片田遺跡は五ヶ瀬川下流域に位置しており、五ヶ瀬川右岸の愛宕山から南方に向かって舌状に派生した丘陵上、標高15〜18mに立地している。

 五ヶ瀬川下流域には当遺跡の他、赤木遺跡・地蔵ヶ森遺跡・林遺跡など旧石器時代の遺跡が多く発見されている。
当遺跡は低丘陵においても旧石器時代の遺跡が立地していたことを証する。

 又当遺跡からは、鹿児島県の通称ATと呼ばれる姶良カルデラ噴出(21,000〜22,000年前)による火山灰層上位の黒褐色粘土質土層より総数約1,000点の石器類が出土している。

片田貝類 田貝塚から出土した貝類。
貝塚は本遺跡の直ぐ下にあり、現在は豊かな田園地帯が広がっているが、縄文海進の頃は丘陵直下まで海岸線が入り込んでいたと見られる。
片田町にはこの他5基の古墳が点在していると云う。

遺跡現場 岡市の中南部に聳える愛宕山を望む山麓にあり、区画整理事業に伴い平成元年から2年にかけ発掘調査が実施された。
調査面積は3,000uほどであったが、ナイフ形石器・掻器・彫器・角錐状石器・細石核・石核・削器など旧石器時代の石器類が検出された。

 以下旧石器時代の石器類の中で、特に際立ったモノを紹介する。
順番に縦長剥片を素材とした二側縁加工のナイフ形石器掻器(エンドスクレーパー)角錐状石器・抉入石器・石錐など、接合石器、そして石材として珍しい阿蘇外輪山産黒曜石の5点を順に紹介する。

 材はほとんどが五ヶ瀬川川床で採集された流紋岩で、わずかに黒曜石・安山岩なども認められたと云う。

 ナイフ形石器の形態から瀬戸内技法の影響を受けたと見られ、当時から瀬戸内海沿岸地帯との交流が窺える。
角錐状石器は厚みのある剥片を素材とし、一本の稜を形成し先端部を尖らせている。
この他集石遺構が検出された点も注目に値する。

 今後石器類の分類・解析が更に進み、当時の生活スタイル・行動範囲などの解明に期待したい。

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