(『情報の科学と技術』 47巻6号、(社)情報科学技術協会1997年6月)
例えば、それは、インターネット上のニュースグループやメーリングリストを
通じて形成されるユーザーグループや、Nifty-ServeやPC-VAN等の商用BBSの中
の様々なフォーラムやSIGなどである。
この1、2年の急速なインターネットの普及は、「インターネットブーム」と
いうべき様相を呈しており、WWW(World Wide Web)上のホームページにアクセ
スして様々な情報を収集したり、個人が自分でホームページをつくって各自の関
心ある事柄についての情報を掲載したり、企業や官庁が広報手段としてホームペ
ージを利用するといった、インターネットの看板的・掲示板的利用やデータベー
ス的利用の仕方が、現在、主流となりつつある。
また、ホームページと電子メールの併用にも見られるように、コンピューター
・ネットワーク上のツールの融合が最近進んできており、情報がより多様で柔軟
な形でやり取りされるようになってきている。
例えば、2、3年前からBBSのインターネット接続によって、両者の間でメール
のやり取りが可能になった。また、阪神・淡路大震災の救援活動支援の目的で始
まったInterVnet(inter volunteer network)の取り組みは、インターネット上の
ニュースグループとBBS上の電子会議室の間で情報の相互流通を可能にし、ま
た、このシステムへは電子メールでも投稿できるため、メールとニュースグルー
プ、電子会議室が融合したシステムとなった。
さらに、東京の長期計画策定のための懇談会「生活都市東京を考える会」では
、このInterVnetのシステムをWWW上のホームページに連結し、ホームページ上
からも読み書きができるようになり、ニュースグループ、電子会議室、電子メー
ル、ホームページが融合したシステムになっている1)。
このことは、どのようなネットワーク環境でも、技術的には誰もが相互に情報
のやりとりができるようになったことを示している(注1)。
このように利便性の高いシステムは、今後、技術開発・改良によって信頼性の
高いものとなり、より多様で柔軟な形でより多くの人々が情報のやりとりをでき
るようなると考えられるが、そうした方向での技術の発達は、結局は、電子メー
ルのマルチメディア化として、つまり、電子メールの双方向的な情報伝達機能を
より強化する方向に進んで行くと考えることができるであろう。
しかし、こうしたインターネットの利用の仕方は、基本的に単数の送り手から
不特定多数の受け手を前提としたマスメディア的な利用方法であって、たとえ、
「このホームページの内容についてご意見・ご感想をメールで以下のアドレスま
でお送り下さい」というように、ホームページと電子メールの併用を行ったとし
ても、ホームページの作成者の側でメールへの対応が十分にできない場合は、情
報の流れが、ホームページ作成者からホームページウォッチャーへという一方向
的なものに偏ってしまうことになり、「誰もが、情報の送り手にも受け手にもな
りうる」というインターネットの長所である情報の流れの双方向性を十分に活か
せないことになる。
また、現在、ホームページで情報発信する際に画像が多用される傾向があり、
そうなると回線を通る情報量が増え、ネットワークに大きな負荷をかけることに
なって、一度に多くのユーザーが特定のホームページにアクセスしようとすると
、そのホームページへのアクセスが困難となる。
さらに、ホームページをひとたび立ち上げると、そこに情報をより多く掲載し
ようとすればするほど、また、より頻繁に更新しようとすればするほど、そのた
めに必要な労力がより大きくなって行き、そうした労力が調達できず情報が更新
されなくなると、情報がどんどん古くなり、情報伝達の機能を果たさなくなる。
そうなると、特に、災害時のように刻々と移り変わる状況で救援活動のための
迅速な情報伝達が要求されるときには、古くなった情報は誤った状況認識をもた
らし、救援活動の妨げにさえなる場合もある。
したがって、ホームページがインターネット利用の主流になりつつある現状で
も、文字ベースであるために情報量が比較的少なくて回線に負荷をかけず、迅速
にユーザー相互の情報のやり取りが可能な電子メールの有効性を見直す必要があ
るだろう。
そこで、以下では、こうした双方向性をもつ電子メール、特に複数のユーザー
の間で迅速な情報のやり取りを可能にするメーリングリストの特徴について考察
してみることにする。
1.2 地理的・時間的制約や所属組織・居住地域を超えた個人間のコミュニケ
ーション・ツールとしての電子メール
しかし、電子メールは、回線状態が安定しているときには、瞬時に送り手から
受け手に届くが、しかし、その半面、「いつでも、どこでも」読めるという気楽
さから、送り手がすぐに読んで欲しいときに、受け手がなかなか読んでくれない
という情報伝達の遅滞が生じる。
ところで、企業組織で電子メールを使用する場合、部門や職位の境界を超えて
、社員間のコミュニケーションが可能となる。そうなると、個々の社員の思考・
行動と既存の組織の慣例や行動・思考様式とが衝突し、それらを変え組織全体を
変容させる可能性をもつことが考えられる。
日本では、1990年代に入ってから、さまざまな企業が企業内パソコン通信
ネットワークを導入するようになったが、その結果、パソコン通信ネットワーク
が普及した組織では、従来からある人間関係をもとにする集団とは異なるグルー
プ、つまり電子メールでしか知り合わない人同士が電子的空間の中だけでつくる
「電子的グループ」と呼ぶべきものが、部課やプロジェクトチームなどの「公式
的グループ」や同期入社のグループや酒飲み友達のグループのような「非公式グ
ループ」と並んで形成されるようになっている。
そして、従来の組織であれば、業務に関連した情報はいったんピラミッド型組
織の上の方に集められてから下に向かって流されることが暗黙の常識であったが
、しかし、このような電子的コミュニケーションが発達した企業組織では、こう
した従来の手続きを経ずに、電子的グループの中だけで自由に流れていく情報が
多くなっていく2)。
例えば、ある企業の部長が、自分の目の前の机で仕事をしている若い女性社員
が、重要な問題についてはいつも彼ではなくて社内メールで担当取締役に助言を
求めていることをその取締役から知らされて冷や汗をかいたということも、現実
となりつつある3)。
実際に、ある日本企業では、新商品のアイディア提案や過去の商談の成功事例
・失敗事例などの仕事に関連した情報のほかにも、転職問題や人事処遇に対する
問題など従来の組織では公式の場には出てこなかった(しかし切実な)情報が、
全社的なパソコン通信ネットワークの中で流通・共有されるようになった4)。
このように、企業の中にパソコン通信システムやLAN(LocalArea Network)な
どが導入されると、より多くの情報がコンピューター・ネットワークを通じて流
通・共有されるようになるだけでなく、企業内で流通・共有される情報の質その
ものが変わる可能性がある。また、その結果、企業組織内に電子的グループが形
成されることによって、それを通じて行われる情報交換や共同作業が、企業組織
のあり方を変える可能性をもつのである。
ここでは、企業組織内でのパソコン通信システムにおける電子メールの利用の
実態とその組織変容の可能性をみたが、第2節では、特定の関心・目標を共有す
る複数のユーザーを簡単につなぐツールとしてのメーリングリストについて、い
くつかの事例を引き合いに出しながら、その社会的な有用性と可能性に焦点をお
いて考察することにする。
電子メールでは、通常、特定のユーザー間で1対1(同報機能を使用する場合
は、1対多)のコミュニケーションが行われる、いわば、手紙をコンピューター
・ネットワーク上でやり取りするコミュニケーション様式である。
他方で、メーリングリストは、電子メールの同報機能を拡張したものであるが
、そこでは、アドレスが登録された特定のユーザー間でコミュニケーションが行
われる。
特に、メーリングリストが公開されておらず、参加者が限定される場合は、誰
が参加しているかがわかるため、そこでは、信頼のおけるメンバーの間でコミュ
ニケーションを行うことが可能な、いわば、井戸端会議的なコミュニケーション
様式となる。
つまり、不特定多数のユーザー間のコミュニケーションが前提となるインター
ネット上のニュースグループやパソコン通信の電子会議室とはコミュニケーショ
ンの性質が異なるのである。
また、BBSでもインターネットに接続されていればインターネット経由で電
子メールがどこへでも出せるため、メーリングリストにアドレスの登録さえして
しまえば、どのようなサイトからでもメーリングリストは使用可能である。この
場合、サイトによって特定のニュースグループへのアクセスができなかったり、
特別な通信ソフトがないと電子会議室に書き込みができないというようなステム
上の制約は無くなる。
しかし、他方で、ユーザーの側でメーリングリストを流れるメールをその都度
保存しておかないと、(listやgetコマンドを使うなどの)繁雑な手順でメールサ
ーバーにアクセスして過去のメールを取り出さない限り、他のユーザーの発言を
遡って参照することができないという難点がメーリングリストにはある。
また、メーリングリストを流れてくるメールには自分にとって関心のないもの
もあり、それも受け取らなければならないので、受け取るメールの数が必要以上
に多くなる。その上、それぞれのメールが必要であるかどうかを確かめようとす
ると、いちいち読み出してチェックしなければならないという煩わしさもある。
メーリングリストには、以上のような特徴があるが、その特徴をユーザーの間
で、うまく活用すると、メーリングリストは、所属組織や居住地域を超えた人々
の知恵と力を集約する手段となりうる。
つまり、メーリングリストの参加者がそれぞれの経験・知識・情報・ノウハウ
・知恵を出し合い、共有し合いながら、共同して活動を行ったり、新しいものを
作り出すことができるのである。
そこで、第3節では、災害救援におけるメーリングリストの活用事例を引き合
いに出しながら、メーリングリストを通して行われる共同行動の社会的な意義と
可能性を示してみたい。
しかし、このquake-vgの登録者には、学外の被災者の救援活動のためにこのメ
ーリングリストを利用しようとする人が多かった。そのために、避難所の状況や
生活情報など被災者救援にとって必要な情報がだんだんと多く流れるようになり
、そして、quake-vgは、神戸大学内の被災者救援のためのホームページ作成支援
という用途から、次第に、学外の被災者一般の救援という用途にその比重が移っ
て行った。
つまり、このメーリングリストは、その開設者たちの意図せざる結果として、
被災者救援を中心とした様々な活動を行う人びとに情報交換の場を提供する役割
を果たすようになったのであった5)。
3.2 重油災害におけるメーリングリストを活用した救援支援活動−−oil ML
(oil@seiryo.ac.jp)
そこでは、環境保全や重油処理方法に関する専門的情報の交換、重油漂着状況
についての情報提供、行政やボランティアによる災害救援体制づくりや国際協力
に関する情報交換、およびそれらを行う際のインターネットの利用方法について
の情報提供、重油災害に関する情報を掲載しているホームページやメーリングリ
ストなどに関する情報提供、マスメディアとの連携などについて情報交換や議論
が行われている。
このメーリングリストの特徴としては、「北陸地域情報ネットワーク協議会」
および「富山県立大学計算機センター」のサイト上のホームページでこのメーリ
ングリストを流れるメールの内容を逐一見ることができるようになっていること
である(富山県立大学計算機センターのホームページでは、そこで運用されてい
る重油災害関連のメーリングリスト(oil@pu-toyama.
ac.jp)を流れるメールの内容も見ることができる) 。
つまり、これは、特定の人々が情報交換し、不特定多数の人々が情報を見るこ
とができるシステムであり、さらに、星陵女子短大のサイトのホームページにこ
のoilMLへの加入の仕方が解説されていて、重油災害に関心のある人なら誰でもが
参加可能なメーリングリストとなっている6)。
また、このoil MLとは別に、重油災害被災地の京都府丹後地方各地(網野町、
久美浜町、丹後町)における救援活動をホームページを利用して援助している「
丹後ボランティアネットワーク」も、2月中旬から丹後ボランティアネットメー
リングリスト(tango-oil
@mxa.nkansai.or.jp)を開設し、網野町を中心に活動中または活動経験のあるボ
ランティアたちが、丹後地方の重油災害に関する情報交換をしている。
その他に、重油災害被災地の福井県三国町のボランティア本部とそのホームペ
ージづくりを支援する情報ボランティアとの間で行われているボランティアコー
ディネート活動がある。
ところが、この活動が行われている最中の3月上旬に、3月末で町外のボラン
ティアの受け入れを中止するという三国町ボランティア本部の決定がマスメディ
アを通じて報道された。そして、被災地外部の人たちは、その報道を見聞きして
、三国町ではボランティアがもう必要ないと判断したために、三国町では3月上
旬からボランティア不足に陥った。
そこで、三国町ボランティア本部の広報担当者は、三国町を後方から支援する
情報ボランティアに電子メールと電話を併用して連絡をとり、そして、この情報
ボランティアが心当たりのあるいくつかの団体に電話で連絡をとり三国町へのボ
ランティア派遣の要請をした結果、三国町ボランティア本部と兵庫県の宝塚市社
会福祉協議会の間でボランティア派遣の協議が行われ、約80名のボランティア
が宝塚市から三国町に派遣されることになった。
その際に、現地情報の発信はホームページで、あまり緊急でない情報のやりと
りは電子メールで、緊急性のある情報のやりとりは電話を使って行われた(注2)。
その他に、重油災害救援を情報流通の面から支援する取り組みの一つとして、
次に論じるInter C Netの重油災害救援プロジェクトがある。
これは、一人の情報ボランティアが、日本海沿岸の重油災害被災地をオートバ
イで回って各地の状況について情報を収集し、その情報をモーバイルギアを使っ
て電子メールで後方にいる協力者に伝えて、その協力者が、重油災害関連のメー
リングリストやホームページ等に現地の情報を掲載するという取り組みである。
この方法は、後方支援体制さえ整っていれば、必要最小限の人材と機材で災害
被災地から必要な情報をインターネットで伝えることができるもっとも簡便で効
果的な情報伝達の方法であると言えるだろう。
3.3 阪神・淡路大震災に端を発したメーリングリストによる組織・地域を超
えた人のネットワークづくり−vuser MLによる「提言」づくりとInter C Netの取
り組み
いわば、この「提言」づくりは、情報ボランティアが震災で得た経験と知恵を
メーリングリストの活用を通して集約した試みであるといえるであろう。
「協議会」は、「提言」づくりの他に、「協議会」メンバーの研究成果を、神
戸大学総合情報処理センター主催の震災研究シンポジウム8)や兵庫ニューメディ
ア推進協議会の研究例会・シンポジウムなどで報告するといった研究活動、淡路
島の防災を目的とした地域情報化の支援活動などをこれまで行ってきた。
これらの活動は、阪神地域を中心に行われてきたが、さらに、その活動を全国
にまで拡大することを目的として、組織基盤の強化を図るために、「協議会」は
、1997年1月下旬に「Inter C Net(Inter Community Network)」へと発展的
解消を行った。
そして、Inter C Netの活動を全国に拡大していくには各地で地域の情報化に取
り組む人たちとのネットワークを作り上げることが必要であり、そこで、「メー
リングリスト3300」が開設されることになった。
ここで、3300という数は、日本全国の自治体の総数である。このメーリン
グリストは、日本全国の都道府県、市区町村で災害に強い地域を目指して地域の
情報化に取り組む人々をつなぎ、それを通じた日常的な情報や意見の交換がそれ
らの人々にとっての「知恵袋」となることを目指している9)。いわば、それは、
災害に強い地域づくりを目指した地域間ネットワーキングのツールであるといえ
よう。
このメーリングリスト3300を通して行われるInter C Netの活動としては、
大阪市東淀川地区の地域情報化活動、前述の重油災害の現地調査・情報発信動、
淡路島の洲本市「ボランティア情報団」の支援活動が主なものとしてあげられる
。
3.4 電子メールを媒介にしたネットワーキングによる組織・社会の変革の可
能性
そこから垣間見えるのは、このようにメーリングリストを媒介にして組織・地
域の境界を超えた情報のやりとりと人々のネットワークづくりが行われることで
、すなわち「ネットワーキング(networkinng)」が行われることで、異なった組織
や地域の人々と情報交換や議論する機会が得られることなり、そのことを通じて
他組織や他地域の人々の思考・行動様式を知ることができたり、彼らの問題を自
分の問題として受け止めながら、自分の所属する組織や居住する地域のあり方を
客観的に見る視点がつくられていくということ。また、他の組織や地域の人々か
ら自分の所属組織・居住地域を変えていく知識や知恵を得ることもできるように
なるということである。
そして、このようにメーリングリストを通して得られたものが、具体的な行動
につながっていくと、そうした行動は、所属組織・居住地域の慣例や思考・行動
様式と衝突しながらそれらを作り変えることになる。 さらに、そのようにして
形成された新しい思考・行動様式を身に付けた人々が、自分の所属する組織や居
住する地域の具体的な問題に取り組んでいくと、そうした行動は、組織や地域、
さらには社会全体を変えうる力を持つようになって行くであろう。
(注1)
しかし、今後、教育や福祉の分野で誰もがインターネットを使えるようにする
取り組みが行われることで、こうした情報格差は次第に解消されて行くと思われ
る。
そうした教育分野の取り組みとしては、小・中・高校での情報教育の普及を目
的とした通産省と文部省が共同で実施している100校プロジェクト(http://edu.ipa.go.jp/kyouiku/100/100.html)や、NTTが全国1000校の学校にインター
ネット接続の支援を行う「こねっと・プラン」http://www.wnn.or.jp/wnn-s/konet-plan/summary.html)があげられる。
また、コンピューターや情報通信を活用して障害を持つ人(challenged)の就労
の促進や雇用の創出による自立と社会参加を支援するプロップステーションの試
み( http://tsuru.suehiro.nakano.tokyo.jp/prop/)がある。
さらに、高齢者のこれまでの知識や経験などが活かされ、若い世代との交流が
生まれるようにコンピューターや情報通信を活用するシニアネット等の試み(ア
メリカシニアネット:http://www.seniornet.org/;グローバルシニアネットジャ
パン:http://www.bremen.or.jp/
ics/index-j.html;韓国元老坊:http://sol.nuri.net/~wollo)もある。
(注2)
このことは、パソコン通信が中心であった1995年の阪神・淡路大震災での
コンピューター・ネットワークによる情報発信に比べると格段に技術レベルが向
上し、日本社会全体やボランティア活動にインターネットが急速に普及している
ことを物語っている。
しかし、その一方で、現地からのホームページによる情報発信に必要とされる
技術水準が高くなったために現地でこの作業ができる人材が限られ、また、毎日
更新すべき情報量が非常に多くなるため、その情報を取材し編集しホームページ
に載せるための人材も数多く必要となる(三国町や加賀市の場合、現場取材のス
タッフも含めて、常に4、5人のインターネット担当のボランティアが必要であ
った)ため、人材確保が難しくなる。
しかし、各地でボランティアによる流出重油の回収作業が行われた1〜3月は
大学の春休み期間なので、ホームページづくりに日頃から慣れ親しんでいる学生
を中心としたボランティアが、主に首都圏から入れ替わり立ち替わり来ることで
、2月から3月にかけては、深刻な人材不足は生じなかったようである。
重油災害でボランティアのコーディネートにホームページが活用されるように
なったことは画期的であり、また、現場でボランティアが一生懸命に情報を収集
しホームページに掲載する活動そのものの意義は高く評価できる。
実際に、筆者は、1997年3月末に(ボランティアがホームページを作成し
ほぼ毎日現地の情報を掲載していた日本海重油災害の被災地の)美浜町と加賀市
各地のボランティア受け付け票約6000枚を分析したが、その結果、現地に来
たボランティアのうち約10%の人がインターネットを利用して現地の情報を入
手していたことが明らかになった。
しかし、その一方で、人手と時間が足りないこともあって、ホームページに掲
載された情報に対する不特定多数の人々からの電子メールへの対応が十分にでき
ず、インターネットの双方向的な情報伝達のメリットを活かし切れなかったこと
は、災害時ににおけるインターネット利用に際して今後改善すべき運用上の課題
として残されるであろう。
参照文献
1)生活都市東京を考える会.生活都市東京を考える会ホームページ.http://www.tokyoteleport.co.jp/tokyoplan/,1996
2)川崎賢一他.メディアコミュニケーション.東京,富士通経営研修所,1994,p
.76-78
3)松岡正剛,金子郁容,吉村伸.インターネットストラテジー.東京,ダイヤモ
ンド社,1996.
4)川崎賢一他.メディアコミュニケーション.東京,富士通経営研修所,1994,7
9p.
5)神戸大学情報処理センター.神戸大学情報処理センター広報 MAGE.VOL.17,
NO.2,p.10-22(1995).田中克己編.震災とインターネット.東京,NECクリエ
イティブ,1996,p.99-114.
6)北陸地域情報ネットワーク協議会.日本海石油漏出事故に関する情報ホームペ
ージ(http://kanazawa.fitnet.ad.jp/oil.html).富山県立大学計算機センター. oil@pu-toyama.ac.jp に寄せられた情報記録ホームページ(http://www.pu-toyama.ac.jp/oil).星陵女子短大.oil@seiryo.ac.jpへの参加のためのホームページ(http://www.seiryo.ac.jp/taisaku.oilml.html)
7)兵庫ニューメディア推進協議会.情報の空白を埋める:災害時における情報通
信のあり方に関する研究報告書.神戸,神戸新聞総合出版センター,1996,
p.142-152.
8)神戸大学総合情報処理センター.神戸大学情報処理センター広報 MAGE.VOL.
18,NO.2,p.28-37,65-66(1996)
9)Inter C Net.Inter C Netホームページ(http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/icnet/www)
10) 電通総研編.情報メディア白書97.東京,電通総研,1997,144p
1.バーチャルコミュニティの成立基盤としての電子メール
2.限定された複数のユーザー間の双方向的な通信手段としてのメーリングリスト
2.1 電子メールとメーリングリスト3.災害救援におけるメーリングリスト活用の事例