2004年4月18日(日)
――アバレンジャーファイナルツアー・大阪 (最終日・最終回)
のときめき語り
第1回:(4月21日UP) 脚本と装置
シテ方・田中幸太朗夢幻能風 歌舞伎鼈仕立て (してかたたなかこうたろうむげんのうふう かぶきすっぽんじたて)
いきなしフランス料理のメニュー風に始めてしまいましたが(^_^;
リポートの第1弾はファイナルライブ第一部のアバレンジャー&デカレンジャーショーを見て、思いっきりびっくり!!した(^o^;)という話から始めましょうか、ということで。。。
物語は、暗く青白い薄明かりの中に響くトップゲイラーの鳴き声から始まりました。
ぼうっと浮かび上がるのは、もちろん仲代壬琴の姿。舞台中央にある「セリ」を使って上がってきて、胸に手を当てたうつむき顔ではじめる「語り」は……。
「まさか、オレのこと、死んだなんて思っていないよな? オレは不死身だ・・・」
そうして彼が奥へ消えて、物語がスタートします。
中盤に現れるのは、人間の誇りを取り戻し「星になった」彼とは思えぬ、悪事を尽くすアバレキラー。
しかしそれは「怨念をこの世に復活させるアリエナイザー」の見せたニセモノでした。デカレンジャーたちと協力し、そして何よりも心強い「本物の壬琴」とともに闘うことで、アバレンジャーたちが勝利を納めます。
ですが、すべてが終わって舞台が暗くなると、また冒頭と同じ青白い明かりの中にうつむき顔の壬琴が現れて、胸に手を当てた姿で語ります。
「オレは・・・お前たちアバレンジャーとともに闘えたことが、最高のときめきだった・・・」
音もなく去ってゆく壬琴。やがて舞台が明るくなり、凌駕、幸人、らんる、そしてアスカが現れますが、そこに壬琴はいません。
「仲代先生は・・・?」
「あれは幻だったのか?」
――やっぱり彼は死んでるんだ…と、壬琴の独白に熱く涙した私ですが、一方で思っていたこと、それは・・・
しかしコレって思いっきり!「夢幻能」じゃんッ(^o^;)
「夢幻能」というのは、能の脚本の形式の一つなんですが、要は「死者」が現れて「ものがたり」をし、夢まぼろしの幽玄の舞いを見せ、最後は夜が明けておわり、というパターンなんですね(^_^;
まるっきり↑と同じでしょ?
舞い「=アクション」を繰り広げたあとに主役「=死者」が最後に自分の正体を明かし、去ってゆき、そして明るくなるという、ラストの展開がもうそのまんま!です。さらに、はじめは生きてる者として語っていたのが一転、最後には死者としての思いの丈を晒してしまうところまで、もうニクいほどそのまんま!ではありませんか。
――そして舞台中央の「セリ」を使って登場したのが壬琴だけというのもまた・・・
コレって思いっきり!「『すっぽん』じゃんッ(^o^;)//」
「すっぽん」というのは、歌舞伎の舞台で、客席の間を通って舞台まで伸びるいわゆる「花道(はなみち)」の途中にある「セリ」の名前でして、実は歌舞伎では、ここから挙がってくる「キャラ」は「=人間じゃない」という決まりがあります。つまり、幽霊、妖怪、狐などを演じる役者さんだけがこの「すっぽん」を使って上がってくるのです。大阪厚生年金会館にはさすがに花道はありませんから、舞台中央のセリを代用したのでしょう。このセリから上がってきたのが壬琴だけというところからも、充分にすっぽんを意識しているのが分かります。セリは地下「=奈落(ならく)」から上がってくるもの・・・舞台用語で舞台の板の下を「奈落」というそうですが、もちろんここに本来の意味「=冥界」をひっかけているのは明らかで、つまり下から上がってくることで、壬琴が死者であることを表している仕掛けなんですね。
他の会場にもセリがあったのかは気になるところですけど(^_^;
だがしかし、いやまさか(^o^;)、新幹線を使ってまでアバレンジャーショーを見に行って、見たものが能と歌舞伎のエッセンスだったというのがオドロキです。
5人の名乗りというのがそもそも歌舞伎の「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」ですからねえ。見得も切れば名乗りもある、という意味で戦隊ヒーローは歌舞伎の正統なる末裔ですが、しかしそこに能まで放りこんできましたか。さすがファイナルライブ!
しかも演じる田中さんがまた、コワイくらいに幽玄で・・・! 最後の独白がもう本当に、死者が冥府へ戻る前の、最後の思いの丈で・・・!
日本の舞台芸能600年の歴史をちゃんと背負って、その先端にきりりと立ち上がる姿を見れば・・・そりゃあ泣きますよ(T_T)
私にこういうことを教えてくださった大学時代の恩師が1月に亡くなったんですが、彼にこの舞台を見てもらいたかったと、つくづく思いました。
田中さん、そして舞台を創ったすべての方々に、ありがとう。。。
もう、こうして思い返すだけで泣けてきちゃいます(^_^;
ということで第1回『脚本と装置』編、ここまでです。以降はまた近日。
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