(徳島大学総合科学部助教授・社会学)
干川剛史[ほしかわ つよし]
昨年の阪神・淡路大震災においては、130万人にのぼるボランティアが被災地での救援活動に駆けつけた。そのような災害救援ボランティアの中で、インターネットやパソコン通信を利用して被災地の救援活動を情報流通の面から支援する「情報ボランティア」と呼ばれる新しいタイプのボランティアも現われた。
この情報ボランティアの活動がどれだけ被災者の救援活動に役立ったかについては、これまでにいくつかの分析が行われており、(十分な成果はあげられなかったが)「役に立つことがわかった」ということが明らかになっている。
かく言う筆者も、四国4県・淡路島内社会福祉協議会、北淡町ボランティア事務局、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)金子郁容教授、大学院生・学生、富士通系ディーラー等各方面の方たちの協力を得ながら、震災被災地の淡路島で情報ボランティアのまねごとしてきた。この活動は、関係者の間で「淡路プロジェクト」という名称で呼ばれている。
残念ながら、「淡路プロジェクト」は、その活動開始が遅かったため、3月上旬から約1カ月の間に現地(一宮町と北淡町)の救援活動の状況をインターVネット(NIFTY-Serve、PC-VAN、Peopleなどの商用BBSをインターネットで結んで、各商用BBS間、それらとインターネット上のニュースグループの間で自動的に情報が流通するようにしたシステム)を通じて報告しただけに終わってしまった。
というのは、コンピューター・ネットワーク上を流れている情報は、阪神地域に関するものが主で、淡路島で役立つような情報はほとんど無かった。また、そのような情報があったとしても、現場での救援活動の合間に情報収集・発信を行う淡路島の情報ボランティアには、コンピューター・ネットワークの隅々までモニターして、必要な情報を探し出す時間と労力の余裕が、無かったからである。
このように、私の関わった「淡路プロジェクト」は、成果らしい成果をあげられなかったのであるが、VAG(:Volunteer Assist Group)やWNN(:World NGO Network)という阪神地域の情報ボランティア・グループは、現在でも、地道な活動を続け成果をあげている。
他方で、災害救援のために役に立つ今後の情報通信システムづくりを目的として、これまで被災地内外で試行錯誤しながら活動を続けてきた情報ボランティアたちと行政関係者によって、「インターVネットユーザー協議会」(筆者もこのメンバーとなっている)が、昨年の4月下旬に結成された。
そして、インターネット上のメーリングリスト(電子メール同報配布システム)を通じて昨年の4月から11月にかけてメンバー間で情報通信システムづくりについての議論が行われ、その議論を集約して「インターVネット情報通信システム構想:情報ボランティアからの提言」が作成された。
この「提言」は、現在、兵庫県内で構築されつつある防災情報通信システム(通産省補助事業:「災害対応総合情報ネットワークシステム」−兵庫県、宝塚市、三木市、洲本市;郵政省直轄事業:「次世代総合防災行政情報通信システム」−神戸市)のように、これから各地に構築される防災情報通信システムが有効に機能するために必要な条件を、特に災害時に被災地内外で情報収集・提供にあたる情報ボランティア(「情報団」)の組織化と運用に重点を置いて示したものである。
「インターVネットユーザー協議会」(この名称は近々変わる予定である)は、この「提言」をもとにして、三木市や洲本市といったモデル都市の防災情報通信システムづくりの支援活動やインターVネットのより効果的な活用に取り組みつつあるが、今年に入って、この活動の促進を図るために、情報ボランティアや情報関連研究者や行政関係者等のメンバー拡大を行い、現在、活動計画やメンバー間の役割分担等についての検討を行っている。
この「協議会」の活動は5年、10年と息の長いものとなり、活動資金や人材等の面で多くの困難が予測されるが、それを乗り越えるためには、様々な方面のより多くの人たちの助力が必要となるであろう。
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