井洞窟は福井川渓谷が迫ったところ、稲荷神社本殿の奥側に古色蒼然とした砂岩で構成されている。

 昭和35年以降3回にわたる発掘調査の結果、約2〜3万年前の旧石器時代や約1万年前の隆線文土器に代表される縄文草創期から、石槍や石鏃が用いられるようになった縄文早期へと変遷して行った古代人の悠久な歴史を洞窟の層序が物語っていると云われている。

 日本の古代文化の起源と変遷を凝縮した貴重な洞窟遺跡として、昭和53年に”国史跡”に指定された。

福井洞窟遠景 福井洞窟

 昭和11年・25年にも社殿改築などに伴い、洞窟床面が掘削され、土器・石器のほか人骨・貝殻などが出土したと云う。
洞窟の表土からは弥生土器も確認されており、2万年近くほどの長期間にわたり生活が営まれていたと考えられる。 

洞窟地層 さ約6mの地層は15層に分かれていると云う。

15層の地層のうち上位第3層からは隆起線文土器が細石刃と共に発見され、又第13層からは約3万年前の世界最古と考えられている、ハンドアックス(にぎり槌)が検出されるなど、旧石器時代から縄文草創期にかけての貴重な遺物が層位的に出土している。

石槍 細石刃

 層位的に旧石器時代に石を単に打ち砕いた“にぎり槌”から石槍・ナイフ型石器を作り、その後細石器文化へと進む。
細石刃の石材は黒曜石で、周辺には夥しい量の黒曜石破片が散乱していることから細石刃工房跡と考えられている。

 これらの細石刃と共に日本最古の隆線文土器が一緒に発見されたことから、日本で土器が作られたという土器自生説が裏付けられたと云われている。

 以上のように福井洞窟は15層にわたる層序の堆積が認められたことから、旧石器時代から縄文草創期にかけての生活様式の変遷が解明されたと云える。

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