C65におけるArrow販売戦略分析

平成15年12月31日
文責 Nohe

改版履歴

2004/1/2 冒頭の頒布数の表で数値が入れ替わっていたのを修正


 今回私が売り子として頒布に参加した文芸サークルの販売戦略について考察する。考察対象は以下の通りである。
Arrow(二日目 西-え29b)
ジャンル:創作文芸
頒布物:「葬儀屋アルケミスト。」(新刊)\100
「熱帯魚と、死者の夜。」\100
「魔法使い - The Magician -」\0
戦果:「葬儀屋アルケミスト。」 14/20
「熱帯魚と、死者の夜。」11/20
「魔法使い - The Magician -」30/30

原理

 創作文芸と言うジャンルはアピール度が低い。二次創作では既に存在するイメージに対して訴えることができる。それに対して創作文芸はオリジナルであり、内容を直接想像することはできない。さらに文章である。文字でイメージを伝えるのにはどうしても時間がかかる。第一印象でも文字と絵では2秒対0.2秒程度の差はつくであろう。文章は絵に対して10倍の時間がかかると言っても大げさではないだろう。

 また、創作文芸は必ずしも萌えジャンルではない。萌えジャンルは直接本能に訴える。だからこそ、初見でのアピール度が高いのである。萌え絵は見て0.2秒で反応できるのである。

 それ以外のアピール度が低いジャンルでは、作品以外の手段で補完的なアピールが必要となる。これを顧客が注意を向ける時間と顧客とブースとの距離で分類して考察する。本を手に取ってもらうまでを以下のように分類する。なお、1コマの机の大きさは900x450mmらしい。
  • 問題外 :眼中に無い(0秒)
  • 第一段階:背景から脱する(0.5秒、5m)
  • 第二段階:興味を持ってもらう(2秒、2m)
  • 第三段階:足を止めてもらう(5秒、0.5m)
  • 最終段階:頒布物を手にとってもらう(10秒以上、0m)
 第二までは主に視覚による認識に訴えることが有効であろう。

 第一の段階での訴求手段はポップなどである。この段階ではまだ文字はほとんど読めない。よって、絵、特に動画を使って人間のパターン認識に直接訴えることが有効とだと思われる。文字を使う場合も、絵として意識する必要がある。

 第二段階での訴求手段は頒布物の表紙、ポップの文字などである。頒布物が文章である以上、文字で訴えるのが正攻法である。しかし、雰囲気を文字で伝えることは難しいため、絵による訴求が有効であることも事実である。要するに、表紙を萌え絵にすればアピール度は通常の三倍だということである。

 第三段階では、顧客に直接声をかけてアピールすることが可能になる。しかし、5秒で伝えられる内容はそれほど多くない。1フレーズのキャッチコピーが必要となる。

 ここまで来て初めて手にとってもらえるのである。ここまで顧客を誘導することは難しいので、できれば客単価の向上を図りたい。薄利多売の手法は、このジャンルでは不可能なのである。


実際の戦術

 次に、ArrowがC65において以上の各段階でどのような販売戦術を取ったかを記述する。

 第一段階・第二段階では、ノートパソコンを使ったデモを使用した。表紙に使用した絵を流用し、開場前の30分でパワーポイントを使ってでっちあげた(PPTファイル)。

 第一段階ではアニメーションで人間のパターン認識にアピールする。内容ではない。動くこと自体で背景から脱するのである。

 第二段階では表紙の絵とキャッチコピーである。まず絵が目に入り一行目2秒ほどで一行目が表示される。つまり、コピーとしては一行目が最重要である。ここで目に留めてもらえば半分勝ちである。

 第三段階で今回の販売戦略の要である無料戦術が発動する。「魔法使い」は初期の作品であるため、無料で配布したのである。「無料ですのでお持ちください」とのフレーズは、人の足を止めるには非常に有効であることが前回と今回の作戦で立証されている。特に、見本用の一番上の冊子を手に取り、その下の冊子を取るように促すのが有効であると感じた。

 しかし、無料で配るだけでは頒布としては成功でも完全に赤字である。他の頒布物を買ってもらうことが必要である。そこで「熱帯魚〜」である。これは「魔法使い」の続編であるため、セットで頒布することが可能なのである。そして、「こちらが新刊です」でトドメ。これで2冊お買い上げ、締めて200円となり原価は十分回収できる。

 なお、声をかける間合いは1mほどで、こちらに2秒ほど目を留めた人に対して行うのが有効であると感じた。これは第二段階を突破した瞬間を狙うという意味で、上記の考察と一致する。


次回の課題

 2時半ごろ無料配布本終了。以降打ち手を失い、モラルダウン。戦線は崩壊した。この戦訓を生かすべく、無料配布本の見積もりを見直すだけでなく、無料配布以外の第三段階戦術の開発が急務である。また、戦線が崩壊した最大の理由はモラル低下であるので、最後まで戦い抜く強靭な精神が要求される。

 今回の作戦の大きな成果として、リピーターを確認できたことがある。無料配布は広報活動としても有効であることが確認された。無料作戦は今後も戦略の要とすべきであると思われる。

 また、購入傾向としてまとめて購入される顧客が多かったため、頒布物の種類を増やすことは客単価の向上につながると思われる。

 頒布数は無料頒布30部に対し、有料頒布25部。広報活動として考えるなら、無料頒布は許容範囲であると思われるが、有料頒布はまだ向上の余地が十分見られる。次回の数値目標は、有料頒布が40部とする。

 また、詳細な販売戦略を検討するため、販売データの収集を提案する。

 私的報告:モラル(eの付く方)向上のために、「売上アップ!」の掛け声は有効である。


戻る
管理人にメール