ホーム> 題名のない図書館> ミニ書評アーカイブ
題名のない図書館 本文へジャンプ


ミニ書評アーカイブ


2003年6月以前のものは、読書日記の意味合いもこめて読了日まで
記載しておりました。
資料室に収納しています。


鹿男あをによし--- 万城目学 著
(幻冬舎 2007年4月 出版)  2007年8月読了  お勧め度★★★★

大学の研究室から奈良市内の女子高校に短期間赴任することとなった主人公が、不思議な出来事に巻き込まれる。

妻が知人から紹介され、面白いからと勧めてくれたもの。実は、人が勧めてくれた本で本当に面白いと思ったことが余りない。さほど気が進まない中で読み始めた。初めの方で若い教師が赴任先の生徒や同僚、先輩から理不尽 (?) な仕打ちを受ける部分が続き、「『坊ちゃん』の換骨奪胎じゃないか」と思って投げ出しかかったのが正直な処。ところが、少し我慢して読み続けるうちに物語は次第に摩訶不思議な世界に入ってゆき、だんだん続きを読むのが楽しみになってゆく。『坊ちゃん』の換骨奪胎と見えた箇所も、その殆どがあとのストーリーの伏線であったことが分かってくる。


この著者はこれが2作めとのことだが、ベストセラー作家を見出すのが得手の「幻冬舎」が目をつけるだけのことはある。


ただ、奈良市内が舞台というのがどうだろうか。2010年の「平城遷都1300年」に向けてこの1〜2年で注目されることが多くなるとは思うが、ちょっとローカル度が高くないか。私は奈良市内に住んでいるので、物語の中で描写されている場所も情景も、そのディテールも、ある程度は分かるが、そうした知識というか、親しみのない人でも楽しめるものかどうか。そのため、満点でなく4点とした。


もっとも、2010年の「平城遷都1300年」に向けては、もっともっと多くの人に奈良を楽しんでもらえるようにしてゆく必要があり、そのための本として異色ではあるがかなり適切な本だとも言える。奈良県か奈良市が観光ガイドの副読本みたいな形で買い上げて配布するとか、広報紙で紹介する、といったことをしてもよさそうだ。まあ、そんなことに税金を使うことはしないだろうけど。


ホーム> 題名のない図書館> ミニ書評アーカイブ