くつもりだったが、雨は止まない。諦めて家の中の仕事を片付けることにした。家で過ごす夜は長いようで短い。思ったほど片付かないまま深夜になった。布団に潜り込むと瞬間的に意識が消え去る。
10月13日(水)雨後曇り
仕事場を出ると、雨を降らしそうな黒く重たい雲が空一面に張り付いていた。それでも地平線近くは雲が切れて晴れ間が覗いている。どうやら雲の塊は、この街の周辺に狙いを定めて、覆い被さっているようだった。灰色の車で、まだ明るさの残る空の下、ヘッドライトを点して走り出す。
スポーツジムは、妙に空いていた。ウォームアップのエアロバイクは省略してストレッチから運動を始める。筋トレをメニュー通りこなしてから、iPodのイヤホンを耳にセットすると、ベルトの上を歩き始めた。最初の5分と最後の5分はウォーキングで、それぞれウォーミングアップとクールダウンになる。間の30分は時速13km程度のペースでのランニングがプログラムされていた。走りながらお気に入りの音楽を聴いていると、景色の変わらないベルトの上でも退屈にならない。40分はあっという間に過ぎた。ロッカールームに引き上げると、汗でびしょ濡れになり肌に張り付くTシャツを脱ぎ捨て、浴室に入る。髪と体を洗い流し、軽く水滴を拭き取ってからサウナルームに入った。砂時計で10分汗を搾り出した後、水シャワーで洗い流す。ロッカーで新しい下着に着替えると生まれ変わった様に気分が良かった。
自宅に戻ってから、すぐに歩いて家を出る。電車に乗って街に向かった。仲間と飲み会の約束をしている。店に入るとすでにほとんどのメンバーが集まっていた。生ビールから飲み始める。楽しく語り合う時間は飛ぶように過ぎていった。瞬く間に3時間が通り過ぎ、終電の時間になる。店を出て、少し急ぎ足で歩いていくと、上りの最終電車に間にあった。自宅に戻ってアミノ酸系スポーツドリンクを大目に飲んでから布団に潜り込むと、たちまち意識が暗闇に落ちて行く。
10月14日(木)曇り後雨
今日も雲が多くはっきりしない天気になった。昼のニュースの天気予報では夜は雨になると言う。夕方、事務所のある建屋から外に出ると、既に雨が降り始めていた。小雨が降る中、傘を差さずに駐車場まで歩くが、構うことはない。もとより濡れるような雨ではなかった。灰色の車で夜の闇の中を走り出す。
帰り道で2軒のスーパーを回って、特売の卵、モズク酢、ヨーグルト、納豆、豆乳、豆腐などを買い込んだ。夏以降の台風や秋雨のせいで野菜が値上りしている。自宅に戻るとTVを眺めながら晩飯の支度をした。メインは豚タンとキャベツとモヤシの炒め物にする。モズク酢、豆腐、納豆という定番のメニューも並べた。昨夜は大量に飲んだので、今夜は肝臓を休めてやる。涼しくなってきたので、熱い紅茶を入れた。久しぶりにゆっくりMacの前に座り、いくつかやるべき作業を片付ける。
10月15日(金)曇り時々晴れ
仕事場を出ると、もう大分暗くなっている。ヘッドライトを点けて、急いで家路を辿った。家には寄らずに直接近くのテニスクラブに向かう。ナイターの下には6名のスクール生が集まっていた。ボレーボレーのアップから始めて、球出しでボレーとストロークの練習をし、後半はダブルス練習を多く行う。サービス練習の時に気付いたが、それまで余り使っていなかった左手がかじかんでいるほどの寒さだった。
練習を終えるとテニスクラブを後にして、スポーツジムに向かう。筋トレで体を苛めてからエアロバイク漕ぎでたっぷりと汗を搾り出した。入念にストレッチをしてから、サウナで汗を流す。1週間貯め込んだ疲れやストレスが解き放ったれて充分にリラックス出来た。ジムを出て、家路を辿る。30分ほどのドライブをしながら、心地良い気だるさを満喫した。楽しい週末が始まる感触に、体が包み込まれている。帰って飲む冷たいビールはさぞ美味いに違いなかった。
10月16日(土)曇り後晴れ
目覚めてのんびりとTVニュースを眺めつつ朝食にする。フルーツ入りのシリアルにヨーグルトを掛け、トーストを焼き、豆乳をマグカップに注いだ。シリアルを噛み締めると様々な味が交じり合ってしみじみと味わい深い。身支度を整えると車で30分程離れた市営のテニスコートに向かった。
サークルの仲間が集まって来て練習が始まる。いつも通りの練習の後、タイブレークの勝ち抜き戦を行った。粘りが無く、2試合連続で負けて終わる。相方のサービスの調子が悪いのも上手く行かない原因の一つだった。勿論、相変わらずショットの精度が低いことや、選択の誤りが多いことも原因になっている。もっと、考えてプレーしなくてはならなかった。
午後は他のサークルの練習に参加する。ここでも不調は続いていた。4ゲーム先取の短いゲームで二つ負けて二つ勝ち、成績はやっと5分でしかない。さらに右手首に痛みを感じる様になった。上手く行かない時はこんなものかも知れない。明日の試合を考えるとちょっと絶望的にな気分になった。
ジムに行ってランニングマシンの上を走り、嫌な気分を汗と共に流してしまう。サウナに入って水シャワーを浴びると、少しはましな気分になった。急速に腹が減ってくる。友人に電話を掛けて安くて美味い中華料理屋に案内してもらう約束を取り付けた。急いで自宅に戻り、着替えて電車で街に出て行く。
駅から続く大通りに面したデパートの前で友人と落ち合った。一本路地に入っていくと、古ぼけた中華料理屋が有ったが、そうと知らなければ絶対に入らないだろう。お勧めの豚バラ肉と豚足を注文した。量が多くて食べ応えが有る。豚足は酢味噌が添えられてあり、少し付けて食べると、肉はとろとろと甘く、後味は酢味噌でさっぱりとして美味かった。豚バラ肉もタレに僅かに酢が効かせてあり、脂身のしつこさを上手く消している。餃子もジューシーで美味かった。野菜炒め、チャーハン、レバー炒め、どれを頼んでも美味い。思いがけない名店との出会いになった。
10月17日(日)晴れ
目覚めて、外を見ると雲一つ無い秋晴れの空が広がり、爽快な気分になる。朝食を取り、身支度を整えると、車で30分程の距離に有る県営のコートを目指した。県の秋季ダブルス大会の予選日なので、すでにコートには参加選手が集まり始めている。
試合は2順目だったので、しばらく1順目の試合を見た後、芝生の上でボレーボレーでアップしてからゲームに入った。相手は若い学生の様だが、一人は速いサービスを持っている。トスでサービスを取って試合が始まった。いつもは頼もしい相方のサービスだが、ここのところ調子が悪い。今日もダブルフォルトが出てブレイクから始まった。相手もエースかダブルフォルトかで、ブレイクバックする。キープ、ブレイクで、3ー1と1歩リードするが、相方のサービスが今一つ決まらず、またブレイクされ、相手キープで3ー3と追いつかれた。ここから悪い癖のダブルフォルトが出てサービスをブレイクされると、一気に3ゲーム連取されてしまう。相手のサービスを何とかブレイクして4ー6とするが、ここでまたサービスブレイクされて万事休した。そのまま4ー8で一回戦敗退する。
仲間の試合を応援して、昼食を食べた後、やりきれない思いを発散するために、他のサークルの練習に参加した。夕方まで練習と練習試合を何試合かやって、やっと満足する。
自宅に戻るとそのまま着替えて街に出た。今夜は日本酒をたしなむ会が開催される。いつもと趣向が違って、テーブルの中央に大きな氷入りのボウルが置いてあり、そこに7本の小瓶が入っていた。古酒や貴重な酒が多いらしいが、構うことは無い。鳥の叩き、酢味噌合え、醤油味の煮込みと味噌味の煮込みなどを食らいながら思う存分飲み干した。料理も酒も実に美味い。良い気分になって自宅に戻った。試合の結果は出なかったが、充実した週末の夜が更けて行く。
10月18日(月)晴れ時々曇り
灰色の車のCDチェンジャーに入れた12枚のCDの内、1枚の、その中でも1曲を繰り返し聴きながら、早朝の空いた道路を走る。無論、曲に合わせて一緒に唄っているのは言うまでもなかった。歌詞は、ほぼ頭に入っている。最初にじっくり聞いた時の震えるような感動を、いちいち感じる事はなくなったが、その分感情に流されずに丁寧に唄う事が出来た。キーが高いし、シンプルな割に難しい曲だが、何度唄っても気持が良くなる。通勤の退屈な時間を紛らわすのに、全くもって好都合だった。退屈な日常を楽しみに変えてくれる、うに色のクルマは、工場入りしてから10日以上が過ぎたが、まだ戻って来ない。しばらく灰色の車の日々が続きそうだった。
昨日、一昨日と筋トレを休んでいたので、充分に筋肉が回復したらしい。力が余裕を持って出てくる印象があった。やはり、筋トレを毎日やるよりも、1、2日、間を空けてやる方が効果的だというのは本当だと実感する。筋トレをやらない日は有酸素運動を主に行う事に決めた。珍しくランニングマシンが一杯だったので、エアロバイクを30分漕いで、充分ストレッチしてからジムフロアを後にする。風呂でさっぱりすると、またお気に入りの曲を口ずさみながら暗い田舎道を走って帰った。超大型の台風が不気味に進路を窺うように近付いて来ているが、今はその気配すら感じられない。風も無い穏やかな、しかし冬の訪れを感じさせる冷たさが混じった秋の夜だった。
10月19日(火)曇り後雨
仕事場を出ると、真っ暗な空から雨が降っていた。油断して車から傘を持ってくるのを忘れていたので、ロッカーに常備してある折り畳み傘をさして、駐車場まで歩く。それほど大した雨ではなかった。スポーツジムに行き、着替えてジムフロアに降りる。今夜は昨夜苛めた筋肉が回復するのを待つ為に、ウォームアップとランニングだけにするつもりだった。それでも足の筋肉がやや張っているのを感じる。少し疲労が溜まっているのかも知れなかった。だが、構うことはない。40分走るのが、何時もよりほんの少し苦痛に感じるだけだった。
TVを点けると、ニュースの時間なのに、まだプロ野球の試合をやっている。日本シリーズが盛り上がりを見せているらしかった。球界再編劇が刺激になったのだろう。リーグ一の人気球団が出場していないにも関わらず、観客動員もまずまずのようだった。しかし、見たいのは野球ではない。チャンネルを変えて台風情報を確認した。どうやら明日の直撃は免れそうもない。窓の外では、超大型の台風の接近に刺激されたのだろう秋雨前線が、冷たい雨を降らし続けていた。
10月20日(水)雨
仕事場を出ると、暗い空から雨が降り注いでいた。まだ台風本体の雨雲ではないらしく、小降りだし、風も強くない。灰色の車に乗り込み、ヘッドライトを点して走り出した。カーステレオから流れ出す、透明な悲しみと底にひっそりと横たわる希望に満ちた歌声に合わせて、一緒に口ずさむ。
スポーツジムは、まだ時間が早いせいもあるが、妙に空いていた。昨夜休めた筋肉の動きを確かめる様にストレッチしてから、筋トレをメニュー通りこなしていく。エアロバイクを漕ぎながら、TVで台風による被害状況を確認した。今回の台風そのものが超巨大だったこともあるが、台風の連続上陸による打撃の蓄積がより大きな災害を産んでいるのは明らかだろう。これほどの連続攻撃は記憶になかった。赤道付近にあると言う「台風工場」が地球温暖化によって活性化され、強力な台風を次々に量産するのが原因とすれば、今後もこうした状況が続くことになる。
ジムを出ると明らかに風が強まっていた。今夜予定されていた飲み会は中止になったが、そうでなくても早く帰るに越した事はない。強まりつつある風雨の中を自宅に戻った。冷凍庫の引出しの下の方に何時買ったとも知れない、うなぎの蒲焼が出て来たので、急いで解凍して食べることにする。当然味も落ちているのだろうが、フライパンに酒を熱して蒲焼を焼き直しタレをかけるとふっくらと仕上がり、それなりに食べられた。布団に潜る前にカーテンを開け外を見ると風の音もしないし、雨も小降りになっている。良い兆候ではあるが、少し拍子抜けだった。
10月21日(木)雨後晴れ
台風は、この小さな島国を西から東へと縦断して、特に西方で多くの被害を引き起こしていた。朝のTVニュースで、悲惨な被災状況が映し出される。カーテンを開けて外を覗いてみると、昨夜の内に峠を越えたらしく、雨風は大して強くなかった。今まさに北関東の海岸線を横切って東の海上に抜けて行くところの台風は、今後憑き物が落ちた様に急速に勢力を弱め、温帯低気圧に変わるのだろう。しかし、残していった爪痕は余りに深く、大きかった。灰色の車に乗り込んで、車体を叩く雨音と風音をBGMに走り出す。橋を渡る時に見ると、黄土色の濁流が何時もの3倍ほどの河幅に広がって流れていた。水位は危険なほど高くない。北関東地方は最悪の事態を免れたようだった。
仕事場を出ると、澄んだ夜空に星が瞬き、美しい。帰り道でスーパーに寄って、紅茶のティーバッグ、モズク酢、サンマ、泡盛の一升瓶などを買い込んだ。自宅に戻るとサンマをグリルで焼いて晩飯にする。日本酒の小瓶を開けて、琉球ガラスの小さいグラスに注いで楽しみながら、頭からサンマを食らった。むしろ乗り過ぎと思えるほど脂が乗っていて、2尾を平らげると秋を満喫した気分になる。換気扇を回していても微かに残る焼き魚の匂いを、甘く芳しい薫りの香を焚いて消してやった。琉球ガラスの中身は焼酎に変わり、何時しか訪れた睡魔にそのまま身を委ねる。
10月22日(金)晴れ
仕事を放り出して、外に出る。黄昏時の空を見上げながら駐車場まで歩いた。日没時間が早まって、もう大分暗い。ヘッドライトを点けて、田舎道を走って帰宅した。トーストを腹に収めてから、近くのテニスクラブに向かう。放電灯の白い光の下には4名のスクール生が集まった。練習が終わってから、今日も漫然と何も考えずに過ごしてしまったことに気付く。これでは上手くなる筈もなかった。下手さ加減を嘆く前にやるべき事は非常に多い。
テニスクラブを出ると、スポーツジムに向かった。筋トレで昨日一日休めた体に活を入れてからエアロバイクを漕いで汗を搾り出す。疲れた筋肉を充分にストレッチしてやってから、サウナで汗と共に1週間の疲労を洗い流した。心地良い気だるさに包まれながらジムを出て、家路を辿る。今夜も美味いビールが飲めそうだった。
10月23日(土)晴れ時々曇り
朝、相棒が帰ってきた。フルーツ入りシリアルのヨーグルト掛け、レーズンパンのトースト、コーヒーで朝食にする。身支度を整えると車で30分程離れた市営のテニスコートに向かった。
サークルの仲間が集まって来て何時ものように練習が始まる。最後は4ゲーム先取で練習試合をやって終わった。近くの定食屋で昼飯を食べて解散する。相棒と二人でスポーツジムに行き7kmのランニングとサウナ風呂を楽しんだ。
夜は電車に乗って街に出る。テニス仲間の一人が120kmほど離れた街に転勤になるので、その送別会が開催されることになっていた。ビルの地下にある店に入ると既に主なメンバーが集まって飲み会が始まっている。生ビールで乾杯して仲間に加わった。この店は日本酒を飲む会の主催もしているほどで、美味い地酒や焼酎が取り揃えてあるが、たいてい飲み過ぎで二日酔いになるので、生ビールをお代わりして飲む。つまみの焼き鳥や鳥刺しなど肴も美味かった。楽しい会話が弾み、何時しか時を忘れて飲み、食らい、語り合う。気付いたら終電はとっくに終わっていた。相棒とタクシーを拾って帰宅する。布団に入ると崩れる様に眠りに吸い込まれた。
10月24日(日)晴れ
目覚ましを掛け忘れていたが、自然に目覚めた。気分は、良くない。明らかに寝不足だった。外を見ると気分とは裏腹に、雲一つ無い秋晴れの空が広がっていた。TVを点けると、昨夜起きた大地震のニュース映像が流れる。思わず目を疑うような悲惨な現実が目の当たりになった。大地がうねり、山が崩れ。家屋が倒壊し、道路、水道、ガスなどのライフラインは寸断され、新幹線が脱線している。驚きを隠すことは出来なかった。それでも軽く朝食を取り、身支度を整えると、車で30分程の距離に有るコートを目指す。小さな町の町民シングルス大会の日なので、すでにコートには参加選手が集まり始めていた。
一緒に参加する仲間とアップする。仲間はすぐ試合に入った。少しづつストレッチをして体をほぐしながら、仲間の試合を見る。日向にいるとぽかぽかと暖かく、テニス日和だった。最初2ゲームを先取して、順調かと思ったが、相手が意外に強く、調子を上げてきて逆転され、そのまま負けてしまう。しばらくして、順番が回ってきた。相手はそこそこ良いサーブと普通のストローク力を持っている。飲み過ぎと寝不足で調子が出ず、簡単にストロークをミスしてしまい、最初のサービスゲームを落とすと、たちまち0ー3とリードされた。そこで相手のサービスが乱れてダブルフォルトを連発してくれ、やっと1ゲームを返す。そこから互いに2ゲームづつ取って、3ー5となった。やっと少し体が動くようになり、ストロークの打点が戻ってきたが、時既に遅しで3ー6で破れる。
試合後、修理が終ったうに色のクルマを引き取りに行った。久しぶりに屋根無しの快適ドライブを味わう。バイパス道路沿いに新しく出来た長浜ラーメンの店に寄って昼飯にした。明太子飯は期待外れで、ラーメンは特に良くなく、総じて期待外れ感が大きい。昼飯後はテニスクラブに行って、久しぶりにクラブメンバーとのゲームを楽しむが、1勝3敗と負け越しで終わった。サーブ、ボレー、ストロークと、あらゆるショットが不調で、良いところが少ししか出ない。何の為にテニスをやっているのかを考えさせられるほどの酷い出来だった。日が落ちてコートを出るとジムに向かい、今後の更なる飛躍を目指して筋トレを行う。サウナで汗を流してから自宅に戻った。晩飯は
サンマを2尾焼いて食べる。不満な点も多いが充実
していた週末に終りが訪れた。
10月25日(月)晴れ後曇り
昨日、筋トレをしたので、今日は有酸素運動だけにした。筋肉を休め、十分に回復してからトレーニングをした方が効果的だと言われている。ウォームアップのエアロバイクと、iPodで音楽を聞きながらのランニングでたっぷりと汗を流した。酒を美味く飲む為に運動を続けているようなものだが、それにしても少し酒の量を減らさないと腹回りのだぶついた肉は取れないらしい。体重も、体のシルエットも、運動を始めた半年前と大差なかった。サウナで更にスッキリしてジムを後にする。
一日以上過ぎて、震災の被害の甚大さが更に詳しく判ってきた。だが、どう考えても報道陣を運ぶヘリや車、費用、消費する食料などを被災者救済に回した方が良いし、あまつさえ多数の報道陣の存在自体が救助活動の妨げになっているのは間違いない。過去の震災でもマスコミと行政は上手く機能しなかったが、その教訓は余り活かされていないように見えた。晩飯を終えて布団に潜り込むと、温かい布団に包まり静かに眠れる幸せを感じる間もなく意識が遠のいて行く。
10月26日(火)雨
ゆっくりと目覚めると、外はもう雨だった。TVでニュースを見ながら朝食を取る。家を出ると近くに新しく出来た大きなホームセンターに向かった。巨大な駐車場に車を停め、店内に入る。広々とした店内に工具、資材などから日用品に至るまで種々雑多な物が置いてあった。だが、品揃えは思ったほどでもなさそうで配置も散漫で目当ての物を探し難い。カー用品は特に期待外れの小さいエリアしか割り当てられておらず、貧弱だった。雑貨をいくつか買い込む。うに色のクルマの幌を補修するのに使う接着剤を買うのが主な目的だったが、探すのに手間取り、最後になった。電球形状の蛍光灯が安くなっていたのが、掘り出し物と言える。
幌の折り目に出来た亀裂に、裏からスエード皮のパッチを当て、購入してきた黒色の接着剤で張り付け、穴をふさぐと共に補強した。当て木を介して小型の万力で締め付け、圧着・固定する。完全な接着までは、一晩置いておく必要があった。リアのビニール窓をプラスチッククリーナーで磨くと透明度を取り戻す。しかし、ひび割れが進んでいるので、近い内に交換が必要だった。作業を終え、昼食を取ると、スポーツジムに向かう。
雨の午後のジムフロアは、むしろ寂しさを感じるほど空いていた。ウォームアップ、筋トレ、ランニングと、久しぶりにフルコースのメニューをこなす。たっぷりと汗をかいた後に、更にサウナで汗を搾り出すのは、快楽と言っても良かった。自宅に戻る途中でスポーツドリンクの大きなペットボトルと豆腐を買い込む。
豚バラ肉と玉ねぎと豆腐で肉豆腐を作った。肉を炒める際にニンニクと生姜を加え、豚肉に軽く火が通ったら玉ねぎも入れて一緒に炒める。醤油、味醂、泡盛、水を適量加えて煮込む際に豆腐を入れた。ニンニクと泡盛と八角少々を使うことで、角煮風の味付けにする。熱々の料理が美味く感じる季節になってきた。泡盛のロックで口中を冷やしながら、熱い肉豆腐を平らげる。震災の被災地では冷たい雨が降り続いている様だった。避難所や車の中やテントでの生活を強いられる老人から死者が出始めている。これは行政による人災に他ならなかった。
10月27日(水)晴れ後曇り
仕事場を出ると、空は雲に覆われて暗い。しかし、雨を降らせるような雲ではなかった。壁打ちコートに向かう。誰も居ないコートで久しぶりの壁打ちを始めた。しばらくしてジュニアの子を連れたコーチが来て、指導しながら壁打ちをさせ始める。1時間経たない内に暗くなり、ボールが見え辛くなったので、コートを離れた。もうすぐ、壁打ちが出来なくなる季節がやってくる。だが今年からは、壁打ちが出来なくてもジムで運動出来るので暇つぶしには困らない筈だった。
ナイター照明に照らされたコートに入る。もう薄手のウォームアップでは肌寒いほどだった。ランニングとストレッチで充分に体を温める。今後はこれを怠ると怪我をしそうだった。5名のスクール生が集まり、何時ものように練習が始まる。ストロークは少しづつ良くなっているが、サービスとボレーは、まだまだとても納得出来るものではなかった。1時間半のレッスンが終わった後、一人コートに残り、サービスの練習を続ける。力が抜けずに体が前に折れる癖がなかなか直らなかった。何度も繰り返し練習している内に少しづつ感覚が戻ってくる。まだまだ先は長いようだった。
10月28日(木)晴れ
朝、駐車場に降りて行くと、灰色の車のフロントガラスに付いた水滴が凍っていた。この時期で凍結が始まるのは異例のことだろう。しかし、まだそれほど凍結は酷くなく、プラスチックのスクレーパーで軽く擦ると綺麗に剥がれ落ちた。ヒーターを効かせながら走り出す。正面に地平線上に出て来たばかりの赤く丸い太陽が見えた。レイバンの大振りのサングラスをかけて視界を確保する。まだ車が少ない田舎道を走っていった。
仕事場を出ると、冴え冴えと輝く月が、澄んだ夜空にくっきりと浮かんで見える。帰り道でスーパーに寄って、朝食用のシリアル、ヨーグルト、豚肉、カツオの刺身、モズク酢などを買い込んだ。自宅に戻ると、エノキと豆腐の煮物、カツオの刺身をメインの晩飯を準備する。氷を落とした琉球ガラスの小さいグラスに泡盛を少しづつ注いで味と香りを楽しみながら、刺身や煮物を平らげた。晩飯を食べ終り、食器を片付けると、もう残された夜は儚くも短い。
10月29日(金)晴れ後曇り
仕事を適当に投げ出して、事務所の外に出る。夕闇が迫る薄暗い空を見上げた。随分と日没時間が早まったことが実感出来る。物寂しい晩秋の黄昏時だった。ヘッドライトを点けた灰色の車で、田舎道を走る。カレーパンとトーストで小腹を満たしてから、車で5分程度で行けるテニスクラブに向かった。今夜は男ばかり3名のスクール生が集まる。久しぶりにハードな練習になりそうだった。積極的に詰めて行くと決められるのだが、少しでも引いてしまうと上手く行かない。最近、筋トレをしている効果が出てきたのか、ストロークが少し飛び過ぎるように思えた。元々、ポリのストリングスで飛びを抑えているので、飛びを抑えるにはテンション上げるしかないが、今以上に上げると、肘に負担が掛かる。従って、ストリングスの調節で飛びを抑えるのは難しい。もう少しフェースが小さく、振り抜きと取り回しが良く、パワーを抑え目のラケットが欲しくなった。
練習を終えると、急いでスポーツジムに向かう。マシンを使い、筋肉肥大化を目指して負荷を掛けていった。昨日、一昨日と休めた筋肉は復活を遂げている。但し、見せる体造りでは無いので、スピードも重視してマシンに取り組んだ。筋トレの後は、エアロバイクに跨り、TVで「ローマの休日」を見ながら毎分80回転前後でペダルを漕ぐ。吹き替えの声が、今一つイメージと合わないが、30分で気持良く汗を搾り出せた。クエン酸入りスポーツドリンクで乳酸対策をし、疲れた筋肉を充分にストレッチでほぐしてから、サウナで汗を洗い流す。サウナ内のTVでは、被災地の人が一番望む物が「風呂」だ、と報じていた。さぞかし辛かろう、と思いながらも、帰宅してから飲む美味いビールに心が奪われる。
10月30日(土)曇り後雨
朝、車で1時間ほど離れた小さな町のテニスコートを目指して出発する。曇っているお陰か、冷え込みは緩まっていた。天気予報を見る限り、午前中は何とか雨が降り出さないだろう。コートに入って練習を始めると、珍しく続々と人が集まって来て、最終的には15名ほどにも膨れ上がった。基本練習を終えると4ゲーム先取で練習試合を行って、締めにする。昼少し前に雨が降り出した。12時を少し回ると雨が本降りになってくる。コートを引き上げて車に戻った。
皆で近くのレストランに移動して、来週行われる大会で、参加者に配布するドロー表を綴じる作業と、抽選券をポケットティッシュに詰める作業を片付ける。12名ほどのメンバーで流れ作業でやっても、30分以上掛かった。作業を終え、メインがポークソテー・デミグラスソースがけと白身魚のフライ・タルタルソースがけの、ボリュームの有る昼食を食べてから解散した。
スポーツジムに行き、10分間のエアロバイクと、7kmのランニングで、早速昼に摂ったカロリーを消費し、ストレッチとサウナで疲れを癒す。外に出ると、もう秋の短い日は暮れ、とっぷりと夕闇が辺りを支配し尽くしていた。自宅に戻り、豚肉と豆腐とエノキを出汁と醤油と味醂と酒で炊いて煮物を作り、晩飯にする。冷たいビールを喉を鳴らして飲み干した。煮物は彩りが寂しいが、構うことは無い。ほのかな甘味が体に優しい一品になっていた。黒酢と卸し生姜をたっぷり入れたモズク酢でミネラルとクエン酸補充も忘れない。充実した週末の一日が終わった。布団に入るとたちまち睡魔がやってきて意識を掻っ攫って闇の向こうに連れていく。
10月31日(日)雨後曇り後晴れ
アラーム音で闇の中から生還すると、丁度、雨が上がったばかりだった。冬の支度とばかりにベランダに置いてあった灯油のポリタンクの掃除をし、ついでに台風で散らかったベランダも片付ける。予定通り、電車に乗って街に出た。コンタクトレンズ屋に行き、カーブと度を調節してもらう。
駅に戻って、駅ビルの一階に降りた。行列が出来ている有名餃子店の前を通り過ぎて、まだ客が一人も入っていない餃子店に入る。こちらの方が一皿の値段は少し高いが、味は遥かに好みに合っていた。万能ネギが上を覆い尽くす様にたっぷり掛かり、一味唐辛子と味噌ダレで食べる特製餃子と、ラー油が効いた辛口味噌スープ餃子を注文する。これは、どちらも病み付きになる美味さだった。ボリュームがあるので満足感も大きい。店を出て自宅に戻る頃には、雲が晴れて青空が覗くようになっていた。
着替えて身支度を整えると、近くのテニスクラブに向かう。軽くアップをしてからクラブメンバーとのゲームを楽しんだ。サービスで無理せず、体の軸を立てることを意識して打つと、威力は少ないがミスも少なくなる。それでも一試合に何度かダブルフォルトを出して、自分で自分を追い込んでしまった。ボレー、ストローク共に、まずまずの出来で、珍しく全勝で終わる。対戦相手やペアの兼合いが有るとはいえ、悪くない気分だった。ダンロップの黄色いラケットを試打で使ったのだが、ミッドプラスのフェースと、適度な重さで、振り抜きが良く、飛び過ぎず、悪くない。このぐらいのフェースサイズとパワーで、打球感の良いフォルクルのラケットがあれば、最高だった。買い替えに少し心が動く。
日が落ちてからも暫くナイターでゲームを楽しんでから急いでジムに向かった。最終受付の時間を5分ほど過ぎていたが、何とか入れてもらう。昨日、一日休ませた筋肉をマシンで鍛えて、筋力アップと肥大化を図った。サウナで汗を絞ると、肘や腿など一部に溜まっていた疲労が薄れて全身が心地良く、気だるい感じになる。自宅に戻り、豚肉とキャベツと玉ネギの中華風炒めを作って、晩飯にした。少し焦がしたニンニクが香ばしくて実に美味い。冷たいビールと良く合って、思わず2缶目のプルトップを引く羽目になった。