岩登りのノート
ビレーヤーズグレード(松浦寿冶 2005.12/9設定、2006.6/27改定、2007.6/22改定、2007.8/1改定、2009.10/12改定)
| ビレーヤーズグレード |
安全確保のために出来なければならない技術の目安 |
| 5級 |
@日和田山男岩南面・一般ルート(W級プラス)をノーテンションでフォローできる。 |
| 準4級 準自主トレ参加の基準 |
@日和田山男岩西面・ステミングフェース(トップロープ
5.7)をクリアできる(3try/day)。 A複数の支点を連結してセルフビレーをセットすることが出来る。 BTiiimitiaimiの会員となって1回以上“日和田山の岩登り教室”に参加している。 C日和田以外の教室に3回以上参加していて、登山全般について学ぼうとしている。 |
| 4級 自主トレ参加の基準 |
@男性は同上・松の木ハング(5.9)、女性は同上・バルジ(5.8)をクリアできる(2try/day)。 |
| 3級 岩登,沢登,雪山登山へ の個人山行の許可基準 |
@日和田山・男岩南面の各ルートをリードで登りさらにセカンドを上げることが出来る、 と共に、登山靴でステミングフェースをクリア出来る状態をいつも保っている(1try/day)。 A日和田山の各ルートを登るためのトップロープを確実にセット出来る。 B日和田山・男岩のテラスから懸垂下降で降りる人のフォローが出来る。 C机上講座に年間を通して出席している(遠方の方は別メニュー)。 |
| 2級 | @奥多摩・つづら岩南面の各ルートを途中のテラスでピッチを切って登ることが出来る。 A沢登りで滝をリードして登り、後続する数名を滝の上に上げることが出来る。 B机上講座に年間を通して出席し、内容によっては講師のアシストが出来る。 |
| 1級 | @御坂・三ッ峠の各ルートをダブルロープを使って登り、懸垂下降で降りることが出来る。 A沢の渡渉や下降などの、沢登りで用いるロープワークについて理解している。 B机上講座に年間を通して出席し、その内容全般について理解している。 |
| 準指導員 | @秩父・双子山中央稜を同程度の技量を持つ仲間と共に初見で登って来ることが出来る。 A負傷者を伴って岩場を下降することが出来る。 Bザイルの結び目通過、つりあげシステム、ショートロープ、雪山でのダイナミックビレー、落下率と弾性確保理論、など、登山で使うロープワーク全般について理解している。 C机上講座に年間を通して出席し、その内容全般について指導出来る。 |
| 指導員 | @指導者としての豊かな資質を備えている。 A上記5級から準指導員までの目安となる技術に習熟している。 B雪山を含み100回程度のロープを使用する山行の経験がある。 C机上講座の講師を担当する。机上講座の企画運営をする。 |
◆概説
@自分と仲間の安全をロープによって確保(ビレー)しながら、千変万化の自然のフィールドに出かけて行く技術(身を守るための技術)の習得段階を示すものです。
Aビレー(belay)の語源は「綱を押さえる」とか「綱を固定する」というような意味の海事用語(英語)です。
BTiiimitiaimi会員の方には毎月送付する手紙の宛名の下に、把握している現状のグレードを付記してお知らせしています。
◆机上講座の出席が認定の要件
@机上講座(=Tiiimitiaimi山の集い)は技術のコンセンサスを取るために重要な場であると考え、その定期的な参加がビレーヤーズグレード認定の要件に加えられています。
A仕事の都合などで机上講座への参加が難しい方は日和田山岩登り教室または月例山行(=地図読み山行)への定期的な参加で補って下さい。
◆5級、準4級、4級
@5級、準4級、4級については日和田山岩登り教室の中で取得カードをお渡しています。
Aビレーヤーズグレード4級・準4級の取得条件の@は、クライミングジムに何度も行ったことがある方の場合、初めから(あるいは早すぎる段階で)クリア出来てしまうので、妥当な条件になれない可能性が大きいです。それで、クライミングジムに3回以上行ったことのある方のビレーヤーズグレード4級・準4級の取得は、日和田山以外に講習に参加していただいた後に、Tiiimitiaimiスタッフ(講師会員及びスタッフ会員及びバックアップ会員)2名以上の推薦を得てTiiimitiaimi代表が決定します(取得カードは郵送になります)。
◆準自主トレ参加、自主トレ参加
@準4級を取得すると日和田山岩登り教室に準自主トレ参加(講習費半額)が出来るようになります。
A4級以上を取得すると日和田山岩登り教室に自主トレ参加が出来るようになります。自主トレ参加は個人山行ですから、参加者個々の責任で参加します(講習費は発生しません)。
◆準4級から4級を経ないで3級が取得することが可能
@準4級から4級を経ないで3級を取得することが可能です。つまり、松の木ハングやバルジをクリアしなくても登山靴や沢靴を履く岩登りを追求することで3級が取得出来ます。「登山靴を履いても、ザックを背負っていても、雨の降っている日でも、ステミングフェースならば、複数の支点にセルフビレーをセットしながら自分でトップロープを張って来て、ワントライでクリア出来ること」が3級の目安その@+Aのイメージです。
A「ステミングフェースがいつでも(様々な状況下で)クリア出来る身のこなしのレベルを保っていること」は岩登り、沢登り、雪山登山への個人山行に行くための非常に的確な条件だと考えるからです。長く岩登り教室を続けた経験(since1983)を元にしています。
B「セカンドでビレーする後輩を、そして、終了点から懸垂下降をする後輩を、安全に注意する点を確実に押さえながら指導出来ること」が3級の目安その@+Bのイメージです。
C自分と仲間の安全を確保するのがビレーヤーズグレード設定の主旨だからです。
◆保つためと習熟するためのトレーニング
@4級の目安である「松の木ハング」の5.9がビレーヤーズグレードにあるデシマルグレードの上限です。ビレーヤーズグレードでなくてデシマル〃の数値を追いすぎると肉体的にも精神的にもデリケートになりすぎて、自然のフィールドに出て行くためのゆとりを無くしがちなので充分に注意して下さい。
A高難度をめざすフリークライミングと登山(沢登り,雪山登山,テント泊縦走)はそれぞれ別の種目として発展していて、深く追求すれば両立出来なくなります。個人差はあると思いますが、沢登りや雪山登山に行く登山者は、男性は5.10d、女性は5.10bまでが追求の限度であると決めるべきです(こちらもごらん下さい)。デシマル〃の数値を追うのは早めに止めて(1〜2年で限界に達します)、ビレーヤーズグレードをつかさどる技術の習熟と維持につとめて下さい。技術の向上よりもそれを保つことと習熟することの方が大切で、そのためのトレーニングを地道に続けて下さい。
◆3級と岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行
@3級の取得は岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行の許可基準となります。
A努力しても3級が見込めない場合も有りますので無理をしないようにして下さい(例:未成年である、脳溢血等の発作的な疾病が予想される、切り立つ壁に向かって行く性格でない、仕事や家事や介護が忙しすぎる、ロープワークが苦手すぎる、瞬間的に反応して動作を起こすことが苦手すぎる、登りたい山と登れる技術のバランスが取れない、etc)。3級が無くても行ける個人山行の世界は素敵に広がっています(例:無雪期縦走登山、スノートレッキング、地図読み山行、フリークライミング、など)。
Bロープを持てば(購入すれば)ロープを使う山に行きたくなるように、3級を取得すればロープを積極的に使うバリエーションルートに行きたくなるでしょう。だからこそ、3級の取得と個人山行への適用を急がないで下さい。一年のオーダーで時間をかけ、習熟し、応用力を身につけて下さい。
Cビレーヤーズグレード3級には特別な意味があります。それは岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行に出かけて行ける見きわめ基準だからです。3級の力がないのに岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行のメンバーになったとします。当該山行のメンバーはガイドのそれのごとく何度もその人をケアすることになるので、特別の役割がないかぎり二度三度と岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行に誘うことはしません。だからその人はいずれ自分は3級の力がないとわかるはずです。だけど事故が近づいて来ます、何度も危ないと感じているのに・・・積極的には誘わない→難しい山には誘わない→連れて行かない・・・といった自然淘汰を関係する人達でなんとなく待っているのは正しくないと思います。
D3級以上の取得はTiiimitiaimiiスタッフ(講師会員及びスタッフ会員)2名以上の推薦を得てTiiimitiaimi代表が決定します。岩登り・沢登り・雪山登山への個人山行が許可出来るグレードということですから、その取得基準は「ステミングフェースを○○の条件でクリア出来たらそれだけで即OK」といった単純なものではありません。
◆ビレーヤーズグレードはそれを維持する努力が必要
@準4級と4級については準自主トレ及び自主トレ参加の条件になっているので、取得したグレードが下がってしまうことはありません(例えば、4級の人がバルジや松の木ハングが登れなくても4級は維持されます)。それに対して、3級〜指導員については、それを取得しても維持する努力がなければ4級を下限として下がります(Tiiimitiaimi会員の方には毎月送付する手紙の宛名の下に、把握している現状のグレードを付記してお知らせしています)。ビレーヤーズグレードが下がっているのに、下がる前のレベルのルート(岩稜,沢,雪稜,etc)に行ってしまいがちなので気を付けて下さい(登山経験の多い方は要注意です)。
Aビレーヤーズグレードを維持するとは経験と体力と体のキレ(瞬発的な運動能力)を維持するということです。ちなみに、経験はいつまでも無くならないと考えるかもしれませんが時が経てば風化されてしまいます。週に1回は岩トレを行い、月に2回は山に行く程度のペースを長く10年も20年も守り続けることが大切です。そのペースは各人の都合に合わせて設定して下さい。
岩登り技術を総合的に身につけよう(松浦寿治2005.5/30)
@フリークライミングのルートの支点は電動ドリルで直径10ミリもあるような穴をあけて太い頑丈なボルトを埋め込んで作られたものがほとんどです。しかもそのボルトはクリップする位置とかロープの流れを考えて計画的に設置されています(すぐれたルート開拓者によってひかれたルートの場合)。それに対してアルパインクライミングのルートは、ハーケンや手打ちのボルトを使って作られ、よほどポピュラーなルートでないがきり風雪にさらされて朽ちて欠落しかけている可能性ありといったものです。ミシン縫いのスリング対手作りスリング、レッグループ対シットハーネス、10.5ミリ50メートルクライミングロープ対9ミリ45メートルザイル、落ちることが前提対落ちることはほとんどない、といった例をいくつか考えていただければわかるように、フリークライミングルートとアルパインクライミングのそれでは確保システムの強度が一桁くらい違います。
@長らく、岩登りにはアルパインとフリーの二つのスタイルがあるとされて来ました。最近そのアルパインの側に変化が起こってきているのを感じます。アルパインクライマーを自負していても日常のトレーニングということで週に一度ぐらいは人口壁でトレーニングをしている人がけっこう多いです。必然的に岩登りの腕が上達していて、ちょっと支点が不足していて、従来ならハーケンを打ち足して登った所でもヒョイヒョイ(人口壁の技術を不用意に自然の岩場に持ち込むことは大変に危険です。ホールドや支点を確かめて見きわめて出切る限り静的に登るなどの安全対策が必要です)と超えていってしまいます。また登山者が減少しているなどの理由で、有名で人気のある三つ星ルートを除けば、朽ちたハーケンが打ち換えられるというようなことは少なくなりました。つまりフリーの練習(含:ナチョラルプロテクションを使う練習)をしていないと、ハーケンやボルトをほとんど打ち足さない従来のやり方で時間内にやや人気のルート(一つ星or二つ星ルート)を抜けることは難しくなっているのです。
@フリークライミングデシマルグレードの数値を追いすぎると肉体的にも精神的にもデリケートになりすぎて、自然のフィールドに出て行くためのゆとりを無くしがちなので充分に注意して下さい。全県以上レベルの陸上競技の大会で100メートル走と10000メートル走の2種目共に一人で入賞してしまう選手が(たぶん)いないように、高難度の数字を目指すタイプのフリークライミングと登山(沢登り,岩稜登攀,雪山登山,テント泊縦走)はそれぞれが別の種目であって、両立することは難しいです。登山を追求するのなら、男性20Kg以上,女性15Kg以上の荷を背負って1日行動出来る丈夫な骨と筋肉、沢の中や冬の山での熱の消耗に絶えられるだけの皮下脂肪(標準体重の範囲内で身につく皮下脂肪)があるべきです。それらの骨と筋肉と皮下脂肪は重たくて、高難度フリークライミングとは相容れないものです。
◆毎週末には山に行き1日9時間くらい行動するタイプの人の平日は以下の@〜Cのようです。
@相当に山慣れた人でも水曜日までは疲労が残ります。
A山の道具のメンテナンス、衣類の洗濯をします。
B記録や写真の整理を行う場合もあります。
C次の週末に行くの山のための資料収集メンバーとの連絡など行います。半年先、1年先に行くだろう山の準備をすることもあります。相当に思い入れて準備するから山(沢,雪山,岩稜,etc)にある高いリスクを乗り越えることが出来るのです。
◆なので、平日の夜にフリークライミングジムに行っても、入れ込んだクライミングをすることは難しく、週末の山に向けた調整的なトレーニングをするのが良いということになります。調子に乗って多めにトレーニングをしてしまうと、瞬発的に筋肉を使った疲労をかかえてしまいます。
個人差はあると思いますが、沢登りや雪山登山に行く登山者は、男性は5.10d、女性は5.10bまでが追求の限度であると提唱します。
@上記の数字について補足します。男性5.10dのオンサイトが上級登攀ガイドの基準なので、ちょっとハードルが高すぎです。フリークライミングを追求するタイプ以外の一般の登山者は男性5.10c(テンシー)女性5.10a(テンエー)が十分すぎるほどの達成目標だと思います。数字を登るクライミングとは「しのぐ」程度につきあって、どんどん山に行くべきです。
@日本フリークライミング協会は自然の岩場でのルート整備事業を行っていますが、現在800名強しか会員がいないわけで、整備する人手とお金が不足しています。一般に、岩場の整備事業はその岩場のヌシというか篤志家が個人(個集団)の趣味で行っているもので、恒久的に管理されてはいません。フリー用に整備されたルートでも岩と支点の風化を見抜いて登るアルパインの知識と技術が必要になります。
@「フリークライミングをやってみたけれど、べつにああいうのはうまくならなくてもいいしどうも好きになれない、アルパインクライミングの方がずっと性にあっていて好きですよ!」なんて話している人に時々出会います。その考え方は大変に危険だと思います。フリークライミングがそこそこは出来るようにならないということは、それだけ体のキレ・バランス感覚・自己の身体管理能力などに欠けるということです。そういう人が整備されたゲレンデで行うフリークライミングより百倍も千倍もリスクの高いアルパインクライミングを安全に行えるとは思えません。
@ジムが好きになれない気持ちがわからないわけではありません。混雑している、空気が悪い、上手な人が壁を占拠する、フリークライマーのコミニュティに違和感が有る、数字のグレードを追いかける考えは?、墜落しながら登る考えは?、ヌンチャクが始めから下がっているのは?、がんばれないタイミングで「ガンバ!」とか言うな、いつも流れている音楽が気にいらない、などなどの理由があるからです。ジムが好きになれないならば日和田山の岩場のような外岩ゲレンデでのトレーニングを定期的(月に一回以上)に行うべきだと思います。でもでも、仕事の都合などで月に一回以上岩場ゲレンデに通うのが難しいなら、ジムに行きましょう。ジムの気にいらない部分は様々に工夫すれば乗り越えて行けます。
@自然の岩場に向かうならば、フリーもアルパインもなくトータルして岩登りということで、技術を総合的に身につけようと提案します。
確かめてかめてから力をかける,三点確保,バランスクライミング
@確かめてから力をかける…
・三点確保の登り方(四点のうち一点だけ動かして登る)をしても、体重の多くを分担している一点(足でも手でも)が外れれば落ちてしまいます。だから一点でも外れないように登ることが肝心、つまり「ホールド(及びスタンス)を‘欠けたり、動いたり、すべったりしないか’確かめてから力をかける(引く,押す,乗せる,擦る)ことが岩登りをする時に忘れてはならない動作である(自然の岩場においては絶対に行わなければならない動作である)。」と言えます。
・ちなみに重荷を背負って山道を歩くと人(ヒト)は自動的に確かめてから力をかけます。つまり「・・・歩幅せまく足を出し、滑らないか崩れないか確かめながらその足にそっと加重し、加重しながら全体重を出した足の真上に移動して、その足一本で立ち上がり、それから後ろにあった足を持ち上げ歩幅せまく前に出し、滑らないか崩れないか確かめながらその足にそっと加重し、加重しながら全体重を出した足の真上に移動して、その足一本で立ち上がり、以下くりかえし・・・。」という歩き方をするのです。この歩き方は安定して歩けるだけでなく、滑ったり石を落したりすることが少なくて、基本の山の歩き方と言えます。=レストステップ(静加重静移動)
@三点確保…
・昔、三点確保が提案された時は「三点確保とは四足の動物が歩くときの足の運びのように手足を移動させて登ること=三点確保の仮説」であって「三点確保とは四点のうち一点だけ動かして登ること=三点確保の一般論」ではなかったのではないかと推察します。しかし現状は、後者の三点確保の一般論の方が広く受け入れられて定着してしまっています。
・三点確保の一般論の方の登り方だけではV級の岩場を登るのがせいいいっぱいです。W級以上の難しい岩場の場合には二点にかける力を組み合わせ使う登り方(二点で一点の働きをする)が加わって来ます。さらに、X級〜Y級〜5.9〜5.10・・・という方向で難しくなって来ると三点確保の一般論の方は無視されて手一つ足一つの二点で体を支える(他の一点はバランスを保持するために使われる)登り方になることが多くなります。
・四足動物は右後足→右前足→左後足→左前足→・・・の順に足を動かして歩きます。人(ヒト)の場合には右足→右手→左足→左手→・・・の順になります。この順に手足を動かして登るのが三点確保の仮説の方の登り方です。二足歩行をする人(ヒト)はこの登り方は練習しないと身につきません。
・「三点確保(一般論の方)をすれば安全に登れる」という理屈には上記の「確かめてから力をかける」の項で記したような危険を伴います。もちろん三点確保の仮説の方も同じ危険を伴います(W級以上のムーブの際に一点が外れれば落ちてしまう)。だから三点確保でなくて確かめてから力をかけることが忘れてはならない最も基本の動作なのです。
@バランスクライミング…
・岩場に止まって体が安定して保持された状態をバランスがとれているといいます。手でささえる体重を極力少なくして、片足または両足になるべく多く体重が乗っている状態でバランスが取れているのが最も楽です。手でささえる体重が多くなる場合は腕を伸ばした状態でバランスが取れているのが楽です。最も楽な状態でバランスをとりつつ登るのがバランスクライミングです。足を最大限に使って登ることとも言えます。
・上記の三点確保の仮説の方の登り方はバランスクライミングでもあります。
足の使い方の自動回路を身につけよう(自転車に乗るように)
@岩登りの練習の目標を「足の使い方の自動回路を身につける」ことと「マイグレードの維持」に置くといいと思います。
@岩登りの基本的な動きに以下の@〜Cような部分が多くみつけられます。
@右手のハンドホールドをつかんだら(右手をとったら)それが一番効果的に体重をささえられる状態に足や体や重心の位置を移動します(ハンドホールドを効かせる)。
A次に立ちあがったり腕を引きつけたりして左手で次のホールドを取りに行きます。
B左手のハンドホールドがつかめたら(左手をとったら)それが一番効果的に体重をささえられる状態に足や体や重心の位置を移動します(AとBの動作を合わせてムーブといいます)。
C次に立ち上がったり腕をひきつけたりして右手で次のホールドを取りに行きます。以下繰り返します。
@上記の@〜Cの動きの中にある「ハンドホールドをつかんだらその手が一番効果的に体重をささえられる状態に足や体や重心の位置を移動する」練習をたくさん行うと、ハンドホールドを取ったとたんに自動的に足が(理想的な“体の保持が一番楽な”フットホールドに向かって)動くようになります。これが「足の使い方の自動回路を身につけた」状態です。小さい頃に自転車の練習をしていていつのまにか乗れるようになっていた状態に似ています。
@足の使い方の自動回路を身につけた人はしなやかで安定した動き(ネコのゆっくり歩きみたいに丁寧に足を置いて歩く)をするようになります。
@「マイグレードの維持」についてはマイグレードの提案の項をごらん下さい。
@「沢登りのためのクライミングジムでの練習方法」についてもごらん下さい。
ムーブカタログ
*「ムーブ」って何なのかは上の「足の使い方の自動回路を身につけよう」の項の中段をごらん下さい。
*文章や写真や図解では表せない所が多いです。インドアクライミングを勝手に練習していますのでいっしょに研究しませんか!
(1)確かめてから力をかける
…最も基本の動きと考えています。以下に示す手の使い方と足の使い方を合わせた動作。
……手の使い方=「手をそっとホールドに添え、わずかに力をかけて、ハンドホールドの岩が動かないか確かめてからがっちりつかむ。」
……足の使い方=「足をそっとフットホールドに乗せ、乗せた岩が動かないか確かめてからきっちりと立つ。」
(2)レストステップ(静加重静移動)
…足をそっとフットホールドに乗せ、腰から上の重心をフットホールドの真上に静かに移動して、足の踏みつける力が垂直方向になってから立ち上がる。足の小指のつけねの所か足の親指のつけねの所で立つ(岩と靴先“踵とつま先を結ぶ線”のなす角は60°ぐらい・・・注1、踵はやや上げる場合が多い・・・注2)。
注1 岩と靴先のなす角度はホールドの形や壁の傾斜に合わせて変化する。緩傾斜の岩場では70°ぐらいで、垂直にちかづくに従って角度が少なくなり、オーバーハングでは20°くらいになる場合もある。
注2 靴と岩との間の摩擦の力で岩に立つ場合は踵は下げることになる。十二本爪アイゼンを装着して岩を登る場合は、二本の前爪をきっちりフットホールドに置くためにつま先で立たなければならない。それで、岩と靴先のなす角は90°になり、踵は下げることになる(アイゼンの前爪が縦の一本爪の場合は岩と足のなす角は直角でなくてOK)。靴底の曲がらないハイカットの登山靴で岩に正対して登る場合も岩と靴先のなす角は90°になり、踵は下げることになる。
(3)オポジション
…右手と左手(又は右手と左足etc)に反対向きに押すか引くかすることで体をささえること。アンダーホールド、ステミング、レイバック、チムニーなどの技がある。
(4)ダイアゴナル
…右手でホールドをつかんだら(右手は伸ばした状態で)、左足(対角にある足)でその右手のホールドが効く方向に体を傾けながら立って(左足のつま先が右を向くアウトサイドステップで立つ場合と左足のつま先が左を向くインサイドステップで立つ場合がある)、右手を引きつけながら(あるいは伸ばしたまま)そして左足で立ち上がりながら(踵は上げる)左手でホールドをつかみに行く動作。ダイアゴナルとは対角線のこと。
(5)ハイステップ
…右手のホールドをつかんだら腰の位置にあるくらいの高いフットホールドに左足を置いて(つま先は左を向く)、右手を引きつけながら(左手も同じあるいは近くのホールドを持ち両腕で引きつけると良い)して左足に乗り込んで行くようにして左手でホールドをつかみに行く動作。右足のつま先を壁にスメアリングしてトンと押して勢いをつけると動的なムーブになる。
(6)ハイステップ逆足バージョン(アウトサイドフラッキングorフラッキング)
…右手のホールドをつかんだら腰の位置にあるくらいの高いフットホールドに右足を置いて(つま先は右を向く)、右手を引きつけながら(左手も同じあるいは近くのホールドを持ち両腕で引きつけると良い)右足に乗り込んで行くようにしながら左手でホールドをつかみに行く動作。左足は体側の右側の位置まで持って行ってバランスをとる。フラッグ(旗)のように左足を振るからフラッキングと名付けられたらしい。左足は、つま先で壁を押したり、右から左に振ったりして、スタンスに立っていなくても筋肉を緊張している。つまり右足に立っていても左足を基点に左手を取りに行く動作はスタートする。右手と右足(つま先右向き)で立って、左足(つま先は右)を右足の前から体側の右側に持って行くインサイドフラッキングがある。筆者は右足のみフットホールドに置ける片足限定にされた場合にインサイドフラッキングを使っている)。
(7)マントリング
…岩場の出口で水平になっている部分に来たら、右手で出口奥のハンドホールドをつかんで引きつけながら、左手を反時計回りに回して指が体側に向いた方向に返して、出口手前の平らな部分を押すようにして、左肘を伸ばしながら体を上げて行く動作。マントルとは暖炉のこと。
(8)ドロップニー(キョン)
…右手のホールドをつかんだら右足をフットホールドにつま先が右を向く方向に置き、左足を岩場から飛び出したようなホールドにつま先が左上の向きに軽く置いてから、すぐに左足を時計の針の回る方向に回転させてつま先を下に向け、さらに左膝を落としてキョンの姿勢になる。右足と左足でスタック(岩にはさまるように固定される)された状態になるのでそれに体重をかなり預けながら左手でホールドをつかみに行く動作。「キョン」とは八丈島にいる偶蹄類の家畜である。「キョン」には一本の後ろ足を膝を折ってつま先が上に向く方向に曲げた状態で立つ習性があるらしい(筆者は見たことがない)。
(9)クロス トラバースする時、足を交差(クロス)すると楽になります、手を交差するともっと楽になります!
…右手のホールドをつかんだら、左手で右手より右にあるホールドをつかみに行く動作。左手を右手の上から交差(クロス)させる方法と下から交差させる方法がある。前者は体側を柔軟に曲げられれば(体の柔らかい人が有利)かなり遠くのホールドまで手が届く。後者で体を時計の針の方向に回転させて壁の外側を向くようにすればこれもかなり遠くまで手が届く(この動作はアクロバチックに見えるが難しくない)。後者で、左手を右手の下あたりの壁にそえて振られるのを防ぎながら足を右に送り、頃合いを見計らって左手で体側の右にあるへそのあたりの低いホールドをつかむ(アンダーホールドなら理想的)方法がある(この動作もアクロバチックに見えるが難しくない)。
(10)トバシ
…右手のホールドをつかんだら、つかんだ勢いで(左手は動かさずに)再び右手を動かして次ぎのホールドを右手でつかむ動作。小さな力で遠くのホールドがつかめて便利である。
(11)両手持ち
…右手で左手と同じホールドをつかみ(左手の上に重ねることもある)、両手の力を使って体をひきつけて再び右手を動かして次ぎのホールドを右手でつかむ動作。
(12)モチカエ
…右手のホールドをつかんだら、それと同じかすぐ近くのホールドを左手に持ちかえる動作。右手と左手でホールドの効かせ方が異なる場合は重心やフットホールドの移動が伴うことになる。位置が低くてしかも下に引いて効かせるようなハンドホールドでモチカエをする場合、右足を深く曲げて左足を伸ばした状態から、左足を深く曲げて右足を伸ばした状態に向けて重心を平行に移動することになって股関節の柔らかさが望まれる。
(13)フミカエ
…片手あるいは両手の引きつけと同じ瞬間にフットホールドで立つ足を右足から左足に踏みかえること。
(14)レイバック
…右手を小指が下になる方につかんだらよく効く縦方向のクラックがあったとすると、左手も親指が下になるようにしてクラックをつかむ、左足も右足も体が左方向に向かうようにつっぱるようにしてフットホールドにおく。その形を保ちながら右手か左手で上のホールドをつかみに行く動作。
(15)チムニー
…体がすっぽり入るような大きなクラックをチムニーという。そのチムニーに入り、背中と足でチムニーにスタックしながらズリズリと上に体を持ち上げて行く動作。
(16)ヒールフック
…右手のホールドをつかんだら 左足のかかとを高いフットホールドに引っかけるように止めて(つま先は左側を向く)、左足で体重の何割かを受け持ちながら、右手を引きつけて左手でホールドをつかみに行く動作。ハイステップの仲間と考えることが出来る。
(17)トウフック
…足の甲を引っかけて行う動作。例えば・・・左手のホールドが右に引く方向でしかつかめない場合は体を右に振って左手のホールドを効かせることになる。そのとき、右手をクロスに出して左手より左側かなり遠くにあるホールドを取りに行くことが難しくなる。そこで、左足でフットホールドに立って「右足の甲を岩角などに引っかけて、体を右に引く力を作ると」右手を左側遠くに出すことが出来る。・・・フトモモやスネを岩角に引っかけるといったバリエーションがある(原理はトウフックと同じ)。
(18)デッドポイント
…ジャンプするように勢いをつけて立ち上がり、体が放物線の頂点にいて無重力の状態の時にハンドホールドをつかむ動作。
(19)ランジ
…ジャンプして宙を飛んで、飛びついてハンドホールドをつかむ動作。
(20)正対
…「へそ」つまり体の重心からの鉛直線(重力の方向)と両手両足の中央を結ぶ体の中心線がほぼ並行か重なる状態を保った姿勢で登ること。
(21)振り
…ハンドホールドを効かせるために「へそ」つまり体の重心からの鉛直線(重力の方向)と両手両足の中央を結ぶ体の中心線がずれて傾いて交差する(二直線がねじれの位置にある)姿勢で岩に止まり、次に、腕はそのままか引きつけながら、曲げていた足を伸ばして次のホールドを取りに行くと体が振り子のよう横に移動しながら上昇する、そういうふうに体を振りながら登ること。足は小指側で立つアウトサイドステップと親指側で立つインサイドステップが意図的に使い分けられる(ハンドホールドの効かせ方参照)。体をわずかに右に振ってから勢いをつけて左に振ればダイナミックな動きとなる。さらに軸足でない方の足でスタンスを右に押したりスメアリングして壁を右に押したりして、その力を体が左に向かう推進力にプラスすれば、よりダイナミックな動きとなる。
(22)バックスイング
…人が力を出すとき「セーノ」で息を吸いながら力を貯めてから「ハッ!」と息をはきながらエネルギーを解放することが多い。例えば右手でホールドを取りに行く場合、「セーノ」の部分で「体をすこし左に振り・腰を頭から見て時計まわりにすこし回転させ・膝をすこし曲げてかがみ」、「ハッ!」で「体を右に振り・腰を反時計回りに回転させ・膝を伸ばして立ち上がりながら」右手をホールドに向かって伸ばすと楽に(腕力をセーブして)ホールドを取りに行ける。野球のバッターがバックスイングをしてからボールを打つのと同じ感覚である。
(23)有酸素運動
…陸上競技の百&二百メートルはスタートからゴールまで息を吐き続けて走る無酸素運動だ。同四百メートルは有酸素運動で、百メートルを越した所にある目印(一人一人位置は違う)で二息目を吐き始めるそうである(人類の神経系は吸うのでなくて吐くタイミングで行動を起こす構造になっている)。クライミングの(山登りの)場合でもムーブを起こす(登る)時やレスト(休憩)する時など出来るだけ機会を見つけて意図的に息を吐くようにするのが良い。そうすれば自動的にたくさんの息を吸って有酸素運動になって行く(息を吸うタイミングを考える必要はない)。
(24)見ないで取りに行く
…遠くのホールドを左手で取りに行く場合、ホールドの位置を記憶したら、ホールドを見ないで顔を右に向ける。顎を引いて右の肩の上に顎を乗せるようにするとより遠くに左手が伸びる。
ハンドホールドの効かせ方(基本編)
@下に引くホールド
…重心が上に行くに従って(つまり登ると)効かなくなるので、下に引く体勢を維持して登る。
A横に引くホールド
…右手で右に引く(:ガストン)場合は対角の左足をつま先を左に向けてフットホールドに置き体を右に傾ける(右足はつま先を右に向けて適当な所に置く)。右腕を曲げるに従い肩を壁側に入れるようにする。
…右手で左に引く(:サイドプル)場合は次の二通りになる
(その1)対角の左足をつま先を右に向けてフットホールドに置き体を左に傾ける。右足はつま先を右に向けて適当な所に置くか岩に添えてバランスをとる。
(その2)対角の左足をつま先を左に向けてフットホールドに置き体を左に傾ける。右足はつま先を右に向けて適当な所に置く。
B上に引くホールド(:アンダーホールド)
…斜め上に引く場合もある。足を踏ん張って上に引く力を作る。
Cホールドの組み合わせ(オポジション)
二つ(三つの場合もある)のホールドを組み合わせ、それぞれに反対向きの力を加えてることで保持力を得る。例えば、手を外に向かって引けば(浮き石注意)足は内に向かって押せるので、相当に外傾したフットホールドでも立つことが出来る。サイドプル、ガストン、アンダーホールド、ステミング、レイバック、チムニー、などでホールドの組み合わせが使われる。
<付録>「ホールドの持ち方カタログ」
…オープンハンド
リラックスした感じでなるべく多くの指を引っかけるようにする。岩にかからない指を遊ばせないで、岩に添えたり手の平に巻き込んだりすると保持力が大きくなる。
…クリンプ(カチ持ち)
人指し指から小指まで重ねる。親指の第一関節までを人指し指の第一関節の上あたりにかける。
…オーソドックス
親指以外はカチの持ち方(指はカチほど反らせない場合もある)をする。親指は人指し指の上にかけないでホールドの下に置いてホールドを夾む感じで押しつける。
…ピンチ
親指とそれ以外の指で岩を挟むように持つ。
…リング
親指と人指し指で輪を作って持つ、他の指は人指し指に重ねる。
…パーミング
すべすべしたでっぱりを手のひらの摩擦でのっぺりとつかむ。
…ラップ
幼児の拳固を包み込むように持つ。
…ジャム
親指を曲げ、他の指は伸ばして手刀の形を作ってクラックに夾み、クラックの幅に合わせて手を膨らませてクラックからはずれなくする。親指を上にしてクラックに夾む場合と下にする場合がある。クラックの幅がさらに大きければ手を拳固にしたり肘まで夾んだりして工夫する。同じクラックに足(クライミングシューズ)をジャムしてフットホールドにすることが多い。
…プッシュ
壁を壁に鉛直な方向に押すだけで体をささえる。マントルの出口、チムニーや凹角を登る時に多用する。フェースの登りで足を上げるのに右手で上に引き、左手でへそより下のホールドを指を下にしてプッシュ出来ると楽である。
…ポケット
穴に指をつっこんで体をささえる。肩まで一直線の位置にある薬指を入れるとよく効く。穴が大きければ薬指と中指の二本を、さらに大きければ薬指と中指と人指し指の三本を入れる。ポケットに限らずホールドを持つときには薬指が多用されてしまう。薬指の関節が腫れて痛くなるほどに登り込まないこと。
…手の平の摩擦
手の平で壁を押さえ摩擦の力で押したり引いたりする力を作ることが出来る。左右上下どの方向にも力を作り出せる。体が回転してしまうのを止める“振られ止め”にもなる。
クライミング関連用語集
…デシマルグレード
ロープを使い、リーダーがランニングビレーを取りながら登って行くことを「5」クラスのクライミングといいます。「5」クラスのクライミングを1〜10までの難度に分けたのですが、岩登りの技術が進歩して11以上の難しいルートが設定されるに至りました。5.7、5.8、5.9、5.10a、5.10b、5.10c、5.10d、5.10a、5.11b、5.11c、5.11d、5.12a・・・という順で難しくなります。ちなみに1970年代後半ごろまでの岩登りRCCグレードのW級が5.4、X級が5.6、Y級が5.8程度にあたります。5.7、5.8、5.9といったグレードがつけられたルートはルートを作るほどの人にとっては易しくて興味が他の高難度ルートに向かっていたようです。それで、リードする者の墜落はあまり考えないで支点作りがされていることが多いのです。そういう場合は先輩にトップロープを張ってもらって登るようにして下さい。私見ですが、グレードの上げることばかりを目標にすると、山登りが与えてくれる豊かなサムシング(体験の素敵さ)を見逃してしまいがちです。成人男子で5.10c、女子で5.10aがいつでも登れる状態を保てたらそれは充分すぎるほどの到達点です。それ以上はセンスのいい方でないかぎり体をこわす可能性があります。「グレードを登るのでなくてルートを登ることを目標にしよう!」と提案します。年齢別ランキングの項とマイグレードの提案の項もごらん下さい。
…レッドポイント
何回もトライした後で「ノーテンション&ノーフォールで登りきる」こと。私見ですが、レッドポイントが一番うれしいし、高く評価される方向に持って行きたいと思います。
…フラッシュ
ルートの情報を下調べしたり、実際に登っている姿を見た後で初めてのトライで登りきること。
…オンサイト
下調べや、他からの情報をもらうことなしに初見で登りきること。登る前からヌンチャクがセットされているルートでも下調べなく初見で登りきれたらオンサイトになります。私見ですが、フラッシュとオンサイトを高く評価する考えは自然の岩場でのクライミングを普及することには向かないと思います。
…マスター
ルート上にあるボルトやハーケンなどのプロテクションに自分のヌンチャク等をセットしながらリードで登ること。
…ステミング、スメアリング
ステミングは両足を左右につっぱって体重をささえることをいいます。うまく決まれば両手を離して休むことが出来ます。よく似た言葉にスメアリングというのがあります。スメアリングは靴の底をフェース状の岩にこすりつけるようにして、摩擦の力で体重をささえることです。左右の壁に両足をスメアリングしてステミングするというように表現します。
…ステミングフェース5.7
ステミングフェースは奥武蔵・日和田山の岩場にあるルート名で上記のステミングとは関係がありません。
*クライミング関連用語集は質問に答える形で増やして行きたいと考えています。知りたい用語がありましたらメールにて連絡して下さい。
…フィギャーフォー
…ナンデモアリ
…エーゼロ、エーワン、エイド
…プレクリップ
…ゴボウ
…レスト
…テンション
…チョークアップ
…スポット
…ボルダー、ルート
…マップ、トポ
…スラブ
…フェース
…カコウガン、ゲンブガン、シュウカイガン、サガン、セッカイガン、チャート
クライミングで体を壊さないための十箇条
(松浦寿治 、2005.8/10作成、2006.3/23、2007.1/14、2009.5/24改訂)
@岩登りの技術(ロープワーク含)は私達登山者が野や山にある人の管理から離れたフィールドに出かけて行くことを可能にしました。その技術は自分で自分の安全をセット出来ます。橋が落ちていても、道が崩れていても、道なんかなくても、絶壁を越えあるいはクレバスを突破して進んで行けるのです。私は多くの先輩達が「岩登りは登山の基本である」としたことに大きく同意しています。
@1980年代後半あたりから、いつのまにか冒険的な岩登りは忘れられる方向に向かいました(未踏の岸壁がほぼ無くなったなど様々な理由があると思われます)。そして、室内クライミングジムで分厚いスポンジマットに守られたボルダリングに没頭する人や、一ノ倉沢南稜・剣岳Cフェース・北岳バットレス四尾根・ヨーロッパアルプスミディ南壁といった人気ルートのガイド登山に参加することをよくする人が増えてきました。ところが、そのような冒険的でない(手軽に取り組める?)岩登り(クライミング)の流れに乗って(遭難事故が少ないずなのに?)体を壊したり山に出かけて行く意欲を失なってしまう人を多くみかけるようになりました。
@クライミングで体をこわしたり山への意欲を失うことなどないこと、そしてもちろんクライミングによる事故など皆無であることを祈念して以下の十箇条を提案します。
1,クライミングジムばかり行くのはやめよう。
…自分で自分の安全をセットする力が身につかないタイプになってしまう(人口保育した野生動物を自然に返すのが難しいことに酷似)。ジムで促成されるのでなくて、自然の風の中に身を置いて、ゆるやかなカーブで上達する“山の子”を目指そう。山歩きは最も効果的な有酸素運動、山を歩くことで得られる豊かな「素敵さ」を見逃してはならない。
2,月に二回は岩登り(自然の岩場がベスト、クライミングジム可)をしよう。(上記1の対角)
…
何ヶ月も岩登りをしないと怖さが先に立って思うように動けない。
3,ボルダリングよりルートを目標にしよう。
…ボルダリングはかっこいいけど怪我しやすい。マット上とはいえボルダリングは落ちる(飛び下りる)、落ちる衝撃をくりかえせばいずれ骨格と関節のシステムに損傷を与える。腰椎症、頸椎症、捻挫、などが起きれば数ヶ月を待たないと回復しない。
ルートで落ちてもロープとハーネスに軟着陸するからダメージは少ない。
…軟着陸といっても体躯の大きい人のアクティブなクライミングのビレーをする場合は腰まわりの準備運動をしっかりとしてからでのないと腰椎や椎間板を痛める可能性がある(大きな男性のランジトライを華奢な女性がビレーするなどということはきわめて危険)。
4,週に四回以上クライミングジムに行ってはいけない。
腱や筋肉の回復が追いつかず炎症が慢性化する。岩登りは無酸素運動、体中の新陳代謝が不足して、不調になる。毎日のように行なってよいのはストレッチ。
5,一日に五回以上同じ課題にトライしてはいけない。
何回も同じ動作をすると一カ所の筋肉や腱にストレスが集中してそこを痛めてしまう。五回目のトライをしないで別の課題に移ろう。
6,上手な人(インストラクターを除く)の前では無理しないようにしょう。
スポーツクライミングの世界では上手な人(=レベルの高いエキスパートクライマー)と場所をゆずりあって一緒に練習するのがあたりまえだ。上手な人と仲良くなっていいろいろ教えてもらったり、一緒にランチを食べたりして楽しく過ごせる機会も多くて、それはとても素敵なことだ。そうするうちに、「彼らの仲間になった自分は彼らのように登れるようになる。」と認識してしまう可能性が出てくる。
@「高難度を追うクライミングを志向していて才能が豊かに有る人」の場合はそれで良い。
A「高難度を追うクライミングを志向していて才能が中ぐらいに有る人」の場合は気をつけなければならない。
“どんなに努力しても出来ないこと”を「努力すれば出来る」とか「努力」が足りない”とか思って苦しんではならない。「これ以上進歩しないのでは・・・?」と思ったら、なるべく早く“山”に行こう。この稿の読者であれば引退のない山に行くのがよい。
B「高難度を追うクライミングを志向していないのに才能が豊かに有る人」の場合はその才能が見逃されるはずはない。
エキスパートクライマーの仲間となってクライミング第一主義の生活を“疑問をかかえながら”続けるのはよくない。「でも!、何か違うんだけどな・・・?」と思ったら、なるべく早く“山”に行こう。この稿の読者であれば引退のない山に行くのがよい(再掲)。
C「才能があまりにも無い人」の場合はエキスパートクライマーから積極的に話しかけられることは少ないからちょっとつらい。
才能のある人がクライミングを始めて3日で出来るようになることが3年経っても出来ないからそれと分かるはずだ。自分ばかりか仲間の危険を避けるのための運動能力の乏しさにもつながっているから“あぶなっかしい”のだ。そういう人はロープ,ピッケル,アイゼンを使うレベルの登山を行なってはならない、ハイキングとかエアロビとか水泳とかマラソンみたいな基本的に安全で個人で行なえる種目に移行した方がよいだろう。
7,後輩を自分の所まで引き上げないようにしよう(上記6の対角)。
引き上げるのは講習会だけで充分、後輩の所に下がって共に学ぶようにしなければ後輩の体をこわしてしまう。インストラクター(講師)でない君はセンスが良くて積極的な後輩だけをピックアップして教えようとする傾向があると知るべきだ。隅っこでおとなしくしている後輩の方に多く目を向けなければクライミングの世界は広がらない。
8,安全は複数でとる。
指差して確認、エイトノット、ハーネスの折り返し、ビレーシステム、ビレーポイントでのセルフビレー、トップロープの支点、・・・など
9,確かめてから力をかけるのが基本。
自然の岩場は風化によってつねに崩壊している。確かめてから立つ、確かめてから持つ。クライミングジムのホールドだって動くことがある。
10,グレードよりもルートを登ろう(グレードの数値を追わない)。
…ルートクライミング5.13以上とかボルダリングV14以上とかの高いグレードを目指すスポーツクライミングと、ヒマラヤの高所登山やY級の沢登りなどとは、「より高く、より困難を目指す」という考え方において同値だと知るべきだ。赤血球の濃度を大きく変えるほどに体に負担をかけるヒマラヤ八千メートル峰登山や、数年をかけて行う奥利根や黒部の全沢遡行のような登山と共通項が多いということだ。グレードを追いかければいずれ行き詰まる。一進一退くをくりかえし、ある時大きく後退し、そして戻れなくなって、戻る気だけでなく「やる気」まで失ってクライミングそのものを止めてしまう場合を何度も見てきた。
…5.12が登れる人にあこがれ、5.8が登れない人を見て安心するなんてことがないように努力しよう。今、5.11が登れても、2週休めば登れない。困難さのグレードを追うのでなくて、インタレストグレードの高いルートを登ろう。自分にあった三ツ星なルートと素敵なロケーションの岩場を求めてクライミングの旅に出かけよう。
マイグレードの提案
@室内クライミングジム(以下ジム)に通っている人は多い。ジムでは初心者用から上級者用まで細かく段階を追って課題が設定されている。それで、ジムに行った人は自分に合ったちょっとがんばればクリア出来る課題をいくつも見つけることが出来るのだ。ジムは「ジムに行く→準備体操→アップ(目指す課題よりやさしい課題を登る)→調子が上がって来る→目指す課題にトライ(成功すれば次の課題へ、成功しなければ次回に据え置く)→お茶する→おしゃべりする→クーリングダウン→ジムを後にする」といった形で「グレードの数値を追うクライミング」が楽しめるように設計されている。
@ジムに通い始めたころは目指す課題をクリア出来るようになるまでの期間は短いのだけれど、半年、1年と経過するうちに次第にその期間が長くなって来る。ストレッチ、筋トレ、ダイエット、ジム行の回数増、などをすると課題がクリア出来るのでそういうことをよくするようになる。そのうち、いつまでたってもなかなか課題がクリア出来ない期間がやって来る。そしたらさらに、例の、ストレッチ、筋トレ、ダイエット、ジム行の回数増、などの負荷を大きくしなければならないと思うようになる。実際にそうする人も多いわけだけれど、特別の場合を除いて、いずれ行き詰まるのが見えている。
@負荷を大きくすればトラブルも生じやすくなる。特にダイエットに伴うトラブルは深刻である。本来ダイエットというのは肥満が原因で起こる病気の予防のために行うもので、標準体重の人がむやみにダイエットを行うと栄養不良による障害が出てしまう。
@標準体重の下限近くまでダイエットすればクリア出来るが、そこから体重がチョット増えただけでクリア出来なくなるようなら、そのグレードが到達点であると考えるのが科学的だ。その到達点より一つ以上手前(いくつ手前かは各自が決める)のグレードをマイグレードと名付けることにする。
@マイグレードがいつも安定して登れればそれでいい。そして、ジムはマイグレードが登れる力を維持するトレーニングの場であってグレードの数値を追う所ではないと考えよう。*科学的なトレーニングと強い意志に裏付けられて高難度クライミングを目指すとか、クライミング競技の選手を目指す、・・・とかの方はこの限りではない。
@プロ野球の選手は1年130試合を何年も出場し続けるために、100%〜80%〜50%と力を加減して使わなければならない。彼等は5年10年20年という長いスパンの選手生活の中で素敵な記録をねらって仕事をしている。その「力の80%〜50%への加減」がマイグレードの考えに近いと思われる。野球選手の例が示すように、マイグレードはその向上でなくて習熟と維持と使い方が大切なのだ。マイグレードを維持している二十年,三十年という時間的長さをクライマーは記録として目指すべきである(こちらもごらん下さい)。
@マイグレードは岩登りでだけでなくて、沢登りや雪山登山そして海外登山など全てのジャンル、全てのスポーツ、全ての・・・に存在している。
@「山に登る喜びというものは、数え上げれば十本の指では足りないぐらいに豊かなものです。」…(山の師の言葉)
「グレードの数値を追いかけることに束縛されて、山登りにある豊かな実りを取り逃がしてはなりません。マイグレードを早めに見極めて、さあ、Tiiimitiaimiの山登りに出かけよう!」…(2007.12.17松浦寿治提案)
年齢別ランキング
@日本レクレーション協会1995年発行のフリークライミングハンドブックの23ページに年齢別ランキング(北川式)というのが載っていましたので転記します。年齢と男女別(M男、W女)のハンディの表です。
@Expert(柔道や剣道の初段とか茶道や花道の名取り的な位置感覚)の部分の中央値が5.10bになっていることに敬意を表します。
@提案者の北川勇人さんは日本クライミング協会の1989年6月の発足から1990年3月までの理事長代理を勤めた方です。ちなみに日本フリークライミング協会は「フリークライミングが登山とは別のスポーツとして発展した事。それによって、独自の問題、課題が生まれた事。」の二点がきっかけとなり大岩あき子、大岩純一、内田愛二、金子幸男、菊池俊之、北川勇人、北山 真、橋本 覚、綿引英俊、杉野 保、掘地清次さんらが中心になって発足し、現在に至っています。
@北川さんがこのランキングを作った時代なら、自然の岩場に作られた5.9アンダーのルートにも「しっかりした支点」があって「Beginner」の墜落をフォローすることが出来たと思われます。しかし、2006年現在ではそういう支点があることはほぼ期待できません(私費を投じて5.9アンダーのルートを定期的に整備する人又はグループはいないでしょう)。そういうルートに取り付く場合はトップロープ(信頼出来る人がセットした確実なもの)を使って登るようにして下さい。落石、浮き石、岩の崩落、などにも充分注意して下さい。
| Age | Beg | Int | Adv | Exp | Sup | Spe | |
| ,〜29 | M | 5.9 | 5.10b | 5.10d | 5.11b | 5.11d | 5.12b |
| W | 5.8 | 5.9 | 5.10b | 5.10d | 5.11b | 5.11d | |
| 30〜39 | M | 5.8 | 5.10a | 5.10c | 5.11a | 5.11c | 5.12a |
| W | 5.7 | 5.8 | 5.9 | 5.10b | 5.10d | 5.11b | |
| 40〜49 | M | 5.7 | 5.9 | 5.10a | 5.10c | 5.11a | 5.11c |
| W | 5.6 | 5.8 | 5.9 | 5.10a | 5.10c | 5.11a | |
| 50〜59 | M | 5.6 | 5.8 | 5.9 | 5.10b | 5.10d | 5.11b |
| W | 5.5 | 5.7 | 5.8 | 5.9 | 5.10b | 5.10d | |
| 60〜 | M | 5.5 | 5.7 | 5.8 | 5.9 | 5.10b | 5.10d |
| W | 5.4 | 5.6 | 5.8 | 5.9 | 5.10a | 5.10c | |
Beg=Beginner Int=Intermediate Adv=Advance Exp=Expert Sup=Super Spe=Special
@前記のフリークライミングハンドブックに人口壁設置業者
一覧が出ていました。人口壁が各地に出来つつあった1995年当時の熱い思いが伝わります。フツーのクライミングの技術書にはあまり記載がないことなので以下に転記します。現在もアクティブな人口壁設置業者については日本フリークライミング協会に問い合わせて下さい。
(株)オーシーエス 大阪市淀川区北2−3−35 電話06-306-0914
巴工業株式会社 東京都中央区日本橋3−9−2 第二丸善ビル 電話03-3271-4050
東商株式会社 大阪市中央区南船場4−1−9 電話06-244-9753
株式会社ダイナウォール 東京都府中市日鋼町1−1 Jタワー10F 電話042-333-8511 www.dynawall.com
フランス・ピラミッド社
HOTCH HOLD AND BOARD社
@1995年〜2004年にかけてたくさんの人口壁が出来ました(渡辺弘・君子夫妻のガンバウォールと葛飾区総合スポーツセンター人工壁をかわきりに、大岩夫妻のビックロック、野田市民体育館、江東区深川スポーツセンター、綿引氏のエナジー、柴田氏のミストラル、ジャック中根と砂場氏のJ&S、などなど)。
@人口壁は登山の世界から別れたスポーツの場となりました。そこでは、赤や青でわかりやすく色分けされ、壁から数センチも飛び出して、下からの観察が容易で、一度ならずも何回もどこかで見て触れたことのあるホールド、と、1メートル程度おきにある(あらかじめヌンチャクの下がった)絶対確実な支点を使い、思いっきり優れたルートセッターによって、主に営業用にそしてほんの一部だけ競技用に、ルートが作られています。
@2006年の現在、人口壁と自然の岩場の格差は大きく広がってしまいました。人口壁で登れても自然の岩場にある同じグレードのルートは登れないのが現実です。
@自然の岩場でのクライミングは(それがくりかえし整備されているルートを登るものであっても)人口壁でのそれよりも数段あるいはそれと比較にならない危険要素を含むものです。
@自然の岩場でのクライミングはスポーツ(人工的に管理されたルールに守られる)ではなくて「登山(自分で自分の安全をセットする)の世界から抜けることなくずっとそこに在った。」と、人工壁20年の歴史が伝えているのです。そして、登山の世界ではそこにある豊かさだけでなく厳しさも年齢や男女の別なく平等であることを忘れてはなりません。
リードアンドフォローのロープワーク(T=トップ S=セカンド)
TS…ザイルをとく
*ザイルの末端(末端Aとする→反対側を末端Bとする)をセカンドにわたしてセカンドのハーネスに末端Aを結ばせる(アンザイレンの開始)
*ザイルをほどき地面の上にどんどん重ねて行く。
*ザイルをほどいて末端B(一番上)まで来たら、トップのハーネスにその末端Bを結ぶ
TS…アンザイレン(エイトノットくの字締めプラス留め結び)
*シングルロープの場合ビレーループの左側に結ぶ
*ダブルロープの場合ビレーループの左右両側結ぶ
(参考)ダブルロープの場合ビレーループの左側に一本結び、もう一本はビレーループにつけた安全環つきカラビナに結ぶというもう一つの方法がある。ロープのもつれを素早く直せるので便利である。
S…セルフビレー(ビレーヤーの立つ位置に注意)・・・@
*立ち木などのしっかりした支点があれば長く太いスリングをタイオフしてそれにカラビナをかてカラビナを反転させ、それにメインザイルを使ってクラブヒッチ(インクノット)を施してセルフビレーをセットする
*セルフビレーはテンションをかけない程度にたるませて使う
*シングルピッチの場合はセルフビレーをセットしない。
*ハーケンやリングボルトなどが支点の場合は複数の支点にカラビナをかけてメインザイルを使いクラブヒッチで連結する
*テラスから落ちない長さで長めに
*セルフビレーをセットしても、トップが墜落すれば正面の岩に激突する、だから、一個目の中間支点の真下で、岩にピッタリくっついた位置に立つ
*トップが中間支点の三つ目をセットするまでは岩から離れない(二つ目でわすかに離れて良い)
*ルンゼやクラックの下には立たない(落石の通り道)、少しでも岩がリッジや稜になっている所の下に立つ
*沢登りノート→ビレーヤーの位置を参照のこと
S…トップのビレイはボデイビレーで
*ビレー器具はATC、ハーフマスト、エイト環から選択
*ダブルロープの場合はATCで、沢登りの場合はエイト環で
S…「ハーネスオーケー」
*セカンドは『トップのハーネスとロープとが確実に結ばれているか。ハーネスのベルトがバックルの所で折り返されているか(折り返さなで良いタイプもある)。』を点検して指差し呼称する。
T…「ビレーオーケー」
*トップはセカンドのビレーシステムのセット状況を点検して指差し呼称する。
S…「登っていいよ」 T…「行きます」
T…ランニングビレー(スリングとリングベンド、ダブルフィッシャマンズノット、ブルージック系の結び、ヌンチャクとクリップの技術)
*ロープの流れを考えてスリングの長さを決める
*ハーケンにスリングを通してスリングを二つに折りそこにカラビナをかけカラビナを反転させ、そのカラビナにザイルをクリップする場合が多い
*ハーケンの穴がつぶれていることが多いので幅の細いスリングが有効、ヌンチャクは使えないことが多い。
*ハーケンなどの支点が不足している場合は潅木を使ったりハーケンを打ち足したりナッツを使ったりして補足する
*ナッツ回収器(チョクッレンチ)を携行するとそれに助けられることが多々ある
S…「あと二十メートル」、、「あと十メートル」
*セカンドはトップにザイルの残りの長さを知らせる
*残りのザイルがなくなった場合、セカンドは自分のセルフビレーを解除して、トップとザイルいっぱいの距離を保ちつつ登り始める
T…テラスにてビレーポイントの設営、同時にセルフビレー(クラブヒッチ、クラブヒッチ連続によるバックアップ)
*セルフビレーはメインザイルを複数の支点にかけて反転させたたカラビナにクラブヒッチを連結してセットするのが基本
T…「ビレー解除」 S…「ザイルアップ」、「ザイルいっぱい」
T…たぐりよせたザイルは足下に置くか、ロープを置けるほどのスペースがない場合はセルフビレーに振り分けて掛ける。
T…セカンドのビレイは以下から選択
*ATC支点折り返しボディビレー(ダブルロープの場合は折り返し点のカラビナは2か所に2ケ使う、やむをえず1ケの場合はトップが入れかわる時に1本のロープをはずす)。
*ATCボディビレー(セカンドに正対して)
*エイト環ボディビレー(セカンドに正対、沢登りの場合)
*ハーフマスト支点ビレー(支点の強度があればかなり有効、ダブルロープの場合は支点は30センチほど左右に離れて2か所必要)
*エイト環グリップビレー(沢登りの場合に多用する)
*その他(カラビナグリップビレー、肩がらみ、など、早さ重視の場合)
T…「登っていいよ」 S…「行きます」
S…セルフビレーの解除、ランニングビレーの解除
S…テラスにてセルフビレー(登攀具の受け渡し、複数回に分けて)
TS…休憩も可
TS…支点ビレーを使っていた場合はボデービレーに変更、支点折り返しビレーの場合は変更なし
*トップが入れかわらない場合(ロープの上下の入れ替え、@に戻る)
TS…終了点で気を抜かない
リードアンドフォロー「ビレー解除」の合図が届かない場合
@トップがビレーポイントに着き、セルフビレーをセットしてセカンドに向かって「ビレー解除」と合図を送ったが、風の音や水の音にかき消されて合図が届かない、あるいは届いているのだがセカンドからの「ザイルアップ」の合図が返って来ないことがよくある。
@合図が届かない場合はトップはザイルアップをしてはならない。トップはザイルアップをせずにセカンドのビレーシステムを作り、セカンドをビレーするつもりでザイルを少しずつたぐっていく。ザイルがたぐれない場合はセカンドがブルージック方式(沢登りノートのロープフィックスの項を見て下さい)で登って来るのでビレーの姿勢をずっと保って待機する。
@セカンドは「ビレー解除」の合図が来ないからトップのビレーを解除出来ないでいる場合と、「ビレー解除」は届いたが「ザイルアップ」の合図がトップに届かないのでザイルがどんどん引き上がらない場合がある。どちらの場合もあせらずの「ザイルいっぱい」の状態になるのを待つ。
@セカンドは「ザイルいっぱい」の状態になったら、セルフビレーをほどき登り始める。
@トップとセカンドとの合図の行き来がなくてザイルがいっぱいになった場合には、トップはセカンドをビレーしているか、50メートル(or
45メートル)いっぱいにザイルが伸びた所を登攀中のどちらかの状態になっている。
@トップがセカンドをビレーしている場合はその時点で問題は解決されている。
@トップが50メートル上を登攀中の場合はコンテニアスクライミングになるが、途中にランニングビレーがいくつも入っているのでかなり安全な状態にある。セカンドはロープをたるませることなく50メートルの距離を保って登りつづければよい。長く登らないうちに、いずれ、トップはビレーポイントに到着して、ザイルが一時的にストップし、再び上がり出す(セカンドのビレーをしている)。セカンドはザイルに引かれるに従って登って行けばよい。
@セカンド、サード、フォースと何人も後続がいる場合がある。セカンドはロープがいっぱいになったら、そのロープを固定してしまいブルージック方式で登ります。トップと連絡が出来る所まで登ったら後続に様子を伝達します。連絡が届かない場合はクライムダウンして連絡します。ロープがもう一本ある場合はトップからのロープの末端につながり、サード以降のためにもう一本のロープを引いて登るのでも良い。
支点折り返しビレーと支点ビレー
トップがセカンドを確保する場合は支点折り返しビレー(ATCによるボディビレー)か、その折り返しの支点を使って支点ビレー(エイト環グリップビレー、自動ロックするビレー器具“例:ルベルソー”によるビレー)を使うことが多いです。岩登りにおけるメンバー構成とダブルロープのシステムの項を合わせてごらん下さい。
◆トップとセカンドがピッチごとに入れ替わる場合(つるべ方式)
@トップはビレーポイントに着いたら、ビレーポイントをクラブヒッチ連結方式で作ります。30行ほど下に記された固定分散方式を使用しても良いです。クラブヒッチ連結方式でビレーポイントを作る方が固定分散方式より短時間で、使用するスリングが少なく、手元の作業スペースを広くすることが出来ます。
@まず、二つ以上なるべく多くのハーケン等を見つけて、一つ目にはヌンチャクを、二つ目からはカラビナをかけます(カラビナは一回転してゲートを岩側でない方に向ける)。メインロープを一つ目ヌンチャク→二つ目カラビナ→三つ目カラビナ・・・の順にインクノット(クラブヒッチ)で弛みなく連結してセルフビレーをセットします。「一つ目ヌンチャクのスリング」と「一つめヌンチャクの下のカラビナと二つ目カラビナを連結するメインロープ」で作る角度が60度以下になっているのが理想です(分散加重される)。
@次に支点折り返しビレーのシステムを作ることになります。セカンドが落ちても強い衝撃は無いはずですが、それでも折り返しの支点が飛んでしまうことがあります。
@メインロープで複数の支点にカラビナをかけ、それををインクノットで連結してセルフビレーをセットしています(上記)。そのカラビナの内の一つでそのカラビナをかけた支点が壊れても他の支点からのバックアップが充分に効いているカラビナ(Aカラビナとします)を選びそこに折り返し支点用のカラビナ(Bカラビナとします)をかけます。
@AカラビナにBカラビナをかけるのでなくて20cmほどの短いスリング(Cスリング:70cm程度の一般的長さのスリングを二〜三重の輪にして“現場で”作る)をAカラビナにかけ(CスリングはAカラビナだけでなくてメインロープにもかけて万全を期すこと)て、そのCスリングにBカラビナをかけます。
@Bカラビナはそのバックアップが強固なものであれば折り返しの支点とするだけでなくエイト環グリップビレーの支点とすることも出来ます。
@Aカラビナをかけた支点が飛んだ場合にバックアップとなる次の支点にかかる衝撃の方向まで考えてシステムを作るようにして下さい。バックアップの支点が飛んでもまださらにバックアップの支点があるぐらいの頑丈さがあっていいです。
@しっかりした折り返しの支点は作れないがセルフビレーはしっかりとした支点から確実(正しい向きと正しい長さ)にセットされているという場合は、下を向きセカンドに正対してのボデービレーに切り替えて下さい。セルフビレーがあてにならない場合には腰を下ろし、足を踏ん張ってセカンドが落ちても引きずり込まれない体勢を作って下さい。
@ダブルロープを引いた場合は二本のロープを折り返しの支点の同じカラビナにかけことになる場合が多くなります(折り返しの支点を二つ作るのがめんどうなので)。その場合、セカンドがビレーポイントを過ぎてトップとなり(つるべ方式で)さらなる上に登り出す前にロープ一本を折り返し支点のカラビナからはずすようにして下さい。もし、ロープ一本をはずさなかったとします。トップが墜落すると折り返しの支点のカラビナに通った二本のロープの内の一本だけに衝撃がかかり短く高速でスライドします。そのスライドによって発生する摩擦熱でロープが溶融してしまうことになります。
@ダブルロープを引いた場合で、ロープの長さが二本ともまったく同じで、ビレーポイントのセルフビレーが左ロープでセットされたとします。トップはロープアップの際に、右ロープをセルフビレーの長さ(1メートル弱)だけアップして、それから、右ロープと左ロープ二本を束ねて同時にアップするようにします。そうすると、セカンドが登る時に片側だけのロープアップをしなくてすませられる可能性が高いです。ロープの長さが異なる場合は、セカンドが長い方のロープの末端でなくて左右じ長さの所でロープにつながっているのが良いです(短い方のロープは末端につながる)。
◆トップとセカンドがピッチごとに入れ替わらない場合(万年セカンドのための方式)
@トップはビレーポイントに着いたら、ビレーポイントをトップとセカンド(以下:万年セカンド)が共通に使用するために固定分散方式で作ります。上記のクラブヒッチ連結方式では、万年セカンドのために残しておけるビレーポイントが作れないからです。
@まず、二つ以上なるべく多くのハーケン等を見つけて、それぞれにカラビナをかけます。それぞれのカラビナにスリングをかけそのスリングの反対側をまとめて安全環つきのカラビナをかけます。複数のハーケンから出るスリングをまとめる扇のかなめの位置に安全環つきのカラビナをかけるのです。複数のハーケンが水平に並んでいない場合はどれか一つのスリングに加重されてしまうので、他のスリングの長さを調節してそれぞれのスリングに加重が均等に分散されるようにします。スリングの長さの調節は@スリングをねじる、Aカラビナに複数回巻く、Bスリングの途中でエイトノットを作るなどの方法があります(工夫して下さい)。このやり方は固定分散方式と呼ばれています。流動分散方式は一つのハーケンが抜けると次のハーケンに衝撃荷重がかかるので使わないで下さい。
@固定分散方式が出来上がったら、扇のかなめ位置の安全環つきカラビナにメインロープをクラブヒッチで連結してセルフビレーをセットします。
@扇のかなめ位置の安全環つきカラビナの隣にカラビナをもう一つ追加すれば、支点折り返しビレーの支点となります。
@次に、支点折り返しビレーの支点を使ってセカンドをビレーポイントまで引き上げます。万年セカンドがビレーポイントに到着したら支点折り返しビレーの支点を作っているスリングのどれかにカラビナをかけてセルフビレーをセットしてもらい万年セカンドへのビレーを解除します。
@上の時点では万年セカンド側のロープが上でトップ側のロープが下になっているので、ロープをたぐりロープの上下の入れ替えをします(50メートル全てたぐり入れ替えます)。
@トップは万年セカンドからスリングやカラビナなどの登攀用具を複数回に分けて受け取り(一度に行って全てを落とすことを防ぐ)、万年セカンドにボデービレーをしてもらっい登攀を開始します。その際、ビレーポイントを設営するのに使ったスリングやカラビナはそのままの形で万年セカンドのために残します。
◆トップがセカンドに対して行う支点ビレー
@沢登りで多用するエイト環グリップビレー(支点ビレー)はATCによる支点折り返しビレー(ボディビレー)よりもセットが簡単で操作性に優れています。セカンドの確保の場合には積極的に使って下さい。エイト環は下降器ですが確保器としてもすぐれている点があるのです。荷(ワンビバーク出来る程度の重さ)を背負っての登るルートでのセカンドの確保であればベスト(2006年5月現在)の性能を持っていると思われます。
@エイト環はATCと同様にトップを確保することも出来ます。確保の手を一時的に放してしまうようなトラブル(例、トップが落とした石にあたるなどして確保の手を一時的に放してしまう)あっても、エイト環の中を制動がかった状態でロープが流れているので再度それを握りしめることが可能です。ただし、ATCよりもロープを繰り出すスピードが遅くなります。
@ダブルロープでトップを確保する場合にはATCを使うようにして下さい。もし、エイト環に二本ロープをかけたままトップをビレーしたとします。トップが墜落するとエイト環に通った二本ロープの内の一本だけに衝撃がかかり短く高速でスライドします。そのスライドによって発生する摩擦熱でロープが溶融してしまう可能性があります。
@ダブルロープでセカンドを確保する場合は墜落しても静加重がかかるだけなのでエイト環に二本のロープをかけて支点ビレーしてOKです。しかし、エイト環に二本のロープをかければ操作性がかなりおちてしまいます。それで、一方のロープはマニュアル通りにエイト環にかけ、もう一方のロープはエイト環の大きな穴に通したらそのままカラビナ(エイト環の小さな穴にかかっているビレー用のカラビナ)にかけてしまうと(エイト環のくびれの部分にはかけない)ロープの操作性を向上させることが出来ます。
◆自動ロックするビレー器具による支点ビレー
@ルベルソーという自動ロックするビレー器でセカンドの支点ビレーをすることが2000年ごろから流行しています。2本のロープを独立してビレー出来るし、ビレーの手を離すことも出来るので大変便利です。セカンドが落ちてロープがロックされた場合にそのロックの解除に手間取る欠点がありますから注意して下さい(特に、沢登りの場合にはセカンドをおぼれさせてしまう危険があります)。セカンドが落ちてロックされたロープを解除するためには、ルベルソーをセットした支点から真横か斜め上に50センチメートルほど(右横か左横かはルベルソーのバケツ型の底の向きで決まる)離れた所にもう一つ支点(解除用の支点)が必要です。その支点にカラビナをかけ、ハーネスのビレーループ付近に連結したデージーチェーンを通し、そのデージーチェーンを“ルベルソーにセットされたロープを折り返すために使われているHMTカラビナ”に連結します(デージーチェーンがピンと張ってほとんどタルミが出来なくなる位置にあるデージーチェーンの輪を選んでで連結)。体重をかけてデージーチェーンにテンションを与えるとHMTカラビナが解除用支点の方向に引かれてロックが解除されます。デージーチェーンでなくてスリングや短いロープでも解除は出来ますが、その長さの調節でさらに手間取ってしまいます。ちなみに、デージーチェーンの取り扱い説明書にはセルフビレーはメインロープでセットしデージーチェーンはバックアップとしてのみ使うことと記されています。
@ルベルソーのような自動ロックするタイプのビレー器の改良が進んでいます。セカンド墜落によるロックの解除のために器具を吊す輪と反対側に小さな輪がついた製品がブラックダイヤモンド社から出ています。7.9ミリ径の細いロープ用の製品がペツル社から出ています。使用法の研究とその習熟を経て使用して下さい。
沢登りで多用するエイト環グリップビレー(エイト環による支点ビレー)について

沢登りで良くつかうエイト環グリップビレーです。後続
する数名をビレーするのに便利です。
@トップは滝を登り終えたら左右の側壁に支点となるような生きた太い立木を探します(立木が無い場合は岩の塊を利用しますが相当大きくてぜったいに動かない岩でなければなりません。岩の塊も無い場合はハーケンを打ちますが別々のリスに打った良く効いているハーケンを二本以上連結して下さい)。
@立木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけ、エイトノットプラス止め結びでメインロープをフィックスします。
*メインロープをトップのハーネスにきちんと正式に結んでおくと、それをほどくのに時間がかかります。激しい墜落が予想されない場合は、滝を登る前からメインロープをハーネスの安全環つきカラビナにエイトノットプラス止め結びで連結(いわゆる簡易ガケ)しておくと手早くフィックス出来ます。簡易ガケによる連結は安全環付カラビナ一枚のみでなくて、反対方向にゲートを向けた普通カラビナを追加して万全を期して下さい。
@フィックスしたスリングの回収がめんどうになることが予想される場合は、スリングを用いずメインロープを懸垂下降のように木に回して2本にして下に引きその下でブーリン結び(止め結びを必ず付加)などで固定します。回収の場合は結びをほどいて、懸垂下降のロープの回収のように、ロープの一端(セカンド側)を引けば立木から抜けて来るという仕組みです。
@フィックスしたロープを手すりにして滝の落ち口近くまで行き、そのロープでインクノットを作りハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーをセットします。
*トップが滝を登り終えて、立ち木にメインロープをフィックスした後、そのフィックスしたメインロープを手すりにして滝の落ち口まで行くのが簡単でない場合があります。その場合は立ち木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけたらそのカラビナにメインロープをクリップしてしまいます。セカンドにビレーしてもらっている状態を保ちながら滝の落ち口までもどります(パーティの人数が3人以下で、後述のロープウェイ方式を使わない場合はこのセカンドにビレーしてもらう方法がベストです)。滝の落ち口に立ったらセカンドから立ち木に向かっているメインロープをとってそれにインクノットを作りトップのハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーとします。あるいはフィックスしたメインロープにブルージック結でセルフビレーをセットして、ブルージック結びを動かしながら滝の落ち口に向かう方法もあります。TPOに合せて工夫して下さい。
@セルフビレーのインクノットの上100センチメートルくらいの所にインクノットを作りカラビナをかけてエイト環グリップビレーの支点とします。
@高さが10メートル以下の滝の場合はザイルアップをせずに、ロープの中間にエイトノットを作り二番手の人のハーネスと連結します。
@エイト環グリップビレーをして二番手に滝を登ってもらいます。二番手が滝を登り終えたら、滝の下から、滝の下側に残ったザイルを引くと二番手が登って上がってしまったザイルを戻すことが出来ます。三番手以下も同じ方法で登ります。上からロープを投げる手間がかからないので、短時間に多くのメンバーを滝の上に上げることが出来ます。この方法をローウェイ方式と名付けています。
懸垂下降について
@懸垂下降についての次の文を読んで下さい。
@懸垂下降のための準備から下降に至るまで、セルフビレーをセットして準備者の安全確保に万全を期して下さい。
@下降器はエイト環を用います。改良型のATCなどでも下降出来ますが。足場が悪くシビアな場面でのロープセットはエイト環の方が手堅いです。一番先に降りる人はロープのひっかかりをなおしながら降りことが多いのですが、いつも制動が効いているエイト環の方がロープ操作の際に安心感があります。
@ハーフマスト結びによる懸垂下降はエイト環がない場合に有効なので練習しておくと良いです。ハーフマスト結びによる方法の場合には30メートルといった長い距離を懸垂すると激しくキンク(ロープがくるくる捩れてしまうこと)してしまいます。ロープが回転しないように握りしめて懸垂下降器を通すことでキンクを押さえながら降りることが出来ます。ちなみにエイト環やATCによる懸垂の場合でも少なからずキンクしてしまうので、下降器の種類にかかわらずキンクを押さえながら降りる方がベターです。
@ロープは巻いてループにせずに2本まとめて折り返して束ねます。手前の三分の一を地面に中間の三分の一を左手に、末端の三分の一を右手に持ち、左手、次に右手の順で投げます(左利きの人は反対の手になります)。
@投げたロープは途中の岩角や潅木に引っかかることの方があたりまえです。投げずにロープ袋に末端の側から少しづつ押し込むように入れて行って(ロープをロープ袋に)しまいます。そのロープ袋を腰のあたりに吊して、そこからロープを引き出しながら懸垂下降する方法がベターです。ロープを投げないので引っかかることはありません。ロープの長さを超えた距離の下降になることがあるので、ロープの末端にエイトノットなどで大きな瘤を作ってから袋にしまって下さい。「ロープを投げるやり方」よりも「袋にしまうやり方」を基本とすることを登山界に提案します。
@不安がある場合は懸垂下降する人を別のロープで上から確保してしまうと安全確実になります。その場合、一番最後に降りる人は上から確保出来ません。
@先に下りた人が懸垂用のロープを下で持っていて次に降りてくる人が墜落しかけたとたんにそのロープを引いて墜落を止める方法があります。ロープの下を持つ人は上からの落石には充分な注意が必要です。
@懸垂用のロープにブルージック結びを施してそれをハーネスと結んで下降者が自分自身を確保しながら降りる方法があります。操作性にやや劣って時間がかかるので、一番初めに降りる人のみその方法を使い2番目からは上記のロープの下を持つ方法を使うようにすると良いです。
@懸垂者の落とす石が懸垂用のロープに当たることがよくあります。大きな石の場合はロープが激しく痛んでしまうので注意が必要です。
@二本のロープをつなぐ場合は末端を1メートルぐらい残して(末端は一般の結びではロープの直径の十倍を残せと言われていますが、この場合は百倍になる)エイトノット(エイトノットだとロープの回収の際に結び目が石をひっかける可能性が低くなる)で結ぶことを基本としたいと思います(他にダブルフィッシャーマン結びなど多数有)。結び目のあるのは下側のロープ(赤ロープとします)。一番目の人はメンバー全員に赤ロープを引くと言って確認してから下降を開始するようにしましょう。
@懸垂のロープをセットした人が一番先に下りること。下りたらロープが回収出来るか確かめること(回収出来ない場合は上の人がロープをセットしなおす)。回収だけでなく、下りてから先に前進出来るかを確かめてから後続を降ろすこと。
@一番最後に下りる人は二本のロープの間にスリングでハーネスと連結したカラビナを入れて二本のロープをきちんと二つに割って下りて来るとロープの回収が楽になります。
@ちなみに懸垂下降が「楽しい」などと言う人がいますが、潜在する多くの危険(ロープを投げる時の失敗、ロープが回収出来ない、落石に当たる、落石でロープが切れる“ルンゼ内やガラ場での懸垂は要注意”、ロープの長さが足りなくなる、懸垂で降りてもその先に行けない、懸垂の支点が壊れる・・・)を知ってほしいと思います。
1、岩場について、リードする者(以下リーダー)が終了点まで登る
(1)リーダーの動作
@始めに準備運動をする。手首と指のストレッチを忘れずに行う。
@ハーネスは腰の最もくびれた所にしっかりと装着する(逆立ちしてもすっぽ抜けないように)。バックルの所でベルトを折り返す。
@ロープをほどく(途中に結び目がないようにする)。ロープバックに入れてロープを持ち歩けばロープをほどく必要はない。
@エイトノット(八の字結び)又はポーラインノット(止め結びを必ず追加)で連結する。右利きの場合はビレーループの左側にロープを結ぶ。
@反対側のロープの末端にエイトノットでコブタンを作っておく(長いルートの場合にロープが確保器からすっぽ抜けるのをふせぐため)。ロープバックを使っていれば末端はバックに結んであるのでコブタンを作る必要はない。
@ロープを結ぶ時に二回巻つける方法がある(大きな墜落に伴う衝撃を弱めるクッション効果がある)ので適宜使用する。
@リーダーはビレーヤーのビレーシステムを、ビレーヤーはリーダーのロープの結び目を、互にチェックし合ってから登り出す。
@ヌンチャクのカラビナは上のカラビナが右に開くなら下のカラビナも右に開くようにセットする(下のカラビナを左に開くようにセットしてもOKで好みと状況により選択する)。ベントゲートのカラビナの方は回転しないように固定する(固定された状態で販売されているから固定するわけを知っていてほしい)。ストレートゲートのカラビナの方も固定(テープで根元を巻く)してしまった方が扱いやすいが2〜3個は固定しないでおく方が応用範囲が広くなる。
@ヌンチャクのストレートゲートのカラビナを支点にかける、ベントゲートのカラビナにロープをかける。
@次の支点が真上になくて右斜め上にある場合はカラビナ(ロープをかける)のゲートが左側に向くように支点にかける。
@一つめか二つめの支点へのクリップに失敗するとグランドフォールしてしまうのでプレクリップしておく方が安全である。1.5メートルぐらいの棒の先にテーピングテープでヌンチャクを固定する→上のカラビナのゲートを3センチくらいの棒を夾んで開いておく→下のカラビナにロープを逆クリップにならないようにしてかけておく→一つめか二つめの支点を狙ってその支点に開いたカラビナのゲートがかかるように棒を操作する→支点にカラビナがかかったら棒を引き下ろし固定用のテーピングテープを切る。プレクリップは積極的に行うべきだと提唱したい。
@支点の間隔が遠くランナアウトしてしまう場所を充分なゆとりを持って越えられないならば、途中で降りるか上の支点にプレクリップするかして安全を期すること。
@ロープを多くたぐってクリップするよりもなるべくたぐらない「腰クリップ」を目指す。
@途中の支点の数より2〜3個多めにヌンチャクを持つ。ヌンチャクだけでなくスリングを2〜3本携行する(何かトラブルがあっても多目的多用途のスリングがあれば解決出来る)。トップロープの支点を作る場合はさらにカラビナ2〜3枚とか長いスリングなどを持って行く。
@ヌンチャクのストレートゲートカラビナをハーネスのギアラックにゲートが外側を向くように吊るす。こうすると、ヌンチャクをハーネスから取る時に腕が伸びる方向に動くのでわずかだけれども血流を増大し結果として腕をレストさせることになる(10回近くクリップすれば積み重なる効果あり)。
@クリップにはフロントクリップとバッククリップの二種類がある。左右どちらの手でもスムーズにクリップ出来て、しかも逆クリップやゼットクリップにならないように日を変えて何度も練習する(自宅で練習できる)。
@登る時に自分の引いているロープを体側に出して登る。ロープを足にからめない&またがない(落ちると逆さまになり頭を打つ可能性がある)。
@落ちる時は絶対に何もつかまない。どうしても怖い場合は自分のロープの結び目をつかむ。
@ハーネスに腰掛けるイメージで落ちる。
@ハンガーボルトの穴に指を入れない。ハンガーボルトをつかみたい場合はヌンチャクをかけてヌンチャクの中央のスリング部分をつかむ。
@「テンション」とビレーヤーに声をかけてからロープに体重をかけて休んだり次の進路を研究したりする。テンションの時間が長くなるようなら、長めのヌンチャクで支点とハーネスのビレーループを結んで体重をそれに移動して、ビレーヤーを休ませる配慮が必要である。
@何回も同じ内容のトライを行うと筋肉や腱を痛めてしまうので「テンションアンドトライは四回以内に」すること。
(2)ビレーヤーの動作
@始めに準備運動をする。腰の運動を忘れずに行う。
@ハーネスは腰の最もくびれた所にしっかりと装着する。バックルの所でベルトを折り返す。
@リーダーはビレーヤーのビレーシステムを、ビレーヤーはリーダーのロープの結び目を、互にチェックし合ってから「登っていいよ」と指示を出す。
@ビレーヤーはATCなどの確保器の利き腕側の穴にクライマー側のロープが上になるように通して、ビレーループにつけられたHMS(ハーフマストでビレーするために作られた大きな安全環つきカラビナ)にセットする。A…エアー,T…トラフィック,C…コントローラー、H…ハーフ,M…マスト,S…ジッへル(ビレーの意)
@HMSカラビナはネジ式よりスプリング式の安全環の付いた物の方がトラブルが少ない。
@リーダーが登り出して少なくとも二つ目のカラビナにクリップするまでビレーヤーは岩壁に張り付いた位置に立つ。立つ位置はリーダーの第一クリップが右手で行われるなら右寄りの出来る限り真下である。右にいることでリーダーの第一クリップを容易にし、真下にいることで墜落した時に真上に引き上げられるようになります(横に引きずられて岩に激突しない、真上に引き上げられるので腰椎を痛めにくい)。また真下にいることで、ビレーヤーと一番目の支点の間で斜めに張ってしまったロープに墜落者の足が当たることで起こるやけど(ロープバーン)や墜落者の反転を防ぐことが出来る。
@墜落を止めるとその反動で岩に当たったり、足場からころげ落ちるような場所でビレーする場合はセルフビレーを施してからビレーする。
@リーダーが四つ目のカラビナにクリップしたあたりからビレーヤーは岩壁から離れて、上を見やすい位置に移動する。
@リーダーがロープをたぐる時、ビレーヤーは両手のストロークと足を使って体を移動することを組み合わせて、クリップするのに必要な長さ(長すぎるとクリップに失敗してたぐり落ちした場合にグランドフォールする危険がある)だけを素早く出してあげる。
@リーダーがクリップしたら登るに従ってロープを引いて行き、クリップしたヌンチャクを通り過ぎたら登るに従ってロープを出して行く。
@リーダーが落ちた時はいつでも止めなければならないのでビレーヤーは一瞬たりともスキを作ってはならない。リーダーが今落ちたら、どれだけ落ちて、どこにぶつかるかまで考えてビレーする。
@ビレーヤーがロープのリーダー側から来て確保器を通過した所を常に握っている状態を保つには、軽く握った確保の手の中をロープがスライドする方式と、両手が入れ替わって必ずその部分を左右どちらかの手が持っている状態を保つ方式がある。後者の方が操作性が良いようだ。
@「テンション」と言われたら、出来る限りロープをたぐってピンと張り、ロープが流れないようにしっかり握る。次に、腰を落としてしゃがみ体重を使ってさらにロープをピンと張って待機する。リーダーから「登ります」の合図があり、ロープの張りが緩んだら立ち上がってもとの体制に戻り、ビレーを続行する。
2、終了点について、ロワーダウンで降りる(トップロープを残さない場合)
(1)リーダーの動作
@終了点にロープをクリップしてロワーダウンの準備をする。
@終了点は様々なパターンがあるのでそのパターンに合わせてロープをクリップしなければならない。
@終了点の信頼度を考えバックアップをとることをおしまない。
・ハンガーボルト又はケミカルボルトを二つ以上使った終了点は大丈夫と思う(ハンガーボルトのネジが緩んでいることがあるので注意)。
・大木にロープを結んだタイプは木をゆすったり、ロープの劣化を確かめてから使う。
・手打ちのリングボルトやRCCボルトは三つ以上あっても信じない。
・ハーケンは手打ちボルトよりは信頼性があるがフリークライミング用に整備された岩場にあるハーケンには疑問を持たなければならない。
@ゲートが開き双方向を向いた二枚のカラビナが残されている場合はその二つにクリップする。
・クリップしたら「テンション」とビレーヤーに合図を送る。
・ビレーヤーから「降ろします」と合図が来てロワーダウンを開始する。
@カラビナが一つだけ残されている場合は自分のカラビナを一つ寄付して補強する(カラビナが残されていなければ自分のカラビナを二つ寄付する)。古びたロープが使われている場合は自分のスリングを寄付して補強する。もったいないと思うかも知れないけれど、自分とまだ見ぬ後続クライマー達の保険だと思えば安いと言える。高いお金(数万円かな?)をかけて作られたルートを無料で使わせてもらっているのだからカラビナの二枚やスリングの二本くらいは寄付してしまうような太っ腹でいたいものだ。不安な終了点…でも…もったいなくて寄付出来ない…という人はロワーダウンせずに懸垂下降に切り替えるべし。
@終了点がカラビナのように開くゲートを持たない物(リング、鎖、ゲートが開かないカラビナ、以下リングと記載)の場合は次のようにする。
・まず、長めのヌンチャク等でセルフビレーをセットする。
・ビレーヤーに「ロープをゆるめて」と指示を出す(ビレー解除ではない、ゆるめるだけ)。
・ハーネスからつながるロープをヘアピンのように折ってリングに通す。
・リングを通ったロープのヘアピンで(ロープ2本束ねたまま)エイトノットを作り、ハーネスのHMSカラビナにかける。
・ビレーヤーに「テンション」と指示を出す。
・テンションがかかり、体重がロープに移動出来て安全を確認したら、ハーネスとロープのメイン連結の結びをほどく。
・全体の安全を確認したらセルフビレーをはずす。
・「降ろして」とビレーヤーに指示してロワーダウンを開始する。
@体の中心線(足から頭に向かう)の方向と鉛直方向の交差角が60度ぐらいに体を寝かせて行く(横になって寝るくらいの感じ)と足が岩にささった感じになる。足は肩幅くらいに開く。足が岩にささった感じを保ちながら歩くように降りる(ロワーダウンする)。
@支点(プロテクションにとったヌンチャク)の所でビレーヤーに「ストップ」と声をかける。ストップしたら支点からヌンチャクをはずす(ロープからもはずす)。はずしたヌンチャクはハーネスに吊るす。ヌンチャクの回収が終わったら「降ろして(ダウン)」と声をかけて次の支点に向かう。
@自分の仲間が次に同じルートを登る場合はヌンチャクを回収せずにそのままロワーダウンして下に降りてしまい、ヌンチャクを壁に残したままロープを引く抜く。次に登る人はその残されたヌンチャクにロープをクリップしながら登る。残されたヌンチャクを使って登ってもオンサイトやフラッシュしたことになるとされている。支点の間隔が遠くてランナアウトしてしまう場合は、残すヌンチャクにスリング(下にカラビナがかかっている)を追加すると良い。
@上記で、ヌンチャクを回収せずにロワーダウンして降りる途中で、下から二番目のヌンチャクに通っているロープのみヌンチャクからはずすしておく。ロワーダウンして降りたらロープを引き抜くと、一番下のヌンチャクに(次に登る人のために)プレクリップされた状態でロープが落ちてくる。プレクリップは積極的に行うべきだと提唱したい(再掲)。
@前傾していたり、斜上するルートの場合はヌンチャクをはずして行くうちに回収したい支点から遠ざかるので、始めの最上部のヌンチャク(☆ヌンチャクとする)をはずす時に☆ヌンチャクを岩側のロープ(:ビレーヤーと終了点の間にあるロープ)からはずさないでおいて、支点からはずした側のカラビナ(ストレートゲート)をハーネスのビレーループにかけてしまう。こうすると岩側のロープにそうようにして降りて行き、必要の時は岩側のロープを引けば回収したい支点に向かうことが出来る。一番下のヌンチャクをはずす時に大きく振られることが予想される場合はビレーヤーにセルフビレーをとるなどして引き込まれない準備をさせてから降りるか、又は、☆ヌンチャクは回収してしまいリーダーだけが振られる状態にして振られることに対応しながら降りる。
@前傾のきついルートや大きく斜上するルートの場合には一番下のヌンチャクをはずすと大きく降られるだけでなくグランドフォールする可能性がある。そういうルートの場合は(必然的に)上の方のヌンチャクは楽に回収出来るが下の方のヌンチャクは降りるに従ってだんだん回収するのが難しくなる(ヌンチャクから遠くに降りてしまう)。難しいのにがんばって回収しないで下から二個以上ヌンチャクを残して地面に降りてしまうようにする(ブランコのように振ったりしない)。一度地面に降りてロープをほどき、今つながっていたのと反対側のロープの末端(ビレーヤ側末端)につながって、セカンドがフォローしながら登る形で再度登りながらヌンチャクを回収する(ビレーヤーは今までビレーしていたのと終了点をはさんで反対側のロープをビレーすることになる)。
@前傾が甘いルートで少しがんばれば回収が続けられる場合には、下から二番目のヌンチャクを残して先に一番下のヌンチャクを回収する。その後で、下から二番目のヌンチャクを回収する(振られるので地面や岩角などにぶつからないか十分に確認してから下から二番目のヌンチャクをはずす)。
@地面に降りたらロープを引き抜く。
(2)ビレーヤーの動作
@「テンション」と言われたら、出来る限りロープをたぐりさらに腰を落としてロープをピンと張る。リーダーに「降ろします」の合図を送り、立ち上がり、岩壁から離れていた場合は岩壁に張り付く位置まで歩いていき、それからロープをゆっくりと繰り出し(流し)て行く、ロープを繰り出すスピードはなるべく等速度を保つ(降りる人が安心する)。地面近くまでリーダーが降りてきたらスピードを極端に遅くしてゆっくりと着地させる。
@リーダー側でない方のロープの末端はエイトノットなどで結び目を作っておくことを基本とする。そうすればロープの長さが足りなくなってビレー器具をすっぽ抜けることがふせげる。
@ロープの長さが足りなくなってリーダーが壁の途中で止まってしまったら、ビレーヤーはロープの末端(リーダー側でない方の末端)近くを自分のハーネスに仮固定(ATC仮固定)する。ビレーヤーは下降用のロープと支点工作用のスリングやカラビナを持って、リーダーが着地するまで同ルートを登り、途中のプロテクション(信頼性の高いもの)から懸垂下降する。信頼性の高いプロテクションがない場合は着地したリーダーにロープをほどくことなくそのロープをビレー(リードアンドフォローのロープワークでトップがセカンドをビレーする形)をしもらい終了点まで登ってしまう、終了点でセルフビレーをとりビレーを解除の指示、終了点から補助ロープとメインロープの二本を使って懸垂下降する。
@下降中のリーダーが支点の所で「ストップ」と合図して来たらロープを繰り出すことを止めて、ヌンチャクの回収を待つ。ヌンチャクを回収したらまたロープを繰り出す。
@リーダーが一番下ヌンチャクを回収するとに大きく振られることが予想される場合は、下から二個以上ヌンチャクを残して地面まで降りるように指示する。
3、終了点について、トップロープをセットしてからロワーダウンで降りる
リーダーの動作(上記2と重複しない項目)
@トップロープの支点を新たにセットするのは終了点の消耗を少しでも減らすため & トップロープが残されていてもそのロープの脇を別パーティがリードクライミングで登れて同ルートの終了点を使ってロワーダウンすることが出来るようにするためである。
@ロワーダウン用に設置されたリングやカラビナなどを支点として使わずに自分のカラビナでトップロープの支点を作る。
@終了点の様々な状況に合わせてトップロープの支点を作る。
・まず、長めのヌンチャク等でセルフビレーをセットする。
・ビレーヤーにセルフビレーをセットしたことを知らせる(ビレー解除ではない、ゆるめるだけ)。
・終了点を作る二つ以上(太い生きた立木の場合は一つでも可)の支点(支点の強度によりその数は自分で決める)を使ってトップロープの支点を作る。
・トップロープのかかる所はゲートを反対に向けたカラビナを2枚使用すること。安全環つきカラビナであっても2枚使用する(安全環が回ってはずれた例がある)こと。
・終了点のボルトとか鎖とかに向きを変えた二つのヌンチャクをかけてトップロープの支点を作ることが多い。二つのヌンチャクにそれぞれ均等にトップロープの加重がかかるようにすること(ヌンチャクをかける鎖の穴の位置を工夫するとかスリングを使って長さ調節するなど)。
・終了点のボルトに太めのロープが通っている場合はロープの下にカラビナをかけるかスリングをかけて支点工作をす(ロープの上にカラビナをかけてそれに加重をかければロープが傷む)。
@フリークライミング協会の設置した終了点の場合は長いスリングで流動分散をかけて支点を作って良い(支点を守ることにつながる)。流動分散は一方の支点が壊れた時にハンマーで打ったような衝撃がもう一方の支点を直撃するので一般的ではない。
@「ゆるめて」とビレーヤーに言い、自分で作ったトップロープの支点のカラビナ2個(自分のカラビナ)にロープをかける。
@「テンション」とビレーヤーに言ってロープを張ってもらう。
@ロープに体重を移して安全を確認したらセルフビレーをはずす。
@「降ろして」とビレーヤーに指示してロワーダウンする。
@次の人が順番待ちをしている場合にトップロープを残させてもらう場合はロワーダウンしながらヌンチャクを全部回収する。岩場が貸し切り状態で次の順番待ちの別パーティがいない場合はヌンチャクを回収しないでそのままロワーダウンする。ヌンチャクを回収しないで次の人がトップロープクライミングすれば、たくさんのランニングビレー(ヌンチャク)にロープが通っているので安全度を大きく高めることが出来る(ロープを引き抜けばリードクライミングも出来る)。
@トップロープを使ってクライミングを楽しんだら、最後の人はトップロープを残さないでロワーダウンで降りる方法を使って降りる(トップロープセットに使ったヌンチャクやスリングは回収する)。
@レンチ13mm,17mm,19mmを持って行き、ボルトのネジを締めながらなロワーダウンしたいものだ(寒暖の差でネジはいずれ緩んでくる)。
4、終了点まで行けずに途中で降りるリーダーの動作(上記2と重複しない項目)
@途中の各支点にヌンチャクを残したままロワーダウンをして、次の人にバトンタッチ、ヌンチャクの回収は終了点まで行ける人が担当する。
@終了点まで行ける人がいない場合の方法は三つある。◆一つ目・・・最高到達点から補助ロープ(あらかじめ持って行く)を下まで降ろし、それを使ってプレクリップの棒を上に引き上る。プレクリップ用のヌンチャクの下のカラビナに長いスリングをかけて、上の支点にプレクリップする。その長いスリングをつかんで上の支点まで行く。この岩場途中でのプレクリップを何回か行って終了点まで行く。◆二つ目・・・あらかじめ残置してよいカラビナを二つ持って行く。最高到達点とそのすぐ下のヌンチャクを残置用のカラビナと取り替える。残置用のカラビナを使ってロワーダウンする。もったいなくても二つの残置カラビナを残すこと。◆三つ目・・・人工登攀に切り替える。@支点にかけたカラビナをつか)む(A0)。A支点にスリングをかけてそれに足を入れてアブミとして使う(A1)。Bチョンボ器(60cmぐらいの長さのスリングをフレキシブルでやや強い管“電気配線用の蛇腹のついたプラスチック管が良い”に通し、フイフイとカラビナを両サイドにつけたヌンチャク)を持って登り。フイフイ・フレキチューブヌンチャク(下のプレクリップマシンの項の中段に記載)を支点にかけて登ってしまう。など
![]() 手作りプレクリップマシンその1 @コピー用紙50枚が挟める程度の大きな紙夾みを 短く切ったテントのポールに針金で固定して作る。 A右の駒は小さなカラビナ用 B左の駒は大きなカラビナ用 C左側の部分を3メートルほど長く伸ばせる釣り竿 とかゾンデ棒などにテープで止めて使用する。 |
![]() 手作りプレクリップマシンその2 @プレクリップマシンにヌンチャクを夾む。 A駒を噛ませてカラビナのゲートを開いておく。 B左のカラビナにロープをかける。 C右のカラビナを高い支点にかけて、黒いテントポー ルを左に引き抜くとプレクリップされる。 、 |
![]() コング社製の高速クリップ器 @右側の開いた部分(門)を支点に差し込むと銀色 の部分が門を閉ざして支点に固定される。 A手作りプレクリップマシンに夾んで使う、又は長 い棒にテーピングテープなどで固定して使う(クリ ップ後に棒を強く引きテープを切る)。 Bケミカルボルトには(ハンガーが高速クリップ器の 門の幅より太いために)使えない場合がある。 Cハンガーボルトのネジの部分が大きく外に出て いると高速クリップ器が使えない場合がある。 |
![]() 上→市販のカラビナゲート用ゲート開きプレート(左 下写真のように使う。 下→ペットボトルのプラスチックで作ったカラビナ用ゲー ト開きプレート(右下写真のように使う) 、 、 、 、 、 、 |
![]() 市販のカラビナ用ゲート開きプレートを使ってゲート を開いた所。支点にクリップすると自動的にゲートが 閉じる(使い方は左上写真のコング社製の高速クリ ップ器のそれと同じ)。 |
![]() 手作りのカラビナ用ゲート開きプレートを使ってゲート を開いた所{使い方は市販のもの(左写真)と同じ}。 、 、 |
![]() ゲート仮固定可カラビナ付ヌンチャク @雪崩捜査用ゾンデ棒にベルクロで取り付けた例、 ベルクロ(赤と青のプラスチックの駒)の代りにテー ピングテープで止めてもいい。 Aゾンデ棒でなくて現地調達の木の棒でも良い。 Bゾンデ棒でなくて釣り竿でも良い。 C写真右のカラビナが入手出来ない場合は一つ上の 写真のカラビナ用ゲート開きプレートを使えばいい。 、 |
![]() フレキチューブヌンチャク @40cm程度のフレキチューブを使用する。フレキチ ューブ(電気配線用)はホームセンターで手に入る。 Aフレキチューブの中にはスリングが通っている。 B写真では見えないが、チューブの左側からスリング の末端が出ていてカラビナがかかっている。つまり 全体としてはヌンチャクになっている。 Cハーネスに付けて携行し登攀の途中で足元から 2.5m程度上の支点にプレクリップが出来る。 |
![]() フイフイ・フレキチューブヌンチャク @右上のフレキチューブヌンチャクのゲート仮固定可カラビナのかわりにフイフイを使用したもの。 Aハーネスに付けて携行し、登攀の途中で足元から2.5m程度上の支点にフイフイを引っかける。 Bメインロープを左のカラビナにクリップし、ビレーヤーにテンションをかけてもらう。 Cテンションのかかった(上の支点からビレーヤーに向かう側の)ロープを引いて(いわゆるゴボウで)、フイフ イを引っかけた支点に手が(ゆとりを持って)届く高さまで登る。 Dフイフイを引っかけた支点に普通のヌンチャク(以下:ヌンチャクA)をかける。 EヌンチャクAとハーネスを別のヌンチャク(以下:ヌンチャクB)で連結し、セルフビレーをセットする。次にテン ションを緩めてもらい、セルフビレーに体重を移し、その後、テンションを解除してもらう。 E’(←Eの代り)ヌンチャクA(等)をホールドにしてレストの態勢を作ってテンションを解除してもらい、Fに進む。 FヌンチャクAにメインロープをクリップする。GとHを飛ばしてIに進めるなら進む。 Gビレーヤーにテンションをかけてもらい、ごぼうで30cmほど登る。 Hフイフイを引っかけた支点の近くで、レストしてその支点にクリップ出来る態勢を作る。ホールドが乏しければ ヌンチャクAが有効なホールドとなる。レストの態勢が出来たらテンションを解除してもらう。 IヌンンチャクB(セルフビレー)とフイフイ・フレキチューブヌンチャクを支点から回収する。ヌンチャクAが押し つける力でフイフイ・フレキチューブヌンチャクが支点から回収出来なければ、そのまま登り、後で回収する。 ※フレキチューブの長さは上記の全作業が出来る範囲内でなるべく長くする(写真の場合はチューブの長さ が43cm、全長63cm)。 |
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![]() プレクリップフォーク その1 @左側の部分を3メートルほど長く伸ばせる釣り竿 とかゾンデ棒などにテープで止めて使用する。 A岩場の途中に下がっているヌンチャクにプレクリッ プすることが出来る。 、 |
![]() プレクリップフォーク その2 @ロープをヘアピン状に折ってフォークにかける。 Aプレクリップしたいヌンチャクにヘアピンの輪を かける。 Bロープを二本とも下に(写真では左に)引くと、 ヌンチャクのゲートが開いてプレクリップされる。 |
| プレクリップフォークを使わない方法(プレクリップフォーク その3) @リードクライミングを終えて終了点からロワーダウンする際に、「プレクリップしたい支点の一つ上のヌンチャ ク」からのみロープをはずしして下まで降りる。他のヌンチャクには手をふれない。つまり、他のヌンチャクは みなロープが通ったままになっている。 Aロワーダウンが終わり、リーダが着地したらロープを引く。ロープの末端がプレクリップしたい支点の二つ上 のヌンチャクを通過したとたんにロープを引くことを停止する。 B目的の支点にプレクリップされた状態でロープが落ちてくる。 Cこの方法を使えば、プレクリップフォークを使わずに済ませることが出来る。この方法がうまくいかないか、あ るいは意図的にロープを完全に回収してしまった時にプレクリップフォークを使う。 |
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長く、一生の趣味として山登りを続けて行くための経験則(2008.5.10松浦寿治)
1、月に2回以上、山に行く。
*月に1回以下では心肺機能や筋肉が維持出来ない。
2、4月〜11月は沢登りを主体に山に行く。
*暑さの避けられるアルプスのような高い山だけでは月2回はクリア出来ない。
3、10月〜5月は地図読み山行を主体に山に行く。
*南アや八ヶ岳などの雪山登山だけでは月に2回はクリア出来ない。
4、月に1回は日和田山(or外岩ゲレンデ)で岩登りトレーニングをする。
*定期的に岩トレしないと沢登りなどを続けるための体のキレが維持出来ない。
5、数値グレードを高い方に追いかけない。
*より高くより困難を求める取り組み方には限界と引退が付属している。
6、クライミングジムに行く場合は「技術を保つことを」を目的にする。
*負けずぎらいで目的が「数値の追求」にずれそうなら、ジムには行かない。
7、半分は自分のために、半分は他人のために山に行く。
*人々と山々の間に自分はいる。
8、山は生活の一部であると考える。
*居食住+仕事+山+その他=ライフスタイル
岩登りにおけるメンバー構成とダブルロープシステム
◆ダブルロープシステム
@マルチピッチの岩登りルート、大きな山の本番ルートはロープを二本使って登る(=ダブルロープシステム)。
@ダブルロープは軽い、登った分の距離を懸垂下降て撤退出来る、一本切れてもまだ一本残る、など、本番ルートに適した利点がある。
@以下、その1〜その5でダブルロープシステムに関して記してみる。
その1、二人組でトップとセカンドが入れ替わりながら登る(つるべ方式)。
…トップは二ピッチ目でセカンドになり、セカンドは二ピッチ目でトップになるので二人の分担する役割は同じ(登る&確保)である。
…トップは二本のロープ引きセカンドはATCなど確保器の二つの穴を利用してその二本のロープを同時にビレーする。トップとセカンドは一方のロープ(左ロープとする、もう一方を右ロープとする)を立っている位置の左側でほどき、ハーネスのビレーループの左に結ぶ。右ロープは立っている位置の右側でほどき、ビレーループの右に結ぶ場合とエイトノットで輪を作って(止め結びを付加すること)ビレーループについた安全環つきのカラビナに簡易ガケする(ノーマルカラビナを安全環つきカラビナと逆方向にゲートを向けて追加しておくと万全)する方法がある。何ピッチもロープを操作すると左右のロープが交差することが起きるが簡易カゲならばロープをはずしての修正が容易である。
…セカンドは二本のロープを一本のロープの時と同様に繰り出して行く。トップが左ロープをクリップする場合に左ロープだけ出さずに右ロープも同時に出す。大きくたるみが出ないかぎり、左だけ、あるいは右だけ、ロープを繰り出したり繰り戻したりはしない。
…トップは登攀ルートの左に支点があれば左ロープをクリップし、右に支点があれば右ロープをクリップしながら登る。左右を交互にかける必要はない(ほとんど左ロープしかクリップしないなんてこともある)。
…左ロープと右ロープが交差することがあってはならない。墜落した場合にロープの交差点を溶融劣化させてしまう。
…大きなトラバースをする場合(左にトラバースするとする)、トップはトラバースの開始地点で右ロープをクリップして、そのクリップから20〜100センチ程度下に支点を作り左ロープをクリップする。左ロープをクリップしないと、セカンドが登る時に右ロープで上に、左ロープで左に引かれることになってしまう。トラバースはセカンドの方が恐い場合もあるのでトップはなるべく多く支点をとって進むようにする。
…ダブルロープのビレーについてはこちらをみていただきたい。
その2、二人組でトップとセカンが入れ替わらないで登る(万年セカンドのための方式)。
…トップは二ピッチ目でもトップになり、セカンドは二ピッチ目でもセカンドなる。
…トップ及びセカンドの動作は基本的にその1と同じである。異なる点は
@ビレーポイントを万年セカンドのための方式で作ること。
Aセカンドがビレーポイントに到着したら、セルフビレーをセットしてもらい、トップはセカンドのビレーを解除する。その後、セカンドに自分側のロープを端からセルフビレーに掛けるか足下に降ろして行くかしつつ、トップ側の末端までたぐってもらう(ロープの上下を入れ替える)。
Bトップはセカンドにビレーをしてもらい自分のセルフビレーを解除して次のピッチもトップで登ることを続ける。
その3、三人組で登る。
…トップが二本のロープを引きセカンドとサードにそれぞれ一本ずつビレーしてもらって登る(一方のロープがたるむことがないので、安全性と操作性がセカンド一人に二本のロープをビレーしてもって登るより良くなる)。ロープの引き方はその1と同じである。
…トップとセカンドの間でロープ一本、セカンドとサードの間でロープ一本を使用して一列につながって登る方法がある。セカンドのことを中間者(ミッテルマン)と呼ぶ人もいる。セカンドはロープが真上に一直線に伸びている時は支点にかけたカラビナ等を回収する。斜上したりトラバースしたりする場合はロープのかけかえ(トップ側のロープを支点にかけたカラビナから外して、サード側のロープをそのカラビナにかける)を行う。ロープのかけかえをしないで支点カラビナ等を回収してしまうと、サードが墜落した時に大きく振られることになって危険である。トップが登って、セカンドが登って、サードが登って、サードがそのままトップになって登ればロープの上下の入れ替えをしないですむので時間的に早い(3人つるべ方式)。
…ビレーポイントを作る場合万年セカンドのための方式にで作ること(その2と同じ)。
…やさしいルートならトップは二本のロープを同時にビレーして登らせると時間が短縮出来る。ロープを一本にして末端に二人つながり(髭を出してつながる)同時に登らせる方法もある。ロープを一本にして中間者をアッセンダーとかユマールとかブルージックで登らせる方法もある。
その4、二人組と二人組(三人組)の二組で登る。
…「二人組でロープ一本、もう一つの二人組(三人組)でロープ一本」を使えば二本のロープで四人(五人)が登れる。協力するために、各組は大きく離れることがないように登る。
…人数が増えれば落石にあたる可能性も増えてしまう。少なくともルンゼ内にあるルートを二組同時に通過してはならない。
その5、四人以上が一組になって登る。
…二人組とか三人組を複数作って登るのが良いのだが、メンバーに不安があってひとかたまりで登ることがある。例として四人が青と赤のロープ二本で登る場合を記してみる(ロープを三本にすれと操作が複雑になって時間がかかるので二本)。
…青ロープの末端から4m上に長さ40cmの髭(魚釣りで、針を二つつけた仕掛けを作った場合の上の針とハリスの様)を作る。40cmの髭とはロープの途中にエイトノットを施して50cm程度のヘアピン状の輪を作り、その輪の先にさらにエイトノットを施して(ヘアピンは40cmに短くなる)ハーネスと連結するための輪を作ったものである。
青ロープの末端に一人、青ロープ髭に一人つながる。そして赤ロープにもう一人つながる。
…トップは青ロープと赤ロープを引いてダブルロープシステムを使って登攀を開始する。ビレーヤーは青赤ロープそれぞれの末端につながった二人である。
…トップはビレーポイントについたら万年セカンドのための方式でビレーポイントを作り、ルベルソー型のビレー器具を使って、まず青ロープの髭に連結している人を上げる、同時に4m下にいる青ロープの末端につながった人も上がって来ることになる。二人がビレーポイントまで上がったら、セルフビレーをセットさせ、青ロープ末端の人に赤ロープの末端につながった人を上げさせ、青ロープ髭の人に青ロープの上下を入れ替えさせる。ロープの入れ替えが終わったら青ロープ髭の人からその人が回収してきたギアを受け取り(ギアに不足があればさらに補い)、その後青ロープ髭の人にビレーをしてもらって、二ピッチ目を登り始める(メンバーに不安がある場合はテラスに四人を全部そろえ・次の動作を指示し・ロープやギア類を整理し・全体の安全を確認してから二ピッチ目の登りを開始する)。
◆十人ぐらいで登る
@シングルピッチのフリークライミングのような場合である。
@シングルピッチで数本のルートがある岩場なら十人いてもいい、休み休み交代で登れて楽しい。
@十人いてもトップ(クライマー)とセカンド(ビレーヤー)の役割に変わりはない。お茶係とか盛り上げ係とかの役があって良い。
◆一人で登る
@一人でロープを使わないで登ればそれだけ早く登れるので、登攀時間が短い方がリスクが小さい場合に有効である。
@一人でロープを使って登る方法の例を以下に記す。
…ザックにロープ送り入れる(ロープがスルスルと引き出せる)。
…ザックから出ているロープの末端Aをビレーポイントに固定する。
…そのロープにスリングによるブルージック結びを連結すし、そのスリングをハーネスと連結する。
…岩場途中の中間支点(ランニングビレーがセット出来るハーケン等)とビレーポイントの間の長さだけロープをザックから引き出す。
…ブルージック結びをザックからロープが出てる場所あたりまでスライドさせる。・・・@
…登攀を開始する。
…中間支点まで登ってロープをクリップする。
…安定した所に立つ。
…今の中間支点と次の中間支点との間の長さだけロープをザックから引き出す。・・・A
…@〜Aまでの作業をビレーポイントに到着するまでくりかえす。
…ビレーポイントに到着したらロープをフィックスする。
…フィックスロープを使って懸垂下降し、中間支点を回収、ロープ末端Aの固定を解除する。
…フィックスされたロープにブルージック結びを施してそれを上にスライドさせながら登る。
…ビレーポイントに到着して登攀終了。
…二ピッチ目以降は以上の作業を繰り返す。
*ブルージック結びと同じはたらきをし、ブルージック結びより作業効率が良い「ソリスト」というビレー器具があったが現在は手に入りにくいようである。
本番ルートへの条件 青山一丁目山岳会
2008.10/2 改訂2009.9/11
谷川岳の岩場、北岳バットレスなどいわゆる本番ルートに向かう個人山行を青山一丁目山岳会が許可する条件は以下のとおりです。
@表丹沢の沢8本程度、西丹沢の沢8本程度の沢登りのリーダー経験があること。
A当該山行前一年以内に外岩5.10b(テンビー)ルート(男女共通)をレッドポイント(トライ回数3回以内/1ルート)していること。
B北岳バットレス・第四尾根→同・中央稜→同・ピラミッドフェース→同・○○○というようなグレードアップを狙う行き方の場合は、外岩で男性は5.11b(イレブンビー),女性は5.10d(テンディー)ルートをレッドポイント(トライ回数3回以内/1ルート)していること。
C当該山行前一ヶ月以内に三ッ峠の岩場でトレーニングしていること。
D連れて行く、連れて行かれるの関係になっていないこと。
E一ヶ月前までには登山の内容概略を会に連絡していること。
F谷川岳の場合は谷川岳登山指導センター所長(〒379-1728
群馬県利根郡水上町大字湯檜曽 0278-72-3688)に届を出して受理されていること。
G冬の剣岳の場合は富山県庁生活環境文化部自然保護課(〒930-8501
富山市新総曲輪1−7 076-444-3398))に届けを出して受理されていること。
たとえば、無雪期の剣岳本峰南壁(V級ルート)に届けが出た場合は、
堅くて安定したコースが多い剣岳の岩場ですが許可になりません。
@踏み跡がない、A支点が朽ちている、B浮き石が多い、という状況になっているからです。
*多くの人が行かないルートは危ないです。
たとえば、無雪期の穂高畳岩(U級ルート)のに届けが出た場合は、
そこはやさしい階段のように歩いて登れる岩場ですが許可になりません。
剣岳の本峰南壁の理由に加え、支点の間隔が遠いことが上げられます。
*本番ルートはやさしくても危ないです。
たとえば、無雪期の谷川岳一の倉沢南稜に5.10bルートをレッドポイントしたことがないメンバーを含んで届けが出た場合は、
多くの人が行くルートであり、W級+程度の快適に登れる岩場ですが許可になりません。
@ルートを間違えた、A天候が悪化した、B行く手を超遅いパーティに阻まれその横をすり抜ける・・・などの対応に不安があります(5.10bが登れる程度の体のキレがないから)。
*外岩5.10bレッドポイントでなくて外岩5.11aのオンサイトを本番ルートへの条件にしている会が多数あると知っていてほしいです。
初心の人に手をさしのべよう 松浦寿治
2008.8/4
「終身の計は人を樹うるに如くはなし。」とは老子の一つの格言の抜粋だ。その格言の全文を現代語にすると、
「一年の計を立てるなら、穀物を植えて育てるのが良い。
十年の計を立てるなら、樹木を植えて育てるのが良い。
生涯の計を立てるなら、人を育てるのが良い。」
となる。
山登りの世界に置き換えれば、
「一年山登りをするなら、岩登りをするのが良い。
二年山登りをするなら、沢登りをするのが良い
三年山登りをするなら、地図読み山行をするのが良い。
十年山登りするなら、山の人を育てるのが良い。」
という感じになる。
登山教室Tiiimitiaimiでは入会から二年程度で、地図読み山行・沢登り・岩登り・雪山登山などジャンルは様々だけれどその指向に対応した個人山行に行ける登山者になるだろう。
個人山行に行けるようになった頃は技術や体力が右肩上がりに向上していて、健康になり、生き生きしてきて、とても楽しい。でも、その向上はいずれ横這いとなり、やや低下して安定する。その頃、仕事、子育て、介護、などの理由から、一人二人と山から遠ざかる仲間が出始める。
三年を越えて生き生きと楽しい山登りを続けたいなら。人を育てることを忘れてはならない。自分がそうしてもらったように、山登りを志す初心の者に手をさしのべて共に学ぶように心がけてほしい。
その(山登りを志す初心の者に手をさしのべる)最も簡単な方法は、基本ステップの講習山行に定期的(二ヶ月に一度くらいかな)に参加することだ。Tiiimitiaimiの研究生・同人・バックアップ会員・スタッフ会員・講師の制度はそのために考えられたシステムだと知ってほしい。
「半ば自分のために、半ば初心の人のために」と考えて山に行けば、山の世界が少しずつ、そして素敵に、広がって行くはずだ。
クライミングジムの人をTiiimitiaimiへ
例えば野球少年ならば、中学校の野球部等を経て、高等学校で甲子園、プロ野球の選手、そして、アメリカの大リーグでの活躍が目標であるだろう。
本格的な登山を志したならば、高差2千メートル以上、垂直、岩と氷のミックス、標高8千メートル近くの大岩壁のクライミングあたりが究極の目標であるだろう(ちなみにTiiimitiaimiのめざす山はそれではなくて。生活の延長線上にあって、日常生活を豊かにする山である)。
本格的な登山を志す人はどういう人かというと、
@日本の一般企業のサラリーマンであると、長期の海外遠征に頻繁に通うことは難しいので、たぶんそういうサラリーマンにはなっていないだろう。
A週に二回はクライミングジムに通いトレーニングをしているだろう。
B土曜・日曜・祝日は必ずと行っていいほど山に行っているだろう。
C年に何回か大岩壁のクライミングに出かけて行くだろう。
我がTiiimitiaimiに入会した人達は初心者の登山者である。丹沢の沢登り程度に自分で行けるようになればいいと思いつつも、野球少年の大リーグように、大岩壁のクライミングを遠く夢見ないこともないだろう。必然的に彼等はクライミングジムへと通い始める。クライミングジム通いが長く続けば、いずれクライミングジムのコミュニティの一員となるだろう(意図的に一員にならないとか、バランスが悪くて危なっかしいい人は別)。
クライミングジムは怪我のリスクが少ないように設計&プログラムされれいる。
@一に養成したいのはボルダラーだ。ボルダラーは一人でもジムに来てくれるし大きな怪我をしにくいから営業効率が高いのだ。
A二に養成したいのは5.11とか5.12といった数字を追いかけるルートクライマー集団だ。ルートの壁が映画館の入り口の横に設置されるほどで、そのインパクトこそジムの醍醐味だ。
Bボルダラーに対しては分厚いマットが下に敷かれた前傾壁(高さ四メートル程度)が用意されている。
Cルートクライマーに対してはあらかじめヌンチャクの下がった前傾壁と、中間支点用のハンガーボルトが無くてトップロープが下がっている緩傾斜のスラブ壁(どちらも高さ十数メートル程度)が用意されている。最近はオートビレー機がある所も多くなった。
Dボルダーの場合は下の方に核心が、ルートの場合は上の方(ビレーの失敗が起こりにくい)に核心が設定されることが多い。
Eバランスが悪くて危なっかしい人の無理なトライを防ぐために、5.7以下のルートは作らないとか、緩傾斜壁にボルダーを作らないとか、危険な時以外はジム内のお客さんに声をかけないのをスタッフの基本姿勢にするなどの工夫がされいる。
怪我のリスクが少ないのだから、それを避ける技術をたくさん身につけなくていいことになる。だからジムのコミュニティの人達の多くは、エイトノットと、ATCやグリグリによるビレーと、ヌンチャクへのクリップしか出来ない。
クライミングジムのコミュニティではTiiimitiaimiの会員は重宝だ。外の岩場や沢登りに出て行けるロープワークと経験を身につけているからだ。だから、Tiiimitiaimi会員は「外岩(or 沢)に連れて行って!」とよく頼まれるだろう。
ジムのコミュニティには遭難対策の機能はない、登山届けもその審査もない、捜索救助保険はかけられても、捜索救助に出てくれる人はいない。数日帰ってこなくて家族が警察に届けて、それから警察の人が捜索に動くのでは間に合わないことも多い。
つまり、ジムのコミュニティで行くんだったら、外岩ゲレンデや超人気の1級までの沢登りに限るのがいい(沢登りは何パーティも通過する休日に行くべし、2級以上の沢は不可)。事故者を捜索する必要がなくて、その搬出も容易だからだ。
登山者が減少している現在、Tiiimitiaimiの会員が自分の通うジムのコミュニティの人達を外の岩場や沢登りに連れて行くのは、登山者を増やすという観点から、しかたないことかも知れない。でも、出来るだけ、連れて行く人達をTiiimitiaimiに入会させてほしいと思う。入会はその人達にとってメリットが大きいことは、連れて行く側に立つ人ならば確信出来るはずだ。
◆Tiiimitiaimiの入会者が増えれば、結果として遭難対策基盤のある登山者が増えて行く。◆登山者間に登山技術のコンセンサスが取れて行く。◆人通り少ない素敵な山に登山者が散らばって行く。◆Tiiimitiaimiの山が広まって行く。