|
日本経済復興の頼みの綱がデジタル家電。デジカメ、薄型大画面テレビ(液晶とプラズマディスプレイ)と並んでその一翼を担うのが、HDD(DVD)レコーダーです。四半世紀に及ぶテープ録画の歴史に終止符を打つ新技術が、遂に我が家にも登場しました。購入にいたるまでの経過から話を進めたいと思います。
|
| ベータマックスとレーザーディスク |
|---|
|
家庭用のVTR(ビデオ・テープ・レコーダー)が、ソニーから発売されたのが1975年5月10日。高画質と小さなカセットが自慢のベータマックス方式で、受信機は内蔵せず専用のテレビと接続して使用するものでした(参照「
Sony Japan|商品・技術開発の歩み
」参照)。一方、日本ビクターからは、翌1976年9月に現在のビデオデッキのようにチャンネル(もちろん当時はダイヤル式)を備えたタイプが登場。こちらは、より構造が簡単で低コストなVHS方式でした(参照「
日本ビクター株式会社の歴史
」)。ここから「ベータ対VHS」の対決に、消費者が巻き込まれていくことになります。夫が電気店で販売員のアルバイトをしていた1980年代初めは、ビデオデッキの販売価格が20万円を切り、長時間録画や新機能が追加されて、爆発的に売れていました。ソニーのビデオも随分売りましたが、買われた方はその後レンタルビデオなどで不自由されたでしょうね。結局、天下を二分した戦いも、最後はソニーの孤軍奮闘の末、遂に2002年にベータマックスの生産終了宣言で幕となりました(参照「
ソニーベータマックスVTRをご愛用のお客様へ
」)。
夫も録画時間よりも高画質に惹かれてソニーのビデオを買ったものの、時代は既にVHSが市場で優位に立っていて、「健全な映像社会生活」を送るためには、後でビクターのデッキを買い足すことになりました。しかし、昔のお宝テレビ番組や私たち夫婦の結婚披露宴のビデオはベータマックスで録画されていて、いつかソニーのビデオデッキが動かなくなってしまうと永遠に再生不能(!ちょっと大袈裟)です。まあ、銀婚式に披露宴のビデオを見返すとも思いませんが、見られなくなってしまうと思うと、それも惜しいものです。 |
|
さて、映像の分野では放送番組の録画が目的のためテープが先行した形ですが、あらかじめ映画などのタイトルを記録しておき販売・レンタルするための「ビデオディスク」が、1978年に日本ビクターから「VHD」が発売されました(参照「
フリー百科事典ウィキペディア『VHD』
」)。その後、1980年には「絵の出るレコード」というキャッチフレーズでパイオニアが「レーザーディスク(LD)」を発売(参照「
パイオニアの伝統
」)、再び消費者は2つの再生方式の間で選択を迫られることになりました。しかし、LDはVHDより画像が美しかったこと、家庭でお持ちの方は少ないでしょうがカラオケ機が大ヒット(レーザーカラオケ)したこと、1982年に音楽CD(コンパクトディスク)が発売されると、同じレーザー方式のLDは共通再生機の開発が可能だったことなどから、VHDは急速に市場から姿を消して行きました。
1996年にDVDが新たな映像ソフトの再生規格として製品化されると、LDも店頭で見かけることはなくなりました。直径30cmのLDよりも12cmのDVDの方が取り扱いが楽で、同じ店舗でも多くのタイトルを展示できますからね。しかし、アナログレコードを珍重するオーディオマニアがいるように、アナログ方式のLDの画質を愛する熱狂的なファンもいるそうです。「そろそろLDもベータマックスと同じ運命か」という思いは、パイオニアが否定していますが(参照「 レーザーディスク(LD)をご愛用のお客様へ 」)、この先どうなるかは判りません。我が家のLDプレーヤーも前回の修理の時にヘッド交換で2万円かかりましたから、元気なうちに所有しているタイトルのうちDVDで再販が見込まれないものは何とかしなければなりません。
|
| VHSが不調? |
|---|
|
先日VHSのビデオを再生中、画面に帯状のノイズが現れるようになりました。もっぱら、ビデオを使っているのは妻で、ドラマや教養番組をとりためては見ています。結局、同じテープを何度も繰り返し使っていたのがいけなかったようで、ヘッドをクリーニングしたところ症状は改善しました。しかし、そのとき感じたのは、このままVHSのデッキが故障してしまうと、保存しておきたいテープを再生するには修理するか買い換えなければならないことです。それまでは「今のビデオデッキが壊れたら買い換えればいいかな」と考えていたものの、急に対策を講じる気持ちになってきました。
|
| 保存方法 |
|
ビデオテープなどの古い映像メディアを保存する方法としては、パソコンに画像データとして読み込み、DVDに書き込んで保存する方法があります。そのためには、キャプチャカードやDVDライティングドライブの投資が必要になります。また、別の場所にあるビデオデッキとパソコンを接続する手間や、パソコンの操作を考えると、ちょと躊躇せざるをえませんでした。そこで考えられるのは、最近価格も手頃になり将来的にも録画機として利用できる、HDDレコーダーを購入することです。
|
| HDDレコーダー購入 |
|
最近は家電製品を購入する時も、以前ほどは選ぶことに時間をかけなくなりました。それだけ、各社の製品が製品も機能も均一化してきて、どれを選んでもハズレが少ないので、逆に満足して使えるようです。HDDレコーダーについては、職場で購入する人が増え、いつ買うかが問題になっていました。最新のデジタル機器については、待てば待つほど低価格で高性能のものが登場して、先に購入した人が悔しい思いをしますが、カメラやビデオについては早く購入するほど多くの記録を最新の方式で残すことができます。
昨年末から、HDDレコーダーの機種や価格の動向については店頭で確認してきました。今回、 ヨドバシカメラ横浜店 を訪れたところ中級機が59,800円ということで、そろそろ購入してもいい頃かもしれません。家電製品は「59,800円(ゴッキュッパ)」を切ると爆発的に普及します。我が家も例外ではなく、そんな機種の中から選びました。 機能的に考えたのは、デジタル放送への対応です。BSデジタル放送は既に始まり、首都圏では地上波デジタル放送のサービスエリアも拡大していきます。横浜でも一部で今年末から放送が始まります(参照「 社団法人地上デジタル放送推進協会 」)。これらのデジタル放送のハイビジョン番組を、そのままの画質で録画再生する(高密度な情報量を高速で読み書きする)には現在のDVDの性能では不十分で、次世代の記録方式であるブルーレイディスク(BD)が必要です(参照「 フリー百科事典ウィキペディア『Blu-ray Disc』 」)。しかし、現在のところBD装置を内蔵した録画機は30万円弱と、まだまだ高価。テレビ自体がハイビジョン画面ではないので、テレビごと買い換えないとありがたみがなく、さらに高額な買い物になってしまいます。 一方、従来のアナログ放送を録画するビデオの代替機として考えれば、HDD容量160GB、通常録画モードでHDD録画可能時間最長約204時間という性能は十分です。 その他、番組表受信機能とそれを利用した録画予約の簡易化が、HDDレコーダーの機能のひとつなのですが、この機能を備えた機種にはなぜかアナログBSチュ−ナーが付いていません。番組表受信機能とBSチュ−ナーを秤に掛けるという理不尽な選択になりましたが、「冬ソナ」ファンの妻としてはBSの海外ドラマは欠かせませんし、外部チュ−ナーとビデオを接続して連携させるのは、留守録画などでは不便なものです。予約に関しては、慣れ親しんだGコード予約の機能が備わっていればよいこともあり、番組表受信機能よりBSチュ−ナーを優先しました。
|
| 機種選定 |
|
というわけで、今回購入したのは「
パイオニアDVR-610H-S
」(59,800円)で、カタログによる事前の比較は行わず、販売店の店頭で機種を決めました。店員の説明によれば、(1)前面に装備したIEEE1394(i.Link)DV端子でデジタルビデオからの入力やパソコンへの出力が可能(2)DVD-R/RWからHDDへのコピーが可能(3)録画済番組の一覧が動画表示できる、ということがこの機種の特徴だそうです。といっても、DVR-610H-Sは購入時には既に上級機に販売主力を譲ろうとしていて、現在はカタログ落ちしてしまってますから、こうした特徴は他の機種でも備えていることでしょう。
実際のところ、(1)についてはデジタルビデオを持っていないので(お子さんがいる家庭には普及しているのでしょうが)ありがたみが判りません。(2)については、出来てあたりまえだと思っていたのですが、一部の機種にはDVD-RAMからでないとHDDへのダビングが出来ないものがある(あった)ようですね。(3)については、後述。
|
| 機能の紹介 |
|---|
| 設置 |
|
我が家は薄型テレビではないのですが、それでもテレビの上にビデオなどを置くスペースは限られていて、DVR-610H-Sは微妙なバランスを保って乗っかっています。HDDを内蔵した製品ですから、床に落下したら故障は免れません。台を揺すってみた感じでは、ある程度の地震には耐えられそうです。
接続は、ビデオデッキと変わりないので、簡単にできます。ただし、RF出力(アンテナ線でテレビへ出力信号を送る)は備えていないので、外部(ビデオ)入力機能があるテレビでないと接続できません。
|
| 録画 |
|
あたりまえですが、録画する前にテープを準備する必要がないというのが、新鮮です。予約録画で、番組の途中でテープが終わってしまったという失敗もありません。DVR-610H-Sでは、32番組予約できますから長期の旅行でも安心です...って、実際そんなに多くの番組を留守録画することはありませんけどね。昔は、留守中にビデオテープを交換するアクセサリーが発売されたこともありました。そうした先人たちの苦労を考えると、隔世の感があります。
使って初めて気づいたのですが、「予約録画(スタンバイ)」状態にする必要はありません。電源オフの状態から予約録画が始まりますし、録画済の番組を再生中でも、警告サインが表示された上で録画が始まります。テープを使う録画機との違いを感じます。 ビデオテープからのダビングも、外部入力を選択してからビデオデッキを再生し、録画をスタートさせるだけです。1番組をDVD1枚に収録するようにする場合は、録画モードを選択(32段階)して録画データのサイズを調節します(もちろんデータサイズを小さくすれば画質音質が落ちます)。基本設定はDVD1枚で2時間録画できるモードになっていますが、通常テレビ画面で再生する場合はこのモードで充分です。画質音質をさらに重視する場合は、DVD1枚で1時間の録画モードにします。 商品として購入したビデオテープには、コピー禁止信号が入っているものがあるので、録画しようとすると「録画禁止の画像がありました」の表示が出て停止してしまいます。
|
| ダビング |
|
HDDからDVDへのダビングは、ダビングしたい番組を再生中にリモコンのボタンを押すだけです。ファイナライズを行うと、他のDVDプレーヤーでも見られるようになります。
|
| 再生 |
|
録画済の番組を再生停止後、再び停止したところから再生する場合は、再生ボタンを押すだけです。複数の録画済の番組から選んで再生するには、一覧表示を利用します。ここでは、録画開始時の最初の画面と録画時刻、録画時間、放送チャンネルなどが、一度に6つずつ"アイコン"のように表示されます。この状態で、"アイコン"に"リモコンカーソル"を移動すると、そのまま確認のための再生が始まります。これが、前記の特徴(3)で内用確認に役立ちます。
|
| 編集 |
|
録画済の番組には、タイトルを入力したり、チャプター(切れ目)を打ち込んだり出来ます。このタイトル入力は、画面に表示される50音表から選択し漢字変換していくものなので、数文字のタイトルを入力するのも一苦労。また同じ番組名をコピーするといったこともできません。本来、番組表受信機能があれば、テレビ番組を録画した場合は自動的に番組のタイトルが設定されるはずなので、特徴(3)の価値も低くなるかもしれません。
|
| 使ってみた感想 |
| 録画と編集 |
|
録画操作は、ビデオデッキと変わりなく違和感はありません。Gコード予約を利用すれば、これまでのビデオデッキ同様、簡単に予約録画できます。そして、何といってもテープの内容や録画開始位置を確認する必要がないことが楽です。それに、連続ドラマや毎週放送の教養番組は、録りためてからDVDにまとめてダビングしておけます。また、ダビングによる画質の劣化もありません。
|
| たくさん録ると |
|
などと言いつつ、次々と録画していったら、アッというまに番組数が50以上になってしまいました。ビデオテープなら、録画可能時間は長時間モードでも1本6時間で、新しい番組を録画すれば前に録画した内容は上書きされて消えてしまいます。しかし、DVDレコーダー(DVR-610H-S)では消去操作をしない限り、204時間分(99番組)まで録画できますので、録ってからの整理が必要になります。録画済内容の一覧表示は、1画面に6番組ずつしか表示されないので、番組数が増えると画面を切り替えながら見たい番組を探さなければなりません。
|
| 2ヶ国語放送 |
|
HDDには2ヶ国語放送を録画できない! いえ、番組の映像と音声は記録できますが、日本語か外国語かのどちらか一方しか記録できないため、再生する時に選ぶことはできません。これは、使ってみるまで知りませんでした。DVDには2ヶ国語録画できるため、後で副音声を再生したい場合は、DVDをセットした上に録画先をDVDに変更しなければなりません。英会話の練習のために、海外ニュースを録画して原語で聞くこともあるので、これは不便です。
加えて、我が家のテレビはBSなしモノラル仕様なので、衛星放送や2ヶ国語放送を見るだけでも、DVR-610H-Sのチューナーを使用します。ところが、外部出力の音声多重切替も録画先の影響を受ける設計のため、副音声を聞くために「DVDボタン」を押すという、変な操作が必要になります。
というわけで、細かい点を除けば、DVR-610H-Sは満足のいく内容です。しかし、2011年7月25日以降はアナログ放送が廃止されてしまうため、DVR-610H-Sの内臓チューナーでは録画ができなくなり、事実上テレビ番組録画用のデッキとしての役目を終えます。その]デーまで、あと6年半余り。精一杯、活躍してもらいましょう。 |
|
|